ガンプラじゃなくてもビルドファイターだ!   作:タロウMK-Ⅱ

14 / 15
 いよいよ決勝戦です。
 ちなみにですが、フルアーマーガンダムはサンダーボルト使用ではありません。

 お気に入りが30件にも増えていて驚きました。皆様ありがとうございます。




貫き通す想い

 思い返せばたった1週間の出来事だ。とても充実した時間だった。

 

 胸の奥底から込み上げてくる熱く激しい気持ちによって走り出し、全力でプラモデルを作り上げ、大会におもむいた。

 ちょっとした拍子に覚めてしまう夢のようだ。

 

 チーム3名でスパロボの機体で出場できるなど思ってもいなかった。ましてや決勝戦まで勝ち残れるとは。

 

 加倉にはいつも振り回されるが、俺としては楽しい時間だ。

 

 馬坂は俺達の無茶に付き合ってくれる優しいやつだ。

 

 姉さんはどんな時も俺を励まし支えてくれる。

 

 そして、白樹さんはこんな俺達と一緒に居て、戦ってくれる仲間だ。

 

「それではこれより決勝戦を始めます! ファイターの皆さん準備はいいですか!?」

 鳥沼さんのアナウンスが流れた。

 

 そうだ、鳥沼さんにも大変お世話になったな。俺達は貴方の願い答えらたでしょうか? 台風の目になれたのだろうか?

 

「万全なのがお前だけだからといって1人で気負いすぎるなよ」

 そう言われ加倉に背中を叩かれる。

 

「分かっている。チームで戦うんだからな」

「勇登先輩の性格上、気負うなというほうが無理だと思いますよ。信念を押し通す人ですからね」

 うっ、白樹さんには口だけだと読まれていたか。観察力の鋭い人だな。

 

 ソウルゲインはまだしも、ヴァイスリッターの左足は見た目だけ直したものであり、ろくに動きもしない。左腕だって無く、プラ板で傷を塞いでいるだけだ。ちゃんと修理できたのはアルトアイゼン・リーゼだけだ。

 

「そうだな、ガンプラバトルではどんな敵も打ち貫くのみだな」

 

 俺はバトルシステムにGPベースをセットして愛機をその上に置く。

 青白い光が筐体から舞い上がる。

 

「はたしてガンプラバトルだというのにガンプラではないチームスパロボが勝つのか!? それともガンプラの咆哮がガンプラの意地を死守するのか!? 運命の大一番です!」

 

 会場から歓声が沸きあがる。聞き分けることは出来ないが、この声の中には姉さんと馬坂の応援も混ざっているはずだ。

 

【Battle start】

 決勝戦の始まりだ!

 

 

 

 バトルフィールドは漆黒の中にぽつぽつと星が輝く宇宙空間。これといった隕石やスペースデブリも見当たらない。真っ向からぶつかりあえということか。

 

 敵機はフルアーマーガンダム、サザビー、ゴールドフレーム天ミナ。ゴールドフレームの背中はマガノイクタチだろう、左腕にはオキツノカガミという槍のような攻防一体の武装が施されている。

 

「障害物がないから勇登の独壇場か」

 突撃するには適したフィールドではあるが、その分敵からも丸見えである。

 

「お前は粒子を蓄えろ。その間俺が敵の注意を引き付ける、白樹も援護よろしくな」

「了解です」

 2人は即座に俺の前に出て行ってしまった。本心では引き止めたかったが、それでは2人の想いを無下にすることになる。

 リーゼのウイングと全スラスターを展開して周囲の粒子を吸収する。

 

 モニターを拡大して様子をうかがう。3対2というだけで不利だ、ましてや機体の調子も悪い。

 

 ヴァイスリッターはオクスタン・ランチャーを片手で発砲しているため精度が悪い。左半身が殆ど機能していないためなおさらだ。

 

 ソウルゲインは格闘寄りの機体のため多数の敵を相手するのは設計上不得意だ。

 

 まず敵チームのガンプラの咆哮がターゲットにするのはヴァイスリッターだ。誰が見ても不調のため、確実に仕留めやすい獲物だ。

 

「勇登! チャージはまだか!」

「もう少し待ってくれ!」

 俺だって急いでいるんだ! あと少しなんだ、早く!!

