須賀京太郎の麻雀日記   作:ACS

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前回のよりん虐めると言ったがありゃ嘘だ、のよりん戦は次回に回します。

何度目かの傀戦になっちゃったからだよ(白目


四十五頁目

四十五日目 VS神出鬼没なあのお方

 

 

長旅の疲れもそこそこに晴れて新道寺に着いた俺だったが、何だかイベント会場の方が騒がしい。

 

廊下に置かれた『野依理沙プロと対局しよう!!』と書かれた看板の通りに進んでいたらあのセリフが聞こえて来た。

 

『御無礼』

 

そっと覗くと野依プロが先生に狙い撃ちにされていた、そりゃあもう気の毒な位に滅多打ちに。

 

吸い込まれる様に先生の和了牌ばかり切っていく野依プロ、俺と打つ前に既に折れかけてるじゃねーか、この人マジで俺より畜生だわ。

 

対局が終わったのだろう、野依プロを除いた二人が抜けて空き席が二つ、野依プロは既に茫然自失状態で打てる状態じゃない。

 

にも関わらず先生は『打ちますか?』と続行する気だ、いやコレは俺に問いかけてるのか。

 

考えてみれば先生1号とは大分長い間打っていない、その為だけに態々こんなところまで来たのか……とか思ったけど俺は多分おまけだな。

 

折角野依プロと打ちに来たけど、彼女を立ち直らせる為に師弟対決をするしか無いか、いざとなったら後で連絡先貰って個人的に打って貰えば良いからな。

 

 

俺は野依プロの肩を叩いて席を代わって貰い後ろで対局を見てもらう事にして、空いた席には新道寺の麻雀部員に座って貰った、嫌々ぽかったけど多分差し勝負になる。

 

 

俺は先生の対面で起家は先生、完璧に仕上がった先生に何処まで食い付けるかは分からないけど、やるだけやるしかない。

 

 

東1局 仕上がった状態の先生だけど、序盤は今の俺の流れを見る為に見に回る、ただそれに胡座を欠いて甘い打ち筋やロン牌を吐き出してしまったら容赦無く討ち取られる。

 

背後で見ている野依プロも同じ考えなのだろうが手中全てがロン牌に見えている所為で震えてる、此処までなるとはさては先生絶好調だな?

 

そんな事を思っていると先生の第一打が三索、俺の配牌にも二枚有るので哭けるし多分緑一色まで漕ぎ付ける、けどコレを食ったが最後その後に待つのは御無礼の嵐だ、だから敢えて緑一色は捨てる。

 

上家下家の捨て牌は無視、哭きを入れるにしても食わなくてはならない相手は先生のみな為実質二人麻雀状態、俺はツモ牌と入れ換える様に発の対子落としを行う、先生はフッと笑って二枚目の三索を吐き出した。

 

俺は其れをポン、哭かれる事は分かっていた様だけどこの哭きは先生の流れを変える為の前段階、ポンの後に俺が切り出したのは二枚目の発、それを上家がポン。

 

俺のツモは三筒、入れ替える様に白を切り出して今度は下家に鳴かせる、入れ替えた三筒は暗刻になっている、三萬は対子、先生の読みなら多分既に俺が三色を狙っている事も看破しているに違いない。

 

二度他家を鳴かせた事に先生は何かを感じたのか、切り出したのは手出しの一筒、当たり前の様に清一色張ってるなこの人、待ちは3-6-9筒か? ドラは二筒だし多分あの一筒は暗刻からの切り出しと見て良いだろう、字牌を引いたか槓子が出来たかの何方かだと思いたい。

 

そして更にもう一巡、今度は三萬が暗刻になったので南を切ってもう一度上家に食わせ、中を引く。

 

この引きで俺の配牌は三萬三筒中の三暗刻、待ちは北、そして先生の読みを外すためにはこの三暗刻を利用するしか無い。 先生の切った牌は一筒、やはり対子・暗刻落としのようだ。

 

更にもう一巡、今度は北をツモ、けど俺は和了を拒否して中を落として振り聴のシャボ待ちに変える、先生の表情がほんの僅かに動いた瞬間だった。

 

そして、先生が引いたのは恐らく俺の配牌の牌の何か、ツモった後少考する様に切り出された中を鳴かず、そして三枚目の北をツモ切り。

 

その次のツモで先生は再び小考、手出しで三筒を吐き出すも俺はそれを無視してツモ切り、3度目の先生のツモ番でノータイムで吐き出された三萬を槓。

 

事前にルールを調べておいて良かったが、このイベントでは振り聴でも嶺上開花が成立する、なので嶺上開花で無理矢理ツモって先生に責任払いさせる。

 

 

王牌に手を伸ばし、其処から嶺上牌をツモって盲牌、先生とやっている時にしては珍しくそれは北、つまり嶺上開花成立だ。

 

見せ付ける様に牌を叩き付け嶺上開花対々和三色同刻をツモ、先生はニヒルな笑みを浮かべながら点棒を支払おうとしたが、まだ槓ドラを捲っていない。

 

今先生が握っている点棒は満貫分の8000点、偶に和了点を見透かされて居る時があるが今回もそのパターンらしい、けれど俺はまた別のイメージを懐いていた。

 

先生の見た流れならこの槓ドラ表示牌は外れて精々満貫止まり、だから先生も三萬を吐き出したのだろう、––––––だけど今の俺なら。

 

捲られた槓ドラ表示牌は二萬、つまり三萬がそっくりそのままドラとして乗って倍満になる、読みを外してやったぜ先生!!

 

それには流石の先生も目を見開いたが、直ぐに普段の笑みに切り替えて点棒を支払った、もう5~6年は対局し続けてるのに漸くこの人から直撃を奪えた、差し込みに近い形の物だったけど読み合いに勝ったんだ!!

 

 

 

と、思ってたら東2局に清老頭、東3局に純正九蓮宝燈を御無礼されて飛ばされた、えっ? まだこの人上があったの?

 

 

ps

 

野依さんと連絡先を交換した、イベント後に個人的に打ってくれるそうだ。




神境で神相手にしたお陰で鳴きが哭きになっており、その分ドラが乗りました、暫く見ない内に京太郎が酷く成長した所為で先生1号はその部分を読み違えました。

これにより京太郎へのスパルタ度が跳ね上がります(白目

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