須賀京太郎の麻雀日記   作:ACS

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5日振りの投稿。 人間には充電期間が必要なんだよ、うん(白目


八十二頁目

八十二日目 高校県予選

 

 

大会の開会式、コレが終われば戦いの火蓋が切って落とされる。

 

普段なら心が踊り、その時を待ち遠しく思うのだが、移動のバスからも見えているジャーナリストの数を見て辟易してしまう。

 

……中学の時もそうだけど、なーんであんなに集まるのかねぇ。

 

風越、龍門渕等の名門は既に会場入りしているのか例のキャプテンや天江さんの後ろ姿がチラッと見えた、可哀想な事に取材陣に囲まれてる。

 

そのおかげで清澄の到着がバレて居ない、俺だけでなく取材の鬱陶しさを知る咲も和もその事に安堵し、取材陣にバレない様に部長について行った。

 

俺もその後を追うつもりだったのだけど、俺がバスを降りた瞬間を見計らったのか、天江さんが俺を指差した。

 

 

『––––いい加減取材も疲れたから解放してくれ、それに貴様らの本命もご到着だ』

 

 

と、言って颯爽と去ってしまった。

 

その際に俺の顔を見てチラッと舌を出して居たのが見えた、初めからこうするつもりだったな?

 

…………良し、今度龍門渕に行こう、そして彼女ともう一回打とう、全力で容赦せずに、身ぐるみ剥いでやる。

 

内心でそんな事を思いながら俺は遠い目をしながら人混みを掻き分ける様に会場に向かった、前に世界ジュニアで優勝した時よりはマシっちゃマシだけど、基本的に何故無名の清澄に入学したのかと言う質問で一杯だった。

 

 

開会式が終わると同時に男子の個人戦が始まる、今回の男子解説は瑞原プロ、小学生の頃に一度対局しただけだったけど、向こうは俺を覚えてくれていたのか廊下ですれ違った時に『おっきくなったねー』と言って手を振ってくれた。

 

あの人スタイル的には好みなんだけど、彼女のファンクラブが王国化してるからあんまりお近づきにはなりたく無かったりする、中学の同級生が国民だった所為でリアルファイトに発展しかけたし。

 

一度対局したってだけなのにえらい剣幕だった、すこやんルートでアドレス知ってるってバレたらどうなっていたやら。

 

そんな事を思い出しながら席に向かうとその王国民の彼が第一試合の相手に居た、めっちゃくちゃ笑顔だった、目は笑って無かったけど。

 

『須賀、俺は恐らく過去一番でお前に嫉妬している、お前が調整してる間に局消化しきってやるから覚悟しろよ?』と、青筋浮かべながら言うもんだからつい天を仰いでしまった……見てたのかよ。

席には俺と彼しかまだ着席しておらず、席決めでめくった牌は東、起家スタートとは幸先が悪そうだ。

 

……まぁ、徹夜で調整して来たから予定の範囲内なんだけどさ。

 

少し俺が歯切れの悪い言い方をしたのには理由がある、それは最後の一人が着席した後の話だ。

 

遅れ気味に来た其奴は『ゴメンゴメン』と表面上謝って居たけど、彼の纏う空気が真っ当な雀士のソレとは違っていたのだ。

 

一言で言ってしまえばサマ師、裏で同年代の代打ちの話はいくつか聞いてはいるけれど、この男の名前と顔には覚えが無い。

 

偽名や変装の線もなくは無いだろうけど、その場合名も顔も殆ど隠していない俺に反応が無いのは妙だ。

 

となると、彼は表の人間をイカサマで嵌めていると言う事になる、まだ確証が無いから何とも言えないけど、暫くは見に回るのが正解かな?

 

 

こうして、俺の初戦が始まるのだった。





最後の雀士は劣化市川程度の腕はありますが、それ故に……ね?

王国民の元同期はオカルト雀士、能力は配牌の牌と同じ牌の場所が開局時に一度だけ分かると言う能力です(白目

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