須賀京太郎の麻雀日記   作:ACS

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もう次回で『これからだ!!』エンドにしてしまおう(疲労

真面目にネタ切れです(遠い目


八十四頁目

八十四日目 イカサマ・2

 

 

––––結局、彼は俺の仕込みに気が付かなかった。

 

表の世界じゃ単に出禁になって長々と後ろ指さされるだけで済むけどイカサマと言う物は裏の世界では非常にリスキーな物だ、現場を押さえられた時の代償は勿論、イカサマを行うという事は相手にもイカサマを使う口実を与えるからね。

 

この男がどういった経緯でイカサマを学んだのかは分からないが、警戒心が薄い事はよく分かった。

ヒラで打っても余裕で勝てる程度の腕前の様なのでワザと彼のサマを見逃して差し込み、断么・一盃口・ドラ6の倍満の出費。

 

元同期の奴が俺の顔を見て『あぁ、また悪い癖出してるんだなぁ……』と言いたそうな表情を浮かべていた、まぁあの中学出身の連中なら察しが良いのも仕方無い。

 

アナログの彼は不用意なって顔で俺の顔を見ているが、この放銃で俺の順位が変わりサマ師の男がトップに立った。

 

点数的には早い手を和了するだけで独走トップで満貫程度なら振っても問題の無くなった彼の親番、此処で俺は少し彼へちょっかいを出し、ボロを出させる様に動く。

 

 

東三局 ドラは発。

 

この時俺は自分の配牌を整理するフリをして山の一部を崩し二枚ほど牌を表に晒す。

 

見えた牌は発と一筒、元同期の彼には俺が山を崩した事が信じられないと言った顔をされたけど構わず打っていき、ある程度の順目ですり替え擬きを行う。

 

それはツモった牌をそのまま配牌へは入れず、自山の上を通過する際に指で上山の牌を鳴らす事、この時重要な事は一瞬指で先ほど晒した牌自体を隠すという行動。

 

真っ当な雀士ならこの音が鳴ったとしても牌と牌が当たった程度の認識で済むだろう、しかしイカサマを使っている男から見れば……。

 

明らかに様子の変わったサマ師、イカサマを使っている以上その手の事への嗅覚や疑り深さも他の人よりも敏感な筈だ、その警戒心を利用する。

 

 

二度目のすり替え擬き、その瞬間にイカサマ師が動いた。

 

 

『動くな!! 今そいつはイカサマをした!!』

 

 

––––ほーら引っかかった。

 

 

『開局時に見えたこの牌は発と一筒だった!! しかしコレは––––』

 

 

そう言って彼は牌を二枚捲るがすり替えなんぞして居ないので当然牌は発と一筒、此処で彼がすり替えを行なって俺をイカサマ実行犯に仕立て上げない時点でね。

 

完全に俺がすり替えをしていたと考えていたのだろう、彼は少なからず動揺し、更にジャッジの注意を受けてしまった。

 

しかも牌が捲れ、彼が立ち上がった際に俺の配牌を倒してしまっているので審議によって局がやり直しになった。

 

その際に意味ありげな含み笑いをする事で彼の危機感を煽り、イカサマに気が付いている事を知らせつつ跳満を狙い撃ち。

 

 

点棒が並び、一翻でも和了すれば逆転出来る状況で東四局に入る。

 

ドラは五索、イカサマ指摘をミスったおかげで強く出れず、しかも俺がソレに気が付いている風を装っているのでイカサマも使い辛い。

 

彼がモタついている間にポンを重ねて三色を強引に作る、食いタン仕掛けの彼から溢れる么九牌に狙いを定め、一筒・一索・一萬を鳴く。

 

その際に五索、三索、六索の三つを吐き出して鳴かせ、数巡掛けて彼を聴牌させる、その際に役牌の白を対子で落とす。

 

断么、或いは混一色の気配が漂う聴牌、比較的に早い巡目で張ったからか脇二人はオリを選択し、突っ張って来ない。

 

後はどっちが和了るかと言う勝負だが、奴の吐き出した北を俺が哭く。

 

 

大明槓、哭いた牌を晒した俺は嶺上牌を掴む前にサマ師に向かって『……牌を倒した後に揉めたくないから一応聞いとくけど、責任払いって知ってる?』と言ってから王牌に手を伸ばす。

 

嶺上牌の一枚目は一索、加槓して二枚目一筒、更に加槓して三枚目は一萬。

 

このまま俺がツモれば四槓子、その役満出費を嫌ったのか彼はなりふり構わず俺の嶺上牌をすり替えたが、何をすり替えたのか、それは奴の視線が辿った物を見れば分かる。

 

対子落としの白、奴の表情からそれが丸わかりだ。

 

だからこそ俺は白のフリテン単騎待ち、彼が白を握っているのは視線からわかって居たので敢えてソレをすり替えさせたのだ。

 

 

『ば、ばかな、なんで、そんな!! まさかお前、俺にすり替えさせる為にワザと……その捨て牌の白はワザと!! 始めから俺のすり替えに気付いてたのか!!』

 

役満和了、それによってトビ終了となった彼は心有らずと言う様な表情を浮かべながら俺に詰め寄って来た。

 

人がまだ残ってるのにそんな事すれば自分の破滅しか無いってのに、よっぽど混乱して居たのだろう。

 

俺の胸元を掴む彼の手を払い、お決まりのセリフを言って俺は退室した。

 

 

『––––御無礼』





終始空気な脇二人、南場に見せ場があったかもしれないけど東場で終了しちゃったから(震え声

……サクッと終わらせて新作つくるかなぁ。

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