須賀京太郎の麻雀日記   作:ACS

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70話に入ったので中学編は今回で終了となります。

なのでお待ちかね?の部長対京太郎のガチ勝負回、アニメでは同校対戦もokみたいだったからそのまま行きます。

むしろコンビ打ち前提で考えていた私がどうかしていたようだ(白目

追記

割と大きなミスがあったので個人戦は責任払い無しルールでお願いします。


七十頁目

七十日目 vs門前主義者

 

 

個人戦2日目の決勝戦、ウチの男子で決勝まで残ったのは俺と部長の二人、完全な面前主義でトーナメントを勝ち抜いて来た事からこの人も非凡な才を持って居るのだと改めて理解した。

 

今回は早めに席に着こうとしたんだけど、意外な事に既に部長が西家に座りながら瞑想して他家を待っていた。

 

挨拶は抜きにして卓上の牌を捲るとそれは東、つまりは俺の起家スタートとなった。

 

多くを語る必要は無い、彼は卓上での打ち合いにのみ意識を集中させているのだ、俺も全力で打ち返すだけの事だ。

 

 

他家が埋まって始まった東1局、ドラは発。

 

配牌を開くと東と発の対子が顔を見せるが、この時点で俺は七対子を見つつ全帯、混一色へと染める事に決めた。

 

理由としては部長の読みの精度の高さ、迂闊に鳴けば理牌していないにも関わらず手を読まれてしまい、和了牌を握り潰される。

 

流れを完全に掌握しているのなら兎も角起家スタートの流れもへったくれも無い状態から仕掛けるのは得策では無い、下手をすると彼に流れを渡したままズルズルと最後まで行ってしまう可能性もあるからだ。

 

五巡目、不要牌がある程度整理し終わって四対子、混一色に染まっては居ないがそれでも七対子・ドラ2の満貫があるので今は十分、上家下家も不要牌整理が終わった所か。

 

出来る事なら見に回りたいんだけど、部長の捨て牌が不気味な程に統一感が無い為、初っ端から仕掛けて来て居ると踏んだのである程度攻めないとならない。

 

この人は手作りに掛けては天才と言っても良い、放銃しない事にばかり目が行きがちになるけど、この人は必ず跳満から三倍満までの手を作り上げて和了るのだ、普段から満貫以下の和了には価値が無いと言っているだけはある。

 

7巡目で二索を引いて五対子、他にも二筒・二萬が対子になって居るので普段ならポンして対々和・三色同刻・ドラ2の跳満を確定させられるんだけど仕方ない。

 

9巡目に九萬待ちで聴牌、視線を上げずに三人の手元を見つつ聴牌気配を嗅ぎとられているかを見る。

 

上家下家は打牌スピードは変わらず、部長も全くと言って良いほど打牌の動きは変わらなかったけど、逆にそれが臭い。

 

読まれて居る、そう確信した俺は次巡にツモった一萬を入れ、代わりに二筒を切り出して聴牌を崩す。

 

その瞬間見計らったかの様に九萬の対子落とし、再聴牌する前に二枚枯れになってしまった。

 

読まれていたと言う考えが正解だったと確信した直後に九萬をツモ、変に待ちを変えなければと思う人も多いだろうが俺は逆に受け取る。

 

二筒を落として一萬待ちの再聴牌、後2枚落とせば混一色が付くのでダマのまま手を進めて行く、巡目も十三巡目だがこの調子なら海底までには引けるはずだ。

 

そう考えていたが、その前に部長が自摸。

 

役は自摸・清一色・七対子の倍満、俺の混一色の必要牌を半分ほど握り潰しての和了だ、捨て牌が少し露骨過ぎたかとも考えたが残りの一対子は字牌で固める予定だったので萬子はバラ打ちしている、どの時点で読まれたんだ?

 

点棒を支払い、牌を浚いながら考える。

 

先ず七対子を聴牌した時点で読まれていたのは間違い無ない、理牌しないとは言え対子の重なりはどうしても手出しで順子が落ちる、小手返しで誤魔化してもそれは分かる人だからね。

 

待ち牌は生牌全てに候補を絞りつつ俺の高目への手替りを待って割り出したか? いや、脇二人の手牌を割り出して他の候補を潰したのか。

 

上家下家共に么九牌を払って居るが九萬は一枚も切れていない、それだけでこの人は俺の待ちを読んだのか。

 

多分それは俺が先生達の手を読む時に行なって居る事に近い物だろう、ある種の信頼感の様な『この人なら必ずコレで待って居る』と言う経験則、デジタルっつーよりアナログよりな気もするけど。

 

 

初っ端から倍満、流石に手痛い出費だけど関係無い、此処からは逆に読ませ合いになるんだ、どう読んでどう和了ったのか分かっただけ収穫はある。

 

東二局、親は下家、ドラは東。

 

配牌に一枚東が紛れていたが、それを親に食わせた所で狙い撃ちにされるのが目に見えて居るので第一打から切り出し、後半戦で邪魔になる不安要素を排除する。

 

3巡目、么九牌が集まり始めたので全帯、純全帯を狙いつつ平和を作る方針に向かう、部長は逆に么九牌を切り出して居るので断么・三色・平和・一盃口、自摸を合わせて跳満か。

 

溢れそうな么九牌に狙いを絞りたいけど、俺は逆に集まった么九牌を処理して断么に向かう、理由は部長の役の作り方だ。

 

基本的に彼は跳満以上が確定した手を作る、自摸って跳満な手では満足しないので、この場合はブラフ。

 