 

 ゴールドフレーム天ミナが加倉の相手を引き受ける。これではフルアーマーとサザビーに白樹さんが集中攻撃されてしまう。

 

 サザビーのバックパックからファンネルが射出されヴァイスリッターを包囲する。全方からの攻撃など回避できるわけがない。

 まずは動きの鈍い左足から撃ち抜かれ、砲身の長いオクスタン・ランチャーも破壊される。

「・・・勇登先輩、まだですか。もう持たないかもしれませっ・・・・・・」

 

 フルアーマーガンダムの2連装ビームライフルがヴァイスリッターの首下を焼き払った。それと同時に通信も途切れた。

 

 初めて白樹さんが助けを求めた。だというのに俺は・・・・・・。

 

 頭の中が真っ白だ。ただ分かることは、あいつらを許さない。それだけだ。

 

「フルブースト!!」

 全速力でリーゼを加速させる。まずは白樹さんにビームショットライフルを向けて止めを刺そうとしているサザビーからだ。

 サザビーが俺に向けて拡散メガ粒子砲を放ってくる。が、サイコロガンダムの後なので大した脅威ではない。精々、表面の装甲が焦げる僅かに溶けるぐらいだろう。

 

「直進してくるだと!」

 相手ファイターの悲鳴が聞こえると共に間合いは一瞬で埋まる。

 

「彼女に手ぇ出すな!!」

 敵機の胸のド真ん中にリボルビング・バンカーを突き刺す。サザビーの胸部が潰れ右手首までもが入り込む。速度はそのままにしてフィールドの端まで推し進める。

 

 トリガーを引いて杭を打ち込む。2撃目を打つと同時に右腕を振りぬき、サザビーを場外まで吹っ飛ばす。

 

 プラフスキー粒子で構成されたフィールドからサザビーがすり抜けてリングアウトとなる。

 まず、1機。次はフルアーマーだ。

 

 レーダーに目をやると、こちらに1体接近する反応がある。

 

 フルアーマーガンダムだ。2連装ビームライフルと360ミリキャノン砲を連続発射しながら向かってくる。

 流石の攻撃力だ、一発でも直撃すればひとたまりもないだろう。だとしても、アルトアイゼンに不用意に接近するのは命取りだ。

 

 さらに接近してくるとフルアーマーは両肩、両膝から小型ミサイルを射出してくる。

 

「あまい!」

 俺はアヴァランチ・クレイモアで弾幕を張り敵機の放ったビームとミサイルを撃ち払う。単純な火力ではこちらが勝っている。

 炸裂鉄球弾を全弾撃ち尽くし敵機の攻撃を押し返す。さらに、後半に放たれた鉄球弾はフルアーマーを削ぎ落とすかのように襲い掛かる。

 

 敵が怯んだ今がチャンスだ! 一気に懐に飛び込む!

 

 リボルビング・バンカーを腹部に突き刺そうとした瞬間、フルアーマーの装甲が勢いよく飛び出してきた。脱ぎ捨てられたアーマーが俺に直撃してバランスを崩した。

「何だこれ!」

 

 ただパージするのではなく、相手にぶつけるように調整してあるのか。

 

 迷彩色のガンダムがビームサーベルを振り上げて突進してくる。

 回避が間に合わない! やられる!

 

 無理矢理にでも避けなければ!

 

 リーゼの体勢を僅かに変えてビームサーベルをよけようとする。が、やはりダメだった。

 

 振り下ろされたビームサーベルに左肩を付け根から切り落とされた。どんなに装甲を厚くしようと、関節の耐久性には限度がある。

 しかも肩にはクレイモアだけではなくスラスターとウイングも付いているため、機体の推進力も失われたことになる。

 

 敵のガンダムがビームサーベルを水平に構え、こちらのコクピットを狙っている。

 

 全てがスローモンションに見える。自転車から転倒する時のようだ。

 俺は無抵抗に撃墜されるのか?

