ガンプラじゃなくてもビルドファイターだ!   作:タロウMK-Ⅱ

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 ヒュッケバインならガンプラバトルに混ざっていても違和感なさそう・・・。
 でもプラモデルが販売停止なのでバトルに使うのは勿体無い。


プラモデルを買いに行こう!

 放課後、俺は加倉と合流してプラモデル部の部室へ向かった。

「いや~、白樹がどんなプラモデル欲しがるか楽しみだな」

「スーパーロボット以外としか予想がつかない」

 

 加倉はのん気だ。いや俺が深く考えすぎているだけか。白樹さんから直接教えてもらえばいいだけのことだ。

 

 部室の前にたどり着くとドアを叩き返事を待つ。

「はい、どうぞ」

 たぶん馬坂の声だろう。加倉がドアを開けて部屋に入る、俺も後に続きお邪魔する。ニス臭さがいかにもプラモデルを製作してます感を引き出す。

 

「白樹さんを迎えに来たのかい」

 馬坂がいつもどおり向かい出てくれる。部長だというのに自分から動く奴だ。

「おうよ。事情は知ってるだろ」

「勿論。良いプラモデルと巡り会えるといいね」

「迎えに来ていただきありがとうございます。本日もよろしくお願いします」

 

 白樹さんも準備が出来ていた。昨日と同じ制服のはずなのにシワ1つない。着飾ることなくても美しさが表現されている。

「白樹、別に敬語使うなって訳じゃないが、そんなに堅苦しくしなくていいんだ。もっと軽く接しても問題ない」

 加倉の気持ちは分かる。白樹さんはどこか他人行儀のため話し辛いところがある。

 

「私としては普通に接しているつもりなのですが」

「あんまり堅苦しくなるなってことだ。それより移動を開始するぞ」

 今から向かうバス停は俺が登下校に活用している場所とは違い、高校から徒歩12分ほどの距離にある。

 

「そういえば何処に行くのか聞いてないのですが」

「決戦の地だ!」

「はっ、決戦の地?」

 

 加倉は格好つけたつもりだが、冗談が白樹さんには通じない。

「大会が開催されるシロガネスーパーのことだ。あそこなら、プラモデルも販売してるしバトルシステムもある」

 

 何故俺が通訳しなければならんのだ。いや、自分が反射的に答えてしまっただけか。加倉と過ごしているせいでツッコミ・解説約が染み付いてしまった。

 

 

 

 3人の為バスの一番後ろの席に座ることになる。

 

 ここで気まずい自体が発生した。加倉、白樹さん、俺の順番に座ってしまった! 1年生の女子が3年男子の間はマズイだろ!

 

 そうだ! 距離を詰めているのがマズイんだ。反対の席に移動すれば解決される。

「勇登、何距離空けて座ろうとしてるんだ。他のお客さんの迷惑になるだろ」

 どうしてこういう時に正論ぶつけてくるんだ加倉。男子の間に女子が居ることを気にも留めないのか。

 

 仕方がなく白樹さんの横に戻る。加倉は特に気にしていないようだ、そりゃ初対面の白樹さんを呼び捨てにするぐらいだからな。

「古宮先輩、落ち着かない様子ですが具合でも悪いのですか?」

「いや、うん、問題ない」

 白樹さんもこの男子に挟まれている状況おかしいと思わないのか。

 

「どうせ女子と出かけたことないから緊張してるんだろ」

 緊張とかそういうことじゃない。加倉が鈍感なだけだろ。

 

 シロガネスーパー前のバス停に到着するまで無言で俯いておく。

 下車した時これまでにない開放感を味わうことが出来た。

 

 

 

 シロガネスーパーの1階は食料品から衣料品まで殆どの物を仕入れている。2階にはおもちゃ売り場とゲームセンターを兼ね備えているため大手だ。

 入店してすぐさま2階のプラモデルが販売されているコーナーに移動する。

 

「いらっしゃいませ」

 男性店員の鳥沼さんから挨拶される。鳥沼さんはおもちゃコーナーとガンプラバトル係を兼用している店員だ。俺達もよくお世話になっている。

 

「後輩の大会用のプラモデルを買いに来ました」

「へー、馬坂君がメンバーじゃないの。女の子が新しいメンバーなんだね」

 鳥沼さんは馬坂が俺達と仲がいいことも知っている。

 

