ガンプラじゃなくてもビルドファイターだ!   作:タロウMK-Ⅱ

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 まさか更新するまでに1週間も掛かってしまうとは思ってもいませんでした。
 伏線を入れるかどうかで悩んでいたことが原因です。

 遅くなってすみません。




最終回 これからの道

 シロガネスーパーで開催された大会で俺達チームスパロボは見事に優勝することができた。公式の大会ではないとはいえガンプラ以外のプラモデルが優勝するのは珍しい出来事だ。

 

 世間がこの出来事にどう反応するか俺達には分からない。どうせ1週間も経てば忘れ去られる程度のことだろう。

 

 少しでもガンプラ以外で闘うファイターの応援になればとは思う。

 

 

 そして変化は身近な場所で起き始めた。

 

 

 大会が終わった次の週、俺と加倉はプラモデル部にお邪魔していた。

 

「いやぁ~、流石古宮さんですよ。決勝戦での奮闘ぶりは全国レベルすっね」

「そんなことはない、加倉に白樹さんのおかげだ。俺が秀でていたなんてことはない」

 やけに俺のことを持ち上げる部員は何人かいる。加倉は身を挺して俺を庇ってくれたし、白樹さんは常に冷静に立ち回り助けてくれた。

 

「そういえばアルトアイゼンの修理は終わったんですか?」

「ちゃんと直したぞ。これでまたバトルが出来るな」

 3機とも激戦を勝ち抜いたため傷だらけのボロボロな姿になってしまった。リーゼはまだしも、ソウルゲインは修復しきれたのだろうか。

 

「加倉はプラモデル直し終えたのか?」

 俺は加倉に訊いてみた。

 

「当たり前だろ。ソウルゲイン、ヴァイサーガともに健在だぜ」

 それは良かった。ヴァイスリッターはプラモデル部の棚に飾ってあるため、白樹さんが1人で修復したのだろう。

 

 それにしても相変わらずガンプラだらけの棚だな。ヴァイスリッターの存在が若干浮いている。

 

 デスティニーガンダム、ZZガンダム、真武者頑駄無。その横にはダイゼンガーか、互いに鎧武者で・・・って、はい?

 

 俺は自分の目を疑った。プラモデル部にダイゼンガーだと!? 幻覚か?

「なあ、これどう見てもガンダムじゃなくて・・・」

「いや、決してダイゼンガーではないから! ガンダムだから!」

 馬坂が俺の言葉を征した。明らかに焦っている様子だ。誰がどう見てもスーパーロボットだが否定している。

 

「いやこれは、あれだから、ダイナミック・ゼネナル・ガンダムだから!」

 それこそ正式名所のほうがマニアックだろ。

 

「よく見てみな、フェイスパーツがガンダムでしょ」

 馬坂の言うとおり、口元がガンダム風のフェイスカバーで覆われている。元々ダイゼンガーの顔は鼻と口があるタイプだ。

 だが違いはそれだけである。

 

「無理にいい訳しなくても、別にガンプラ以外作ったからって文句を言う奴はいないだろ」

「僕なりの拘りってものがあってね。中々割り切れないだけだよ」

 そういうものなのか。俺にはよく分からないな。

 

 それにしてもガンダムシリーズ一筋だった馬坂がスーパーロボットに興味を抱くとは。あれか、対称的なものに心を引かれるというやつか。

 よくよく見ていくと、棚にはダイゼンガーだけではなくエクサランス・ストライカーも飾ってある。赤くて格闘寄りで額から武器となる角が生えていると親近感がわくな。

 俺は手にとってエクサランスの出来を確かめる。素組みの状態だが丁寧に製作されている。

 

「あっ、それ私の作りかけです」

 後ろから白樹さんに声を掛けられた。

 

「まだ仮組みの状態ですが出来はいかがですか?」

 完成度よりも白樹さんがエクサランス・ストライカーを作っていたことに驚いた。白樹さんが格闘用の機体を、しかもガンプラじゃないプラモデルだぞ。

 

「大会が終わった後、鳥沼さんが買ってくれたんです。勇登先輩はこういう機体を好むと教えてもらいました」

「わざわざ俺の趣味に合わせなくてもいいよ。鳥沼さんも何で白樹さんに俺好みのプラモデルを渡したのか分からん」

 白樹さんにならエクサランス・フライヤーあるいはエターナルだろ。

 

 やはり決勝戦でのあの発言が原因か・・・。

 

「気にしないでください、先輩も大会が終わったらエピオンを作ろうと約束してくれましたから」

 あっ、そうだった! 忘れていた!

 後輩との約束を忘れるとか最低だぞ。どうする、下手な言い訳はできない、ここはまだ買っていないと正直に言おう。

 

「えーと、ごめん、まだ買えていないんだ。今日中に手に入れるから」

 とりあえず、帰りにシロガネスーパーに寄れば何とかなるだろう。

「そんなに急がなくてもいいですよ」

「いやいや、俺が言い出したことだから責任は持つよ」

 

 大会が終わってもまだまだやることは残されているな。自分の好きなことだから苦にはならないが。

 俺はプラモデル部を後にしてバス停へ向かって歩いた。

 

 

 

 バス停に向かって歩いていると携帯が鳴り出し、俺は画面を見て相手を確認する。加倉だ。

 

「もしもし、どうした? 買ってきて欲しいものでも言い忘れたか?」

「ああ、雷鳳をだな、って違う! 俺が聞きたいのはそうじゃない!」

 乗りツッコミありがとう。おかげでツッコミをいれる手間が省けた。ところで俺に聞きたいことは何だろう?

