「はい、こちらが次のミッションになります。なんでも、コクーンメイデンとオウガテイルが2体ずつの群れを確認したそうです。なので、今回のミッションはソーマさんとエリックさんの合同ミッションとなります。危険ですが頑張ってください」
「了解した。そう言えばだが、この鉄塔の森というのはどんな場所だ何だ?」
「あ、はい。鉄塔とありますが、実際には化学工場跡地ですね。形式上の名前ですので過去のその場所とでは本質的に別の箇所が他にも存在しますのでわからないことがあればかお聞きください」
「分かった、ありがとう」
次の仕事の内容の説明を受けた少年はすぐに準備を整え鉄塔の森へと向かう。例に漏れず、回復薬は持っていない。正直、少年にとってまだ神機を使うほどの敵は出てきていない。まあ、実際に今まで殆ど殴って倒すか蹴り殺すかのどちらかしかやっていない。使うとしても、止めを刺すか捕食の際だけだ。
少年は数十分を要して鉄塔の森へに着いた。既にメンバーの2人は来ていたらしく話をしているようだ。少年が歩いて近寄ると、それに気づいた2人のうち1人が手を振りながら寄ってきた。赤髪に赤い大胆で前時代的な短ランを模した服。それにアームウォーマーに似たそれと、少し余裕のある黒をベースとしたズボン。そして、サングラス。『新しいファッションですか?』とでも聞きたくなるその格好はとても目立つ事は目に見えているだろう。
「ああ、君が例の新人クンかい?噂は聞いてるよ。何でも、掴んだり殴ったり蹴ったりするらしいけどホントのことかい?」
「まあ、そうだが……あんたは?」
「おっと、すまない。僕はエリック・デア=フォーデルヴァイデ。そして、向こうにいるのはソーマ。ソーマ・シックザールさ。僕は君みたいにパワフルにとは行かないからこれを使うのさ。君も人類のために華麗に戦って行こう」
「ああ、よろしく……っ!」
自己紹介をしながら自身の使う神機、大筒を模した射撃タイプの神機を持ち上げて撫でるエリックに握手を求められ、それに応じる。
しかし、それと同時にエリックの頭上にオウガテイルが飛び込んで来た。
少年と同時にそれに気づいたのか、元いた場所で警戒をしていたフードを被ったソーマが声を荒らげる。
「エリック!上だ!」
「んぁ?……うわぁぁ!?」
「っち!間に合わ───あ?」
その時、一迅の風がエリックとソーマの頬を撫でた。
「イレギュラーか……きな臭い。それにしても偵察班の連中め、
少年だった。先程と違い、立ち位置はエリックの前に立っておりいつの間にか神機を振るったのか、伸びた右腕の延長線上の神機は肩と同じ高さの位置で静止している。
『だ、大丈夫でしょうか!?偵察班から5体目が確認されたと!』
「こちら、ソーマだ。……ああ、大丈夫だ。こっちは
『えっと、はい……分かりました。後で報告お願いします』
ソーマの少し意味深な言葉の真意をしっかりと汲み取ったヒバリはミッション終了の際に詳しく教えて欲しいとの要望を出す。
「エリック、立ち上がれ。奇襲が失敗したのかお出ましだ……こっちは情報通り、か」
「あ、ああ」
「エリックは周りに注意しながら攻撃しろ。俺とお前はさっさと殲滅していくぞ」
「了解した」
ソーマの指示を受け、迅速に対応して行く。エリックも切り替えが早いらしく、先ほどとは違い的確な射撃を行っている。たった4体のアラガミを討伐するのにそう時間が掛かるわけがなかった。
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「本当に助かった。ありがとう」
「いや、別に感謝してもらいたくて起こした行動じゃない。別に気にしなくていい」
「それでもだ。まだ、僕にも妹がいるからね。今度から油断しないように気をつけないと」
「あんたがな」
「……それにしても、新入りのお前の動きもはや人間じゃないな」
ただの一閃。たったそれだけなのだが、初期武器にも関わらずたった一閃。それも片腕でアラガミを沈めて見せたのだ。もはや、異常とすら言えるその力は警戒心すら呼び起こすものらしい。
「……まぁ、な。否定する気はねぇよ。それに、あんたもなにかに悩んでるみたいだしな」
