モンスターハンター ~その左手が握るもの~   作:コクワガタ@休止

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 どうも、コクワガタです。なんとか時間を確保できたので、第三話をとっとと書いておきます。

ベルク「前回の投稿から一ヶ月以上間が空いてんぞ、作者。そもそも第二話で『ちょっと遅れる』って言ってから試験始まるまでの一ヶ月間、何やってたんだ」キレ気味

学園祭の準備に思ったより手間取って……。

ベルク「だとしても時間掛けすぎだ。後書きで思いっきりボコすから覚悟しとけ」

ヒィッ……!!

リナ「そ、それでは本編どうぞ……」


第三話 喧騒

第三話 喧騒

 

 ケチャワチャの狩猟を終えて一日。

 

「ほっほっほ。たいした出来だね。いや、君達なら当然というべきかな」

 

バルバレギルドの集会所で、クエストから帰ったベルクとリナを呼び出したギルドマスターは満足そうに言った。

 

 ここバルバレは、ハンターズギルド本部の砂上船を中心に無数のキャラバンが集まった、移動する大市場だ。当然、モンスターからの護衛としてハンターを雇っているキャラバンも多く、この集会所自体相当な規模を持つことから、ここは昼夜問わず多くの狩人でひしめき合っている。

 

「……で、用事ってのはなんですかね」

 

 ベルクはそんな集会所の何かが気に食わないのか、先ほどから落ち着きがない。一方、湯治客で人通りの絶えない故郷だったこともあり、こういった場所に慣れているであろうリナは平然とした顔で聞いた。

 

「もしかして、今回の狩りについて、ですか?」

 

リナがそう聞くと、竜人のご老体は我が意を得たりとばかりに頷く。

 

「まさにその事についてさ。君たちは、ケチャワチャの狩猟に成功したギルド内最年少のハンターとなった」

 

「え、ほんとですか!」

 

「……ふぅん」

 

「つれない反応だねぇ、ベルク君は。…………それはさておき、その腕を見込んで君たちに早速依頼が来ていてね。――君、例のものを持ってきてくれ」

 

 マスターに呼ばれたギルドガールが、カウンターの後ろの受注書棚から何枚かの羊皮紙を取り出し、ベルクたちに見せる。特徴的な印がスタンプされたもので、紙自体も上物であるようだ。

 

「学術院から、山のように『未知の樹海』の探索依頼が来ていてる。この中の何件かが、君たちに任される事になった。当然、今まで『ギルドクエスト』として依頼しているものより難度は高めだから気をつけるように。報酬はそれなりに出すよ」

 

 「未知の樹海」というのは、バルバレ近郊――といっても行くのに丸一日を要するが――にある広大な熱帯林のことだ。様々なモンスターが生息し、研究者の間で注目される土地ではあるが、危険なモンスターが数多く生息することやその広大さから調査は難航している。「ギルドクエスト」とは、その樹海の調査も兼ねて一部のハンターに依頼される特殊なクエストのことである。

 

「了解です」

 

「ありがとうございます!!」

 

 ほっほっほ、とマスターは笑いながら、

 

「じゃあこれからも君たちの活躍を楽しみに――」

 

そこまで言いかけた、その時だった。

 

 

 

 

 

 集会所の帰還口辺りで大きくどよめきが起こった。

 

「おい、あれ見ろよ!!あいつらが帰ってきたぜ!!」

 

「信じらんねぇ……リオレイアをあの装備で……」

 

「しかも目立った傷もねぇぞ」

 

「…………じいさん、『あいつら』ってのは?」

 

 怪訝そうに聞くベルクに、ギルドマスターは相変わらずの微笑で返す。

 

「『イェーガーズ』の連中だよ。今このギルドの中で君たちに次ぐ注目株さ」

 

「へぇ……」

 

 人ごみを掻き分け、四人のハンターがやってきた。

 

(……こいつらが『イェーガーズ』か)

 

 バトルシリーズに身を包む弓使いの男性に続いて、チャージアックス使いのアロイ装備の青年、ランポスシリーズのランス使い、ハンター装備の双剣使いの女性がクエストカウンターに向かい、報酬受け取りの手続きを始めた。火竜の狩猟に出向いたというのに、全員が耐火性の低い装備であることから、かなりの実力者たちであることがうかがえる。

 

「彼らは狩猟チームを組んでいてね、あの弓使いのフィニアス君がチームリーダーを務めている。なかなかに癖のあるメンバーだけど、うまくやっているよ」

 

 やがて、手続きを済ませたらしいアロイ装備の青年がこちらに向かってきた。

 

「よっ!じっちゃん、リオレイアと乱入したゲリョスを狩猟してきたぜ。――ってそいつら誰?」

 

