モンスターハンター ~その左手が握るもの~   作:コクワガタ@休止

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 どうも、お久しぶりになりますコクワガタです。

ベルク「読者の皆さんお久しぶり、ベルクだ。作者は散々悩んだ上で、懲りずにコレ復活させたらしい」

マルドローン「ギキィ(訳注・読者の皆さん始めまして、マルドローンです)」

ベルク「……ちょっと待った、お前しゃべれるのか」

 話数を重ねるたびにどんどん更新スピードが低下している現状。そしてこんだけ時間かけてできた文章が、また拙い仕上がりという……。

ベルク「少しは自分の言ったことに責任持ったほうが良いぞ、作者」

マルドローン「ギキィ(友達にも言われてたしね、それ)」

 今度こそ一週間以内にやりますから……。

マルドローン「ギキ、ギキィ(まあしょうがないさ。友人に進められてダウンロードしたスマホゲーが思ったより面白くて、文章そっちのけでのめり込んでしまうなんて、作者さん思いもよらなかったんだよきっと)」

 それ言わんといて……。

ベルク「割とズカズカ言うんだなお前」

マルドローン「ギキィ(正直が身上だからね)」

それでは本編。


第6話 みんなとひとり

 バルバレから(正確には現在のバルバレから)飛空船で1日の距離にある、通称「未知の樹海」。

 未知の名が示す通り、生息するモンスター、地形などその全貌が解明されていない密林地帯だ。古代文明のものと見られる遺跡が散在し、考古学的にも貴重なこの場所は、現在バルバレハンターズギルドを中心に、多くのハンターや研究者達が調査を行っている。

 その一角、遺跡の円柱の間につる植物「ハタオリヅタ」が広がるエリアで、ベルクはしばしの休憩をとっていた。

 ギルドからの支給品「携帯食料」の代わりにいつも持ち歩いている干した「古代木の実」をかじり、柱にもたれるベルク。

 

(やっぱり、一人の方が落ち着くな……)

 

 “我らの団”に入る以前の事を思い出す。

 村を出てすぐの時、一度だけパーティーに入れてもらったことはあったが、それ以外は殆ど一人で狩りをしていた。

 あちこちのハンターズギルドを点々としながら、初めの頃はランポスやファンゴを、次第により大きなモンスターを相手に、ひたすら狩りをしていたあの頃。たまに他の狩人からコンビを組もうともちかけられた事もあったが、それも全て断った。きっと、その時の自分はさぞかし可愛げのないガキに見えたことだろう。

 周りに気を配らずに済む分、一人の方が楽に立ち回れる、というのもある。だが、一番の理由は恐れからだった。

 ……また、のけ者にされるんじゃないかと。

 

「……」

 

 鈍い金色の手甲に包まれた自身の左腕を、ぼんやり見つめる。

 いっそ、この腕を切り落としてしまいたい。実行には移さなかったが、何度そう思った事だろう。

 嫌われるのが怖くて、意識的に他人と距離をとる。そして、余計に人と関わらなくなっていく。そんな悪循環が、長い間続いた。

 自分が今着ている防具の銘は“ブレイブ”シリーズ。なんとなく、皮肉に感じるものだ。

 

「ギキィ」

 

 物思いにふけっていると、インナーの上から、マルドローンが腕を甘噛みしてきた。

 

「ああ、分かってる。……ちょっと待て」

 

 懐から小瓶を取り出し、蓋を開けるベルク。中に入っているのは、猟虫の好むミツを固めたものだ。それを、マルドローンの口の辺りに持って行く。

 

「キキキ」

 

(……いや、もう一人じゃないんだったな)

 

 1ヶ月前のあの日、連絡船で団長に出会い、色々あって半ば強引に入団させられた“我らの団”。久々に出来た帰る場所と仲間。最初こそ不慣れな関わりに戸惑ったものの、そこで過ごす賑やかな日々に、ベルクは少しだけ安らぎを感じるようになっていた。