「新メンバーの白樹茜です」

 白樹さんは普段どおり礼儀よく挨拶をする。

「白樹さんね、今後ともよろしく」

 

 新メンバーの紹介も終わったことだし早いとこプラモデルを選びたい。逸る気持ちを抑える。

 

 プラモデル置き場の半分以上を占めているのはガンプラだ。その一角にスパロボのプラモデルは配置されている。様々な種類のパッケージが並んでいるだけで胸がワクワクしてくる。

 あれもこれもと浮気するが、一周してアルトアイゼンに落ち着くのがいつものパターン。

 

「チームのバランスを配慮すれば私は長距離を補える機体が望ましいですね」

「そう硬く考えず楽しくいこう。始めは自分が気に入ったものからでいいから」

 アルトアイゼンとソウルゲインは接近戦寄りなのは周知の事実。かといって、白樹さんにチームバランスを強制したくない。プラモデルもバトルも趣味や遊びなのだ。

 

「加倉から何かオススメはないか」

「白樹はリアルロボット系が好きみたいだからな、俺と考えは合わないだろ。それにお前、自分が気に入ったものにしろって言ったばかりだろ」

「それはそうだが、お前の意見はないのか?」

「勇登が側に居てやれば何とかなると信用している。俺はちょっとゲーセンの方に顔出してくる」

 

 加倉はそう言ってこの場を離れた。白樹さんと2人っきりにされる。近くに他のお客さんの姿はない。

 女子と2人っきりってデートみたいになっている! これには白樹さんも困惑することだろ。何しろ側にいるのが俺みたいな奴だぞ。

 

「あれ? 加倉先輩の姿が見当たりませんが、何所かに行かれたのですか」

「ゲームセンターの方を覘いてくるってさ」

「そうですか。とりあえず質問したいことがあるのでこっちに来て下さい」

 

 白樹さんに手を掴まれ陳列棚の前まで連れて行かれる。女子と手を繋いだの小学生低学年いらいだな。

 

 それはさて置き、白樹さんから伝わってくる情熱というか真面目さというものは本物の気がする。彼女は真剣だ。上辺だけの付き合いではなく、これからも共に戦ってくれる人だと思う。

 

 

 

「結局何を選んだんだ」

 買い物が終わった頃、加倉も戻ってきた。探す手間が省けてよかった。

 

「安定のヴァイスリッター」

「あっ、やっぱりそうなるか。もっとぶっ飛んだものにならないか期待してたのに」

 加倉にとってはつまらない結果かもしれないが、ここまで付き合ってくれる白樹さんに感謝すべきだろ。

 

「それでだが、ガンプラバトルに中々面白い事になっていな、ガンタンクで4連勝してるおっちゃんがいるんだよ」

 ほう、ガンタンクで4連勝中か。モビルスーツでありながら人型をしておらず下半身は戦車の様なキャタピラ式。

 

「なるほど、挑戦してみたくなるな。白樹さんには悪いがもう少し付き合ってくれないか」

「私も興味があります。お付き合いします」

 俺達はバトルシステムがあるところに歩きだした。自然と早足になる。遅くなるとガンタンク使いのおじさんがいなくなってしまう。

 

 ゲームセンターコーナーまでやってくると人だかり出来て盛り上がっている。

 

「これで5連勝目だ」「あのガンタンク凄いな」

 野次馬も驚いている。連勝数が増えているため俺達が到着する間に一試合終わらせたことになる。

 

 人混みをすり抜けて前列に割り込む。バトルシステムの筐体を直接視界に捉えることができる。

 

「加倉君に古宮君じゃないか、彼に挑戦しに来たのかな」

 鳥沼さんがバトルを仕切っているようだ。

「あぁ、俺が5連勝止めてやるぜ!」

 加倉が名乗りを上げる。バトルシステムを取り囲む観客が声を上げて盛り上げる。

 

「あの、すまないが休憩とガンタンクの調整時間をくれないかな」

 ガンタンクのファイターが自主申告する。スーツを着た30歳前後の会社員風の人だ。

 

 観客のテンションが下がっていが、5連戦もしたのだ休憩と修理もしたくなる。

 鳥沼さんとファイターが何やら話し合っている。

「では20分後試合を開始します! 皆さんお聞き間違えないように、20分後です!」

 鳥沼さんがアナウンスを流し、観客はぞろぞろと立ちに退いていく。はたして試合を観戦しに戻ってくるのは何パーセントの人間だろうか。

 

