ガンプラじゃなくてもビルドファイターだ!   作:タロウMK-Ⅱ

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 前回が長くなってしまったので今回は短めです。


新しい仲間

 白樹さんは実に好奇心旺盛で、興味のあるものにはとことん食いつくタイプの人間だ。 サックと分かりやすく解説してみたつもりだが白樹さんの反応はどうであろうか。

 

「スーパーロボット大戦の世界も奥が深いですね。古宮先輩に加倉先輩、今日はありがとうございました、大変勉強になりました」

 

 時計に目をやると時刻は午後6時50分、随分と長話してしまった。無断で教室を使用していたため先生方に見つからなかったのも運が良い。

 

「とりあえず明日の放課後、白樹のプラモデルを買いに行くか」

「はい、部長には大会用のプラモデルを買いに行くと伝えておきます」

 加倉のことだから予算は俺も出すことになるだろう。巻き込んだのはこちら側だから当然かもしれない。

 

「では、私は部室に戻ります。先輩方もお気をつけて」

「うん、それじゃまた明日」

「おう、じゃあな」

 白樹さんが教室を出て行くのを確認すると、俺は勢いのあまり黒板に書いてしまった解説文を消す作業に移る。

 

「白樹はどんな機体を欲しがるかな」

 使用ガンプラはウイングガンダムゼロ、スーパーロボットはあまり好まない様子。冷静沈着であり一撃必殺を主とする戦闘スタイル。予測するに、長距離から敵を仕留めることが可能なリアルロボット系と思われる。

 

 黒板消しをクリーナーに掛けながら白樹さんに合いそうな機体を考える。

「ヴァイスリッターやビルトファルケンが主役格の中では妥当か。エクスバインガンナーとかもありかな」

「その中ならヴァイスリッターだ。アルトアイゼンの相棒といえる立ち回りだもんな」

 

 ヴァイスリッターは個人的に安直な答えとしか思えない。もっと別の機体があるのではないか。

「どうした険しい顔して、黒板消しならもう綺麗になってるだろ」

 加倉に指摘されるまで黒板消しクリーナーを使っていることを忘れていた。黒板消に付着していたチョークの粉は落ちていた。

 

「ヴァイスリッターに納得がいかないようだな」

「少しな。決断するのは白樹さんだからここであーだこーだ言ったところでしょうがない」

「俺にぐらい本心教えてくれよ。馬鹿にするまねはしない」

 頑なに拒む必要はない。ただ、白樹さんには不釣合いな機体なだけだ。

 

「仕方ないな。俺してはビルトビルガーがいいなって思った」

 ビルトビルガーはアルトアイゼンのコンセプトを引き継いでいる面がある。この2機が共闘する場面は是非ともお目にかかりたい。

 が、そこに加倉のソウルゲインを合わせると3人して格闘特化のチームに成ってしまう。重装甲と突進力を活かした突撃部隊、嫌いじゃないが勝ち残れる見込みが・・・。

 

「確かに長距離戦を補えないな」

「だろ。空も飛べて強力なライフル持っているヴァイスリッターかビルトファルケンが安定だ」

 

 

 

 俺と加倉は校門で別れそれぞれの帰路につく。高校から徒歩5分の所にバス停がある、そこから出るバスに乗り込む。

 

 2人掛けの座席に腰掛、窓から流れる景色を見る。意識的に頭を働かせていないが、頭脳が無意識の内に考え事をしている。

 白樹さんがアルトアイゼンに興味を示した理由、それはガンダムシリーズにない知識と技術を取り入れるためだろうか。スーパーロボットへの関心が低いのはガンダムに取り込み辛い設定だからであろう。

 

 では、彼女が欲している情報を手に入れることが出来たら、またガンプラに戻ってしまうのか? 付き合いを絶たれることはないかもしれないが寂しい。

 

 一瞬でもガンプラ以外に関心を抱いてくれたならそれでいいか。

 

 

 

「あら、お帰り。大会に参加してくれる友達は見つかったの?」

 母さんが玄関まで迎えに来てくれた。

 

「シロガネスーパーでの大会に参加してくれる後輩が現れて助かったよ」

「まあ、それは良かったじゃない。大会にはお姉ちゃんも応援しに行くってさ」

「姉さん新入社員研修会でいないはずじゃ」

 

