須賀京太郎の麻雀日記   作:ACS

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十頁目

十日目 湯けむり麻雀地獄

 

 

疲れた、今日はその一言に尽きる。

 

 

徹夜で博打して何とか500万、社長麻雀の賭場に乱入して無理やり毟れた、本当に山か海に埋められる一歩手前だった……。

 

稼いだ後に『冗談だったんですが……まさか本当に用意するとは』と笑われながら江崎に頭撫でくりまわされた、今度から奴のコーラにはメントスしこんどいてやる。

 

完全に日が昇ってるので寝る気にもなれず部屋を出た、一泊二日だったのに一睡もしてない悲しみ、絶対今度個人で来た時に堪能する。

 

そんな事を考えながら和菓子屋でお土産を選んでいたら何故か先生一号が歩いていた、マジであの人神出鬼没だな。

 

徹夜明けの妙なテンションで食って掛かった俺は、遠くに見えている山まで競争して負けた方が勝った方に100万渡すと言う勝負を吹っかけた。

 

先生は『その勝負受けましょう』とニヒルに笑いながら歩き出し始めた、冷静に考えたらなんであんな事言ったのか分からん。

 

 

全力で走っていた俺はゆっくりと歩いてる先生を背後に見ながら勝ったな、と内心で思っていた。

 

しかし途中でジャージの女の子とぶつかってしまい、勢いを無くしてしまった。

 

謝り倒し、周りの雰囲気から地元の子だと察したので、つい指定の山までの最短距離を聞いていた、後で聞いたら凄く必死だったとか。

 

 

なんだかんだ意気投合し、珍しく視界から外したのにまだそこにいた先生を置き去りにしながらその子に手を引いて貰ってその山にまで向かった。

 

 

初めて先生に勝った、そう確信していた俺だったが山に着くや否や『御無礼』の何時ものセリフが聞こえてしまった。

300メートル程後方に居たのにどうやって抜いたんだよ……。

 

しかもさっきの御無礼でお地蔵さんが同時に三つ割れたし、良く良く見たら先生どっから持ってきたのか分からない麻雀牌で役満和了してるし。 …………地蔵と麻雀打ってたのか? 出来ても違和感無いのがなんとも言えねぇ。

 

ジャージの子もポカンとした顔で放心してる、良かったこの状況をおかしいと思ってるのは俺だけじゃなかった。

 

負け分の100万を支払った後、俺はジャージの子に連れられ阿知賀こども麻雀クラブに連れて行かれた、麻雀打てるって話したら一緒に打とうってなって有無を言わせずGO、実にエネルギッシュである。

 

 

高校の教室を使って行われているその麻雀教室は俺の知ってる麻雀教室とは180度どころか540度違った、上家も下家も射殺されないし、倍満役満でミンチにされない、至って平和な世界だった。

 

思わず泣いてしまったのは悪くない、弱い者いじめなんて無かったんだ!!

 

 

とか思って張り切って打ったらドン引きされかけた、ジャージの子が素直に『凄く強いね!!』って言ってくれなかったら雀鬼呼ばわり再びだった、この子マジ天使。

 

その後はこの教室のナンバーワンと打つ事になったんだけど、必ずドラを引く子みたいだったから槓連発して手牌全部ドラに変えたら泣かれた。

 

…………言い訳させて貰えるならさ、俺如何にも楽しむより勝つ方に思考が偏ってるんだよ、うん。

 

だからそんな全てのドラが集まるとか言われたらさ、ドラポンさせて槓連打でドラ吐かせたくなるじゃん? ドラ加槓とかされたら槍槓したくなるじゃん?

 

それやり過ぎた、なんとも言えない空気になったから『やっぱり俺といると麻雀楽しくないよな』って零して帰ろうとしたらさ。

 

 

『此処に赤土さんが居ると聞きましたが、打てますか?』とか言いながら大魔王登場、速攻で席に座り直して『先生!! 打てないっす!!』とか言ったんだけど、ドラ置き場さんが離席、慰める為にドラ置き場の対面が離席、マズイと思った時には既に遅く、あれよあれよと打つ流れになってしまった。

 

何を思って狩りに来たのかは分からない、けど確か赤土さんはチャンプに跳満だったかをぶちかましたとか言う話をさっきの局に聞いていたので、多分それ聞いて遊びに来たのだろう、遊び感覚で人間一人ドン底に落とすのは辞めて下さい。

 

 

対局は俺の親で始まった、実を言うと東1から対面のジャージちゃんを飛ばす気だった、彼女には悪いけど傷の浅い内に終わらせる為に。

 

けどそんな時に限って手が重く、先生に早和了されてしまった上、サクサク赤土さんを和了させるもんだから徐々に仕上がり始めてる。

 

何故か何時もよりは先生の仕上がりが若干遅い気もするけど、それも誤差程度。御無礼度が100%か99.99%の違いでしか無い、最悪俺が赤土さんに差し込んで飛ぶって手もあるが何かしら対策されてそうだ。

 

 

俺に言えるのは御無礼ラッシュに耐えて下さいレジェンドさんとだけだ、点棒差は俺と先生の分ぴったり5万点を加算して7万5000、何発耐えれるんだろ?

 

とか考えていた矢先に始まった連荘、此処では八連荘は認めてないみたいだけど、先生がやったのは色んな役で和了するだけ。

 

簡単に言えばそんだけだけど、立直、から始まって俺が飛ぶ自摸和了以外の役を徐々に和了されて行く恐ろしさ、理想的な断平三色も当然出たし、純全帯平和二盃口見たいな滅多に出ないような和了もし始めた。

 

ジワジワ嬲り物にされ始めて涙目になり始めた赤土さん、このまま続ければ折れると確信した俺はツモの際に数牌山から引き抜き多牌を使ってジャージちゃんから和了って何とか終わらせた、先生にはがっつりバレてるから後で100%ミンチだわ。

 

 

その後は挨拶もそこそこに帰宅、帰りの電車で又江崎に笑われた、と言うか『いやァ須賀さんも隅に置けないですねぇ』とか言って終始揶揄われた、せめてあんたが居てくれたら未だ楽だったんだよ!!

 

次の麻雀教室は俺の虐殺ショーになるから今日は寝る、ポンコツ姉妹への土産は明日にしよう。




傀さん阿知賀に乗り込みレジェンドのトラウマを掘り起こす。

傀さん的にはすこやんに一発当てたレジェンドで遊んでただけと言うね(白目

チョンボ宣告で流す事も京ちゃんは考えましたが、フリテンチョンボしようにも手はバラバラノーテンリーチも点棒ゼロじゃ無理、故に多牌で和了しました。

尚、次の教室で虐殺不可避な模様。

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