先日は≪実力考査≫があり、今週末は≪マーク模試≫が在ります。
はっきり言って、こんなにテストは不要だと思うのは僕だけでしょうか?
・・・・実際、面倒である(←本音)
試合終了まで一気に書きました。流れの可笑しな部分も多々ありますが、
―――それでは、どうぞ!
五回の裏、ノーアウト・ランナー三塁。
攻撃側の男子野球部が、かなりのチャンス場面にいる訳だ。
スコアは【3-2】と女子野球部がリードしているが、いつ逆転されるかも分からない。そのため、俺が指示したのは≪ピッチャー交代≫である。
「それでは、投球練習も終わったので始めたいと思います。―――プレイ!」
女子野球部の≪新たな投手≫の投球練習が終わった処で、審判が合図を出す。
こうして、また試合が動き出したのだった。
相手バッターは、エースで四番の
「さて、ここからは―――≪エース≫の時間だ」
≪
三塁にランナーが居るので、友香はセットポジションを余儀無くされている。≪直球≫が武器である友香にとっては、≪致命的≫な展開だ。
ゆっくりと身体全身に力を込めて、腕を思いっ切り振り切る≪ワインドアップポジション(ランナーが居ない場合に用いる普段通りの投球フォーム)≫と違い、体重移動を制限され腕を振り切る事が難しい≪セットポジション≫では、投げられる≪直球≫の威力が変わってくるのだ。
つまり≪
―――だが、ベンチに居る俺にも分かる。
友香は相手打者から―――≪三振≫を狙っているのだ。同じ投手をやっている者同士、目を見れば分かってしまう。
「ありゃ、本気だな・・・・」
それに、今までグダグダと理屈を並べてきた上で『こんな事』を言うのも何だが―――
別に『ランナーが居るから、セットポジションで投げなきゃいけない』なんてルールは無い。
当然だろ? そんなルールが在ったら、投手たちから反発買うぜ。
≪
―――それに、今はノーアウト・『ランナー三塁』。
≪
・・・・まぁ、在るとすれば≪ホームスチール(ホームベースへの盗塁)≫くらいだ。
「―――やれるもんなら、やってみろよ」
たぶん≪失敗する≫からな・・・・
香本人も気付いていたようで、ゆっくりと≪ワインドアップポジション≫を取っている。しかし、普通の投手とは違う投球フォームだ。
≪
そして身体を大きく捩じり終えると、一気に腕を振るう。身体全身の力を≪腕全体≫と≪指先≫へ伝えるこの投球フォームは、云わば≪超速球特化型フォーム≫。
何故、≪ホームスチール≫が≪失敗する≫とまで言い切れるか? 簡単だ。
女子野球部のエースである友香は、少年少女野球で―――
―――『110㌔越えのストレート』を投げる≪
そんな相手から≪ホームスチール≫なんて奪えるかよ。≪
「ストライク、スリー! バッターアウトッ!」
終始茫然と立ち竦んだだけで終わった竹中は、いったい何が起こったか分からないという表情だ。
無理もない。行き成り『110㌔』のボールを打てと云うのが、無茶な話だからな。
その後のバッターたちも、ボールをバットに掠らせる事も出来ていない。
小学生、それも≪女の子≫が『110㌔』なんてボール投げたら・・・・そりゃ驚くよ。
このグラウンドに来ていた全員が驚愕の表情を浮かべる中、俺は苦笑を隠せなかった。
智花のボールに慣れてる男子にとって、行き成り友香のような≪速球≫を投げられたら対応出来ないのだ。
決して速いとは言えない智花のボールと、かなり速い友香のボールによる≪速度差≫のせいでな。
普通なら≪スローボール≫と≪ストレート≫で行うモノだが、これも考え方によっては≪緩急≫になるだろう。
遅いボールから行き成りの速いボールは、見ている者に≪誤った認識≫を与える。それこそ≪実際の速度以上に、速く感じる≫という≪認識≫を。
そして【六回の裏】も無事に抑えたが、【七回の表】での追加点は得られなかった。
つまり、ここで迎えた【七回の裏】を抑えれば≪女子野球部の勝利≫である。
スコアは変わらず【3-2】。この回を何としても【最終回】にしなくては―――
女子野球部の投手は交代無く
さて、この対決が≪この回の流れを決める≫・・・・。
この打者を抑えればかなり大きい。チームの
―――しかし、それは相手も一緒である。
後藤が打てば、まだ≪勝利への可能性≫を信じる事が出来るのだから。
≪
・・・・だが、≪この展開≫は誰が予想しただろうか?
