モンスターハンター ~その左手が握るもの~   作:コクワガタ@休止

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 まずひとつお詫びしなければいけないことがあります。

 今まで順調に投稿してきたこの小説ですが、第三話の編集が全くといっていいほど進んでいないのでつぎの話を投稿するまで少し時間がかかるかもしれません。ご迷惑をおかけします。

ベルク「計画性がないからそうなるんだよ。ある程度計画してから投稿しろ」

……はい。

リナ「それでは本編、どうぞ!!(ようやく出られた…………)」


第二話 狐狩り(2)

「……見つけた」

 

ここは遺跡平原の「エリア9」。ベルクは逃げたケチャワチャを追うため、ちょうど今ここにやってきたところだ。

 

 このエリアには「エリア2」と同じく大型のつる性植物「ハタオリヅタ」が自生し、それによって足場となる場所が2つできている。

 

 その足場のうち、奥のほうの足場でケチャワチャはぶら下がっていた。

 

 腹側を腕に広がる皮膜で覆い隠し、尻尾で器用にぶら下がるその姿はさながら橙色の大きな果実のようにも見える。寝息が聞こえているところから察するに、眠ることで体力を回復させるつもりらしい。

 

「さて、どうやって起こすかな」

 

と呟きつつも、彼はあらかじめ決めていたかのように懐からひとつの手投げ玉を取り出した。

 

「そおれっ」

 

 勢いよく投げられた手投げ玉――――「音爆弾」は、見事にケチャワチャの頭がある辺りで破裂、周囲に高周波を撒き散らした。

 

「キュアアアァァァッ!?」

 

悲鳴を上げてケチャワチャが落下する。ベルクはロッドを展開し攻撃に移った。

 

「いけっ!!」

 

 再度猟虫を飛ばし、今度は頭に当てる。猟虫の腹が赤く染まったのを確認し、呼び戻そうと虫笛を開いたが、

 

「キュアアアア!!」

 

「おっと!!」

 

完全に復活した左腕で引っかかれそうになり、体勢を崩した。

 

(あぶね……)

 

「大丈夫、ベルク!!」

 

 たった今駆けつけたのだろう、リナの声が聞こえる。予想以上に復活が早いところを考えると案外すぐ治せたのかもしれない。

 

 その声につられた奇猿狐の一瞬の隙の間に、ベルクは体勢を立て直した。

 

「……来いっ」

 

 再度虫笛を開き、猟虫を呼び戻す。腕に軽い痛みが走るのと同時に暖かいものが体中を巡るような感覚を覚えた。

 

 猟虫の本来の役割は、「モンスターの特定の体液を採取し、それをハンターに注射することで身体能力の強化を図る」というもの。今回ベルクの猟虫が採取したものは筋力増強の効果があり、攻撃の威力を上げ、さらに手数を増やすことができる。

 

(武器が軽く振れんのはありがたいけど、このゾワゾワは好きになれないな)

 

 ケチャワチャがリナのほうに向いた。

 

「リナ、そっちに行くぞ!!」

 

「わかった!!」

 

 言い終わると同時に二人と一匹が動いた。

 

 まず、ケチャワチャがリナに向かって猛突進する。かなり余裕を持ってかわしてから、リナは相手の右サイドに回りこみ、

 

「はあああぁぁぁっっ!!」

 

呼吸法を変え鬼神化、怒涛の連続切りを叩き込む。乾いた音がして、ケチャワチャの爪が砕け散った。

 

「はあっ、ていっ!!」

 ベルクは左に回りこみ、すばやく正確な斬撃を当てていく。最後に太ももへ思いっきり刃を突きたてたところで奇猿狐が転倒した。

 

 鬼神化でスタミナを消耗したリナは一瞬攻撃の手を止め、息を整える。一方のベルクは再び猟虫を使ってエキスを取り、そのまま追撃に移った。

 

「おおおぉぉぉっっ!!」

 

 双剣に匹敵する勢いで猛ラッシュを掛け、起き上がりざまにさらに一撃。顔を覆っていた耳が斜めに切り落とされ、ついでに右眼からも血が噴き出した。

 

「ギュウォオオオッッッッッッ!!」

 

 悲鳴を上げ虚空をかきむしるケチャワチャ。一瞬、柔らかい毛皮に包まれた無防備な胴体が露わになる。

 

 その胴体へ、ベルクは容赦ない袈裟切りを見舞った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キュオォォォ……」.

