ドラグナーと竜狩りとの戦いにシオンも巻き込まれていくことになります。
夏休みの宿題を僅か3日で片付けた僕と、僕のアドバイスとスケジュール管理の結果、2週間で終わらせるという奇跡を成し遂げた3人組(あの一件以来、友達と呼べる関係になった。)は、最後の課題(とはいえ、自由課題なので任意の参加なのだが)を終わらせるため、古き竜の住まう山へと出かける事にした。
本来なら僕は参加する必要はないのだが、(将来のパートナーとなる竜を探すことが課題なので)3人組に万が一のことがあっては嫌なので同行する事にした。
そういえば、手紙を渡して以来、王城へ行くことはなかったため、姫様やゲオルグさんには会えていないが、元気にしているだろうか。
そんなことを考えながら、山道を進むと、何故だか火薬の匂いが鼻を突く。
3人組に下山指示を出し、彼らが退避したのを確認して下山しようとしたのだが、運悪く3人組のうちの槍使い(ラース)がこの現状を引き起こした元凶と鉢合わせてしまい、退避が出来なくなってしまった。
すかさず、斧使いのアルクと剣使いのウォードはラースを救出しようと、元凶に立ち向かうが、ラースを人質に取られ、攻撃するに出来ない状況になっていた。
僕は、ノートを取り出し、空白のページに自分の魔力をインク代わりに文字を書き、人質に取られているラースに指示を飛ばす。
『←てげ下を頭ぐすらたえ見が光力魔らかるす撃攻で法魔を奴るてえら捕今←
分かったら「師匠」と叫んで!』
「師匠!」
理解したらしい。
ラースを巻き込まないよう、魔力を矢の形状に変えて撃ち出す。
「『マジックアロー』!!」
完全に不意打ちのタイミングで飛来した魔法攻撃に、その元凶はラースの拘束を解き、慌てた様子で回避する。
3人組の退避が済んだことを確認し、いざ、僕も帰ろう、としたその時、僕の体は地面に叩きつけられていた。
「がはっ…!」
全身が激しい痛みに襲われる。岩肌が皮膚を切り裂き、結構な量の出血もしている。
「雷の島ではやってくれたなぁ。お前だろ。俺たち竜狩りを殺した冒険者というのは。」
「まぁね。」
「仇討ちだ。悪く思うなよ。こう見えて、俺たちにも仲間意識というのはあるんでね。」
そう言った竜狩りの大剣が僕の首を落とそうとした、その瞬間。
「『ディヴァインアウラ』!!」
「『竜王炎舞刹』!!」
愛しき姫君と、頼れる騎士団長は颯爽と僕の元へ現れた。
「言いたいことは山程あるが、まずはこの危難を凌いでからだ。姫様のいるあたりまで下がれ。傷も少しは癒えただろう。」
確かに、歩けないほどではなくなった。
ラピュセルの放った光が僕の傷を癒したのだろう。
「すみません、ありがとうございます…!」
「礼なら後で聞く、早く退け!」
この後のことはあまりよく覚えていない。
姫様とゲオルグさんが竜狩りの連中を追い払い、竜の背に乗せられたところで意識が飛んだからだ。
3日後、僕はやけに天井の高い部屋で目が覚めた。
「気がついたようですね。シオンさん?」
「えっ、あっ、…姫様…?」
「はい、ゲオルグを呼んでくるので少し待ってて下さい。」
「わかりました。」
しばらくして、ゲオルグと共に、姫様が戻ってきた。
そして、部屋に来るや否や、ゲオルグさんは。
「馬鹿野郎!!!」
思いっきり拳骨をくれた。
「ぎゃあ!!」
ジンジンする頭を押さえながら、続く言葉を待つ。
「俺と姫様が来たから助かったようなものだ、来なかったら、今頃お前は死んでいたぞ。
確かに情報統制を敷いて、竜狩りの襲来を隠していたのはこちらの責任だ。
だが、そうでなくともあの場所は危険地帯だ。授業で教わっただろう。
下手をすれば四人の人命が失われていたんだぞ!?
実力を過信して、身の丈に合わない場所へ行くのは馬鹿のすることだ。1つ聞くぞ、お前は馬鹿か?」
「いいえ、馬鹿ではない、と思いたいです。」
「ならば、実力を考え、何があっても無事に帰還できる場所を選ぶんだ。安全マージンを置け、ということだ、分かったか?」
「はい。」
「なら、俺からは以上だ。あと、姫様にも感謝をしておけよ。お前の意識が戻るまで、お前の寮にいる幼竜の世話をしてくれたのは姫様なのだからな。」
「そうだったのですか…。姫様、本当にありがとうございました。
ゲオルグさんにも、姫様にも、大変ご迷惑をお掛けしました。」
「あっ、オラージュちゃんのお世話は私が好きでやったことですから…。」
「いえ、それでも、3日間オラージュをお世話してくれて助かりました。」
「気にしなくて大丈夫ですよ。
…それにしても、オラージュちゃん、綺麗なアメジストのような瞳ですね…。それに、光を浴びて輝く銀色の甲殻、まるで神話の戦女神のような美しさです…!
やはり白竜とは違った魅力に溢れていますね!
あっ、白竜のラピュセルは私の妹のようなもので、少し人見知りな所がありますが、一度、ラピュセルと一緒にオラージュちゃんを見に行った時…(ry」
部屋から出て行こうとしたゲオルグさんがため息をついたのを僕は見逃さなかった。
僕がお辞儀をした時の手(両手を合わせた状態)を両手で被せるように握り、キラキラと目を輝かせてオラージュやラピュセルの魅力を語る姫様。
正直、凄く可愛い。しかも顔が近くにあるため、必然的に姫様を見つめることになる。
当然、その可愛い口撃に耐えられるわけもなく、真っ赤に染まった顔で姫様の話を聞いて、およそ15分。
「あっ…、私ったらまた…!ごめんなさい、シオンさん…。」
顔から湯気が出そうなほど紅潮した僕へ会釈して、姫様は部屋から出て行った。
早まる心臓の鼓動が治まるのを待って、謁見の間に赴き、3日間お世話になった事への感謝を伝え、僕は王城を後にした。
戦闘描写が思いの外長くなってしまったので、
4話の予定が1話伸びて5話になりますorz
前話で予告したオラージュの変化は次回、明らかにします!
これからもエタらないように頑張ります。
ここまで読んでくれた皆さん、ありがとうございました!
また次回お会いしましょう!