キィンッ! と、乾いた金属音が響き渡る。これで―――≪13回目≫。
後藤が友香のボールに段々と合わせて来ているのだ。その証拠に、今のファールはレフト線ギリギリ。すでに≪何時打たれても可笑しくない状態≫だった。
友香本人も焦りを感じているのか、徐々にコースが甘くなって来ている。そして≪14球目≫。
キィイインッ! と、今までで一番良い金属音がグラウンドに響いた。後藤が打った打球は、真帆の居るセンター方向へ飛んで行く。
結果は≪センター前ヒット≫だ。そう、友香が打たれたのである。
『――――――――っ!!』
男子野球部のベンチでは、割れんばかりの大喝采が起こっていた。あの≪
「・・・・・・・・っ!?」
一方の女子野球部は、≪
当然だ。さっきの回まで完璧に抑えてたのに、急に打たれたのである。だが、それが≪野球≫だ。
―――何が起こるか分からない。
そして今回は、男子の方に軍配が上がった訳だ。後藤の≪決死の粘り≫が、功を奏したって事か。この試合の≪ヒーロー≫だな、アイツ。
だが、まだ試合が終わった訳じゃない。
「こっから、こっからっ! 友香、≪バッター集中≫で行くんだ!」
「は、はいっ!」
・・・・よし、≪ベンチの声は届いてる≫。まだ冷静さは欠いて無いようだな。
ランナーを気にしては駄目だ。この試合はバッターとの勝負に掛かっている。
何故なら―――
「・・・・っ!? ランナー走ったっ!」
友香が投球モーションから、投球を開始した処で一塁走者の後藤が盗塁を仕掛けてきた。
ファーストの紗季が大きく声を上げるが、キャッチャーの黄名子は送球出来ない。これでノーアウト、ランナー二塁。
しかし、これだけじゃ終わらないだろう。
「ランナー走ったよっ!」
ベースカバーに来ていたショートの迅理が、もう一度≪同じ言葉≫を叫ぶ。
そう、後藤が≪三盗(三塁ベースへの盗塁)≫を仕掛けたのだ。成功率が低い上、≪速球≫を得意とする投手からはまず狙えないモノ。しかし、≪キャッチャーが送球しない≫と分かっているなら話は別だ。それなら≪走った者勝ち≫である。
つまり、これが≪ランナーを気にしては駄目な理由≫だ。
すでに≪負けが決まっている勝負≫なんて、≪意識するだけ無駄≫なのだから。
だからこそ、≪バッター集中≫で行くしかない―――
「にしても、本当にあの≪
味方なら心強いが、敵に廻せば≪脅威≫としか思えない。そんな選手である。
その≪
―――≪ノーアウト・ランナー三塁≫という、≪ピンチ≫を迎えている訳だ。
五回の裏と≪まったく同じ展開≫。だが、今回は友香が招いた≪ピンチ≫だ。
確かに、投手一人の責任じゃない。しかし、これは≪野球≫。結局は、投手の責任に成って行くのである。
例え投手の責任では無くとも、≪失点の数≫が『投手にだけ付いて行く』ように。
≪野球≫はそう出来ている。・・・・つまり、
「ここを抑えるのが、≪投手の仕事≫だぜ。―――≪
ベンチの中で同じ≪
続く男子野球部の打者は、この試合ではあまり目立っていない二番の選手だ。しかし野球では、このような打者が行き成り打ったりするんだよな。
だが、相手が仕掛ける≪この後の作戦≫は大体読める。何としても三塁ランナーをホームに還す、そのための≪取って置きの策≫。野球の試合ではお馴染みの≪スクイズ≫だ。
打者が投手の投げたボールを≪必ずバント≫する。そして、三塁ランナーをホームに還すのだ。しかし、この時のバント失敗は絶対に許されない。当然だ。もし失敗すれば
「友香っ! 『思いっ切り投げろ、真ん中でいい』!」
俺はベンチの中から、マウンドに立つ友香に声を掛ける。
パッと聞いた感じでは自軍の作戦をバラす、やっちゃイケないような指示だが―――これは『言葉とは別の意味を持つサイン』。
意味は『相手のバントに気を付けろ』。何でも無いような事だが、この『サイン』は≪友香以外の内野陣≫にも宛てたモノである。