 

「お前、あれから白樹とどうなんだよ。意外と気にしている奴多いんだぞ」

「あぁ・・・なるほど、あの発言の事か。あれはその場のノリみたいなものだ。その後も何ら発展ないからな」

 あの発言とは決勝戦で俺が『彼女に手ぇ出すな!!』と叫んでしまったことだ。それがスピーカーから外部に漏れてしまったため、俺と白樹さんが付き合っている、または告白と受け取った連中がいるのだ。

 

「今から彼女のためにガンプラ買いに行くやつが何もない、と言っても疑わしいな」

「これは以前からの約束だ。決勝戦の発言とは無関係だ」

「本当にそうなのか? つまらんなぁ」

 どうしてここまで疑われなければならんのだ。おかげで俺は白樹さんに余計に気をつけなればならない。

 

「とりあえず切るぞ。続きがあるなら後にしてくれ」

 俺は一方的に通話を切った。

 

 シロガネスーパーの2階に着くと、鳥沼さんから質問攻めにあう。話題はやはり白樹さんとのことだ。年下好きなのか、どんなところに惚れたのかなどもう勘弁してほしい。

 

「ところでエクサランス・ストライカーはどうだった? そうだ、ビルトビルガー・タイプLをチームに組んでみたら」

 全員が赤い突撃野郎か、悪くない。チームバランスそっちのけのバカみたいな構成がたまらない。

 問題は加倉がリアルロボットを使用してくれるかだ。今なら馬坂の方が可能性はあるか。

 

 って、そうじゃない! 俺は何を考えているんだ!

 

 エピオンのプラモデルを買ってとっとと帰ろう。

 まぁ、その間、赤トリオのことが頭から離れなかったが。

 

 そして、家に帰っても姉という最強の敵が待っている。女性という生き物は色恋沙汰に興味津々のようだ。加倉や鳥沼さんの比ではない。しかも逃げ場がない。

 

 俺にとっての本当の戦いはこれからだ!

 

 

 夜の12時を回ったころやっと姉さんから解放された。俺はベッドに崩れ落ちた。

 

 もう頭がおかしくなりそうだ。まるで白樹さんと付き合えと誘導されているとしか思えない。

 俺だって白樹さんのことは嫌いじゃない、寧ろ好きな分類だ。

 

 いや待てよ。俺がこれだけ皆から質問攻めにあっているという事は彼女もまた同じような境遇にあるのだろうか。

 

 今のところはそうした話をむこうから振ってはこないが、実は色々と訊かれているのではないだろうか。

 

 どうしたらいいものか。やはり自然消滅を待つしかないか。

 折角大会で優勝できたというのにその話題は中々上がってこない。所詮スーパーで開かれたぐらいの大会ではその程度の反響か。

 

 といっても公式のガンプラバトルの大会にはガンプラじゃなければ出場すら認められていない。俺達にできるのは非公式の場で名を上げることぐらいだ。

 別に焦る必要はないか。地道に続けていけばそれでいい。

 

 

 

「買ってくるの遅れてごめん」

 放課後の部活で俺は白樹さんにガンダムエピオンのプラモデルを手渡した。

 

「本当に買ってきてくれたのですね、ありがとうございます」

「そりゃ約束だからな。これくらい何てことない」

 俺のことで変な勘ぐりを入れられていないか心配だが中々言い出せない。女子にも慣れてきたとはいえ恋愛事情はデリケートな話題だ、上手く切り出せない。

 

 本来ならプラモデルを渡しているだけの事なのに回りからどう見られているか分からない。

「おっ、それが以前言っていた約束のガンプラか?」

 加倉に訪ねられた。

 

「ああ、大会が終わったら作ろうって俺から誘ったんだ。加倉も一緒に作らないか?」

「いや、お前と白樹で作れよ。割って入るような無粋なまねはしない」

「だからそんな関係じゃないからな。変な噂広めるなよ」

 一応釘を刺しておくが既に広まっているためあまり意味はないか。

 

 しかし、ガンプラを製作するのは久しぶりだな。スパロボ関連のプラモデルばかり作っていたので懐かしい。

 説明書に目を通し改めて思う。ガンプラは余計な改造をしなくても元から出来が良い。そりゃ他のプラモデルじゃ敵わない。

 俺達はこれほどの強敵と戦っていたのか。

 

「これはバトル用ではく観賞用ってことでいいか」

「はい、勇登先輩から頂いたプラモデルを傷つける訳にはいきません」

 プラモデルを作っている時は他の事を考えなくてすむ。ただ、黙々と作り上げていくだけだ。寧ろ違うことを考えながら作業したら失敗の原因になってしまう。

 

