須賀京太郎の麻雀日記   作:ACS

17 / 138
何気無く思い付いた、後悔はしていない(白目


ふくよかすこやかインハイレディオ

??日目 ラジオ出演

 

 

『さぁ!! 本日もやってまいりましたふくよかすこやかインハイレディオ!! 本日も司会進行は私!! 福与恒子と!!』

 

『小鍛治健夜でお送りします……テンション高いね、こーこちゃん』

 

『そりゃあ今日は話題沸騰中の現役高校生最強雀士がゲストだからねー、ではではどうぞ自己紹介を!!』

 

『えっと……IH個人優勝の須賀京太郎です?』

 

…………うん、どうしようかこのテンション。

 

俺は今IH個人優勝を果たした後にオファーの来たラジオ番組に出演している。

 

すこやん経由でオファーが来たので承諾したのだけど、司会の人のテンションにどうしたら良いのか分からず困惑気味だ。

 

メディア露出自体あまり好きでは無いのだけど、すこやんに頼み込まれて仕方なしに出たラジオ番組、簡単なトークだけだからと言われ了承したのだけど、なんとなーく嫌な予感が……。

 

 

『いやー須賀選手、IHは圧倒的でしたねー、並み居る雀士や強豪校をちぎっては投げちぎっては投げ!! 世界大会にも出場決定している様ですが感想を一言!!』

 

目をキラキラとさせながらフリを投げて来た福与さん、チラッとすこやんを見たら口パクで『ふつーにお願い!!』と手を合わせながら言っていたので模範的な回答をしておこうかな。

 

『中学の時も行ってますので緊張は無いですね、何時も通り万全な調整をして全力で勝つ、それだけです』

 

『おおー何という王者の発言!! いやー現役最強は伊達じゃないですねー、どうすこやん? 20年前のすこやんとどっちが強いの?』

 

『10年前だよ!!』

 

結構食い気味に訂正をしているすこやん、考えたらすこやんとも十年来の付き合いになってる訳で、俺は思わず『すこやんも遂に年齢を気にするようになったのか……』と呟いてしまった。

 

その瞬間、福与さんの目が光る。

 

 

『おや? 二人はプライベートでも付き合いがある様ですね、これはまさかまさか!? 20歳差の年の差恋愛なのかー!?』

 

『まだ28だよ!! アラサーだよ!! って何言わせるの!?』

 

『えっ? すこやんと? 俺が? ハハッ無い無い、絶対無い。 だってこの人のダメな部分山ほど知ってるんだぜ? 美人なのは認めるけどなんならまだ初対面の福与さんの方がまだ可能性あるから』

 

『おおーっと? コレは意外な発言!! 須賀選手は年上もイケる口でしたー!! ただしすこやんは除く』

 

『なんでさ!?』

 

何だろうこのラジオ番組、ひたすらすこやんからかう枠なのだろうか? やばいちょっと楽しい。

 

『もーっ、こーこちゃん早くお便りコーナー行って!!』

 

『はいはい、じゃあお便りコーナーに移りまーす!! このコーナーではゲストの方への質問等のお便りを読み上げるコーナーです、じゃー早速一通目!!』

 

 

そう言って彼女が取り出した葉書には『須賀選手は麻雀を覚えた時、真っ先に何を覚えましたか?』と書かれていた。

 

文面を読み上げた彼女はそのままマイクをこちらへ向け、『ご回答を!!』と振ってきた、すこやんを見ても何の反応もなかったので普通に答える。

 

 

『イカサマですね、イカサマ』

 

『…………はい? 今、なんか凄い事が口から飛び出した様な』

 

『き、京太郎くん? あの、冗談だよね?』

 

『えっ? マジな話ですけど? ああ、因みに1番真っ先に覚えたイカサマは––––』

 

『に、二通目!! 二通目に行きましょー!!』

 

 

一番に覚えたイカサマは元禄とかの積み込みなんだけど、その事を話す前に話を強引に打ち切られて二通目に移行した。

 

二通目、文面は平仮名で『すがせんしゅはどうしてつよいの?』と書かれていた、差出人は小学生らしく少々拙い文字だった。

 

 

『…………倍満やら三倍満やら役満やらを執拗なまでに直撃させられたり、立直直後に暗槓されて和了牌純カラにされたり、手牌全部ロン牌化されたり、槓ドラ4槓ドラ4槓ドラ4嶺上開花のお手軽役満責任払いさせられたり、問答無用の豪運で何やっても勝たれたり、対面が射殺されたり––––』

