朝と呼ぶにはまだ早い時間
窓から朝日が差し込む、訳ではなく、まだ朝日が上がる前に目が覚めた
昨日は星晶獣の任務から帰ってきて、死亡した兵士や負傷した兵士についての報告書を書いて、夜ごろに家に帰って死んだように寝たはずだ。なのにいつも通りの、仕事が始まる時間に目が覚めてしまうあたり悲しいというか、自分も帝国軍人なのだな、と改めて認識して、すこし微妙な気持ちになる。
流石の帝国もあんな大掛かりな任務の後には休暇を用意してくれていた。しかも二日である。
正直、任務の疲れが二日で癒されるかと思えばそんなことはないが、まあないよりはマシである。体の疲れは取れても精神的に負担がかかっている奴らの疲れは取れないだろう。
とりあえず、惰眠を貪りたくても目が覚めてしまったので朝食を作ることにしよう。いつもは簡単にすませてしまうが今日明日は時間があるのだし少し凝ったものを作るのも悪くはない、と思うのだ。
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朝食を食べて、特にやることもないので町に出かけることにした。
まだ朝なのだが人は結構歩いている。出店が並び果物や野菜などを売っているところで買い物をしている人がいれば、カフェなどで朝食を楽しんでいる人もいる。とても平和だ。星晶獣との戦闘なんてなかったかのようである。
だが、任務のことなんて考えてもしかたがないし、犠牲になった帝国兵のことなんて、知ったことないと、自分の中では割り切っている。
軍人なのだから、死ぬことが普通だ。前線にいることが少ない自分だが、それでも自分の目の前で人は死ぬし、理不尽な上司のせいで死ぬことだってある。というか、その方が見ている割合が多い気がするが、気のせいだと思いたい。
「おお! お前か! 今日は仕事は休みなのか?」
声をかけてきたのは酒屋の店主だった。仕事を始めてからとてもお世話になっている人だ。愚痴も良く聞いてもらっている。
「まあ、大きな任務があったから今日は休みになったんですよ」
「そうか。俺たちも聞いたよ、星晶獣関連だったんだって? 軍人ってのもやっぱ楽じゃないんだな」
「前線にはいきませんが、結構しんどいとこですね。回復術なかったら今頃死んでるんじゃないですかね?」
「かもな。ま、また飲みたくなったら来いよ! 少しならまけてやる」
そう言って二カッと笑う店主。イケメンおじさんマジかっこいいです。
また近いうちに行こうと思う。最近飲んでないし、潰れるまで飲みたいものだ。そういう気持ちになるときもあるだろうし。
店主と別れて歩いていると、見知った顔がいた。いつものフルフェイスの兜は脱いでいて、鎧も着ていない。
黒い髪で、同期の軍人だ
「ユーリ、なにしてんだ?」
そいつはユーリ、なんだかんだで仲がいい数少ない友人と呼べる人物である。
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