「俺はおっちゃんに挨拶してくる。適当に時間潰しておいてくれ」

 バトル前の挨拶は必須。お互いプラモデルが傷つくため覚悟のいる遊びだ。

 

「古宮君、手が空いてるならあの子らの相手になってあげてよ」

 鳥沼さんに引っ張られガンプラバトルの対戦相手を紹介される。小学6年か中学1年ぐらいの少年達だ。

「このお兄さんと対戦してみないかい」

「うん、やってみます」

 俺が何も了承してないのに勝手に話が進んでいく。断るわけにはいかない、やってやるよ。

 

 

 

 俺と少年は握手を交わし、バトルシステムの前に立つ。アルトアイゼン・ナハトを持ってきていたのは正解だった。

 

「先輩、頑張ってください」

 白樹さんから応援されている。ここで負けることは許されない。

 

 GPベースを筐体にセットし互いのプラモデルを配置する。バトルシステムがプラモデルを分析して性能を決める。

【Battle Start】

 試合開始の合図だ。

「出撃する!」

 アルトアイゼン・ナハトがカタパルトからバトルフィールドに飛び立つ。夜の砂漠地帯が今回の戦場だ。砂塵を舞い上げて着地する。夜間使用のナハトにはお似合いの戦場だ。

 

 敵の姿がモニターに表示された。右手には巨大な対艦刀、左手には大型ビーム砲を装備したパーフェクトストライクガンダムだ。

 

 こちらを発見するやいなやアグニを発射してくる。だが距離が遠すぎて照準がぶれているため、こちらをかすもしない。

 

 アルトアイゼンのスラスターを吹かしストライクに急接近を計る。恐らくアグニの射程圏内には踏み込んでいる。狙い撃ちにされるのは分が悪い。

 

 ストライクが射撃体勢に入った瞬間、足元に3連マシンキャノンをばら撒く。砂塵で相手の目くらましになればそれだけでいい。

 砂塵を振り払うようにアグニが照射されたが、俺とは違う位置だ。

 

「今だッ!」

 

 高出力のビーム砲を発射した反動でストライクに僅かに隙が発生した。リボルビング・ステークで仕留める。

 

「なっ、これは!」

 胸部コックピットに狙いを定め右腕を突き出す。が、何故かストライクの態勢が急激に沈み、ステークは頭部に突き刺さった。

 

 ストライクの立っていた位置は急斜面となっており、マシンキャノンとアグニの反動で転等したようだ。頭部は無くなってしまったが一命は取り留めたか。

 

 だが、状況はこちらが有利だ。

 砂に足元を捕られ尻餅をつくストライクを見下ろすアルトアイゼン・ナハト。緑色に光るツインアイカメラは獲物を捕らえて放さない。

 

 尻餅を付いた姿勢のままストライクはアグニを投げ捨てると対艦刀を両手で構える。

 無理にリボルビング・ステークを狙う必要はない。

 

「クレイモアだ!」

 アルトアイゼンの両肩が展開し中から無数の小型鉄球弾が射出されていく。

 フェイズシフト装甲が再現されていたか知らないが、ストライクの全身はズタズタに引き裂かれ爆散した。

 

【Battle Ended】

 バトルは俺の勝ちだ。

 勝負には時の運もある。今回無傷で勝利出来たからといって次もこうなるとは限らない。

 

 

「ガンプラじゃないのにどうしてあんなに速く動けるのさ! どんな秘密があるの!」

 バトル終了後、少年達に問いただされる。

 

「ガンプラじゃなくてもある程度改造すれば強くなるぞ。塗装やパーツの接着以外にも間接や内部構造を作りこむのもオススメだ」

「ふーん、じゃあまた作り直してみる」

 少年達は傷だらけのガンプラを持ってこの場を離れていった。

 

 負けても投げ出すことなく改良を繰り返せばいずれ強いプラモデルに生まれ変わる。飽くなき探究心が人を育て、歴史を動かしてきた。

 ガンプラバトルの歴史はまだ浅い。これからどんな変化を遂げるか誰にも分からない。

 

 




 選ばれたのは安定のヴァイスリッターです。
 登場させたい機体は沢山ありますが、ストーリー性を考えると我慢するしかありません。
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