 古宮優佳(ふるみやゆうか)、俺には3つ上の姉が1人いる。姉さんは宿泊施設に就職して今年から新社会人と成った。

 

 勇登に優佳、漢字は違うが家の親は『ユウ』という響きが好きなのだろうか。

 

「お姉ちゃん、明日には着くそうよ。お父さんが出張に行ってしまったから、優佳が帰ってくると賑やかになるわね」

「賑やかというか今までどおりに戻るだけじゃないかな。それより宿泊施設は連休が稼ぎ時じゃないの。休みなんて取れると思わないけど」

「きっと上手くお休みを入れるんじゃないかしら」

 スパロボもプラモデル作りも姉さんから教わったものだ。折角の休みを応援に割いてくれるのだ、恥ずかしいバトルは見せられない。

 

 

 

 姉さんが帰ってくる事と、白樹さんに新しいプラモデルを買いに行く約束をしたことがプレッシャーになったのか眠りが浅かった。

 

 机の上には直しかけのアルトアイゼン。今日はバトルをする予定はないが、加倉が無茶苦茶なことを仕出かさないと限らない。

 

 俺はクローゼットに飾ってある青いアルトアイゼンを取り出す。『アルトアイゼン・ナハト』、夜間使用のため青い塗装になっている。ややこしい設定だが異世界のアルトアイゼンも青い装甲をしているため、見た目では判断が付けかねない。

 

 念のためこれを持っていくことにする。

 

「おはよう、いつもより少し早いわね」

「おはよう、眠りが浅かっただけ」

 母さんと朝の挨拶を交わす。

 

「お姉ちゃん、お昼頃帰ってこれるらしいわ。勇登も真っ直ぐ帰宅してね」

「ごめん、後輩のプラモデル買いに行く約束があるから遅くなる」

 昼間の内に帰ってこられるとはずいぶんと速いな。夕方になると思っていた。

 

「先約なら仕方ないわ、残念ね」

 姉さんには悪いが加倉と白樹さんとの約束を破るわけにはいかない。

 

 朝食を済ませ、制服に着替える。そしてバス停に向かう。いつもと同じ日常である。

 

 俺は昼休みの時間、馬坂のもとを訪ねた。プラモデル部の部長だ、白樹さんにあったプラモデルの製作の助言が聞きたい。

「う~ん、白樹さんは何でもこなすタイプだからね。部で管理しているガンプラを使用した時、どれも使いこなしていた。天才ってやつかもしれない」

「逆に苦手なものはないのか。格闘機とか重装備な機体とか」

「接近戦をしているところはあまり見ないな。どちらかというとシンプルな形状を好むかな? でも高い火力を求める一面もある」

 

 余計な装備が無く攻撃力と機動性を追及できる存在、ツインバスターライフルを有するウイングガンダムゼロは適役だったわけか。

 

「僕がオススメしたガンプラはどれも駄目だった。デスティニーガンダムは『器用貧乏なのはちょっと・・・』って言われ、ZZガンダムを差し出したら苦笑いで返されたよ」

 どちらも加倉なら飛びつくガンダムタイプだ。スーパーロボット好きにはたまらないが、白樹さん的には駄目なのか。

 

「以外かもしれないけど白樹さんは接近戦を得意とする可能性がある。一番好きなモビルスーツは『ガンダムエピオン』らしい」

 ガンダムエピオン、射撃武器を一切持たない(バルカン砲などない!)格闘戦特化の機体。武器は本体と直結したビームソードとシールドと一体になったヒートロッドの2つだけ。

 

 憧れる機体と自分が使用する機体は必ずしも直結するものではない。それにしても白樹さんのイメージとエピオンはだいぶ異なる。

 ただ、超高出力のビームソードは必殺の威力があるため、あながち違うとも言い切れない。

 

「でも、モビルファイターは嫌いのようだ。スーパーロボット寄りだからかな」

「なるほど、参考になった。ありがとう」

 口では参考になったと言ったが本心は違う、余計に訳がわからなくなった。

 白樹さんに合う機体が見つかるだろうか。

 

 




 筆者はエピオンにバルカン砲、マシンキャノンは装備されていないと信じています。
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