須賀京太郎の麻雀日記   作:ACS

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衣ちゃんの久々の出番、この作品の彼女は割とアレです(白目

時系列は衣高一時代。


天江衣

??日目 天命を掴む少女

 

 

 

県大会団体戦決勝、大将として卓に座っていた天江衣は少しばかり失望感を抱いていた。

 

決勝へと勝ち上がった三校はそれぞれは名門として名を馳せて居る高校であったが、彼女からすれば一切の才気を感じられない凡夫ばかり。

 

屈辱を倍にして返すと誓った雀鬼に比べれば塵芥同然のレベル、敢えて差し込みを入れたり牌を食わせたりして見ても何の作為も感じられない程度の相手。

 

現在のトップは風越女子の池田、点差は五万と少し。

 

エースの福路が稼いだ貯金に細々としたアガリを重ねた結果の物だが、彼女も実力を測る物差し代わりの差し込みを何の躊躇いも無くアガって居るので程度は知れている、〝彼〟には遠く及ばない。

 

 

(場の支配をしていないとは言え、見通した様に低目の差し込みをし続けているのだがな、誰一人違和感を感じておらんのが煩わしい)

 

彼女に雑魚を狩る趣味は無く、純粋に強者と鎬を削る勝負をしたいのだ。

 

 

(だが凡夫ばかりと斬って捨てるのはちと酷な話か……異物は衣の方だろうからな)

 

 

自分の非凡さを自覚している衣はそう思い直して自分の考えを改める、それと同時に親番の池田が倍満をツモり更に点差が開く。

 

 

『カナちゃん絶好調だし!!』と連荘に繋いだ池田にこれ以上の見は不用だと衣は判断し、場の支配を開始した。

 

(弱い者虐めになるかもしれんが許せ、衣は出し惜しみをして足元を掬われたくは無いのだ)

 

 

局は東四局一本場、ドラは五筒と赤ドラ四枚ルールのこの試合では非常に良い場所にドラが乗ったにも関わらず、衣以外の三人は直感的に『この手は和了れない』と感じた。

 

理由は衣の力が成長したからでは無い、それ以上の凄みを宿した天江衣と言う少女の覇気に圧されたのだ。

 

 

「先に宣言しておこう、この試合に南二局は来ない」

 

 

実況やモニター越しに観戦していた生徒達は沸いたが、逆に卓を囲む三人は凍り付く。

 

先にも言った覇気、普通ならばトラッシュトークとしか考えられないそれが冗談に聞こえない。

 

しかもその思いを振り切ろうとツモっても一向聴止まり、引けども引けども有効牌が一枚も見えないのだ。

 

無理に待ちを変えても変わらず一向聴、唯一この重苦しい麻雀から解放されているのは威圧感の主である天江衣ただ一人。

 

そして誰も鳴けず張れずのまま17巡目、天江衣がリーチ宣言、役は立直のみで待ちは一・四・七萬。

 

だが海底牌で必ず和了る彼女にはそれで十分、当然の様に一発で自摸和了し黒棒含め2100−4000、其処から裏ドラが暗刻で乗り3100−6100。

 

点棒を受け取り、親番にてサイを回した衣は言った。

 

 

『この海底牌は天命の牌、衣の和了が確約された牌だ。貴様らが何をしようとどうしようと関係無く衣は和了る、和了るべくして和了るのだ』と。

 

 

その後は天江衣の独壇場となった、彼女の言葉に嘘偽りは無く、無理鳴きして海底をズラしてもロンで和了られる。

 

海底をツモり、配牌から切り出した物であっても吸い寄せられた様にそれが悉く当たってしまう、特にトップだった池田は狙われてしまったのか持っていた貯金を全て吐き出して最下位転落、最後は数え役満を直撃させられてトビとなり、宣言通り南二局は訪れ無かった。

 

 

実質二局のみで試合をひっくり返した天江は後のインタビューでこう残したと言う。

 

––––海底牌は衣の天命牌、誰であれソレを掴んだ時点で天命は下るのだ。




海底牌を掴んだ瞬間に吸い込まれる様に衣のロン牌を吐き出してしまうと言う性能、態々鳴いてズラす必要が無くなった訳ですね(白目

しかも能力だけでなく気迫で相手を圧倒する見た目小学生(震え声

尚、咲さんとは正面から潰し合って貰いますし、その時点では二人ともラスボスチックにしたい。

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