 白樹さんも集中すると黙るタイプだから、加倉のように話しかけられることがない。

 

「なあ、エピオンって『次の』って意味があるらしいな」

「らしいな」

 加倉が俺に話しかけてくるが素っ気なく答える。

 

「それこそ俺達の次はどうするよ。何を目標にするのか、良い案はないか」

「さぁ、どっかの非公式な大会を探せばいいんじゃないか」

「それとも俺達の機体にVアンテナを付けてガンダムフェイスに改造して無理矢理ガンプラだと押し通してみるか」

「やってみてもいいかもな」

 俺は素っ気なく答え続ける。いい加減話しかけないでほしい。

 

 

 

 とりあえず仮組みまでは済ませた。後は塗装と接着だな。

「2人で作ると早いものですね」

「そうだな、順調に進んだな」

 特にどちらがどのパーツを担当するとか話し合うことなく分担できた。まぁ大会用のプラモデルを製作した仲だから当然か。

 

「どうやら一段落したようだな。ちょっと動かしてみないか」

「いや、これ観賞用だからバトルするためのプラモデルじゃないぞ」

 加倉の提案を俺は断った。

 

「少しぐらい良いじゃねえか。馬坂にもダイゼンガーを操縦させてみたいし」

 本命は馬坂のダイゼンガーの完成度が知りたいだけだろうな。でも俺も興味がないわけではない。

 

「私も部長のダイゼンガーに興味があります。バトルルームへ行きましょう」

 白樹さんも乗り気なようだ。

 

「いやいや僕としてはガンプラ以外でバトルする気は・・・」

「お前の中ではガンダムなんだろ、ならいいだろ」

 加倉が馬坂の昨日の発言を上手く利用する。確かに馬坂はガンダムだと主張していた。

 

「・・・わかったよ。やればいいんでしょ」

 若干嫌々ではあるが馬坂は承諾してくれた。流石部長に選ばれる男は心が広い。

 

 

 

 俺達は体育館横のバトルルームへ移動した。

 ガンプラバトルは大会ぶりだ。それほど長い時間が経過したわけでもないのに何となく久しぶりに思える。

 

 白樹さんはガンダムエピオン、馬坂はダイゼンガー、加倉はソウルゲイン、俺は勿論アルトアイゼン・リーゼを使用する。

「勇登、腕は鈍ってないだろうな」

「おっ、加倉もガンプラバトルが久々な気がするのか?」

「何となくな。だが、俺はあの大会で燃え尽きちゃいないぜ。逆に前より激しく燃えているってとこだな」

「俺だって燃え尽きちゃいない」

 

 バトルシステムからプラフスキー粒子が溢れ出す。各々がプラモデルをセットする。

【Battle Start】

 

 4機がバトルフィールドに出撃する。フィールドは障害物の殆どない荒地。

 

 白樹さんと馬坂はまず機体の挙動を確認しだす。馬坂のダイゼンガーは意外と動きが良い、しれっと改造を施しているな。

 

「なあ、大会が終わったことだし、ガチでやってみないか」

「やるって、俺とお前でか? 2人のプラモデルの出来を確かめるんじゃなかったのか」

 加倉が急な提案をしてくる。もしかして本当は俺とバトルがしたかったのか。

 確かに俺も最近加倉とバトルはしていなかった。

 

「ついでだよ。まさか挑戦を拒むようなまねはしないよな」

 どっちがついでなのだか。俺とてバトルを拒む理由はない。

 

「そうだな、全力で相手をするぞ。お互い大会を乗り越えてどれだけ成長したか確かめる良い機会だ」

 加倉との真剣勝負。腕がなるな。

 

「先輩達だけで何をしようというのですか。私を措いていかないでください」

「すまない、これは俺と加倉の勝負なんだ。巻き込まれないように注意していてくれ」

 措いていかないでほしいか、白樹さんもそれだけの仲間意識を持ってくれているんだな。これからも一緒にガンプラバトルをやってくれそうだ。

 だけどこの勝負は譲れない。誰にも邪魔してほしくない。

 

「準備はいいか、行くぜ! リミット解除!!」

 ソウルゲインのクリアパーツが発光を始める。出し惜しみをしないということか。

 ならば俺も始めから全開でいかせてもらう。

「フルブースト!!」

 真っ向勝負! これが俺達の闘いだ!

 

 ソウルゲインの右腕が高速回転している。玄武金剛弾を直接叩き込む気か。

 だが俺とて怯むつもりはない。どんな敵が相手だろうと俺とアルトアイゼン・リーゼは打ち貫くだけだ。

 リボルビング・バンカーと玄武金剛弾を正面からぶつけ合う。

 

 

 何度やっても飽きないな。これからも俺達はガンプラではないプラモデルでバトルを続けていくだろう。

 いつか誰かの心を動かせれば、誰かが行動する切欠になれば、たった一人でも振り向いてくれれば。

 さぁ、次に行こうか。

 




 短い期間でしたがこれまで読んでくださった皆様に感謝いたします。

 お気に入りに登録してくれた方、感想を下さった方、本当にありがとうございます。

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