「レイジ君、まずは君たちの生還を心より祝おう。紹介するよ、こちらは我らの団のハンター、ベルク・マーリアン君とリナ・マツナガ君だ」

 

「ああ、お前らがベルクとリナか!話はじっちゃんから聞いてるぜ。オレはレイジ。レイジ・スピルバーグだ、よろしくな!」

 

レイジが左手で握手を求めてきた。

 

「リナです、よろしくね」

 

「ベルクだ、よろしく。……悪いけど右手にしてくれないか?」

 

「? まぁいいけど」

 

一瞬怪訝そうな顔をしたが、それ以上追求することも無く応じるレイジ。リナは心の中でほっとした。

 

 ベルクはなぜだか左腕を見られたり、さわられたりすることを非常に嫌っている。一度団長が理由を聞き出そうとしたところ、ものすごい怖い顔で「黙れ」と一喝したのをリナは目撃していた。

 

「そういや、そっちは何狩って来たんだ?」

 

「えーと、カタカタじゃなくて……コチョコチョでもなくて……、なんだっけ?」

 

「ケチャワチャだ。最年少記録を更新したってさ」

 

「おぉ、スゲーじゃんそれ!!」

 

「ちなみにそっちは?」

 

「雌火竜リオレイアと乱入してきたゲリョス。さっきも言ってたろ?」

 

「リオレイア、か……」

 

この世に数多と存在するモンスターの中でもメジャーな飛竜、リオス種の内、雌の個体はリオレイアと呼ばれる。緑色の甲殻が特徴的なこの固体は別名「陸の女王」とも呼ばれ、地上での攻撃の威力が高いほか、飛竜特有の高い飛行能力を生かした空中戦も得意とする。

 

「毒怪鳥」ゲリョスもよく名の知られたモンスターのひとつだ。口から吐き出されるヘドロは強い毒性を持ち、並の人間ならあっという間に死に至るほどである。そのほか、トサカから閃光を出して相手の眼をくらませたり、アイテムを盗んだりするなどと個性的なことから一部ではファンクラブが設立されているのだとか。

 

「うちのリ-ダーすげぇんだぞ、一発でゲリョスのとさかを撃ち抜いたんだ。姉ちゃんも空中のリオレイアをぶった切って落としたり、ハウンドさんも――」

 

「……へぇ、すごい人たちなんだね」

 

(…………話のうるさい奴だ。あー早く帰りてぇ)

 

 ベルクはうんざりしていた。聞いていれば、単なる仲間の自慢話に過ぎない。それが延々と続く。

 

「でよー、リオレイア、オレがとどめ刺したんだぜ。属性開放斬りで、ズッガーンと決めてやったんだ」

 

「う、うん…………」

 

最初は話に食いついていたリナも次第にうんざりしてきたらしく、返事があいまいになってきた。

 

「それでよ――――」

 

なおもレイジが話を続けようとした、その時。

 

ゴチンッ!!

 

「あがっ?!」

 

 突然、レイジの頭上に、鉄拳が下された。

 

「おいレイジ、何やってんだテメェは!!」

 

 いきなり三人の間に割り込んできたのは、先ほどの双剣使いの女性。そのまま盾斧使いの首筋を捕まえ、さらにもう一発拳骨をお見舞いした。

 

「いって~~~~~~!!いきなり何すんだよ、姉ちゃん」

 

「手続きの途中でどっか行ったと思ったら、こんなとこで油売りやがって……。全員揃わねぇと手続き終わんないクエストもあんだぞ」

 

「分かったけど姉ちゃん、いきなり殴るのはひどすぎ……」

 

「つべこべ言うなっ」

 

三発目は腹に命中。鎧ごしだというのに相当堪えたらしく、レイジはそのままうずくまってしまった。

 

「ったく手間かけさせやがって。――――っと」

 

 そこで彼女はあっけにとられている二人に向き直った。

 

「うちの弟が迷惑掛けてすまなかったな。あたしはジェシカ・スピルバーグ、『イェーガーズ』で活動してる。よろしく」

 

「ベルク・マーリアンだ。こいつを止めてくれてありがとう」

 

ベルクはいまだに動けないでいるレイジを横目に言った。

 

「くだらねぇ自慢話ばっかで退屈してたんだ」

 

「弟の悪い癖だ。ちょっと聞き手が食いつくとすーぐ調子に乗ってこうなる」

 

「リナ・マツナガです。えーと、姉弟でハンターしてるんですか?」

 

「ああ。最近じゃなかなかに珍しいみたいだけどね。おかげでどこ行っても注目の的だ」

 

「ふぅん。――レイジ、お前の姉さんはずいぶんと怖いな」

 

レイジは腹を押さえながらうなずいた。

 

「ジェシカ、クエスト達成の手続き終わったぞ」

 

「帰るぞ~、マイハn――ぐほぁっ!?」

 