 

 責めて相打ちにでも。いや、相手の攻撃を上手く避けて反撃する方法はないのか。

 

 全ての脳細胞がこの危機を脱するために活発に働いているのが分かる。理屈抜きで感覚的に体が動いた。この行動が正解なのか自分でもよく分からないまま右腕を振りかざした。

 

 リボルビング・バンカーがガンダムの左胸のダクト部分に突き刺さると同時にスローモンションが解除された。

 

 俺はとにかくトリガーを引きまくった。リーゼが機能不全に陥る前にこいつだけは仕留めておきたい。

 打ち出されたバンカーがガンダムの上半身を粉砕する。

 

「ここまでか・・・」

 俺はモニターで機体の破損具合に目を通した。

 

 ん? ビームサーベルによる致命傷がないだと? リーゼはまだ動けるのか。

 奇跡だな。どうやって除けたのか覚えていないが俺はまだ戦える。

 

「勇登ぉぉぉぉ! 手を貸せぇ!」

 一息つく暇も無く加倉の怒号が飛び込んだ。

 

 継ぎ接ぎの機体で無事だったんだな。レーダーで位置を確かめるとソウルゲインが俺の方に逃げてくる。

 

 敵は残りゴールドフレーム1体。とはいえ、俺は弾切れで、加倉は半壊している。

 

「ソウルゲインに拘らずヴァイサーガのまま出撃すればよかったぜ」

 確かにわざわざハリボテにする必要はなかったな。でも、バカみたいな拘りが無ければ俺達チームスパロボじゃないか。

 

「おい、ゴールドフレームが見えないな。ミラージュコロイドで隠れられたんじゃないか」

 ミラージュコロイドを展開されると視界にもレーダーにも映らない。

 

「背中合わせになるぞ」

 俺と加倉は互いの背中を守るようにして辺りを警戒する。

 ゴールドフレームは確実に俺か加倉のどちらかを狙っている。

 

 突然何もない空間から鉄骨の様なものが3本出現して俺に襲い掛かった。

 ランサーダートか!? 咄嗟のことで反応が遅れ、1本目は頭部をかすりながらすり抜けたが、残り2本が横っ腹と右太股に突き刺さった。

「勇登下がれ!」

 

 加倉が俺を庇うように前に出る。ソウルゲインだってボロボロだ、そう長くは持たない。

 再び何も見えない空間からビームの棒が生えた。

 

「加倉逃げろ!」

 俺はそう叫んだが、加倉は逃げるどころかビームサーベルに突進していった。ソウルゲインは袈裟懸けに切られながら見えない何かを掴んだ。

「奴を掴んだ今だ! やれ!!」

 

 サイコロガンダム戦でもそうだった、加倉は身を挺して俺を守ってくれた。1度とならず2度も加倉を犠牲にしてしまった。

 

 俺はリーゼの太股に刺さったランサーダートを引き抜いて振りかぶる。ソウルゲインが押さえ込んでいるであろう見えないゴールドフレーム目掛けてブーストを吹かす。

 

 ゴールドフレームが姿を現し、先端に矛の付いたワイヤー、マガノシラホコを射出してきた。振り上げていた右肘を切断される。

「まだだぁ!」

 

 プラズマホーンを起動させ強引にでも前に進む。

 

 ソウルゲインが両腕を切り離しゴールドフレームか離れる。これで気兼ねなく攻撃できる。

「叩き付けるのみ!」

 稲妻を纏った角を頭突きの要領でゴールドフレームに叩き込む。頭部からコクピットの部分まで切り裂く。

 

 しかし、敵機の抵抗は激しくトリケロス改でリーゼの背中を殴りつけてくる。

「こいつめガンプラでもない分際で!」

 憎しみを込めたような声がスピーカーから流れてくる。ガンプラ以外を認めないたちの人か。

 

 だから俺は言い返した。自分達が何者なのか。

「ガンプラじゃなくても・・・ビルドファイターなんだよ!!」

 カブトムシが相手を跳ね上げるように、アルトアイゼン・リーゼの全身を使いプラズマホーンを引き上げた。ゴールドフレームの胴体が裂け、頭部を跳ね飛ばす。

 

「ああぁ、何なんだ貴様らは、何者だ!」

「チームスパロボ。さっき言ったばかりだがガンプラを使わないビルドファイターだ」

 俺はそう伝え終えると、ゴールドフレームを蹴り飛ばした。

 

「白樹さん、後は任せた」

「了解です」

 先程レーダーを確認したところヴァイスリッターの反応がこちらに接近していた。頭部とオクスタン・タンチャーを損失したが機能停止したわけではなかったようだ。

 

 ヴァイスリッターがプラズマカッターでゴールドフレームを腰から両断する。

 上半身と下半身がそれぞれ宇宙空間に爆発の光を放つ。

 

【Battle Ended】

 戦いの終わりが告げられた。

 




 次回で最終回です。

 一人称の作風だと主人公以外に活躍の場面を与えるのが難しいです。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。