今回は予告通り新キャラ登場ー。
果たしてこの子たちは忘れられることにはならないでしょうか……。
今から不安です。私の記憶力が。
元からこの話は当初になかったものですからね、頑張ります。
では、スタートです。
『いい昼寝日和だー』
『血液うまうまー』
『……子は親に似ると言うが、もはやここまでとは』
どうも、ギィギです。
今は洞窟の中にお母さんとジョーおじさんと一緒にいます。食事うまうまー。
で、鉄分を補強したところで考え事を開始するよ。テーマは前世の私の名前ー。
上の名前の始まりが『き』で下の始まりが『み』だった気がするんだ!
き……み……。わーからん。
ここまで思い出せないとさすがに笑えてきますよ。ははは。
『そうだ、そういえばこの前また三人組来てたね』
『……? ああ、女一の男二のグループか。ウロついてすぐ帰ったがな』
『何しに来てるんだろうねー』
『さあな』
うー……、今日こそはと思ってたんだけどな。
最近冒頭の挨拶にも飽きてきたし、名前をそろそろ思い出したいところだよ。
き、み。なんだったかなー。
『もうキャンプ潰せば来なくなるかな?』
『よせ。攻撃が増すぞ』
『でもさすがに鬱陶しいよ』
『そうなんだがな。こればかりは……』
えー、と。……。
あっ。
『思い出したあ!!』
『ん?』
『うおっ。どうした、急に大声を出して』
『……あ、失礼しました』
ついつい興奮して叫んでしまったよ。でも思い出した私グッジョブ!
私の名前は……、
あれ、『き』も『み』も入ってないよ? さっきまでの推理はどこへ行ったんだろう。どうやって思い出したんだ、私。
『お母さん、私のことはこれからサヤと呼んで下さい』
『サヤ? どうして?』
『どうした。壊れたか』
『違いますっ!』
むむっ、相変わらずのジョーおじさんですね。揺るぎない。
あ、でも確かにいきなりこんなこと言われても「は?」って感じになるよね。
言い訳、言い訳……。
『ギィギなんてこの世にたくさんいるので、自分の名前を考えました』
『ネーミングセンスの悪さは受け継いでいないようだな』
『失礼だなー』
よし、なんか分からないけど多分言い訳が通った! これで良し。
ウルさんとティーおじさんには後で会った時に言うとしよう。
自分の名前を思い出したおかげでだいぶすっきりしたー。
良かった良かったと数回頷いていると外からものすごい音が聞こえてきた。次いで飛び込むように洞窟内に入ってきたティーおじさん。
……騒がしいモンスターだなー。
『おっ、おい! ジョウ! あいつら止めてくれ!!』
『……あいつら、だと……?』
『ん、まだ誰か幼馴染がいるんですか?』
『うん、ウルの恋敵ー』
こ、恋敵!? なんだそれ、面白そう。恋バナは興味ないけど、中心にジョーおじさんがいるなら話は別だよ!
ジョーおじさんはしばらく黙りこみ、そして私達に背を向けた。
『……俺は、帰るぞ』
『帰らないでくれ! あれを止められるのはお前だけだ!!』
『何故いつも俺が巻き込まれなければならない! お前が止めろ』
『無茶言うな! 小さい時にそれでトラウマになってんだぞ』
『俺はそのトラウマを何回経験したと思っているんだ……!!』
修羅場、ってことですか、それ。
それにしてもジョーおじさんがそこまで怖がるモンスターって一体なんなんだろう。
不意にお母さんのほうへ顔を向けると、何かジェスチャーをしている事に気付いた。あのジェスチャーは……、『隠れろ』?
疑問に思いながらも私はお母さんの後方へと移動する。
『このモフモフババアが! その体毛ウザいのよ!』
『なによぉ! あんたの牙はモテないわよぉ!』
次の瞬間、ぎゃあぎゃあと喧嘩をしながら二体のモンスターが入ってきた。これ以上来られると洞窟の容量が……。
一体は恐らくウルさんで間違いはない。じゃあ、もう一体は?
『あれはベリオロスのベリィさんだねー』
『なんて安直な名前ー』
ベリィ、ベリィ。イチゴ食べたいなー、なんて。
それにしてもこの前以上の煩さですね。出て行ってもらえないでしょうか。
『『あっ、ジョウ!!』』
『うっ』
ジョーおじさん は みつかった !
