須賀京太郎の麻雀日記   作:ACS

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最近思った、コレかなり邪悪なヒカルの碁だわ(白目

カイとサイで語呂も似てるしね(白目


三十四頁目

三十四日目 阿太峯の悲劇

 

 

松実館に泊まった翌日、朝から憧が迎えに来てくれた。

 

けどさ、なんで戦場に行く兵士みたいな顔付きなんだよ、親善試合みたいなもんだしそんなに気張らんでも……。

 

徒歩で阿太峯中に向かいながら憧と話をしていた、基本的にメールのやり取りくらいで直接会うのは久しぶりだから綺麗になったなーとか褒めてたら『あんたのそれ、口説いてんの?』とジト目で睨まれた。

 

素直に褒めただけなんだけど、とか思ってると『だからタチが悪いのよ』と見透かされた様に言われた、解せぬ。

 

 

朝早い時間だったのでコンビニで摘める物を二人分買ってから移動してると、ちらほらと部活に行く学生の姿が見え始めた、俺も一応中学校では麻雀部に入ってるけど大会や試合の日以外は気が向いた時に来いと顧問に言われているので何だか罪悪感を感じてしまった。

 

 

『そう言えばさ、あんたの所の麻雀部、良くあんたを入れる事が出来たわよね』ともふもふと憧が買ってあげた肉まんを食べながらそんな事を聞いてきた。

 

ウチの顧問はなぁ……『雀鬼? ならお前大将な? おーいみんな〜、幾ら失点しても此奴が居るからチャラだぞ〜』とか言ってるからなぁ。

 

 

そんな事を考えていたらいつの間にか阿太峯中に着いていた、ひそひそと『彼が噂の新子の彼氏……』『ヤダ、イケメン……』『負けた……新子狙ってたのに』とか色々聞こえたが気にしないで麻雀部の扉を開いた。

 

 

阿太峯のエース小走やえとの対局、彼女は既に椅子に座っていて、『挨拶は抜きにして早速打とうか、雀鬼どの』と対局を促してくれた。

 

お言葉に甘え、席に座る。

 

上家は憧の友人で下家が憧、対面が小走やえ、実質3対1ではあるけれど誰であろうと勝つ。

 

雀卓を前にし、自分が変わるのが分かる、ゴルフやスポーツに熱中すると人が変わるって人がいるけど、多分俺もその部類なんだろうな。

 

胸ポケットのサングラスを掛けてサイを回す、起家は俺、ドラは東、珍しく親のスタートとなったが、何時も通り見に回り、動く気は無かったけど配牌は悪くない、流れも平たいので動けば食える、普段通りの麻雀も良いけど偶には合わせ技も使ってみたい。

 

そう思い、今の俺が全力で仕掛けたら何処まで行けるのかを確かめる為、第一打から東の対子落としを始める。

 

 

周りのギャラリーや対面上家は鳴けば満貫確定のドラ落としに良い顔をしなかったが、憧は『初っ端は見じゃなかったの……』と涙目で零しながら牌を切っていた。

 

そして3巡目に彼女が切った五萬をポン、么九牌を整理して対面から断么のみで和了する。

 

初心者染みた鳴き麻雀で二本場三本場と局を重ね、四本場に失望した様子の小走の顔を見ながら彼女の倍満手に一旦差し込む。

 

流れを大きくする為、彼女の持つプライドを食う為、敢えて調子をつかせる為に差し込んだ倍満、俺の流れを食ったからか裏も乗って三倍満。

 

対面の小走は溜息を吐きながら『この程度か……』と言い、『その程度の打ち筋では王者は倒せん!!』と意気込み、流れに身を任せながら高い手を和了して行く。

 

面白いくらいに牌が来るんだろうな、自分が必ずツモると確信してのリーチ、『長野の雀鬼敗れたり!!』と言うセリフと共に周りが湧くが、ただ一人憧は『あっ、これダメだわ』と言っていた。

 

 

その憧の感の通り、俺は小走の吐いたリーチ宣言牌二筒を槓、小走の顔から笑顔はまだ消えない、続けてツモった嶺上牌を連槓して嶺上開花、新ドラは二筒、北、北、役は嶺上開花 三色同刻 対々和 三槓子 三暗刻の北単騎待ちのドラ6。

 

二翻お釣りの数え役満、小走やえの顔から笑顔が消えた。

 

 

『ちょ、ちょっと待ちなさいよ!? それ元々四暗刻単騎待ちだったんじゃないの!? 何で鳴いたのさ!!』

 

 

上家がそう言って俺の手に文句を付けるが、そんな流れだったからとしか言いようが無いので無言で返してオーラス。

 

4巡目に小走の吐き出した三索をポン、鳴いた牌を横に晒した瞬間誰かが『今、光らなかった?』と零し、憧がそれを聞いた瞬間降りた。

 

6巡目、小走先輩が吐き出した六索を槓、その瞬間『まさか……』と零していたが、もう遅い。

 

嶺上牌は八索、暗槓して二枚目の嶺上牌を四索を連槓、三枚目三索、加槓して嶺上牌発を嶺上開花で自摸和了。

 

『御無礼、自摸りました。 役満の重複はアリでしたので緑一色四槓子の重ね役満64000の責任払いで小走さんのトビ終了ですね』

 

 

湧いた熱気が一気に冷め、憧以外の全員が信じられ無いような物を見る目で卓上を見ていた、憧の『だから呼びたくなかったのよ……』と言う言葉だけが虚しく響いた。

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