手続きを終えたほかのメンバーがレイジを呼びにきた。バトルシリーズの弓使いはジェシカが投げたリンゴが顔面に命中していたが……。

 

「はー、ったくバカが。――行くぞ、レイジ」

 

「ま、またな二人とも…………」

 

 またジェシカに首根っこをつかまれ、ズルズルと引きずられていく盾斧使いを見ながら、ベルクは呟いた。

 

「……騒がしいやつらだったな」

 

「確かににぎやかな人たちだったね。――なんかさ、あの人たちとはまたどこかで会う気がする」

 

「まさか。俺は二度と会いたくないな」

 

 

 

 

 クエスト完了の手続きと報酬の受け取りを済ませたベルクたちは、所属している”我らの団”のキャンプに帰ることにした。

 

「ふぅ、ようやく出られた……」

 

「確かにあのガヤガヤはちょっとうるさいと思うけど。そんなに嫌い?」

 

「大っ嫌いだ。俺の故郷はもっと静かだった」

 

「そっか。それにしても、何で皆こんなに汗臭いんだろ。お風呂入らないのかな?」

 

「あんたの故郷は温泉の村だったからな、そう思うのも分かる」

 

ここは集会所入り口から伸びる道のうち、正面へと伸びる一本、いわばメインストリート。他の道に比べキャラバンや屋台の数、人通りもダントツで多く、我らの団のキャンプもとある理由からこの道に設置している。そこを彼らは人ごみを掻き分けるように進んでいた。

 

「けどな、こことユクモは環境が違う。この場所は水源からは程遠いし、そもそも砂漠地帯だ。水資源が少ないのに、毎日風呂に入るようなやつはいない」

 

「そっか」

 

そんな雑談を交わしている間に、我らの団のキャンプに到着した。

 

 我らの団のキャンプは居住トレーラー、加工屋のトレーラー、料理長の屋台トレーラーからなる。近くには雑貨屋と武器屋、そして現在は営業を中止している竜人商人が屋台を広げていて、かなり便利な場所となっている。だが今は商人の姿は見当たらない。

 

「ご主人、お帰りニャ」

 

 早速ベルクのオトモ、ホワイが出迎えてくれた。

 

「帰ったぞ、ホワイ。商人さんは来てるか?」

 

「ちょうど団長さんと話しこんでいるところだニャ」

 

「ふぅん。…………リナ、報告しに行くぞ」

 

「ちょっと待ったニャ」

 

二人の前にホワイが立ちふさがった。ふくれっ面でベルクのほうを睨み、

 

「次の狩りには絶対僕を連れてってニャ!!ヒマでヒマでしょうがないんだニャ!!」

 

「はいはい、次は連れてくからそれで我慢してくれよ。とりあえずそこどけ」

 

適当に受け流してやり過ごそうとするベルク。

 

「またそれニャ!!ご主人がそう言って守ったためしは無いんだニャ!!」

 

とか聞こえたが、気にせずベルクは先を急ぐことにした。

 

 

 

 

 

「団長、ただいま帰りました」

 

「えーと、メチャクチャ?の討伐してきたよ」

 

「ケチャワチャだリナ、いい加減にしろ」

 

 二人のもとへ行くと、団長が機嫌よく迎えてくれた。その隣には竜人商人、そして今回のクエスト依頼人、でっぷりと太った行商人の姿もある。

 

「おお、帰ってきたか!ケチャワチャ狩猟、ご苦労だったな」

 

 二人の姿を見た行商人と竜人商人から驚きの声が漏れる。

 

「ほぉ、こりゃあずいぶんと若いハンターさんたちだわな!!」

 

「信じられん……。護衛が十人がかりでも苦戦したあの化け物を、たった二人で…………」

 

「あ、紹介します。こいつはベルク、その隣がリナ。我がキャラバン自慢のハンターです」

 

「いやいや、そんなこと無いですよ…………」

 

リナが照れたように言い添える。

 

「ほう、これが噂のハンターさんかいな。ケチャワチャ狩猟お疲れさん。――ん?右のあんたさん、チラシの似顔絵よりまつげが短いわな」

 

「……言うと思った」

 

 このチラシというのは、一ヶ月ぐらい前にソフィアが書き、団長が配ったものだ。このチラシのおかげで、当時無名だったベルクの元にも依頼が来るようになったのだが、そこに載せた彼の似顔絵が明らかに美化されすぎている。おかげで、ある人からは似顔絵の人物だと気づいてもらえず、またある人からは「どこのやんごとなきお方かと……」と言われ、さらにある人(猫)からは「新手の詐欺ニャルか」と言われる羽目になった。

 

 「ところで今日の狩りはどうだった?」

 

「いつも通りっすね。リナも頑張ってたし」

 

