須賀京太郎の麻雀日記   作:ACS

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ネキと顔合わせ回、次回対局(かも


九十頁目

九十日目 (自称)後引っ掛けの洋榎

 

 

大阪での仕事は何事も無く終わり、報酬の入った茶封筒をポケットに入れていた俺はやる事もなくふらふらと街中を歩いていた。

 

時刻は正午、空腹感もそれなりに感じるので粉物か揚げ物のどちらにしようかとなやんでいたところ、後ろから帽子とマスクとサングラス装備の如何にもなひったくりに襲われ、ポケットからチラ見えしていた茶封筒をひったくられた。

 

足引っ掛けて蹴り倒しても良かったけど、言うほどの金額でも無いし、代打ちで稼いだ金だからなぁと思い、放置しようとしたら俺の後ろからタレ目気味のポニーテールの女性が飛び膝蹴りをひったくり犯にかましていた。

 

『なーはっはっは!! ひったくりはん、御用やで〜!!』

 

 

前につんのめりながら倒れたひったくりを踏み付け、高笑いしている、確かアレは姫松高校の愛宕洋榎だったっけ?

 

ネットで顔は知っていても直接の面識は無いからなぁ、どう声を掛けるかな? と考えていたら『ほれ、そっちの金髪サングラスのにーちゃん、早よ警察呼ばんかい!!』と言って指を刺された。

 

いや、警察呼ばれると金の出どころ的に俺の方が迷惑なんだけど……それ真っ当な金じゃないからね……。

 

そもそも携帯を持って来ていないので連絡のしようもない、俺が呑気しているのに焦れてきたのか愛宕さんは自分で警察に連絡を入れようとし始めた。

 

俺は面倒な事になる前に『あーっと、別に良いっすよ? 大した金額じゃないんで』と言ってそのまま茶封筒ごとひったくり犯のポケットに入れ、小声で『もし、此処が関東ならあんたは魚の餌になってたよ』と耳打ちし彼を解放した。

 

かなり青い顔をして走り去ったひったくりを見て、愛宕さんは理解出来ないと言う顔で俺に詰め寄って来た。

 

『なんでやねん!! 自分の金やろ? なんであないな奴にやるねん、自分正気かいな? 通報しよう思てもまーおらんし、やられ損やで?』と思いっきりツッコミを入れられたけど、金の出どころの問題もあるしそもそもアレくらいなら一晩で稼げる金額だ、未練は無い。

 

そういう事をぼかしつつ、俺は『ちょーっと訳ありなお金でして』と言って肩を竦めた後、腹の音がなってしまった。

 

俺のその一言で色々察したのか、彼女は深くは聞かずに溜息を吐くと『マイペースなやっちゃ……』と言う呆れた声と共にジト目で見る、俺はその視線を無視しつつ視界に入ったお好み焼き屋に入ろうとしたんだけど、後ろから思いっきり肩を掴まれた。

 

 

『あかんあかん、あの店は生地からなんからイマイチや、どーせ自分他所もんやろ? やったらうちが良え店紹介したるから着いてきぃや』と言って彼女オススメの店に移動した。

 

彼女の案内で着いた店は確かに美味しかったのだけど、肝心の彼女が財布を落としたらしく、俺の注文したお好み焼きで飯テロを食らってた。

 

可哀想なので奢りますよ、と言ったら『マジでええん!? おおきに!!』と言って速攻で注文取っていた、うんあれだ、俺の周りには居ないタイプの人だわ。

 





関東地方で京太郎からひったくりした場合翌日に死体となって発見されます、理由? 桜道会に決まってるじゃん(白目

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