「……ふん」
その後、少年たちの回収作業が終わりその舞台は、静けさだけが広がるのだった。
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「あ、ちょうど良かったです!コンゴウが出現しました!ここ最近見なかったんですが、ついに出現してしまいました。なので、これを……コウタさんとともに叩いてください!」
「了解した。それにしても、なかなか良い報酬だな。気分がノッてきた。新しい武器も作れるかもしれねぇしいっちょ頑張るか」
少年は軽口を口にしながら任務を受ける。ヒバリはその様子に『あはは……』と苦笑い浮かべている。
「じゃ、これよろしく頼む」
「はい!では、頑張ってきてくださいね」
「おう」
少年は準備を行うためにノルンで自分の道具を出す。今回ばかりは念のため、回復薬を使用しないと危ないかもしれない、そう考えたからだ。
すると、後ろから声をかけられた。振り向くとそこには同期の藤木コウタが笑いながら話しかけてくる。
「今回は君と一緒か!よろしくな」
「お前は……誰だ」
「うぉい、なんでだよ! 1話目で仲良くなっただろ!」
「あ、あいつか。それより今日は本体どうしたんだ?」
「……嫌な予感がするけど本体って?」
「そりゃあ……眼鏡だろ?」
「それ違う作品だからぁぁぁ!中の人繋がりでそういう事言うのやめてくれない!?何、一人称が悪いの!?俺、メガネかけてないしメガネ掛け機じゃねぇから!」
「ナイスツッコミだ。それでこそ新八だな」
「もう名前まで言っちゃったし!」
「冗談だよ。それより、コウタは準備したのか?」
「……あ、まだだった」
「OK、待っとくから40秒で支度しな」
「それも違う作品だし、早いよ……っと、そう言えば、サクヤさんって知ってる、よね。あの人いいよね。美人だし、感じいいし、強いしさ!戦うお姉さんって感じで堪らないよねー!」
「あぁ、あの服装が心配になりそうな人か……」
「覚え方がおかしいと思うけど……まあ、その人だね。ヨッシ!テンション上がってきた!サクヤさんにいいところ見せれるな。ということでどっちが多くアラガミを倒せるか勝負しようぜ」
「ま、いいぜ」
今までに経験したこと無かった同年代との会話を楽しみながら、少年は次の仕事へコウタとともに向かった。
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「ここか……ふん、行くとするか」
「肌寒いなー、ここ」
「お前……その格好で肌寒いって……あぁ、バカは風邪をなんとか、か?」
「君、ちょいちょいさっきから酷くね?」
『今回の任務は、中型アラガミの「コンゴウ」が討伐対象となります。これまでのアラガミと比べ、格段に高い耐久性と攻撃力を持ち合わせています。携行品の使用ペースには充分に気をつけてください』
軽口を叩きあっていると通信端末からヒバリの声が聞こえる。このミッションにおいての注意などを言うことによって緊張感を持たせる意味合いが強いのだろう。
「よぉーし!頑張ろうぜ!」
「あぁ、作戦開始だ」
2人はマップに表示されている反応の場所へ向かう。反応は3つ。オウガテイルのみだった。
(コンゴウの反応が無い……な。まだ、こっちに来ていないのか?なら、今のうちにこいつらを潰しておくか)
少年は駆け出してコウタに声をかける。
「コウタ、俺を援護してくれ」
「りょーかい!援護は任せて思い通りに動いていいよ!」
「ふっ、頼もしい言葉だ」
少年はニヤリと笑ってペースを上げる。以前、リンドウの時と同じように後ろから尻尾を掴んで振り回す。
【ぎゃぁぁぁぁぁ!】
その際に、他のアラガミに当てて2体固まって吹き飛ばしたところに、3体目を同じ場所に集まるように投げつける。
3体目は壁にぶつかり、下にいる倒れたままの2体の上に落ちる。
「コウタ!撃て!」
「OK!ファイヤー!」
コウタが神機で攻撃し始めたと同時に、少年も
そして、最後に片腕で、倒れているオウガテイル3体に横一閃。3体をまとめて始末することに成功。
「ふぅ……あとはコンゴウだけ、か」
「援護ありがとな。まとめてやれたのはお前のおかげだ」
