須賀京太郎の麻雀日記   作:ACS

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知らず知らずの内に悲しみを背負った京太郎、そんな事はつゆ知らず個人戦が終わった彼は観客席に向かうのだった!!

一応チラッと女子の大将戦に触れますが詳しい内容はまた番外でやりますので、今回は結果だけ(白目


八十八頁目

八十八日目 京太郎の悲しみ

 

 

試合を終えた俺は意気揚々と観客席に向かって居たのだけど、扉を開ける直前に嫌な予感がして足を止めてしまう。

 

大概こう言った寒気や予感はろくな事にならない事を俺は知っている、マホちゃん達と談笑でもしようと思って居たのだけど、仕方ない咲達の控え室に行くか。

 

そんな事を思って振り返ったら大人用に設けられた喫煙所で先生一号が煙草を吸っていた、目が笑ってなかったので多分あれだ、試合内容採点してらしたようですねー。

 

………どうしよう、俺明日死ぬかもしれん。

 

 

そんな風に固まって居た俺だったけど、いつの間にか扉が空いて居て、客席の方から『せんせー!!』と言う明るい声と共にリボンが特攻して来た。

 

いくら軽い女子中学生とは言えだ、全力で助走を付けられたら身長差があっても押し倒される。

 

馬乗りになったマホちゃんは今の状態を全く気にしていない様子で、『先生!! マホには全然対局内容が分からないので解説して下さい!!』と言ってきた。

 

とりあえずマホちゃんの額に軽いチョップを入れた後、彼女を腹の上から退かして彼女の席に向かう。

 

…………最前列に鷲巣さんが居る様に見えるのや、一番後ろの壁に辛気臭い顔で凭れてる先生二号が見えたのはきっと俺の気の所為に違いない。

 

明日からの対局が地獄絵図な現実なんてないんだ、うん。

 

 

遠い目をした俺とは裏腹に、マホちゃんは自分の隣の椅子をペシペシと叩きながら早く早くと俺を急かす、最近この子が犬に見えて仕方ない。

 

言われたままに席に座ると、申し訳なさそうな室橋ちゃんの顔が目に移る、微妙に俺に対して引き気味だけどまぁ確かにあんな和了してりゃ普通に引くよね、狙って出来るとはいえそれでも頻繁に出せるもんじゃないんだけどさ、見てる側には分からんわな。

 

 

画面に映っているのは丁度天江さんと咲の大将戦の後半が始まった所、そしてダイジェストで前半戦の和了が流されて行く。

 

内容は終始天江さんの独断場、和了内容を見ると海底牌以外でも受けの狭い待ちや、役満を捨ててまでの安手アガリと言ったプレイが目立って居て、ウチとのの点数自体はさほど離れては居ない。

 

しかし天江さんが狙ったのは場の支配、では無く対局者の心の支配。

彼女の場の支配も当然効いているし、それを武器に後半戦は和了し続けているが、何より彼女が目指したのは相手の気力を折る事だ。

 

前半戦では安手とは言え露骨な狙い撃ちを重ね、風越・鶴賀の大将から攻めっ気を奪い、後半戦に入って高打点を連続して和了する事で逃げの気持ちを作らせる。

 

海底では確実に和了り、それでなくてもダブリーやダマ倍などを見せ付ける事で退却を選ばせ、その逃げ足を確実に狙い撃つ。

 

咲ですら槍槓や四槓流れなどをされ、自分の麻雀とリズムをズタズタにされて放銃が目立っている。

 

 

状況としては最悪なのだが、咲は尚も自分の麻雀を曲げずに牌を切っていた。

 

その目は死んでおらず、何が何でも勝つと言う意思が見て取れる。

 

確証は無かったけれど、俺はその顔を見た瞬間、咲なら勝てると感じ、解説を待っているマホちゃんのリクエストに応えて言った。

 

 

 

–––––俺の予想通り、大将戦の結果は咲の勝利に終わった。

 

 





風邪で頭が痛いので暫くお休みします(暫くとは言ってない

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