ヤウきゅーぶ!   作:茅倉 遊

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ロウきゅーぶ! で一番好きなキャラは『智花』です。
・・・・いきなり、すいません。
それでは、どうぞ。


少女たちの実力

 ---ばたん。

 

 ・・・・おかしいな。昨日は、ゆっくり休息を取ったはずなのに。幻覚なんて見る筈がない。

 そう、きっと見間違いだ。

 

 そして、もう一度ドアを開ける。

 

『お帰りなさいませ ご主人様!!』

 

「慧舞学園、初等部六年生。湊 智花です!」

「同じくっ! 三沢 真帆でーす!」

「永塚 紗季です」

「か・・・・香椎 愛莉・・・・です」

「ひなた。袴田 ひなた」

 

 さっきのセリフの後に、今度は自己紹介が付いている。

 

『よろしくお願いします ご主人様!!』

 

 そのまま、五人の少女たちは揃って頭を下げてきた。

 

「え、えっと・・・・」

 ここは、俺も自己紹介すべきか?

 いや、その前に・・・・

「その前に、その、『ご主人様』っての止めてくれると助かるんだけど・・・・」

「・・・・・・」

 すると、五人の少女たちは一度、円陣を作ってから何か話し合っている。

 そして、一斉に顔を上げると・・・・

 

『お帰りなさい お兄ちゃん!!』

 

 ・・・・・・うん。何となく分かってたよ。

 

 

 

 

「鷹野 迅美《たかの はやみ》の弟の鶴陽高校二年、鷹野 迅輝《たかの はやき》。ホントに短い間だけど、よろしくね」

 さて、ここまでは完璧だ。・・・・特に何もしてないがな。

 一応、名前は覚えたけど「ちゃん」付けか? 「さん」付けか?

 敬語で話すべきか、フレンドリーにタメ口か。

 どうしようか、迷う事が多すぎる。

「えーっと、真帆・・・・ちゃん?」

「ちゃん付け禁止ーっ! 呼び捨てじゃないと駄目だよ!」

「・・・・・・」

 ハードル高過ぎません?

「じゃあ、真帆」

「何? はっきー」

 はっきー? 俺の事か?

「他の部員は、何処にいるんだ?」

 今、この部室にいるのは五人。他の部員の姿は何処にも見えない。

「これで『全員』だけど?」

「え!?」

 これで、『全員』? 今、ここにいるのは五人だけだぞ。

「一応、『部員が五人集まれば、部活動として認める』って校則なんです」

 紗季が、隣から説明してくれる。

 けど、五人だけじゃ・・・・

「野球、できないんじゃないかな?」

『・・・・・・ッ!?』

 

 ・・・・大丈夫なのか? この部活。

 

 

 

 

「あ、あの! 迅輝さん!」

「? どうした、智花」

 智花が何か言いたそうな顔で、俺を見ている。

「は、迅輝さんって・・・・あの、鷹野 迅輝さんですよね?」

「そうだけど?」

 それが、どうしたんだ?

「じゃ、じゃあ。春センバツで・・・・」

「だぁーーーッ! そ、そう。その鷹野 迅輝。うん。本物だよ」

「ほ、ホントですかっ!?」

「ホントだよ」

 危ない、危ない。あのまま話が進んでたら、また同じ話を聞かされてたな。

「か、感激ですッ!! まさか、こんなに近くで会えるなんて!」

「そ、そうなんだ・・・・」

 智花が嬉しそうに、迅輝を見回す。その度に「本物だ~」や「ゆ、夢じゃないかな」などと、独り呟いている。

「と、とりあえず! まずは、グラウンドに行こう! 話しの続きは、そこですればいいし。なにより、君たちの実力を見てみたいしね」

『わかりました お兄ちゃん!!』

 

 あれ、それまだ継続中だったの?

 

 

 

 

