須賀京太郎の麻雀日記   作:ACS

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導入した次の話には使わなくなる牌画像変換ツール、この作品の書き方だと不要なのと、中々使い所が難しいので使わない事にしました。


百八頁目

百八頁目 盤外戦術

 

 

天江さんの親で始まった東2局、日中だから彼女の支配力そのものは弱いものの、俺の配牌にはあの雨の日に先生に惨敗した影響がまだ根強く残ってる事がよく分かる。

 

俺の配牌は六・八萬、一・四・八筒、二・五索・八索、南・南・北・北・西、嵌搭子すら一つしかなく対子もオタ風、ドラが東なので北が既に一枚見えている。

 

色の偏りや縦に伸びてくれれば混一色、対々を考えたんだけどねぇ、こんな時ばかりバランス良く配牌に来てるし、数巡ツモっても白・中・發・東と全く牌が重なる気配が無い。

 

元々池田さんを使って周りの点棒を削る予定だったので和了出来ないのは良いんだけど、天江さんの一打目に北が切られているのでブラフ混一色も難しい。

 

北・南が対子だったから俺を意識してる二人に北を鳴いて役満を匂わせる事も出来たんだけど、他の形が悪過ぎて鳴いた後が続かなかった。

 

だから見送ったんだけど、ツモの調子を見たら鳴いてこのツモを押し付けた方が良かったかな?

 

タラレバは麻雀に付き物だけど、先生達以外でこんな事言ったのなんて小学生以来な気がする。

 

五巡目のツモは西、自風牌が来たので八筒を落とす、ここまでの巡目は全て手出しの一・四・八筒、五・八索と露骨に色を消して字牌を抱えての無理混一を匂わせた。

 

麻雀を覚えたての素人の様な河が出来てるし、みんな露骨に字牌と萬子を切らなくなった、その代わり手を止める事に成功したようで、三人共真意がわからないと言った顔をしている。

 

この三人は俺との対局経験もあるし、咲や天江さんは中学時代の相手を潰す麻雀を知っている、そんな相手がこんな河を作っていれば何かをやっていると考えるだろう。

 

俺自身、もし仮に先生一号がこんな河を作ってたとしたら不気味過ぎて前へ出れないと思う、見え見えの混一色過ぎるし、役牌自体が絞られて場に出ていない。

 

字一色ないし小四喜の可能性があるのだから下手に動きたくないだろう、俺だって似たような事を考えるし、生牌の字牌を掴んだら確実に向聴数戻してでも回す。

 

そういった盤外戦術を使って手を淀ませる、そうすると俺の手には重なる事の無い役牌と無理混一として抱えた萬子が重なって行く。

 

視線の動きとツモの際の動作から六巡目に天江さんがテンパイしたようだけど、リーチは掛けずに四索切り。

 

ソレを咲がポンする事で俺のツモをズラす、鳴きの発声が若干遅れた事から次のツモ牌は咲の槓材で萬子では無い事が予想できる。

 

この二人に関しては心理的圧迫を乗り越えて牌を切ってくるからなぁ、捨て牌の二段目までに俺の動きが遅いままだとそのまま突っかかってくるんだよな。

 

だけど問題ない、俺が和了る必要は元々無かったし一瞬でも二人が手を曲げたのであれば十分さ。

 

予想通り俺のツモは萬子では無く生牌の四筒、四索ポンの四筒大明槓で四萬引いての三色同刻嶺上自摸かな? 点数的には5200止まりだから普通ならば差し込んでも良いんだけど、翻数が確定していない以上コレは打てない。

 

子供の頃の咲相手ならそれで良かったんだけど、今の咲は槓ドラを乗せられる程に成長してるから迂闊な事をすれば一気に点棒が消える。

 

なので俺は四筒を抱えて打東を選択、巡目も七巡だしそろそろ他家に役牌が重なってくる頃だろう。

 

その読み通りに開局時に親被りを受けた池田さんが東をポン、鳴いた後に後悔した様な顔をした事からプレッシャーに押されての鳴きだろう、だけどこれで彼女は東ドラ三の満貫が確定してツモもズレた。

 

下がりポンが二回された事によって本来の俺のツモが天江さんの手元に回る、絶不調のツモだからか俺の危険牌を摑まされたらしく、『コレが狙いか?』と言う様な忌々しそうな視線と共に二索を切る。

 

これが槓材を敢えて送り込んで混一色・役満がブラフである事を見抜いて来た咲だったなら難なく字牌をツモ切っただろう、席順の差で首が繋がったな。

 

その証拠に咲は南をツモ切り、俺はソレをポンして更にツモを一つ下げる。

 

咲がしまったと言う顔をした瞬間に池田さんがツモ、待ちは一萬と中のシャボ待ち、切れなかった萬子と役牌の重なりによる和了だが混一色・東・ドラ三の跳満ツモ。

本来の天江さんのツモを回す事で池田さんに開局時の親被りをやり返させた形だ、上手くいってよかったよ。

 

問題は次、咲の親か……。

 




読んで分かる様に現在の京太郎は異様に牌運が悪いです、勝てない程の運勢ではありませんがそれでも哭きによるゴリ押し和了が出来ません。

理由はまた後々、もしかしたらコレも先生一号の指導の可能性が微レ存。

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