風薙遊悟は退屈していた。
変化のない生活に、変化を求めない
遊悟「ハ~アァ…」
「サボるんじゃない!」
顔面に雑巾をぶつけられる。
それを見ていた子供たちにゲラゲラ笑われる。
遊悟「何すんだ!」
「週末の掃除当番、アンタの番でしょう!さっさとやるの!」
遊悟「あ~あぁ、今のでやる気無くなっちまったなぁ~…?
ちょっとひとっ走りしてくるよ!」
遊悟は逃げるように2階の窓から飛び降りる。
「こらぁっ!遊悟ぉ!」
専用のガレージに降りて自分の愛車に乗る。
「YSX1500」、名前は「マッハ・ウィング号」と名付けた。
名前を付けたのは幼馴染だ。
音速の翼、なんていうのは流石に大げさすぎやしないかと思ったが、
周囲にいた子供たちにも推されたのもあり、今では自分でも気に入っている。
「おお、遊悟じゃねえか!」
遊悟「おう!暇そうだな!付き合ってくれよベンちゃん!」
手を振りその男は遊悟の隣を走った。
その男の名は弁蔵。遊悟の幼い時からの友だった。
弁蔵「フン、アイツから逃げてきたと見た!一戦して、気が済んだら戻ってやれよ!」
遊悟「ふふっ、流石によく分かってるな!」
『ライディング・デュエル・アクセラレーション!!』
弁蔵「先に行くぞ!俺は「超重武者カブ-10」を召喚!ターンエンドだ!」
遊悟「相も変わらず、堅物らしい先手だな…俺のターン、ドロー!
俺は「三つ目のダイス」を召喚!さらに「タケトンボーグ」を特殊召喚!」
弁蔵「この瞬間「カブ-10」は守備表示になり、守備力を500アップさせる!」
遊悟「分かってるさ!さぁ行くぜぇ!」
レベル3のベイゴマックスにレベル3の三つ目のダイスをチューニング!
十文字の姿もつ魔剣よ、疾風宿す力奮わせ全てを切り裂け!
シンクロ召喚!出でよ、
チューナーモンスターを用いて上級モンスターを呼び出す。
遊悟の得意のスタイルだ。
遊悟「カードを3枚伏せてターンエンドだ!かかって来な!」
弁蔵「伏せカードを怖がるほど、この弁蔵、臆病ではないわぁ!
俺のターン!手札の「超重武者ワカ-O2」を捨てチューナーモンスター、
「超重武者ホラガ-E」を特殊召喚!」
レベル4のカブ-10にレベル2のホラガ-Eをチューニング!
神々しき鬼よ!戦場に見参せよ!
シンクロ召喚!いざ出陣!超重神鬼シュテンドウ-G!
遊悟「やっべぇ!」
このパターンは弁蔵が調子の良い時だ!
弁蔵「「シュテンドウ-G」の効果!シンクロ召喚時、相手の全ての魔法・罠を破壊する!」
遊悟「なぁんてな!俺の3枚のカードは「ゴブリンのやりくり上手」!痛くも痒くも無いな!」
弁蔵はニヤリと笑う。
弁蔵「フンッ、貴様の防御するカードは端から無かった、ということか!
ならば「超重武者タマ-C」を召喚する!」
遊悟「うおぉ!ずるいぞベン!俺を相手にそんな…!」
弁蔵「
「タマ-C」は相手の「機械族」モンスターを素材にシンクロ召喚を行う!」
レベル6の魔剣ダーマにレベル2のタマ-Cをチューニング!
山に木霊する叫びと共に荒れ果てた戦場に現れよ!
シンクロ召喚!いざ出陣!超重忍者サルト-B!
弁蔵「バトルだ!シュテンドウ-Gとサルト-Bでダイレクトアタック!」
遊悟「うわぁぁ」
がら空きになった遊悟の懐に弁蔵の家臣が斬り込んだ。
弁蔵「どうした、遊悟?お前らしくない!こんな腑抜けな
遊悟「悪かった…あまり本調子じゃあなかったんだよ…」
項垂れて少年は語った。
遊悟「なんていうかよ…マンネリっていうのか?
歯車が合わないっていうのか?退屈なんだよなぁ…」
親友は黙って彼の愚痴を聞いていた。
遊悟「別に院から…家から出たいわけじゃあないんだ。
ただ…このままあそこで縮こまっていることは嫌なんだ。」
弁蔵「逸る気持ちは分からんでもない。
男たるもの、大きく出ようとすることは悪いことではない。
しかし、お前の「家」への思いの強さを、俺はよーく知っている!」
項垂れる親友の背中を思い切り叩いた。芯の通った良い音が鳴る。
弁蔵「なればこそ!あそこを出ねばなるまい!
恩を返したいのであれば!あの「家」に誇りに思ってもらえるように!
外へ出なければ出来ぬことがあるではないか!」
遊悟「いってぇなぁ…できないこと?なんだそりゃあ?」
D・ホイールを指差した。
弁蔵「ソレだ!
遊悟「
弁蔵「フン、普段ラジオを聞かないから知らないようだな!
いいか?
