しかしその思考回路は殆ど世捨て人。
京太郎「金? タダで全部やるよ、高レート紹介? 寧ろ俺が教えて欲しい位だ」
みたいな?
十五日目 牌を喰う閃光
辛気臭い顔をしながらジッと卓を見つめる先生二号、今週末には後堂と一緒に大阪まで代打ち勝負に行かなくてはならない、だから今日のコレはその為の調整と言うかその為の勝負。
先生二号とやる時は『副露して倍満以上の手を作って和了する』と言う条件を自分に付けて打ち回している、そうなると必然的に役が絞られてしまうが、それを乗り越えて和了しなくてはこの人の領域には踏み入れない。
更に付け加えるならサイドテーブルに一千万程を置き、倍満を和了出来なかった場合その点数がそっくり罰符となり、千点一万の支払いを行ってこの金が尽きる迄に何度倍満を和了出来るかと言うゲームを行っている。
チーを二回、123と789の哭きで一気通貫と役牌ドラドラ、混一色一気通貫役牌ドラドラ、コレでもまだ跳満。
後二翻、ドラを乗せた上で嶺上開花か役牌落として清一色に染め治すか、少し悩んだけどツモった役牌でそのまま槓をする。
新ドラは乗らず嶺上開花は成功したが残念ながら跳満止まり、目標の点棒に達成していないため逆に12000と6万-3万を支払い、黒棒を積んで一本場、親は先生二号。
倍満狙いなら嶺上開花は見送るべきだったけど、ソレを許可してしまったら幾らでも引き直しが出来てしまう。
だから俺は安目高目関係無しに和了れるなら必ず和了する事に決め、一発で倍満を和了する事に決めていた。
先生二号がサイを回そうとしているが、上家下家のおっさん達が俺の渡した札を拾おうかどうか迷ってモタついていた。
『ぼ、坊主、本当に良いのか?』とか『あ、後で返せって言われても返さねぇぞ?』とか、的外れな事を言ってやがった。
『別に良いんだよ、金に拘った事はないし俺が欲しいのはこんな紙切れじゃない、此奴で買えない物を手に入れる為なんだ。 俺が倍満ツモった所であんたらに払えなんて言わねぇよ』そう言い返しておっさん達を黙らせた後、サッサと続行させるために+三万づつ渡して続行した。
金で運は買えず、センスも買えない、俺が欲しいのは勝利のみ、決してこんな紙切れじゃない、こんな物で買える様な安っぽい物じゃない。
機械的な洗牌の音を聞きながら理牌、么九牌がある程度集まっているので混老頭や清老頭を見つつ客風を落としながら中張牌を整理していった。
巡目も折り返しになった辺りで二副露、九筒、九萬をそれぞれポンし、九索暗刻からのオタ風と一索のシャボ待ち、また跳満確定の手だが、聴牌後に引いたツモが生牌の三索だった。
一索を切って嵌二索に受ける事も出来るけれど、俺はそのまま三索を切った。
『––––槓』
三索が閃光と共に先生二号に哭かれ、新ドラに九筒が乗る。
『––––槓』
四索が暗槓され、新ドラに九索が乗る。 俺は牌を伏せ、点棒と支払いの準備をする。
『––––槓』
六索暗槓、新ドラ九萬。
『––––ツモ、緑一色』
先生二号は発をツモり、緑一色を和了った。
結局手持ちの金が尽きるまでに、倍満聴牌に漕ぎ着けたのはこの一局のみだった。
※京ちゃんは小学生です(白目