「どうって事無いって!それより君の方にビックリしたよ……何、あの、持ち上げて振り回して、吹き飛ばして投げつけるって。君、ホントに人間?新人とかからじゃなくて、そこから疑いそうなんだけど」
「お前の同期だよ」
『お2人方、コンゴウの反応出ました!出現ポイントを送ります、確認してください!』
「……近くだな。行くぞ」
「おう!この勢いでばんばん頑張ろう!」
反応地点まで移動すると、そこには捕食を行っているコンゴウがいる。見た目は仮面をつけたゴリラに尻尾が生えた様なものだ。
「うお、あれがコンゴウか……ゴリラみたいな図体しやがって、黒焦げにしてやる!」
「ふん、火加減は上手くしてくれよ?じゃないと、いい感じにスライスしても見た目が悪いからな」
2人はなかなかに息の合った言動をするようで、好戦的とも言えるが互いに力が発揮できるように戦ういいペアなのだろう。
「よし、援護を頼んだぞ」
「ああ、安心してスライスにしていいよ!」
軽口を叩きながら2人は別れる。少年は背後を取り尻尾を切りつける。
それに反応したかのように大きく吠えるコンゴウ。直ぐに飛び掛ってくるがコウタに背を向けている状態になっている。
もちろん、射撃タイプのコウタが絶好の機会を逃すはずも無くバレットを放つ。それがコンゴウの背に一寸の狂いもなく吸い込まれていく。
背中に衝撃が走ったコンゴウは、振り返りって今度はコウタに向けて走り出そうとする。しかし、今コンゴウが背を向けているのはコウタではなく少年だ。
「まるで素人だな。脳まで黴びたか?」
コンゴウの背中から冷たく、それでいて圧倒的な何かが混ざっている声が放たれる。それと同時にコンゴウの尻尾に、今までに無かった衝撃が走る。
ブツン!
ボトン……
【ぎゃあぁぉぉぉぁぁぁ!!】
コンゴウの尻尾が切り落とされたのと同時に、痛みによるものなのか、怒りによるものなのか、咆哮を上げるがコウタのバレットによってダウンすることになる。
「いい仕事をするな。コウタ、全力攻撃だ!」
「OK!任せて!」
「ふんっ!」
少年は今のうちに捕食を2、3回行う。ダウンしているうちに、コウタに銃口を向ける。
「コウタ、受け取れよ」
ボシュウッ!
「おまっ、こっちに銃口を向けるな……いっ……たくない?あれ、なんか力が湧き上がってくるような……」
「リンクバーストだ!それなりにお前の力になるだろう」
「ありがとう!なら、援護は今まで以上にしないとね!」
「ふん、よろしく頼む」
立ち上がったコンゴウは怒りに身を任せて、先程より凶暴性が上がっているようにも感じる。が、少年が知ったことではない。
既に攻撃を見切ったのか、攻撃を右か左か、したにくぐり抜けたり、攻撃を踏みたいにして上に飛び、反対側に着地して背中を破壊する。
【ぐぉぉぉおぉぉぉおおお!!】
その後も同じようにしていたが、途中コウタが攻撃に集中しすぎていたようで、コンゴウの遠隔攻撃を2回ほど食らったが、特に損傷はなかった。
「捕まえたぞ。おらっ」
そう言って、少年はコンゴウを上に放る。サイズ左手で掴んで目の高さに落ちてきたと同時に落ちるまでに数回切り裂く。
「っらぁ!!」
コンゴウが地面に着いたと同時に、止めだと言わんばかりに少年は短い咆哮を上げ、振りかぶった腕をコンゴウの顔面へと叩き込む。
その衝撃で地面に罅が入る。そして、コンゴウの反応がなくなったのだった。
「終わったな。さて、捕食させちまうか」
そう独りごちていると、コウタが声をかけてくる。今も興奮冷めやらぬ、といった具合だ。
「君、ホントに人間!?あんな巨体持ち上げるって……それに、殴ってトドメを刺すってなんかかっこよかったんだけど!」
「そっちこそ、なかなか良かったぞ。おかげで最後にいい感じでスライスできた。っと、それよりコウタ、リンクバーストはどうだった?」
「あぁ、あれか。すごかったよ、体の内側からさ、こう、なんて言うの?力が湧き上がってきて」
「ほう……1度は受けてみたいものだな」
「それより、勝負はどうする?勝ち負けはなかったように思うけど」
「まぁ、そうだな。それより、回収班が到着したそうだ。行くぞ」
「おう」