弁蔵は遊悟にラジオで聞いた
スピードと共に
熱を持つ実況と歓声。
聞いたことのないモンスター達。
弁蔵「お前の知らない世界がそこにはある!お前は…遊悟はそこへ行くべきだ!」
少年は再び俯いた。
遊悟「なんだよ…そりゃあよぉ…」
そして震え始めた。
遊悟「面白そうじゃあないかよぉ!」
少年はD・ホイールを唸らせた。
弁蔵「どこへ行くんだ、遊悟?」
遊悟「分かってるんだろ?
そう言うと少年は走り去った。
弁蔵「フン、お前は昔からこの調子だな…やることを見つけたら一直線なところは変わらん…」
遊悟は
そして目に入った
子供でもゴロツキでも誰にでも
そんなことをしているうちにすっかり暗くなってしまった。
遊悟「さぁて、そろそろ帰って、アイツに絞られるとするか…」
その時、コツンとヘルメットに何かをぶつけられた。
振り返ると小石をじゃらりと弄ぶフードを被った少年がいた。
フードの少年は不敵に、無邪気に笑う。
『君の実力を見せてもらうよ』
フードの少年は
通り魔のように
遊悟「へっ、面白ぇ!相手してやるよ!」
『デュエル!!』
遊悟「先行は貰う!俺のターン!」
この手札…アイツが出たがっているようだな…
ただの偶然か、それともそれほどの相手なのか…?
遊悟「俺は「
さらに、風属性モンスターが存在することで「
そして、チューナーモンスター「
『チューナー…来るね…「進化竜」…その1体が…』
レベル3のベイゴマックスに同じくレベル3のタケトンボーグに
レベル1の赤目のダイスをチューニング!
その澄明なる翼翻し、寄せ来る闇を打ち砕け!
シンクロ召喚!出でよ、クリアウィング・シンクロ・ドラゴン!
透明の翼を煌かせ「クリアウィング」がその姿を見せる。
遊悟「カードを1枚伏せてターンエンドだ!」
『僕のターン…ふっ、早く巡り会いたいと急かされているようだ。
君も感じるだろう?「クリアウィング」を通じて、僕の竜が呼んでいるのがね…』
何を言ってやがるんだ?竜が呼んでいる…?
その考えが終わるか終わらないか、その時は来た。
クリアウィングが哭き始めると胸の真ん中が火を点けられたように熱くなり始める。
遊悟「なんだ…?この感覚は…」
『僕はカードを2枚伏せる。そしてこの
出幻せよ、「
宙に鎧が出現しボンヤリとした青い炎がソレに宿った。
遊悟「
『僕はこの2体を素材に君の「クリアウィング」に匹敵する「反逆」の名を持つ竜を呼び出す!』
レベル4のシェード・ブリガンダイン2体でオーバーレイネットワークを構築!
漆黒の闇より現れし反逆の牙、今降臨せよ!
エクシーズ召喚!出でよ、ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン!
巨大な逆鱗を持つ漆黒の竜が哭く。
2体の竜は共鳴し、空を揺るがすほどに大きな力を生み出した。
遊悟「「ダーク・リベリオン」…「エクシーズ」…?」
胸は熱く燃え上がる一方で、背筋には凍り付くような悪寒が迸った。
『カードを4枚伏せターン終了。怖気づいたかい?やめたいなら今の内だよ?』
いちいち俺の神経を逆撫でする言い方をする!
遊悟「俺のターン、ドロー!カードを1枚伏せターン終了!」
『何もしないのかい?期待に応えてくれよ。僕のターン、「ダーク・リベリオン」の効果を発動。
その数値を自身の攻撃力に加える。「トリーズン・ディスチャージ」!』
ダーク・リベリオンは自身の周囲を回る光を一つ消費させクリアウィングの輝きを吸い取った。
遊悟「させるか!「クリアウィング」の効果!モンスター効果の対象になった時、
そのモンスターを破壊し、その攻撃力を得る!「ダイクロイック・ミラー」!」
『
一瞬のやり取り。同じ攻撃力を持つ竜の駆け引きはダーク・リベリオンが制した。
『喰らえ、「反逆のライトニング・ディスオベイ」!』
遊悟「させるか!「追走の翼」発動!クリアウィングの破壊を無効にする!」
『でもダメージは受けてもらうよ』
遊悟 LP4000→3500
クリアウィングはダーク・リベリオンの一閃を受け止めた。
遊悟「やるじゃねぇか…俺のターン、ドロー!「
ヤツのリバースカードは3枚…ここは
遊悟「俺は「パチンゴーカート」の効果で、クリアウィングを破壊する!」
『そしてクリアウィングは効果の対象になった時、それを無効にし破壊。
その攻撃力、1800を得る…ってところかな』
遊悟「そういうことだ!クリアウィングの攻撃力は4300!
