死神という名のパンドラの箱   作:snow white

4 / 5
3章:新しい出会いと記憶の痛み

次の日、私はアルトスさんに連れられ学園に来た。

「ここが、死神を育成する学園だ」

お城みたいな、そんな感じがした。

「私は…死神になれるでしょうか?」

「あぁ。なれると思うよ」

と学園の扉を開いた…。

「そういえば、言ってなかったね…」

と少し笑っている。

何のことだろうか…

「今日からルリの担任をするアルトスだ。」

「え…?」

まさかの、この学園の先生でした。

「ごめんね、黙ってて」

「いえ…」

あまり理解ができずに階段を上がっていく。

そのとき、廊下で何か騒いでいた。

「なんだー?またもめ事か?」

とアルトスさんは言う。

生徒は皆指をさして『この人がぶつかってきたんです。』と。

そういってアルトスさんは困った顔をする。

「いくら先生でも、嘘をつくのは良くないよ?」

『先生!本当なんです!』

「先生いいんです。僕がぶつかってしまったことだから」

『ほら、言ってるでしょう?自分が悪いって』

「そうだね…」

そうやって生徒は退散した。

「大丈夫かい?リヒト」

「はい。ま、仕方ないんでしょう。僕らは厄介な生徒ですから」

「そんなことない」

「そうやってまた嘘をつく。生徒には『嘘をつくな』というのに自分はいいんですか?」

と私に気づいたらしく、透き通った蒼瞳でこちらを向いた。

「おはよう。顔見たことないけど?新人?」

「おはようございます。昨日この世界に来たばかりなので。」

と私は全く…人当たりが悪いっていうか…

冷たすぎるとよく言われたものだ。

それは覚えているのに…なんであの人のことを思い出せないの?

「痛いっ…」

「ルリ!しっかりしろ!」

「今すぐおぶります。僕」

とリヒトさんにおぶられるところから記憶を失った。

 

「ここは…どこ?」

『やぁ。』

「私は前世で何があったの?ねぇ?」

『それを知るのにはまだ君は早すぎる』

「どうして…みんな私の記憶の話になると話を逸らすの?」

今までの不安がこみ上げて…涙が出てくる。

『泣かないで?君の思い人が悲しむよ?』

「もう…耐えれないんです。何もかも変わってしまった私は…」

『わかってる。あんなに人に冷たい声を出してしまうのも』

「一つだけでも、教えてもらえないんですか?」

『何を』

「私がどうして死んでしまったのか。」

『いいよ。教えてあげる。ただし、条件付きだけどもいい?』

「はい。」

条件はこうだった。

1日体調を崩して、寝込んでしまうということ。

1日分の体力を吸い取る代わり、私の死因を教えてくれるらしい。

『君が死んだのは、12月24日。君の誕生日だった』

「私の誕生日?」

『そうだよ。そして死因はトラックとの衝突事故…でも君の場合、元の寿命のせいでもあるかもね。』

と悲しげな声が真っ白い部屋に響き渡る。

「そうですか…」

『でも、君は大丈夫だよ』

「え?」

『いずれ同じ仲間に出会うよ。君が望むなら』

ふと思いだした。

この声は紛れもなくあの人の声…でもまた頭が痛い…

「痛いっ…」

『言い忘れてたけど、記憶にまつわるものを思い出そうとすると強制的に体が反応して、『痛い』と感じてしまうんだ。』

「じゃぁ、今さっきも…」

『そうだろうね。体が反応しちゃったんだろう。』

「あれ…なにしてたんだろう…私」

霧が出てきて、あっという間に暗くなった…

怖い、そう思った時だった。

『大丈夫』

そうどこからか聞こえた気がした。

早く目覚めなきゃ。そう思い瞳を開けた…

気づけば見慣れない天井がある。

「ルリ…大丈夫だったか?」

「はい…っ」

まだ痛い。今日は眠るしかなさそうだった

「まだ痛いので、今日は寝てもいいですか?」

誰の部屋なのかもわからないのに…こんなことよりも痛みがひどくて…

「いいか?リヒト」

「僕は構いません。」

といった。

「じゃぁ、後は頼むよ。リヒト」

「分かりました。先生」

とアルトスさんは出て行った。

気づけば二人っきりになっていた。

「えっと...お腹はすいてない?」

「痛すぎて、おなかすいてるわけがない」

まただ。本当に自分は人当たりが悪い。

「君は…月が好き?」

「好きだけど。それがどうしたっていうの?」

「僕は見てるだけで、悲しい気持ちになるんだよよね」

と綺麗な欠けかけの月を眺めている。

「私は…本当にここに来てもよかったのでしょうか?」

やっとやさしげに言えた。

「今まで緊張してたみたいだね。声が変わってる」

「私は、いつもこんな感じなんです。でもみんなは『冷たい』って私に言うんです。」

「僕はそうだな…どうなんだろう…なんというか…」

と困り果てた末、黙ってしまった…。

「リヒトさん...でしたっけ?」

「リヒトでいいよ」

「じゃぁ、リヒト。『僕らは厄介な生徒』って言ってたのが気になったんだけど…」

「あぁ。それは…」

「説明したくないのなら黙っててもいいよ。」

「君は…やさしいね」

とまたリヒトは月を眺める。

「私、アルトスさんのこと何も知らないんです。」

「僕もだよ。」

「そうなんですか。良かったです」

「君と仲良くなれそう。」

とやさしくつぶやいた。

「リヒトさんの悔いって何かわかってるんですか?」

「僕の悔い…分からない。」

「そうなんですか…」

とまた沈黙がやってくる。

そうして私は月を眺め、何かのメロディーを思い出した。

聞き覚えのあるメロディーを。

「リヒト…また痛いっ…」

「えっ…大丈夫!?」

「心が痛い…」

「ここ?」

一生懸命リヒトは私の背中をさすってくれるけど、痛い。

「ルリさん?」

「ありがとう。もう大丈夫…」

「ルリさん!?」

また記憶が飛んでしまうのだろうか?

そんなことを考えながら瞳を閉じた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。