 

『す、すこやん、この子闇深い、闇深いよ!!』

 

『あ、あはは、あは、次行こうよ、次!!』

 

 

無邪気な子供の質問が俺の遠い過去を掘り起こす、今は平気とはいえトラウマだった物だ、物凄く遠い目をしてたのだろう、司会者二人がまた話題を打ち切った。

 

つかアラフォー、何自分は無関係装ってんだよ、あんたも俺の今の人格形成した一人だからな? 先生一号と対局してるあんたは『手加減?何それ美味しいの?』状態だったじゃねーかよ。

 

そんな思いを込めたメンチビームですこやんをいじめていると、三通目の読み上げに入っていた。

 

 

『ズバリ!! 麻雀打っていて負けた事有りますか? おおー、公式戦無敗の少年の敗北経験が聞きたいと言うお便りですね、でも須賀選手の強さなら負ける事なんて殆ど無いですよね?』

 

『麻雀教えてくれた師匠達には未だに勝ち星0です、つかあの人らの攻略に俺は十年は掛けてるんだぞ!! なのに攻略される側が攻略法を攻略するって何なんだよ!? あの人らに勝つよりIHの選手全員相手に無放銃勝利する方が絶対に楽だよ!! なんなら今年の冬と来年にやってやろうか!! こっちとら十年負け続けなんだぞ? 十年だぞ!? 十年!! いい加減勝たせろよ!! 麻雀を楽しむのは勝つついでなんだよ!! 勝利前提の楽しみなんだよ!! 負けたら楽しむもクソもあるか!! 負けても楽しかったとか思う様な負け犬に成り下がったら包丁で首掻っ切っるかチャカで頭ブチ抜いて死んでやるわ!!』

 

 

『どうしよう、すこやん、なんか溜まってたみたいてか、めっちゃ闇深いよこの子……』

 

『相当ブラストレーション溜まってたんだね……』

 

 

俺が色々とアウトな事を喋り散らす前に福与さんが何かを察したのかお茶の間にCMが流れ、無様な姿が公共の電波に乗る事が無かったが、穴があったら入りたい気分になった。

 

…………相当溜まってたんだな、俺。

 

一応4通目もあったのだけど、それは福与さんの起点でお蔵入りした、内容は『麻雀で一番嫌な事は?』と言うもの、多分負けに関しての話になるし、さっきの続きになるだろうから普通にお蔵入りしてしまった。

 

 

『さ、さあ!! 気を取り直して私からの質問!! すこやんとは何時から、そしてどのくらいの付き合いですか!!』

 

代わりにと言ってはアレだけど、四つ目の質問は彼女からだった、別に今回はNGワードが入ってる訳じゃないのでありのまま答えた。

 

 

『十年前にすこやんが俺の麻雀の先生にボッコボコにされて、その人に惚れたのがきっかけですね、その後ストーカー化したすこやんが俺の授業に乱入して––––』

 

『ちょっ、京太郎くん!? それはダメな奴!! しかも私ストーカーじゃないから!! 傀さんは嫌がってなかったもん!!』

 

『いや……あの人は、ほら、人間じゃない可能性が濃厚だし……そもそも眼中に無いどころの話じゃ……』

 

『だ、だって、何時も私と対局してくれるよ!? それはほら、私が特別な存在って事でしょ? つまり両思いだから!!』

 

『絶対それ、言ってて苦しいって分かってるだろ、つかあの人最近はまた阿知賀の赤土さんで遊び始めたみたいだし、別にすこやんが特別って訳じゃ……』

 

『ごめん、こーこちゃん、奈良行ってくるね?』

 

『わーっまったまった!! 番組ほっぽり出して何処行く気なの!?』

 

『離してー!! もう三ヶ月くらいあの人に会ってないんだよ!? 今傀さんは奈良に居るんでしょ!? 絶っ対に打ちに行くのー!! こーこちゃん、はーなーしーてーよー!!』

 

『うん、やっぱこの人イマイチ尊敬出来ないわ』

 

 

後にこの回は伝説の放送事故回として有名になるのだけど、この時の俺は知る由もなかった。




誰一人幸せになれない回でした(白目

傀がレジェンドで遊び始めたのはIH後に立ち直ったレジェンドと打ちたくなったから+京太郎経由でこの情報を知ったであろうすこやんとの次回の対局で彼女に本気以上の実力を出させる為、とかだったら面白いけど真実は気まぐれ(震え声

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。