須賀京太郎の麻雀日記   作:ACS

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対局に入りましたが、ネリーちゃんと胴元の財布の運命は如何に(白目

京太郎は半人外呼ばわりや畜生呼ばわりから脱却出来るのか(震え声


特別賞の一部金額で基本ドルです(白目


役満賞ーその和了の点数の十分の一

箱下賞ートップがその人のマイナス分の十分の一

1発賞ー和了時の点数

連荘賞ー場数×百ドル

トップ賞ーその時の点棒の十分の一



賭け金はベースラインでこう言った賞金を稼ぐのが手っ取り早いですね(胴元潰し的な意味で


二十五頁目

二十五日目 哭きの美学 流れの極意 天運の追い風

 

 

 

卓に向かうと既に相手は着席済み、俺の椅子は北家になっている、序盤から仕掛けるつもりだったので少し残念だが時間に余裕を持たなかった自分が悪いと反省し、卓を見る。

 

サマ有りなのだから手積みかと思ったらまさかの全自動卓、まぁ燕返しとか五の二の天和とかされちゃ胴元が潰れるから仕方ないか。

 

 

親は米国人、南家は英国、西家は露助、北家に俺、ニヤニヤと小馬鹿にした笑いをする米国人が『ボウヤのおててで牌が摘めるのか?』と言って大袈裟な態度で笑い、他二人もそれに続けて『所詮ジャップだもんな!! おままごとの牌しか摘んだことねーんだろ?』と露助が続けて来た。

 

世界レベルだと思って勝手に買い被っていたかと軽く失望したと同時に、人種で人間を見下す三流以下共とまさか同卓になるとは思わず、サッサと終わらせて帰りたくなった。

 

卓に座ったにも関わらずサイを降らず、挑発を続けてくる三人に『差し馬を握りませんか?』と言って手の平をパーにして見せる。

すると食い気味に三人は了承、気の利いた事にサイドテーブルに置かれた差し馬を行う事に同意する内容の契約書を書かせる、レートも聞かずにサインするとはよっぽど俺を舐めているのだろう。

 

全員がそれを書き終えた後、係員に書類が渡った辺りで『ではレート1,000点 5万ドル、確かに同意して頂きましたよ?』と言って反応を見る。

 

米国、露助はその瞬間『1,000点500ドルじゃ無いのか!?』と言う甘い勘違いを晒してくれた、それは平均した相場であって決まりじゃない、レートを聞かないあんたらがマヌケだったんだよ。

 

しかし、英国が黙っているのでどうしたのかと思い、顔を上げると慌てて目を逸らされた、青い顔をしていたし嵌められた事がよほど効いたのだろう。

 

 

時間が押している為そのまま対局開始、だがぬるま湯で満足している代打ち共と胴元には痛い目を見せるつもりの俺は東1局から仕掛けて行く。

 

対面の吐き出した一筒をポン、その際に現在不要な牌を握り込みポン牌を回収する際に次の親のツモとすり替える、抜いた牌は四筒、仕込んだ牌はドラの五筒。

 

親がドラを手中に入れる、ラッキー位の感覚でしかないのだろうが、果たしてそれは本当にラッキーなのかな?

 

続く対面が吐き出したのは一萬、それを槓して嶺上ツモ一索を暗槓し、二枚目の嶺上ツモ一筒を加槓、ツモって来た嶺上牌を手中に入れながらドラを切る。

 

そして新ドラをすり替えるふりをして其方に意識を持って行かせた後、親が鳴いた次の巡目にツモる牌を再びすり替え、更にもう一枚索子の染めて気味の西家のツモにドラを仕込んで吐き出させて親に鳴かせる、新ドラは一筒、一筒、五筒、すり替えて来た牌六筒で嵌五筒聴牌。

 

何と言うかぬるま湯に浸る事にムカついた瞬間、どうすれば此奴らを潰せるのかと言う事を悟った気がする、少なくともハンギング0の時かそれ以上の冴えだ。

 

 

次巡、親が加槓した五筒を槍槓、王牌に伸ばした手の隙間から見える四筒から更にドラを乗せようと欲張ったのだろう、浅はかな。

 

槍槓 三色同刻 三槓子 ドラ10の二翻お釣りの数え役満、早速役満賞で有る3200ドルが俺のサイドテーブルに積まれ、差し馬相手から160万ドルを奪い取る。

 

局が始まった際にはジャップジャップと煩かった三人はこの和了で一気に静かになり、会場も沈黙してしまう。

 

特に役満に振り込んだ米国は顔が青くなっている、ぬるいレートで博打を打つからそうなるんだよ。

 

その怯えが俺の知っている一流と余りにもかけ離れた姿だったため、『皆さんは、命を賭けた事が有りますか?』と聞いてしまったが、あまり口を開くと言葉が白けてしまうので返事は期待せずにサイの目を見つめる事にした。

 

 

対面の親、この男は先ほどから俺の目を見て震えながら牌を切っている、子供に気圧されるなんて玄人の名前なんぞ返上してしまえよ。

 

そう思いながらツモった八索を暗槓、新ドラは東、嶺上牌は六索、更に暗槓、新ドラは東、そして二枚目嶺上牌東を切って立直、手中に握っている七萬を合わせて三暗刻の二筒単騎待ち。

 

ドラ切りリーチにビビったのか米国は東を切る、続く英国は手中の牌の上で手を彷徨わせ、目を瞑ってランダムに選んだ牌を切った。 その牌は案の定二筒、リーチ一発三暗刻、789の面子が一つ有るので断么は付かず満貫。

 