≪速度のある
しかし、その≪判断≫は間違っている。友香の≪独特なフォーム≫から≪バント≫を奪うのは中々難しい。
その理由は、≪
≪
―――これが≪
俺と≪
要するに何が言いたいかって? はっきり言うと≪独特な投球フォーム≫ってのは、正直≪あまり関係無い≫。
重要なのは・・・・≪速度のある
だから≪速球≫をバントすると、大抵の結果が―――
キィン! と≪当たり損ねた≫ような金属音が響く。バットにボールが当たった音だが、そのボール自体は打者の頭上で≪放物線≫を描いていた。つまり、≪キャッチャーフライ≫。
その後、キャッチャーの黄名子がしっかりとボールを捕ったので、打った本人である打者は≪アウト≫。そう、≪
これでアウト1・ランナー三塁となる。
そして、ここから男子野球部のクリンナップを迎える。今日≪タイムリー・スリーベースヒット≫を放った三番打者が、ゆっくりと打席に入って来る。
だが、アウト一つ取った女子野球部の
「頑張って! 友香ちゃんっ!」
「おー! 友香ふぁいとー!」
「
外野に居る、愛莉やひなた、真帆も大きな声援を送っていた。
このチームの最大の武器である≪チームワーク≫は、まだしっかりと機能しているようだった。
内野陣は打者が相手の
「プレイ!」
打者の準備が整ったため、審判が開始の合図を出す。それを見た友香は、ゆっくりと≪ワインドアップポジション≫を取り始めた。
―――友香の場合は≪
そう、完全な≪五回の裏≫の再現である。友香の持つ≪ベストなボール≫を投げるため、一番投げ慣れたフォームで投げるのだ。
そして友香の投げたボールは、『110㌔』の速度でキャッチャーミットに吸い込まれていく。結果はストライク。
続く二球目は、少し外角に逸れてボール判定。三球目も内側に入り過ぎてボール判定となった。これでカウントが、ストライク1・ボール2。
友香はもう一度大きく腕を振り上げてから、思いっ切り腕を振り抜く。そうやって、一球・一球を≪全力投球≫しているのだ。そして四球目のボールは、打者が大きく空振りストライク判定。
これでストライク2・ボール2の、平衡カウントとなった。
変化球を持たない友香は、最後まで≪直球≫で押し切る必要がある。しかし智花と違い、≪
だが、友香はもう一つ≪武器≫を持っている。それは―――
五球目も同じように≪
「・・・・っ!? ここで―――『スローボール』っ!」
そう、『スローボール』。友香のように≪速度のある速球≫を得意とする投手が使えば、≪十分な武器≫となる球種だ。その正体は『ただの遅く投げたボール』だが、それこそが投球に必要な≪緩急≫の絶妙な材料と成り得るのだ。
完全にタイミングとスイングフォームを崩された打者が、友香のボールを空振りしたのは言うまでも無いだろう。
「・・・・・・よしっ!」
マウンドでは、友香が小さくガッツポーズしているのが見える。
これでこの【七回の裏】は、≪ツーアウト・ランナー三塁≫へと変わる。ピンチなのは変わらないが、一気に女子野球部の有利な展開となった訳だ。
「ったく、友香のヤツ。もっと派手に喜べばいいのにな。実際凄かったし♪」
「投手ってのは、大体みんな≪あんな感じ≫だよ。それに、まだ≪試合が終わった≫訳じゃないからな?」
「それでも、もっとこう・・・・何かあるだろ? 『カモンっ!』とか『獲ったどーっ!』とか?」
友香がローションを手に馴染ませている頃、ベンチの中では我が姉の
(『カモンっ!』は主に≪テニス部≫が、『獲ったどーっ!』は某芸能人がよく使ってるな・・・・。どれも『何かズレてる』よ)
まぁ、≪感性≫そのものがズレてる
ベンチの椅子には座らずお互い並んで立っているため、機嫌を損ねると蹴られる可能性が高いのだ。
「でもまぁ~、≪あと一人≫だな。『あと一人コール』が無いのが寂しいが、アイツ等なら大丈夫だろう」
