インフィニット・ヴィエルジュ~世界の希望を映す者 作:カオスサイン
Side一夏
「いっくん…」
「…」
俺は思わぬ再会を果たした実の姉よりも本当のお姉さんみたいに思っていた篠ノ之束さんと向き合う。
これと先程の出来事により俺は絆を結んだ大切な人達と元の世界に帰還を果たしたのだ。
そして俺は束さんにこれまでに起きた事を話した。
当然、彼女も驚きを隠せないようだった。
「へえ~、ミルちゃん達が異能力を持った<プログレス>でいっくんが彼女達をパワーアップさせる<αドライバー>だなんて凄いよ!…」
話を聞いていた束さんは言葉を止めた。
ああ、これは
「…束さんが悪い訳ではありませんよ…」
「いっくん…」
「確かに女性にしか扱えないという欠陥はありますが動かせるからといってそれだけで優位に立てるなどと考えを持つ方が馬鹿げているんですから。
束さんの本当の願いはきっと誰かに届いている筈です」
「あ、ありがとう!…」
確かにISが開発されて以降、致命的な欠陥もあってか本来の目的には使われず女尊男卑などという風潮が広がった。
だがそれは我欲に塗れた愚かな輩のせいにしか過ぎないのだから。
「そういえばクーちゃんが敵わなかったあの黒い物体って何なの?」
「ああ、あれはウロボロス。
俺達も未だに詳しい事は分からないのですが世界を破滅に導こうとする人類の敵ですよ」
「ウロボロス…世界の敵って…」
俺はウロボロスや五つの世界に二度訪れようとした世界崩壊大戦<ワールドエンドウォーズ>の事も話した。
「とにかくウロボロスにはISでは対抗出来ません。
彼女達プログレスのエクシードでなければ掠り傷すら与えられませんので…」
「その様だね…あ、そういえばいっくん達の話を聞いて思い出したんだけど暮桜を封印してあったIS学園の地下で束さん大きくて不思議な水晶を見つけたんだよ!
確か水色だったかな」
「水晶!?まさか!…」
「ああ、間違いない…」
かつての姉が駆っていた専用機がIS学園の地下に眠っている事にも驚いたがそれよりも束さんが発見したという水晶の存在にもっと驚いた。
ミルドも同じ考えに至ったようだ。
「それは世界水晶<ワールドクリスタル>です!」
「ワールドクリスタル?」
「ええ、世界の均衡を保っているいわば核の様な物です。
もしそれが破壊されてしまえば世界は崩壊を免れません!」
「ええ!?」
すぐに世界水晶の危険性を指摘すると束さんは青冷めた。
世界水晶にも特殊な防壁が張られてはいるので簡単に破壊出来る代物ではないが…ウロボロスまでもがこの世界に現れた理由は…奴等は世界水晶の破壊を目論んでいる!…
そうだとしたらその巨大さ故に別の場所に移動させる事は困難な上、対抗手段の無い学園では防衛出来ないぞ!
だがミル達はともかく男の俺は…
「それなんだけどきっといっくんも動かせる筈だと思う」
束さんが不意にそんな事を言ってくる。
「も?って事は他に動かした人が?…」
「うんそうなんだけど…」
「まさかアイツが!?…」
俺は自分を虐めていた存在を思い出した。
アイツがISを動かしただって!?…一体どういう事だ。
束さんに言われ開発途中であったISに触れると起動した。
束さんが急ピッチで皆の専用機を開発してくれるそうだ。
「ならこのデータを使って下さい」
「これは!…これなら希望通りの機体が造れそうだよ!」
俺はαドライバーの力も行使可能にする為の訓練データとフィールドリング、そしてミルド達プログレスの過去のブリーフィングバトルのデータを提供したのだった。