いつもの姿勢はどこへやら、すっかり隅のほうで縮こまっていたジョーおじさんは呼ばれるなりビクリと身体を震わせた。小動物的ー。
アワアワと逃げ道がないか確認しているジョーおじさんに、二体のモンスターは突撃していく。
そういえばみなさんは『ジョウ』って言いますよね。私は『ジョー』だけど。今どうでもいいけど。
『ジョウは私のほうが良いわよね!?』
『違うわぁ、あたしよぉ!!』
『止めろっ、来るなお前らあああああ!』
『『ああん、そういうジョウも素敵!!』』
『うわああああああああ……』
そのまま逃げようと走り去るジョーおじさん。追いかけようと後に続いていったウルさんとベリィさん。ようやく洞窟は静かになりました。
あっ、私ベリィさんに挨拶してないよ。……今度でいいや。どうせ追いつかないし。
にしてもモテるんですねー、ジョーおじさん。ああいうジョーおじさん、面白! ぷくくっ。
『……個体が違うのに恋するとか、馬鹿な母さん』
ボソリ、と誰かの声が聞こえました。
どこだろうとお母さんの背中から辺りを見回して、一つの小さな熱源がこちらにゆっくり向かっていることに気付きました。
あのサイズだと、子供でしょうかね。初めて子供に会ったよ!
同じく声に気付いたようで、ティーおじさんとお母さんも顔を向けます。
『おっ? お前、ベリィの息子か』
『どうも。ティガさん、それにギギィさん』
なんて良い子なんでしょうか! 感激! 普通の子がいた!
今まで周りがちょっと破天荒すぎて「普通」の二文字を忘れていた気がするよ。ありがとう、思い出させてくれて!
目はないけどウルウルです。
『やった、子供に初めて会えた!』
『は? 子供とか言うなよ、うるさいな』
『……』
この子は、子供って思われるのが嫌でそう言ってるんでしょうか。
それともただ単にこの子がひねくれているだけなんでしょうか。
迷いますね、イライラしますけど。
『誰だよお前。ていうかチビ』
『はあ!? 誰がチビですか誰が!!』
『お前しかいないに決まってるだろ、このチビ』
『ムキィー!』
なんなんですかこの子ー! 向こうだってチビのくせに! チビのくせにー!
こんなに一方的に貶され続けたのは初めてだよ! 理不尽だよ!
『うるさーい! お前だってチビじゃないかー!』
『っは、これくらいで怒るとかガキだな』
『ふーんだ、変に大人ぶって可愛くないですよー!』
『可愛さで勝負してないし』
『でも小さいって可愛くねえか?』
『うん、可愛いよねー』
『かっ、可愛い言うな!』
可愛い、で怒った……。
分かったぞ、この子の弱点は絶対忘れない。忘れて堪るものかっ、ムキー!
『よし、お前は……母親がベリィだから……リオな!』
ティーおじさんは少し首をひねった後上機嫌に言い放ちました。
それを聞いてあの子は黙っていられなくなったようです。
『んなっ!? 勝手にあだ名付けないでください!』
『よろしくねー、リ・オ・ちゃ・ん』
『くっそー……。態とだろ、チビ!』
『チビじゃないもーん。サヤって名前あるもーん』
あの子と比べたら私の方が断然子供らしいと思いませんか? 私、中身は女子高生ですけども。恐らくあの子よりだいぶ生きてますけども。
ティーおじさんが『サヤ?』と首をかしげていたけど、お母さんが今説明してくれてるから問題ないと思う。
それより問題はこの子ですよー。リオ、生意気すぎます。
『サヤ、か。……変な名前だな! ぷぷっ』
『勝手に笑えばいいよ。リオちゃん』
『ちゃん付けすんな!』
『お母さん、お腹すいたー』
『無視すんな!』
せっかく初めて同年代の子供、それも異性に会えたというのになんだか疲れてる私がいます。きっと向こうの性格のせいですね。
初めての友達が生意気なんて……。どう見てもこれからの悩みの種だねっ。うわー。
『私の初友達が……、初友達がこいつだなんて……』
『失礼だな! あと友達じゃないし!』
『うわーん、お母さーん』
『よし、リオくん。ちょっと毒液を食らってみようかー』
『うわっ、なんだこの馬鹿親!』
これから先のことを考えてると、とても頭が痛いです。
ベリオロス×2登場だよ!
ベリィさんはあんまり出番がないかもしれないですね(笑)
番外編での登場が一番出る確率があるかもですね。
いつか例の三人での番外編書きたいなー。
違うモンスターを想像していた方は申し訳ありません。
いつのまにか放置している間にお気に入りが百超えとる……!!
なんだこれ、嬉しすぎるぞ。
思わずニヤけ顔になってます、ありがとうございました。
これからも応援していただければ幸いです。
〇サヤ
ギィギが思い出した前世の名前。
他のギィギと識別するためにこの世界での自分の名前にした。
サヤ、サヤちゃん、さっちゃんなど呼び方が時々変わる。
〇ベリオロス(母)
今作中モンスター内で一番女(雌)っぽいモンスター。ベリィ、ベリィさんと呼ばれる。
子持ちでギギィ同様の親馬鹿なのだが時にジョウを優先してしまう残念なモンスター。
ウル同様ジョウに首ったけ。
〇ベリオロス(子)
ベリィを母に持つショタ。リオと呼ばれる。
ジョウに恋をするベリィにうんざりとしていながらも離れられないようだ。
サヤやティガにも何かと言われる事があり時々味方がいなくなる。