 狩りの時も、いつも一人ではなく、たまにホワイ、それから団長が『拾って』きたリナと、連れが出来た。正直、何かしら理由を付けては一人で狩りをすることは多いが、仲間、特に同年代の狩人がいるのは、なんとなく新鮮に感じる。

 でも。

 

(あの人達も、どうせ同じだ。……多分、リナも)

 

 どれだけ親しくなったとしても、こんな腕の自分を受け入れてくれるはずがない。

 ……そんな思いが彼らとの距離を作っているのは、自分が一番分かっているのだけれど。

 

「行こうか……」

 

 ミツ瓶の蓋を閉め、猟虫を右腕に登らせる。迷いを振り切るように、ベルクは立ち上がった。

 

 

 

     *     *     *     *     *

 

 

 

 鬱蒼とした木々を抜けると、急に開けた場所に出た。

 平らな地面に、数本の小川が流れている。その奥には大きな滝が見えた。鈍い金色に輝く甲殻を持ち、エビやダンゴムシを思わせる節足動物「盾虫」クンチュウが数匹ほど地面を這っている以外に、目立ったモンスターの姿はない。

 今回の狩猟対象を相手取るのには、ぴったりな状況だった。

 

「キチキチキチ……」

 

 早速こちらに気づいたクンチュウが、丸っこい身体の前半分を持ち上げ威嚇する。それに連鎖するように、周りのクンチュウも乱入者の方に群がってくる。

「まずはこっち、片付けるか」

 ベルクが背中の操虫棍に手を伸ばした、その時だった。

 

 

「……キシシシッ!」

 

 いきなり、先頭のクンチュウがきょろきょろと辺りを見渡し、周囲を警戒し始める。そして、腹を覆い隠すように身体を丸め、ボール状になった。

 クンチュウの背中の甲殻は「盾」と形容される通り非常に堅く、刃物はおろか、ハンマーの一撃にすらも耐え抜くことが出来る。だがその反面腹は非常に柔らかいため、天敵が来た時などはこうして完全防御の姿勢をとるのだ。

 そしてその天敵こそが、ベルクの今回の狩猟対象である。

 他のクンチュウも地面へ潜ったり、身体を丸めたりとめいめいに逃げ始める。もう近くまで来ている印だ。

 空中から、コアアアァァ……という鳴き声が聞こえて来た。見上げると、大きな扇状の耳を持った一頭の竜が、ゆったりと弧を描くように舞い降りてきている。

 

「来た……!」

 

 岩陰に身を潜め、様子を窺う。まもなく、今回の狩猟対象が地面へと急降下してきた。

 「怪鳥」イャンクック。鳥竜種に分類されるモンスターで、狩人の間ではポピュラーな存在だ。鳥という名は付くものの、トゲのある桃色の甲殻に覆われた身体、青い翼膜を持つ翼など、その姿は飛竜種に近い。身体に対して不格好に大きい、頭部のしゃくれたクチバシが唯一「鳥 」らしい部分だろうか。

 口から発火性の液体を吐く所謂「ブレス」攻撃や、尻尾で周囲を円状に薙ぎ払う攻撃など、動きもまた飛竜種に似ているものが多い。そのため一般に「狩人は、これを一人で狩猟出来るようになれば一人前」と言われている。また、対飛竜戦の良き練習相手として、ハンター達の間では「先生」の愛称が付くほど馴染み深いモンスターでもあった。

 

「キュウオアアアアッ……!!」

 