「それじゃ、まずはキャッチボールから始めようか」

『はい!』

 一応、ランニングやストレッチなどの準備運動はやっている。そこだけ見ると、五人ともそこまで運動ができない訳じゃない。

 問題は、ここからだ。

 右手に持っていた小学生用の軟式ボールを一度見てから、五人を順に見回していく。

 真帆と紗季は、上手にキャッチボールができている。恐らく、普段から二人でやっていたのだろう。

 ひなたと愛莉は、ひなたの投げるボールに愛莉が完全にビビっている。どうやら、愛莉にはボールから慣れて貰う必要がある。

 最後に、この五人の中で唯一の『経験者』である智花。部員が奇数のため相手がいないので、俺とキャッチボールすることになった。

 握ることすら懐かしい、軟式ボールを智花に向かって投げる。俺が投げたボールは、弧を描くように智花の胸のあたりに向かう。それを、智花は難なくキャッチ。

「い、今・・・・あの鷹野 迅輝選手と私・・・・キャッチボールしてるんだ・・・・。す、すごい体験なんだよね、これって・・・・」

「・・・・・・」

 そうなんですかね? 本人としては、そんな実感まったくないよ。俺なんて、ただの『一般人』だ。

 だって、『消える魔球』とか『音速を超える剛速球』とか投げられる訳じゃないしな・・・・。

 俺にできることなんて、『二十七者連続奪三振』や『十試合連続完全試合』くらいだぞ。

「・・・・い、いきますよ!」

 そこで、智花の声が俺の思考を中断させる。

 智花が投げたボールは、とても綺麗な軌道を描きながら俺の胸のあたりに向かってきた。それを、今度は俺がキャッチ。

「ナイスボール!」

「・・・・は、はいっ! ありがとうございます!」

 智花は、驚きながらも一礼する。

「別に、そんなに固くならなくてもいいよ」

「は、はい」

 

 そして、少し長めのキャッチボールが終わった。

 

 

 

 

「次は、軽いノックをしてみようか」

「「「「ノック?」」」」

 智花を除く四人の頭の上に、?マークが浮かんでいるようだ。

「簡単に言うと、俺がバットでボールを打つ。その打たれたボールを、順番にキャッチしていくんだ」

「えー! それだけ?」

 俺の端的な説明のせいか、真帆が不満そうな声を上げる。

「まぁ、一度やってみよう」

 それを何とか押し切って、ノックを始める。

 とりあえず、基本から始めるのがベストだろうしな・・・・。

 

 ---結果から言うと、まぁ大体は予想通りだった。

 真帆や紗季はそこそこ捕れているが、まだ不安定。ボールの捕り方も危なっかしい。

 ひなたは歩幅がみんなより小さいため、ゴロに追い付けていない。しかし、フライはノーミス。的確に落下地点に入り、難なくキャッチする。これには、正直驚いた。

 愛莉は・・・・・・まぁ、ゆっくりボールに慣れていけばいいだろう。まだ恐怖心が強すぎるようだった。

 そして、最後は・・・・

「いくぞ、智花」

「はい!」

 最後は智花だ。やはり、他の四人とは違う。しっかりした構えと落ち着いた雰囲気。そこには、『野球選手』がいた。

 別に他意はないが、少し強めにボールを打つ。それを智花は落ち着いてキャッチ。今度は、少し左に打つ。それも、ちゃんと体を動かしてから正面でしっかり捕る。右側や浅い所も試したが、何の問題もない。もちろん、フライも。

「うん。上出来だよ、智花」

「ふぇ?」

 急にそんなことを俺が言ったため、智花が何秒か静止する。そして、ようやく自分が褒められたのだと理解したのか、

「あ、ありがとうございます!」

 勢いよく頭を下げた。

 

 ・・・・う~ん。智花は、まだ『俺』に慣れてないのかな。

 

 

 

 

「そろそろ、時間か・・・・。よし、みんな! 今日はここまでにしよう!」

 今日の練習は、正午までにしている。朝早くに初めたから当然だ。普段は午後に練習しているようだが、俺から午前中にしてほしいと頼んだのだ。本当に申し訳ないことをしてしまった。なぜなら、その理由があまりにも『私情』だから。

 男子と交代で使っているので、第二グラウンドは火曜と木曜、そして土曜日の合わせて『三日』が女子の使用日。だから、俺が『臨時コーチ』をするのも残り『二日』。

 -----『気に入った選手』が見つかれば、話は別だが・・・・。

『ありがとうございました!』

 五人の少女たちが一斉に頭を下げる。

 ・・・・ホント、息が合ってるな。

 ---それは、本当に大切なことだと思う。野球でも、『チームワーク』が最も重要だ。

 まぁ、俺がそれに気づいたのは『中三の最後の夏』だったけどな。

 

「ん?」

 俺も片付けを手伝おうとしていたら、一人の少女が目に入った。

 それは今日、本当は見る筈だった姿。バットを持って、しっかりと構えた智花だった。

 智花は、そのまま大きくバットを振る。

 

 ---ぞくり、とした。

 

 それは、今までの野球人生でも『見たことがない』ほど・・・・・・美しかった。

 滑らかで迷いのない、鮮やかなフルスイング。しっかりとした土台を思わせる両足、綺麗なフォームを創り出す両手と腰の動き。

 もちろん、すぐに声を上げた。

「智花! もう一度、素振りしてくれない?」

「ふぇ?」

 またしても、智花を驚かせてしまった。しかし、

 

 ・・・・・・あのスイングは、さすがに『気になった』。

 

 

 

 

 

 

 

  

 




展開が速い気がする・・・・。
個人的には、早く『男子』と試合するとこまでいきたい!
感想など、書いてくれると嬉しいです。
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