何故か腕組みをしながらそう呟く姉を横目で見ながら、俺は大きく息を吐いた。
―――≪威厳≫無いなぁ~、この人。と、思いながら・・・・
心の叫びを言った処で、相手の打席に次の打者が入って来る。
相手の四番打者、
この打者を抑えれば≪女子野球部の勝利≫なのだ。「絶対に抑えたい」―――女子野球部の誰もがそう思っている筈である。
「あとはナツヒか・・・・。アイツもイイ所で出て来るな!」
確かに、打てば≪ヒーロー≫・打てなければ≪最後の打者≫となるのだ。ドラマで言う、主役級の扱いだろう。
「はぁ~、何だかあの子たちに≪一言伝えたい≫気分になるなぁ~」
と、迅姉の呟きが隣から聞こえてくる。だから俺は、
「じゃあ、≪伝えに行けばイイだろ≫?」
一言だけ相槌を打ってから、また考え事を始めていると・・・・
「え? ≪そんな事≫出来るの、≪野球≫って?」
アンタこそ、≪野球≫を何だと思ってんだよ? 野球を知らないにも程があるだろ。
「あのなぁ~、少年少女野球のルール上≪監督・または監督の指示を受けた野手≫がタイムを取ってマウンドへ行く回数は、一試合に≪3回≫までOKなんだよ。つまり、この試合はまだ一度も使ってないから、何の問題も無い。マウンドに行きたいなら、使っていいぞ?」
何も知らない自分の姉を、半眼で見詰めながら俺は言葉を続ける。
「それと、行くなら≪駆け足≫でな。それが推奨されてっから」
「なるほどなぁ~。それじゃ、皆によろしくな☆」
「・・・・はぁ?」
いきなり何を言い出すんだ、この人は。頭が可笑しくなったのか? いやそれは無いか、だって元から可笑しいし(笑)
「お前がマウンドに行くんだよ。それぐらい察しろ!」
「な、何で俺が行くんだよ?」
こういうのは、教師が言って然るべき瞬間だろう。
「お前はこのチームの≪監督≫だろ?」
「≪臨時コーチ≫だよっ!」
自分で頼んで置いて忘れてたのか、この人は。ったく、いったいどんな教育受けて来たんだよ。身内を見てみたいね!
・・・・・・あ、俺だわ(実の弟)。
「ほら、さっさと行って来いっ!」
「痛っ! ちょっ、蹴るなって!」
結局ベンチから追い出され、マウンドしか≪行き場所≫が無くなってしまう。
「す、スイマセン。『タイム』お願いします」
そう言ってから俺は、ゆっくりとマウンドに向かって歩き出した。
「
俺がマウンドに到着すると、友香は手に持っていたローションを慌てながら落としてしまう。
一応『タイム』を取ったので内野陣も集めて置きたい。そこで内野の皆を手招きして、マウンドに集めて置く。さすがに
よって
「でもさぁ~。あと一人なのに、別にお兄ちゃんが来る必要無いと思うよ?」
迅理の容赦ない一言に、返す言葉もない。ってか、実際その通りだしな・・・・
「けど、こんな時こそ
「ふ、ふぇっ!? ・・・・え、えっと・・・・」
紗季がアイガードに触れながら、その表情に悪戯な笑みを浮かべている。
「だ、駄目だよ、紗季! 友香を困らせちゃ!」
そこで智花が必死にフォローを入れると、
「・・・・智花本人も、顔がニヤついてる」
「ふぇっ!? そ、そんな事ないもんっ!」
まさかの≪流れ弾≫に襲われていた。希の一言で、智花の顔が真っ赤に染まる。
「えっと、まだ試合中だから気を引き締めて行こうな?」
わざわざ『タイム』を取ってまでマウンドに来たのに、開口一言目がこれである。
実際問題、俺自身は皆に伝えたい事がある訳ではない。それはもう≪この試合の中≫や≪試合前の練習中≫で伝えて来たから。
―――『臨時コーチ』が残す言葉など、それ程無いのである。
「じゃさぁ~、何で来たの? お兄ちゃん?」
・・・・うん、俺が聞きたい質問だよ。
しかし来たからには、何か言って置こう。
「紗季と希と智花、それに迅理は≪あとワンアウト≫だ。しっかり守ってくれよ? 黄名子は、友香が投げる球を絶対後ろに逸らさない事。ボールを身体で止めて、後ろに逸らさなければ≪失点≫に繋がる事なんて無い。最後に友香、安心して投げて良いぞ? 友香の後ろには―――≪頼れるチームメイトたち≫が居るんだからな」
