須賀京太郎の麻雀日記   作:ACS

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最近出遅れ気味のヒロイン、咲さん視点のお話。

外伝の次はモモ辺りかな。


雀鬼の隣人:宮永咲

??日目 幼馴染の男の子

 

 

私が京ちゃんと会ったのは小学生の頃でした、当時の私は家族麻雀でお年玉を取られたりしていてあまり麻雀が好きではありませんでした。

 

しかし、そんな時に我が家に来たのが京ちゃんでした。

 

 

『ごめんくださ〜い、あの、隣の家の者ですけど……ま、麻雀打ってくれませんか?』と言うのが彼の台詞で、今とは全然違っていてかなり遠慮しながらだったと思います。

 

お父さんとお母さんが留守だったから、仕方なく私とお姉ちゃんとで三人麻雀をする事になったのですが、彼と対局していると±0にする事が出来ませんでした。

 

負けたらお金を取られ、勝っても怒られる私は必然的に勝ち負けの無い打ち方をしていたのですが、半荘一回打っただけでその打ち方を見抜かれてしまったのです。

 

 

………今の彼に同じ事したら多分一瞬で潰された上に完全にやり返されそうだけど、当時の彼は人間だったから。

 

半荘二回戦目の南4局、その時確か京ちゃんが立直宣言をして私の±0の条件を嶺上開花で和了する事、と言う風にして来たんだったと思います。

 

何もその事に疑いを持たなかった私は次巡にツモった発を暗槓して……国士無双を直撃してトビました。

 

槍槓された事が全く無かった訳では無かったのですが、私の±0を利用して役満を和了されたのは初めてでした、それも一回や二回なら兎も角、それ以降も私の加槓を槍槓する様な打ちまわしをされて自分の麻雀を打たせて貰えませんでした。

 

 

何度目かのトビで遂に私は泣いてしまい、その所為で京ちゃんはお姉ちゃんに叱られてしまってました。

 

泣き止んでから最後の一局を打った時、京ちゃんの捨てた牌を槓したら手牌に槓ドラが乗って数え役満になって、更に嶺上開花を和了って責任払いさせる事に成功して京ちゃんに勝てました、その時初めて『やった!!』と麻雀を打って大喜びした瞬間でした。

 

 

その一件の後、ほぼ毎日京ちゃんは我が家に顔を出して麻雀を打ってから帰って行く様な生活を送ってました。途中からお菓子とか本とかを一杯買ってきてくれるので当時はそれが目当てな部分もあって京ちゃんと打ってました。

 

 

けどそんな日々も長くは無く、彼が雀鬼と呼ばれ始めた頃から京ちゃんは麻雀を打つ時は人が変わってしまう様になりました。

 

勝ち以外に何も見ていない、ずっと卓上にだけ集中して、昔の京ちゃんの面影は何処にもありません。

 

でも私もお姉ちゃんもそんな京ちゃんから離れる事は無く、今でも普通に卓を囲んでいます。 …………今の私じゃもう全然歯が立たないけどね。

 

 

勝利に拘って拘って、その結果京ちゃんは強くなり過ぎました、同年代で勝てる人はもう居ないと思います、下手をしたらプロだって勝てるか怪しいくらいに。

 

暴力的で魅力的な魔性の麻雀、それに惹かれる人も恐れる人も沢山居ます、けど彼が打ちたい時に一緒に打ってくれる人は本当に少ないです。

 

 

……だから、私は彼とずっと打つ事に決めたんです。

 

きっかけは覚えて居ません、毎日顔を合わせて麻雀を打って、日に日に強くなっていく京ちゃんを見て自然と好きになっていました。

 

好きな人の為に強くなる、それで彼が好きなだけ麻雀を打てるパートナーになる、それが私の夢。

 

 

…………けど京ちゃん、私生活が結構ダメダメ何だよね、一週間もしたらお部屋散らかっちゃうし、おばさん達が留守の時も私が作ってあげないと三食炒飯だったり外食三昧。

 

だから其方の面でのパートナーになっても良い、よね?





サキーは話外で主に私生活面でのサポートしてくれてます。

具体的には

・両親不在時の料理や掃除。

・京太郎の崩壊した金銭感覚での買い物に御説教。

・代打ちとかで殺伐とした心をポンコツパワーでリフレッシュ。

・何年も一緒に打ち続けてくれる幼馴染、しかも実力は上位に入るレベル

・代打ち業に勘付いて居るが敢えて触れず彼の表の日常を壊さない様に心掛け。

などですね、京太郎の両親も公認してますので外堀自体は割と埋まってます(白目

あと舌と胃を掴まれても居ます。

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