……つまり個人レッスン?
五十七日目 山女?
江崎に指定された山に向かったら一瞬で遭難する事になった。
理由としては俺が山に着いた瞬間土砂降りの雨が降り始め、急いで雨宿りが出来そうな場所を探して走ったのが原因だと思う、見つからなかったから雑に埋められてたブルーシートを掘り出して簡単な屋根を作る事になったけど、そのせいで余計に場所が分からなくなった。
包まってた骨はそのまま埋め直し、雨が止むのを待ってたらガザガザと何かが走ってくる音が聞こえたので反射的に身構える、野犬ならともかく裏の人だと最悪消される可能性がある為だ。
生唾を飲み込みながら息を潜めていると、獣道の中から慌てた様にかなり背の高い女性が飛び出して来た、手に持ったカゴに山菜が摘まれていたので野草を採ってる時に雨降りに襲われたのだろう。
『わわ、ちょー降ってきたよー!!』と言いつつ俺の張ったブルーシートの下に飛び込んで来た、この人身長どんだけあるんだ? 俺の頭一つ分かそれ以上だ。
『えっと……それで君は誰かなー? この辺には私くらいしか子供は居なかったと思うけどー?』
今更?と思いつつもこの山の近くにある村に行く事が目的で、このにわか雨によって遭難してしまったと伝えると『この辺りの村って言ったら私の村しかないよー?』と首を傾げていた。
じゃあ多分その村だろう、案内を頼んだら喜んで引き受けてくれ、雨が止む迄の間お互いの事を話していた、まぁ俺が一方的に質問されて答えてた様な物だったけど。
『何処から来たのー?』とか『お名前はー?』とか、村には同年代の子供が居なくてかなり寂しいらしく、『男の子とか初めてだよー!!』と非常に嬉しそうだった。
その女性––––豊音さんは身長の割に、と言っては失礼だけれど、美人な見た目とは裏腹にとても可愛らしい性格をしていて話しているのは苦じゃなかった。
…………ただ、その、朝は晴天だったからだろう、着てた服が白いワンピースだったからか、それが雨で濡れて色々目のやり場に困った。
出来るだけ平常心を保ちながら彼女とお喋りを続けてたら好きな事の話題で麻雀の話題を出した時、それまでニコニコと嬉しげだった彼女の笑顔が曇ってしまった。
少し考えたら村の人が詐欺・窃盗の後に更に賭け麻雀で更に金品まで巻き上げられてるんだ、出すべき話題じゃ無かった、後悔するには遅く、彼女はじわりと涙を浮かべ始めた。
不安と悲しさからだろう、『おじいちゃんおばあちゃん達の大事なものなのに……なんであんな酷い事するのかな〜』と言って豊音さんは耐え切れずにボロボロと泣き出してしまった。
最近自覚した事だけど、麻雀打っている時以外の俺は女性の涙にとことん弱いらしい、特に迷う事なく彼女の涙を拭って指切りをするように小指を立てた。
『大丈夫ですよ豊音さん、貴女の為に俺が盗られた物みーんな取り返してあげますから、なんだったら指切りしますよ』
そう言って俺は彼女を慰めた、豊音さんがおずおずと指切りに応じた時には雨も止んでいた。
京太郎が山に来る→骸の何%が間接的に彼に殺害された人達+その呪い的な雨→山菜狩りと山で散歩してた豊姉とばっちり→結果濡れ透けな豊音ちゃんの完成(白目