『――――――はいっ!』
ぴったりと息の合った返事を返す内野の皆をもう一度見回してから、俺はまたゆっくりとベンチに戻ろうと・・・・
「あ、それと友香。もう一つだけ、ちょっといいか?」
「はい、何ですか?」
「いや、大した物じゃないけど・・・・。俺から、ここまで頑張った友香に≪ご褒美≫をあげるよ」
「・・・・え?」
そして俺は、友香に≪ご褒美≫をあげてからベンチに帰るのだった。
俺や友香が使う≪
それはそうだ。何故なら、一度は完全に≪自軍のキャッチャーから目を離す≫のだから。キャッチャーから目を離した状態から、行き成り身体を戻して尚且つ、腕を思いっ切り振り抜くのだ。
古今東西、≪コントロール≫を犠牲にして≪速球≫を得る≪トルネード投法≫に必ずと云っていい程≪存在する壁≫。それが≪コントロール≫だ。
しかし俺の場合は≪何の問題も無い≫。【絶対的なコントロール】と言われるからには、それなりの訳がある。今は省くが、その内説明しよう。
問題は―――≪友香≫の方だ。
まだ身体も十分に成長し切っていないのに、≪
投手の≪コントロール≫が悪ければ、≪四死球≫が増えて自らピンチを招いてしまう。そうならないよう今度は逆に、ボールをストライクゾーンへ≪ゆっくり投げて≫入れに行っても≪長打≫を打たれてしまうのだ。≪野球≫とは、それでけ≪奥が深く≫・≪実力がモノを云うスポーツ≫である。他のスポーツも同じようだが、≪投手≫のような『相手チームの全員に≪先陣切って戦う役目≫』があるのは、恐らく≪野球≫ぐらいだろう。
そんな≪大役≫をチームの中から代表して任された≪投手≫は、決して『一人で勝手に、≪勝負≫を諦めてはならない』。常に全力で、チーム全員のために頑張らなくてならないのだ。
そう、例えカウントが―――≪ストライク2・ボール3・アウト2≫だとしても。
この打者を抑えれば、この回が【最終回】となる。初等部の男子野球部と、初等部の女子野球部の試合はすでに≪大詰め≫。
相手の四番打者である
ツーアウトだが、ランナー三塁のチャンスでもある。ここで一発打てれば≪同点≫。【延長戦】が待っているのだ。
現在は【3-2】で、女子野球部が≪一点差≫のリードを守っている。これを守り抜けば、女子野球部の≪勝利≫であった。
「みんな頑張れ! 頼んだぞ、友香っ!」
ベンチの中で隣に立つ
対する俺は・・・・
「友香。―――≪使う≫なら、今しかねぇーぞ」
と、誰にも聞こえない程の小さな声で呟いていた。
そんな中、友香はゆっくりと投球モーションを終えてから、その腕を思いっ切り―――振り抜いた。
友香が投げたボールは、竹中が振ったバットの目の前を通過しそうになる。
「打たれたっ!」と、誰もが思っただろうこの瞬間。
―――ボールはバットに当たらず、打者の手元で≪鋭く落ちた≫。
そう、それは≪二十世紀最後の魔球≫とまで言われた≪比較的新しい変化球≫。
その名前は、≪
―――打者は≪ボールが落ちた事≫にも、気付いていないのだから。
そしてこの瞬間を迎えた今、女子野球部の≪勝利≫が確定した。
最近出来たばかりの女子野球部が、男子野球部に≪勝利した≫のである。
「ストライク、スリー! バッターアウト! ゲームセットっ!」
審判が大きな声で、≪試合終了≫の合図を告げるのだった。
『――――――――っ!!!』
グラウンドの周りでは、この試合を観ていた
俺も女子野球部のみんなに、周りの盛大さには負けるが―――≪拍手≫を送る。
「お疲れ、みんな。・・・・ナイスゲーム」
そんな俺の小さな呟きは、周りの声援や拍手に呑まれて消えたのだった。
どうでしたか?
感想等、書いて戴けると嬉しいです。
次回は『祝勝会』を開く話となりますので、お楽しみに!