 ケチャワチャの巨体が大きくのけぞり、そしてゆっくりと地面に倒れ伏すのをリナは少し離れて見ていた。

 

「…………」

 

 モンスターが絶命するときに感じる、この罪悪感のような感覚。彼は感じているんだろうか。

 

 彼女の脳裏に様々な人の声が浮かんでは消える。

 

(この臆病者が)

 

(リナの愚図)

 

(腰抜けめ)

 

(残念だが貴様は――――)

 

「…………はぁ」

 

 深呼吸して気分を落ち着ける。

 

 ふと空を見上げると、空を大きな飛竜の影が横切っていった。幸い、かなり上のほうを飛んでいるので戦闘になることは無いだろうが、リナは生態系の王者であろうその姿をじっと見ていた。

 

「……わたしも、あんなふうに強くなりたい」

 

 そう呟いて、彼女はずっと持っていた双剣「チーフシックル」を背中に納刀した。

 

(いつまでもくよくよしててもしょうがない……よね)

 

 そんなことを考えながらモンスターから素材をとろうと近づいたリナを、いきなりベルクが制した。

 

「どうしたの?」

 

「……こいつ、まだ息がある」

 

 ベルクが足のホルスターから剥ぎ取りナイフを引き抜いてケチャワチャに歩み寄る。その背中へ、

 

「とどめ、刺すの?」

 

「当たり前だ。生きたまま剥ぎ取るのは流石にかわいそうだし、末期の一息で暴れられると怖いからな」

 

「……うん」

 

「で、どっちが殺るんだ?」

 

「ベルクがやって」

 

了解、と返してからベルクがケチャワチャの頭の前に立った。そして小さく何かを呟く。

 

「…………」

 

 何を言っているかはよく分からなかったが、どうやら目の前で息絶えようとしているものに向けられたものであるらしかった。

 

「さよなら」

 

 そう呟いた直後、ベルクの右腕が振り下ろされた。

 

          *         *         *

 数時間後、バルバレへ帰る竜車の上で。

 

「今回の狩りでの私の動き、どうだった?」

 

 血糊のついた双剣を丁寧に拭きながら、リナが聞いてきた。

 

「わりぃ、よく見てなかった」

 

 猟虫に餌のミツを与えながら返事をする。

 

 彼女がキャラバン“我らの団”に入ったのは大体一ヶ月ぐらい前。団長が、「キャンプの入り口に倒れてた」って言って彼女をベルクのトレーラーに運んできたのがきっかけだった。本当は一晩泊めてそのまま返す予定だったのだが、なにやらあったらしく、結局我らの団に入団することになった。

 

 ベルク自身は元から他人に関わるのを避けている事もあり、彼女のことについてあまり多くのことは知らない。知っていることといえば、彼女が双剣使いで、自分と同じ十七歳で、ユクモ村出身だということぐらいである。

 

「でもまぁまぁ良かったんじゃないか?」

 

「そ、そうかな」

 

「足首をくじかなけりゃもっといけただろうけどな」

 

「しょうがないじゃん、遺跡平原って高低差多いし。ユクモの渓流はもっとなだらかだったもん」

 

「ふーん。――――ところでリナ、脚くじいてから復活するまでがわりと速くなかったか?」

 

「あ、実はね……」

 

 リナがユクモノハカマの裾をめくり、形のきれいな足首を見せる。そこには数種類の薬草をはさんだ布がツタの葉で巻かれていた。

 

「湿布を使ったの。霜ふり草と薬草を使ってるからよく冷えていて効くし、作るのも結構簡単なんだ。ユクモ村では一般的だよ」

 

「確か霜ふり草ってこの辺には生えてないんじゃなかったか?」

 

「雑貨屋でまとめ買いしといたの」

 

「へーえ」

 

 そんな会話をしているうちに竜車は進み、いつの間にかバルバレの色鮮やかな夜景が見えてきた。

「帰ったら、まずはクライアントへの報告だな……」

「うん。明日の朝御飯、ニャンハイちゃんは何作ってくれるのかな♪」

「とりあえず中華なのは確定だろ」

「楽しみ~」

 夕日が照りつける中、二人を乗せた竜車は遺跡平原からバルバレへ続く道を走っていった。

 




ベルク「おい作者」

なんでしょう?

ベルク「なんで霜ふり草がでてくんだ?4には登場しないはずだぞ」

リナ「それについては私から説明するよ。霜ふり草は『モンスターハンター3rd』で初登場したアイテムで、渓流でも入手可能なんだ。作者はその設定を反映させたんでしょ?」

そういうことです。ほんとは氷結晶にしようかとも思ったんですが、この時点ではまだ竜人商人が仲間になっていないため、入手不可能なのでボツになりました。

ベルク「でもそれが雑貨屋で売ってるってのはどうなんだ?」

あ、あの雑貨屋の姉は「モンスターハンター3」で漁港の女将をしているんです。だからユクモ村にもつながりがあるんじゃないかと……。

ベルク「ふーん」

リナ「……なんかこじつけ臭い」

うっ…………。

ベルク「図星か」

じ、次回もお楽しみに!!
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