あからさまにホッとした英国が『んだよ、ビビらせやがって』と言ったのに対し、やはりぬるいなと思いながらその言葉を訂正してやる。

 

『いいえ、役満です。 もう一つの暗刻は此処に有りますので』そう言って、俺は裏ドラを捲る。

 

捲った裏ドラは全て六萬、つまり七萬の暗刻にドラが全て乗り立直一発三暗刻ドラ9の数え役満。

 

対面からの差し馬160万ドルと、役満賞の3200ドル、一発賞の32000ドルが更にサイドテーブルに積まれ、現在323万8400ドルが積まれている、心なし係員の顔が青かった。

 

東3局、親は露助。 二度の役満で完全に仕上がった事と、ワシズさんの天運が俺を勝たせようとしているのか、人和を露助から和了。

 

差し馬160万ドルと役満賞3200ドル、サイドテーブルにはトータル484万1600ドルが積まれた。

 

代打ちのバックが金を枯らせば胴元が貸し出すだろう、ネリーにお金だけ握らせたのなら不幸な未来しか無いだろうから胴元に貸しを作らなきゃならないのだ、彼女を守らせる為に。

 

その為にはまだ足りない、命の一滴まで絞り出して貰う。

 

東4局俺の親、配牌から既に国士無双13面待ちを聴牌、一発賞が付くので立直、代打ちが吐いたロン牌を見逃して一発ツモ、親のW役満で32000オール。

 

差し馬相手からトータル480万ドル、胴元から役満賞として9600ドル、一発賞で96000ドル奪い、これで974万7200ドル、計算が面倒になって来た。

 

代打ちの顔が青を通り越して白い、恐らくは金が尽きたのだろう、係員が何かにサインを書かせて行った。

 

連荘開始の一本場、3巡後に四暗刻単騎を聴牌したが4巡目にツモった槓材で暗槓、嶺上牌全てが槓材だった為流れる様に連槓、単騎になった所で立直を掛けて一発でツモる。

 

立直一発四槓子四暗刻単騎、一本積んでるので48100オール、差し馬相手から計720万と役満賞14430ドルと一発賞144300ドル計算が面倒になって来たので数えるのを辞めた。

 

二本場、6巡目に大四喜和四暗刻単騎をツモ和了、64200オール、差し馬相手から計960万、胴元から役満賞19260ドルと一発賞19万2600ドル。

 

三本場、米国の馬主らしき人物が土下座して来たが無視、4巡目に字一色大四喜和四暗刻単騎をツモる、80300オール、差し馬相手から計1200万ドル、胴元から役満賞24090ドル、一発賞で24万900ドル。

 

四本場、英国が逃げ出そうとしたので首を鷲掴みにして爪を立てながら着席させた、12巡目で字一色大四喜和四暗刻単騎四槓子をツモ、96400オール、差し馬から1440万、胴元から28920ドルと28万9200ドル。

 

五本場、露助が銃を取り出して頭を撃ち抜いたが純正九蓮宝燈ツモ、32500オール、差し馬から480万、胴元から9750ドル、97500ドル。

 

六本場、死体が出来た事で中止を宣言されかけたが字一色大三元四暗刻単騎をツモ和了り黙らせる、差し馬から960万、胴元から19380ドル、19万3800ドル。

 

七本場、今度は米国が逃げ出そうとしたので眉間に露助の銃を突き付けて座らせたが英国が自分の喉をナイフで切って自殺した、小四喜和字一色四暗刻単騎をツモ、差し馬相手から960万、胴元から19410ドル、19万4100ドル。

 

八本場、サイを回して居る時に米国が頭を撃ち抜いた、胴元の人間が銃を俺の頭に突き付けて来たけど『この大会では天和と四暗刻単騎は重複しましたね?』と言ったら腰を抜かしてしまったのでそのまま和了、天和八連荘大四喜和字一色四暗刻単騎、七倍役満。

 

差し馬から1680万、役満賞で33600ドル。

 

『他家が続行不可能ですので箱下賞16万1280ドルと、トップ賞の17万1160ドルを今迄の勝ちに乗せて9560万0880ドルの支払いですね』

 

返り血に塗れた顔で振り向き、腰を抜かしている胴元に金を要求すると、彼らは慌てて金を用意しに行きこの大会は終了となった。

 

僅かに胴元の崩壊に届かなかったが、目的は達成した。

 

彼女の手にある大金ならば安全な土地に移り住む事くらいは容易いだろう、いざとなったら地元の警備会社や裏稼業の人間に金を積めば済む話だしな。

 

返り血を拭いながら俺は会場を後にして、賞金の半分を注ぎ込んでネリーの家族とその周辺の安全を買ってから帰国した。

 

帰りのフライトで白服から挨拶しなくて良かったのかと聞かれたけれど、茶化す様に『俺は魔法使いですからね、ふらっと消えちまったほうがらしいでしょ?』と言って誤魔化しはしたものの、今日の対局でやはり俺は雀鬼なのだと理解させられてしまった事と、安っぽい言葉を交わしてサヨナラする気に慣れなかったのが本音だった。

 

 

…………賞金は残り大体4280万ドル、日本円で大雑把に計算して42億8000万位か? どーすんだよこんな金……。

 

 




雀鬼モード+竜の哭き+傀の御無礼+鷲巣の豪運が合わさった結果がコレだよ!!(白目

胴元は首の皮一枚繋がりました、ネリーちゃんは家族ごと安全な土地に引っ越す事になりました&魔法使いさんが王子様になりました。

海外だから死人の一人や二人見てると思うからそれほどネリーちゃんにトラウマは無いです、むしろ雀鬼化した京太郎の命を賭けた闘牌に魅力されました。

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