須賀京太郎の麻雀日記   作:ACS

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シノハユを七巻まで買ったのですが、一言だけ言わせてください。

慕ちゃん超可愛い(確信


八十六頁目

??日目 雀鬼VS屍人

 

 

後半戦の最後の一試合、その席で俺は意外な人物の名前を目にする事になった。

 

それは中学時代に対局し、二度と会う事は無いだろうと確信していた男の名前だ。

 

正直予想外だ、当時の俺は確実にこの男を雀士として完全に殺し、比喩抜きで二度と牌が握れない様な状態にまで落とした筈、まさか続ける事が出来るとは……。

 

 

電光掲示板に書かれた対面の名前は明石、以前は完全に覚える気が無かったけど、小・中・高と続けて打つ事になったんだ、これは完全に縁が出来ていると見て良い。

 

そんな事を思いながら卓の上にある席決めの牌を捲ると、出目は北で彼の対面。

 

他の面子は揃って居なかったので、俺と明石の二人だけの状態、会話も無く無言で椅子に座って居たけど、意外な事にむこうから声をかけて来た。

 

 

『………あの日から三年、長い三年だった』

 

 

それは以前とは違う、俺へ対する敵愾心も恐怖も存在しない純粋な感情が篭った声色で、何か俺はそれに対して言い知れない既視感を覚えて居た。

 

 

『あの対局の後、俺は一度完全に折れた。 そりゃそうだ、周りの奴らはどんなゴミ手でもクソ待ちでも俺が同卓するだけで和了れて、俺だけが全く和了できねーんだ。 狙った様に裏目を引くし、そもそもからしてテンパイ自体がごく稀、誰か一人でも張ったらそいつの和了牌しか引けないんだ。 あの優しい福路先輩の言葉すら完全に嫌味にしか聞こえないほど、俺は折れた』

 

彼の独白は、当たり前の事ながら俺には確実に耐えられない苦痛だ、どんな状況であれ敗北を認められないこの血の巡り、星の巡りは今も尚俺の中で生きているのだから。

 

 

『けどな須賀。 俺はお前を恨んじゃいない、昔の俺はお前を殺したい程憎んで居たし、実際お前に復讐しようと犯罪計画まで考えそうになった事もあった。 でも今の俺はお前に対して何の感情も持っちゃいねぇ、何たって今の俺は()()なんだからな』

 

 

そう言って顔を上げた明石、その顔は生気の薄い病的な白さをしていて、目元には深い隈すらできていた、まさに死人と呼べるほどに。

 

 

『俺はあの日、完全に雀士としてお前に殺された。 お前の呪いを解こうと、一縷の望みを掛けて鹿児島の神境にまで行ったが完全に無駄足だった、だから俺はその瞬間受け入れたのさ、自分が死んでいる事を』

 

向かい合う状態の俺達は必然的に視線がぶつかり合う、彼の目は顔付きとは裏腹にギラギラと光っていて、ただ純粋に勝つと言う事のみを見つめている様に感じた。

『俺は死んでる、お前に殺された俺は確かに()()()()和了出来ない。 それでもだ、いっぺん地獄を潜った先でその砂に触れて、更に其処に居る鬼と取引しちまえば話は別だ』

 

 

––––死人の麻雀を教えてやるよ、もう俺にはお前の『御無礼』も『哭き』も『強運』も死人だからこそ効果がねぇってな。




※ 御本家の御無礼は悪霊三匹除霊出来ます。

※ 本作でも悪さする地蔵を除霊してます。

あっ(察し

ネタは兎も角この明石くん、メンタル面に限れば京太郎よりも上の鉄壁です。

まぁ意味合い的にはダメージカット率が99%とかじゃなく、HP0/0だから何食らっても体力減らないって意味合いなんですがね(白目


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