払った一九牌は索子の123が一枚づつ、だが元々それが二枚あったのなら断么に見せかけた純全帯・三色は確定、後は平和か一盃口が重なって居ると見て良い、河の123は恐らく一盃口を崩して消した物、なら上の三色と言う事になるし、跳満確定と言う縛りから考えると平和よりは一盃口か。

となると待ち牌は辺張・嵌張のどちらか、七・八の数牌を潰し、保険で二・三の数牌の片方で待って頭ハネを狙う。

 

そう考えながら么九牌を払い切り、こちらも678の三色が確定して聴牌、待ちは二・五萬で役は断么・平和・一盃口・三色、立直を掛けて跳満だ。

 

一発ツモなら文句無しで倍満なんだけど、残念ながら上家

が二萬を吐き出して来たので打ち取る、裏ドラを捲ると一枚乗ったのでギリギリ倍満に手が届き、上家は2000点となる。

 

上家の点棒支払い後、部長は静かに牌を伏せたが恐らくは嵌二萬待ちだったのだろう。

 

東三局 親は部長 ドラは五索。

 

今回の配牌は筒子の染め手に伸びる流れの物だが、どうにも重く聴牌までは遠そうだった。

 

対して部長の手は淀みなく伸びている、5巡目にして既にツモ切り、不要牌ツモと言う事も考えられるが此処は聴牌と考えて回す。

 

5巡目に張ってツモ切りと言う事は好配牌で好ツモだったと考え、跳満以上が確定しブラフも不要な形を考える。

 

ブラフが不要と言う事は多面待ち、河は索子以外が切れて居るので混一色、二・五・八の三面張と仮定してW東と三元牌のどれかで跳満、ツモって倍満になる。

 

他にも清一色の五面張なども考えられるが、結局は染め手なのでやる事は変わらない。

 

8巡目、上家の断么・平和・ドラ2に差し込んで満貫を支払い部長の親を流す、彼の崩した手牌に索子が固まっていたのがチラっと見えたので読みは合っていた様だ。

 

東4局 親は上家 ドラは再び東。

 

配牌は好調、第一ツモの時点で既に二向聴、役は索子の混一色が確定、ツモ次第では高目に平和・二盃口まで行けるか?

 

流れ的にツモれると感じた俺は高目を目指して牌を切って居たが、此処で下家がドラ切り。

 

この男も断么重視の傾向なのか、早々にドラを払ってしまい親に喰われて満貫確定、鳴きが入った所為で部長にロックオンされてしまう。

 

遂に鳴かせたか、しかしそうなると部長が和了る前に俺が上家を飛ばすか、下家に差し込むかなんだけど、俺も差し込む役次第では下手をすると部長の次の自摸で飛ばされる。

 

流れが掴み切れていない状況だったが、無理矢理流れを作る事に決め、部長が吐き出した三索を哭き、緑一色を目指して行く。

 

部長もソレに勘付いたのだろう、照準を俺に合わせて役を作って行く、捨て牌から察するに張って居るのは国士無双13面待ちか。

 

そうなると俺の手の中にある一索が邪魔になる、緑一色を目指して牌を切って行けばいずれは出てしまう物だ、そうなれば飛ぶのは俺の方だ。

 

しかしこのまま手を回しても部長が自摸ってしまうし、第一中途半端に流れを手繰り寄せてしまったので、此処でそれを手放してしまっては流れから振り落とされる。

 

一巡間を置いてから次は四索を部長が切って二副露、部長の方も冷や汗が出て居るので俺の緑一色を読んでいるのが分かる。

 

次巡、三索をツモって混一色聴牌、待ちは六索と発のシャボ待ち。

 

この役で和了るのは論外、ツキを逃す結果になる、かと言って一索を切っても役満振り込みと言う最悪の結果になる。

 

そう悩んで居ると上家が立直宣言、切ったのは一索。

 

終わったか、そう思って牌を伏せようとしたら部長は何故かその牌を見逃した。

 

その瞬間、この人は俺への役満直撃と言う誘惑を断ち切れなかった事を察したと同時に、六索をツモったのでそれを和了らずに一索を切る。

部長は俺の切った一索を見て選択を誤ったと考えたのだろう、結果は分かって居ると言う風に牌を伏せた。

 

俺はそれと同時に下家の切った六索を槓、嶺上牌は四索だったのでそのまま嶺上開花で緑一色を和了る。

 

南1局 ドラは白 二度目の親番が回って来た。

 

力尽くで流れを作ったお陰が配牌から小三元が確定、そのまま手なりに打ち進め、8巡目に一・四・七萬待ち聴牌、役は混一色・小三元・白・中・ドラ3の倍満確定。

 

そして9巡目に中を暗槓し嶺上牌一索で嶺上開花、新ドラは白、自摸・嶺上開花・混一色・小三元・白・中・ドラ6の数え役満を和了して上家が飛んで個人戦は終了した。

 

後一局でもあれば部長から直撃が取れたんだけど、今回は仕方ない。

 

どうせ全国でもいつかは当たるんだ、その時に改めて狙い撃ちすれば良いさ。

 

消化不良感が残ったものの、こうして俺の個人戦は終わったのだった。





部長が強過ぎると感じた方へ、正確には京太郎が部長に狙いを定めている間に二人の殴りあいに耐えきれず周りが飛んだだけなのでそう感じるだけです、全国だったらきっちり南場から狙い撃ちされて毟られてます。

と言う訳で次回の本編は高校編になります、このままだとまた百話コースだよ(白目

後、全国出場した時点で以前の掲示板ネタと矛盾する事になってますがアレは一発ネタなので深く考えないで下さい(震え声

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