百五日目 四校合宿
県大会を勝ち抜き、俺達清澄高校は全国への切符を手にしたんだが、個人的にひじょーに困ってる。
と言うのも大会から暫く経ち、咲に見せた醜態からも立ち直った頃に団体戦の決勝に進出した四校で合同合宿をするという話が上がっていたらしく、『じゃあ俺は高レートの店で調整麻雀でもするか〜』と呑気に構えていたんだが、何故か俺にも合宿の日程表が配られた。
男女比が1:9の状態だから明らかに俺は場違いの筈、そもそも宿泊込みの合宿なのだから異性が居るのはどうなんだろう?
そんな事を竹井部長に聞いたんだけど、返って来た答えは『えっ? だって須賀くん下手なプロより明らかに強いし……』と言う答えだった。
……確かに表のプロなら
部屋は個室を貰ってるので一応はその辺りも考慮されてるみたいだけど、なんだかなぁ。
てっきり和は反対すると思ってたんだけど、意外にも反対では無かったようで、俺の視線に気がついたのか『私は須賀君の事を信用していますよ? 普段はともかく麻雀関連では下心ありませんから』と何も言ってないのにそう言われてしまった。
まぁいいや、行って良いんなら行かして貰おう、久々に龍門渕の人やモモとも打ちたいし、つか考えたらこう言う合宿に参加させて貰えるのって初めてな気がする。
中学の時は一年、二年の時に先輩から『合宿にお前が来るとカモの大虐殺にしかならないから頼むから来ないでくれ』と言われ、三年の時なんかモモに『今年も県外のお土産、期待してるっす!!』と凄くイイ笑顔で言われたのを思い出した。
……アレっ? もしかして俺って、今までハブられてた?
悲しい事実に気がついたが、それよりもまず合宿先が殆どハーレム状態で居心地が悪そうな事の方が重要かもしれない。
チラッと合宿のしおりを見ながら参加者の欄を見てると、藤田プロの名前がある事に気が付いた。
俺の視線に気が付いたのか、竹井部長に『あの、須賀くん? 藤田プロはゲストだから、ね? 自重してね? 絶対やり過ぎちゃダメだからね?』と何度も念を押されてしまった、俺が誰彼構わずに潰す輩に見えるんだろうか? 選んでるからまだ優しい方だと思うんだけど。
すこやんを見てみろよ、あの歳になってもまーだ先生一号の追っかけやってるんだぞ? 高校卒業してから直ぐに追っかけてるからもうじき十年丸々あの人に金と時間を費やしてるんだぞ? そんな状態にしてないだけ俺はまだマシな筈。
そんな話を帰り道に咲へと振ったのだが、凄く困った様な曖昧な表情を浮かべられて誤魔化された、解せぬ。