お返ししてやれ!「旋風のヘルダイブ・スラッシャー」!」
『
そのモンスターの攻撃と効果を封じる。代わりに僕はクリアウィングに攻撃できなくなる』
クリアウィングは霧状の剣に縛られてしまう。
遊悟「クリアウィング!!ちくしょう、カードを1枚伏せてターン終了!」
『僕のターン、ドロー。ダーク・リベリオンの効果、今度は逃がさないよ』
縛られた輝きをダーク・リベリオンが吸収する。クリアウィングは悲鳴を上げた。
『「パラレル・ツイスター」発動、「
遊悟「くっ」
クリアウィングを守っていた2枚のカードを同時に破壊する。
漆黒の竜の牙は輝きを増す。
力を失ったクリアウィングにはダーク・リベリオンに対抗する力は無かった。
『貫け、ダーク・リベリオン!「反逆のライトニング・ディスオベイ」!』
「迎え討て、クリアウィング!「旋風のヘルダイブ・スラッシャー」!」
フルパワーの漆黒の牙。意地を見せる澄明の翼。
2体の竜の衝突は空間を揺るがした。
遊悟「
『僕は手札から「禁じられた聖槍」発動。ダーク・リベリオンは
遊悟 LP3500→1300
凄まじい衝撃に耐えきれず、遊悟は数メートル吹き飛ばされた。
歪んだ空間は捻じ曲がったまま2人の
『ターンエンド、これで終わり?』
そんなはず無いよね?
少年は見透かしたように微笑む。
遊悟は壁に激突し、起き上がれずにいた。
悪いなクリアウィング…守り切れなかった…
アイツは…ダーク・リベリオンは…強い…!
だがそれはクリアウィングが弱かった訳じゃない…
俺が…俺自身が弱かったから…クリアウィングは負け、俺はこうして跪いたんだ!
遊悟「俺は…負けられない!!」
コイツにも…誰にも負けられるか!!
遊悟は決意と共に立ち上がった。
その瞬間、歪んだ空間から放たれた光が遊悟のデッキを灯した。
『それでいい…さぁ、呼び出すんだ!』
遊悟「俺のターン…!!」
諦めない心に遊悟は意識を奪われた衝動に駆られた。
遊悟『俺は「シンクロ・スピリッツ」を発動!墓地の「クリアウィング」を除外!
そのシンクロ素材モンスターを全て特殊召喚する!さぁ、蘇れ!』
3体の
しかし、今の遊悟には後押しする力があった。
歪んだ空間から一筋の光が遊悟の右手を射した。
遊悟『慟哭する力が新たな軌跡を生み出す!「進化」せよ!「クリアウィング」!!』
レベル3のベイゴマックスとレベル3のタケトンボーグに
レベル1の赤目のダイスをチューニング!
澄明の翼!神速を得て、世界を疾走れ!
シンクロ召喚!クリアウィング・ファスト・ドラゴン!
天空から降り立った碧玉の結晶から、
『これが…クリアウィングの「適応進化」した姿…ハハッ!』
少年は湧き上がる想いに笑いを止められなかった。
遊悟『「クリアウィング・ファスト・ドラゴン」!ダーク・リベリオンを…!
野郎にその力をぶつけてやれ!「神風のマッハ・スラッシャー」!』
『何かあるな…!迎え討て!「反逆のライトニング・ディスオベイ」!』
新たな姿を得たクリアウィングはその力でダーク・リベリオンを貫いた。
?? LP4000→1500
『ぐはっ…』
少年はクリアウィングの衝突を正面から受け切った。
遊悟「ハァ…どうだ!少しは堪えただろ?」
『フフフッ…いい…実にいい力だ!』
クリアウィングの光に照らされて、少年の素顔を露わにした。
遊悟「お前…!?その顔は!?」
『覚えておきなよ…?僕の名前はユーノ…
次会うまでにその力を自分のモノにしておいてくれよ…?
君は僕と同じ、『因子』を持つ、選ばれし者なんだからさ…』
そう言うとユーノを名乗る少年は瓦礫の中へと姿を消した。
それと同時に歪んだ空間は元に戻った。
遊悟「ふぅ、退散してくれたか…」
アイツ…ユーノか…
あの顔には見覚えがあった。いつものひび割れた鏡の中に見る俺自身の姿だった。
「エクシーズ」に「運命の因子」、そして「同じ顔を持つ男」…
そして俺自身、唐突に口走った「クリアウィング」の「進化」…
情報量が多すぎて頭がこんがらがりそうだった。
「遊悟ー!大丈夫ー?」
遠くから幼馴染の声が聞こえた。
戻らなくちゃな…いらない心配を掛けちまうな。
遊悟はその声がする方へとD・ホイールを走らせた。
い、忙しかっただけなんだからね。
遊戯王に飽きたわけじゃないんだから勘違いしないでよね。
これはファスト・ドラゴンを入手した時に書いたものですね。
投稿間隔空きすぎて本当に申し訳ない。
本編の方は現在書き溜めているのでキリ良く11月1日正午から
『遊戯王-旋風の疾走決闘者-:Re』
と題して定期的に投稿を再開します。
そのため11月から過去作をお気に入り登録している
削除させていただきます。
過去作との大きな違いはアクションカードが無いことです。
アレはクソですね。
使用タイミングが完全に作者の都合なので、アニメ命削り以上にクソです。
出さなきゃ良かった。
本編を読んでいただければ幸いです。それでは11月1日をお楽しみに。