 頭が重いからだろうか、若干不格好な姿勢でイャンクックが地面に降り立つ。そのまま、辺りに自らの存在を見せつけるようにいなないた。

 そんな怪鳥のすぐ目の前を、逃げ遅れたらしいクンチュウが通り過ぎる。運の悪いことに、ちょうどベルクとの間だ。

 釣られたイャンクックが盾虫に歩み寄り、彼との距離がぐっと縮まる。

 頭に備える巨大な耳に相応しく、イャンクックの聴覚は鋭い。しゃがんだ姿勢のまま、ベルクはじっと動きを止める。

 幸い、そんな彼には気づく様子もなく、彼のすぐ目の前で逃げ惑う獲物をつつくイャンクック。当然、攻撃から身を守ろうと、クンチュウは身体をボール状に丸めた。

 飛竜や他の鳥竜種と違い、鋭い爪も牙もないイャンクックに、この虫の防御をこじ開けることは出来ない。

 がーーーー。

 

「クォァァァ……!」

 

 カッとクチバシを開くと、スイカほどあるその球体を一口で飲み込んだ。

 ベルクの目の前で頭を上に持ち上げ、リズミカルに上下させながら一匹目のご馳走を飲み下す。満足気に唸ると、すぐさま二匹目を見つけ、ドタドタとそちらに走り出した。

 

(ふう……)

 

 何とかばれずに済んだ事に安堵しながら、尚もイャンクックの様子を窺う。

 瞬く間に二匹目を胃に送り込んだ怪鳥は、今度は少し離れた所に転がるクンチュウに狙いを定めた様だ。こちらに完全に背を向け、再びドタドタと走り出した。

 

(よし)

 

 極力足音を立てないように、ベルクはそっと岩陰から飛び出す。そのまま、夢中でクンチュウを飲み込んでいるイャンクックの後ろへ回りこんだ。食事に夢中らしく、一向に気づかれた様子はない。

 一気に距離を詰め……。

 

 

「……らああぁぁっ!!」

 

 素早く「ボーンロッド」を抜刀すると、ベルクは柔らかい腹側を狙い、穂先を斜め上に振り上げた。

 

「キュオオアアアアアッ!?」

 

 いきなりの背後からの奇襲に、大きく怯むイャンクック。相手を確認しようと振り向くが、弱り目に祟り目とばかりにその顔面を、猟虫がしたたかに打ち据える。

 すれ違いざまに体表を食い破り、体液を吸い取ったマルドローンは、蜻蛉返りをうって主の右腕に戻った。そのまま、手首にエキスを注入する。前回ケチャワチャの頭から取ったのと同じ、筋力増強の赤のエキスだ。

 

「よくやったな、マルドローン」

 

 右手首から不快な感覚が巡ってくると共に、体中に力がみなぎっていく。ベルクが棍をしっかりと握り直したのとほぼ同時に、イャンクックが今度こそ、食事の邪魔をした不届き者を睨み付けた。

 

「……クワアアアアアァァァッ!!」

 

 大きく息を吸い、ベルクに向かって吠えるイャンクック。飛竜の咆哮には音量で劣るものの、生態系の上位者としての貫禄が相手を威圧する。

 それに臆することなく、真正面から構えるベルク。

 

「食事の邪魔して悪かったよ……けど、こっちもアンタに用がある」

 

 恐怖とか緊張は、不思議とそれほどには感じない。むしろ、普段よりも落ち着く――そんな気さえする。

 相手との間合いを目分量で計り、次の行動に備えて全身に軽く力を入れる。息を深く吸い、吐き出すと同時に呟いた。

 

「――さて、一狩り行こうか」

 

 その言葉が終わらないうちに、両者は動きだした。




ベルク「……次のはもう書き始めてるんだろ?」

 はい、一週間以内に仕上げますから……。

ベルク「一週間とは言わない。今晩仕上げろ」

マルドローン「ギキ、ギキィ?(訳注・締め切りは守ろう。分かったね?)」

 ……はい分かりました。

 次回も引き続きベルクです。ぶっ続けで書いたらかなり量が多くなったので分割した、イャンクックとの戦闘シーンの予定になってます。

マルドローン「ギキィ(次回もお楽しみに)」

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