「そりゃよかったじゃないか。頑張ったなあいつ。――おい、そういやリナはどうした?」

 

「え」

 

ふと気がつくと、さっきまで隣にいた相方は影も形もなくなっていた。

 

「あぁ、さっきまであんたさんの隣におった子はあっちのほうへ行ったわな。なんか緑色の服着たメガネの子に連れてかれてったわい」

 

商人の指差した方向にはソフィアが受付を行うクエストカウンターがある。

 

「まったく……あいつまたソフィアの犠牲になったのか……」

 

 モンスターマニア(そろそろオタクの域に踏み入りつつある)の我らの団の看板娘、ソフィアは、二人が狩猟から帰ってくるとどちらかに――たいていの場合リナに、狩ったモンスターのことをしつこく聞きまわす癖がある。挙句の果てには「あの動きのモノマネをしてくれ」だの「素材の一部がほしい」だのと注文までつけてくるので厄介者だ。

 

「すみませんね商人さん、後で叱っときます」

 

「まあそれはいいとして、団長殿」

 

 唐突に行商人が切り出した。

 

「実は、そのベルク殿の腕を見込んであなたに頼みがあるのだが――、」

 

そこで彼は一回言葉を切り、続けた。

 

「この竜人の商人が、どうしてもあなたたちのキャラバンに加わりたい、と」

 

「もちろん歓迎しますよ!!」

 

 団長はとても嬉しそうだ。それもそのはず、我らの団がここに来た目的は「長期の旅のため、不足している人材を確保する」というものだったからだ。今足りていないのは物資を取り扱う商人であり、団長からすればこの話は願ってもない幸運だったのだろう。

 

「そんなことなら、そんなに改まって言わなくても――」

 

「この方は我々バルバレの商人たちの中でも古株で、ここらの物流にとって無くてはならない存在なのだ。バルバレのハンターたちの間でも評判のベルク殿がいる、このキャラバンに護衛を任せたい」

 

「いいですとも。ベルク、お前の意見はどうだ?」

 

「特に異議はないです」

 

「なら話は決まりだ。商人さん、その話乗りましょう」

 

「竜人のマサヒロじゃ。では、これからよろしく頼むわな!!」

 

 その日、我らの団にまた一人、新しいメンバーが入った。

 

 

 

 

 

 

「――ありゃ嘘だな」

 

 その日の夜。

 

 ハンモックに寝そべったベルクは、そう呟いた。今は着古した麻の服を着、左腕にはいまだにクンチュウアームが付けられている。

 

「嘘って、何が?」

 

 ベッドの脇で荷物の整理をしていたリナが聞き返す。こちらはまだユクモシリーズを着たままで、ユクモノカサだけがベッドに載せられている。

 

「ああ、あんたはソフィアにとっ捕まっていたから知らないんだったな。――竜人の爺さんがここに来た理由だ」

 

マサヒロと商人が話していた事をかいつまんで話す。

 

「別にそこまでおかしいことでもないんじゃ――」

 

「確かに俺はここじゃそこそこ有名にはなってるだろうな。でも、だからって俺じゃなくても良いだろ。俺たちと同じくらいか、それよりも強いハンターなんてわんさかいる」

 

「確かに……」

 

 この辺りのハンターには大きく分けて二種類がいる。ハンターの腕を示す「ハンターランク」が3以下の「下位」、3以上8未満の「上位」だ。二人は下位ハンターで、さらに腕の立つハンターなどはいて捨てるほどいる。

 

「じゃあ、何で我らの団に来たんだろ?」

 

「そこが分からねぇ。それに旅の目的も言ってなかったしな。明日本人に聞いてみるか」

 

「え、それはさすがにまずいんじゃ……」

 

「疲れたからもう寝る。おやすみ」

 

言うなり、ベルクがベッドから毛布を一枚引ったくり、乱雑にかぶると眼を閉じた。数秒と立たないうちに彼の口から寝息が漏れ始める。

 

「あ、ちょ、ちょっと……寝ちゃった」

 

 彼の寝つきは異常に早く、おまけに寝ている間はゆすっても叩いても絶対に起きない。もうこうなってはどうしようもないので、リナもそろそろ寝ることにした。

 

 眠りに着く前に、夜空を見上げる。今日の月は見事な満月だ。

 

(明日の私が、今日の私よりも強くなれますように……)

 

そう祈りながら、リナは眼を閉じた。

 




ベルク「おい作者」

な……なんでしょう……?

ベルク「今あんたが置かれている状況を簡潔に説明してみろ」

はい、お、大タルに爆薬とカクサンデメキンといっしょにつめられています……。

ベルク「大正解。景品はこれだ」石ころスロー

えっちょっま……、ギャアアアアアアアアアッ!!!!

リナ「じ、次回もお楽しみに……」
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