須賀京太郎の麻雀日記   作:ACS

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京太郎は何やら思いついたようですよ?(白目


九十六頁目

九十六日目 悪魔的発想

 

 

俺は今何時もの雀荘で笑ったり泣いたり出来なくなった状態で長椅子に横たわっている。

 

何故かって? そりゃああれだよ、県大会で無様を晒したから先生達がご立腹で朝に先生二号、昼に鷲巣さん、夜から夜明けまでが先生一号と超ハードスケジュールで対局したからだよ!!

 

だから、今日は、何も、する気、が、おき、ない。

 

『相変わらずだねぇ、京太郎ちゃん……まだあの人達に勝てないのかい?』っと横たわる俺にマスターがコーヒーを淹れて来てくれたので身体を起こし、それを受け取る。

 

個人経営の雀荘に十年も通ってるので完全に何時ものコーヒーって感じだけど、お陰様で少しは目が覚めた。

 

いっつも良い所までは行くんだけどなぁ、あの人ら絶対主人公補正的な物持ってるから良い所までじゃ勝てないんだよなぁ……。

 

頭の傷も塞がらない内の対局だったからか内容を思い出そうとする度に頭痛が起きやがる、特にラストの先生一号との対局なんかどっから湧いたのか分からんすこやんと江崎っつー面子だったし。

 

……果たして物理的な痛みから来る頭痛なんだろうか、コレ? あんまりにもあんまりな負け方したから脳が思い出す事を拒否ってるんじゃね?

 

 

その可能性があり得るってのがあの人らの怖いところだ、最近になって思い始めたけど今のままでは相手になる雀士が絶対的に足りないのだ。

 

中学じゃ男子もかなり部活に所属していたし、あの部活は蠱毒みたいな部分があったから実力者しか居なかった。

 

今も咲や和が居るには居るんだけど、正直あの二人は先生達の次くらいには対局しているので頭の中でも対局出来るほど癖を知り切ってるからなぁ。

 

 

チビチビとコーヒーを飲んでいると、子供用のスペースで対局している小学生グループの姿が目に入った。

 

この店は俺が小学生の頃から足繁く通っていたからか、マスターの善意で何セットかの手積み卓と雀牌を小学生に無料で貸し出ししているので、あの一角は休みになると割と賑わっている。

 

まぁ主にトップ賞として貰える缶ジュースやお菓子が理由なんだろうけど、俺が通ってる時にはこんなサービスしてなかったなぁ。

 

マスター曰く、『京太郎ちゃんが偶に忘れてく雀牌の処理に困った結果だよ』との事、そう言われれば確かに阿知賀とかにもちょくちょく忘れてた様な……。

 

 

ほぼ毎年訪れている松実館なんか小学生の頃から通算して五つぐらいある筈だ、この店にも伽羅木を使った手彫りの木製牌があったはず……値段は覚えてないからなぁ。

 

今小学生たちがバシバシ使ってるのがそれだ、将来大物になるね絶対。

ん? 将来大物になる?

そうか、俺の相手が居ないなら相手になるようにそれとなく鍛えれば良いんじゃないか? 何という妙案、流石俺!! 良し、卒業後の進路はプロ雀士だな。

 

土台のしっかりしたプロなら読みを正確性を研ぎ澄まさせる様な打ち方をすれば良いし、プロになれば麻雀教室も開けるだろうし一石二鳥じゃないか。

 

 

…………いや、アホな事考えるのはよそう、先生達が遊びにくるのが目に見える。

 





実に碌でもない考えである(白目

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