須賀京太郎の麻雀日記   作:ACS

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対局する予定でしたが、京太郎以外の視点で書きたくなったのでこの話の対局部分は番外で後日投下します。




七十二頁目

七十二日目 一年生対局

 

 

咲を連れて部室に戻ったら既に一局打った後らしく、点棒の整理をしているところだった。

 

部長が咲の入部届けを見た瞬間『今日は人生で最も幸せな日かも知れないわ』と言って軽く涙目になっていた、理由は部の存続だけじゃなく団体戦にも出られる様になったからだろう。

 

しかも咲と和は文句無しに実力者、団体戦出場だけでは無く優勝だって期待出来る、思わず感極まってしまったと言ったところか。

 

暫くして部長が落ち着き、『じゃあいきなりで悪いけど貴方達一年生で対局してくれないかしら?』と言う一言で対局する事になった、本格的に入部する事になるのは明日以降になるので東風戦だけの対局だったけど。

 

…………対局が終わった後の空気は何時も通りだったので割愛させて貰う、後ろで見ていた先輩二人と小さい頃の憧に似た容姿をした片岡が放心する程度には何時も通りだった。

 

咲と和と一緒に牌を片付けて居たら、復活した部長が『……幸せが舞い込んで来たと思ったら其れと同じくらいの厄介事もあったのね』と言って天を仰いでいた。

 

麻雀の熱が覚めたからか何と無く申し訳ない気持ちがふつふつ湧き上がって来た、なので『妙な空気になっちゃったんでお詫びに何か奢りますよ』と言ったら、『じゃあ親睦会しましょう!!』と言う部長の一言で全員で遊びに出る事になった。

 

費用は俺持ち、寧ろ率先して支払った。

 

女性五人に対して男一人なのでちょっとしたハーレム状態だったけど、途中から部長が『す、須賀くん? 払わなくていいのよ? 私が払うから!! ね?』とか『無理しなくていいから!! 飲食費も遊興費も全部須賀くんが払ってるでしょ!? もう良いから!!』とか言ってたので甘い気分にはならなかった。

 

何で戒能さんと言い竹井部長と言い、みんな素直に奢られてくれないのだろうか? 照さんなら全く気にせずに俺の財布の中身を使い尽くす気で奢られてくれるのに、つーか片岡くらいに堂々と奢られて来れないものか……。

 

金の事を心配されてくれてるのは分かるけど、劉大人や及川さんから代打ちの仕事がちょくちょく来るし、鷲巣さんにも海外での賭け麻雀を紹介して貰ってるので、まだグルジアで稼いだ時の金額ぐらいは最低でも残ってるはず。

幾つかの口座にも億から数千万くらい入ってるし、駅前のコインロッカーとか家の押入れとか、口座に入れてない金も含めると総資産が一体幾らあるのか自分でも把握してないんだよなぁ。

 

一回押入れの金を全額持って行って沼とか言うパチンコ台を打ちに行った事があったけど、何故か一発目から大当たりを出してしまったので家の金を数える事も億劫になってしまった、横で俺を監視してた男が黒服に連れて行かれたけど何だったのだろうか?

 

 

ぼーっと昔の事を思い出しつつ、思い出しついでにグルジアのあの娘は元気かなぁと考えて居たら、和が門限の時間となったのでその場で解散となった。

 

先ずは同じ帰り道である和と片岡が、次に申し訳無さそうに両手を合わせて謝り倒した部長と、俺の財布を横から見た後から一気に遠い目をした染谷先輩の二人が、徐々に別れて行って最後には咲と二人だった。

 

昔は此処に照さんが混ざっていたんだよな、と懐かしみながらふと初めて咲と出会った頃を思い出した。

 

あの時の此奴は麻雀を打つ事が怖くて仕方ないって顔だった、当時の俺は今ほど打てなかったし、此奴も今ほど強くは無かった。

 

初対局時、±0と言う打ち方に子供らしい対抗心でそれを阻止したのが宮永家との付き合いの始まりだった、考えたらもう七、八年の付き合いになるのか。

 

此奴だけは変わらずに俺と打ち続けてくれている、きっと此れからもそうだろう。

 

……いや、そうあって欲しい。

 

 

そんな事を考えていた所為か、つい『なぁ、咲は今、麻雀を打っていて楽しいか?』と聞いてしまった。

 

アホな事を聞いたなと思っていたら、その言葉を聞いた咲が俺の前に回って笑顔でちゃんとその疑問に答えてくれた。

 

 

『うん!! とっても楽しいよ!!』

 

 

飾らない素直な答え、咲らしい答え、それを聞いた俺は何故だか安心してしまった。

 

本当に、此奴は昔から変わらないな。





親睦会と言う名の京太郎の豪遊、安定の金銭感覚(震え声

この時代の京太郎は細工してある筈の沼が何故か一発で大当たりしてしまうレベルの強運持ちになってます(白目


最後の京太郎の質問は完全に麻雀の楽しさなどを感じられなくなり、どの様に勝つかと言う事にしか興味を持てなくなった彼が、自分と長く打っているのに純粋に麻雀を楽しめている咲に対する思いを打ち明けた形です。

これ以降、京太郎の中での咲への印象が少し変わります、幼馴染の壁を越えて一人の異性と感じる一歩手前くらいには。
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