今回は前回の続きです。
つまり擬人化したその後のお話ですね。
いつも思うんですけど、タイトルってネタバレですよね。
いや、頭がいい人たちはなんかカッコイイの付けたりしてますけど。
私は頭があまりよくないのでそのまま付けるしかありません。
では、スタートです。
「あ゛ー、あ゛あ゛ー」
『さっきから何喋ってるんだよ、うるさいなあ』
『……けほっ。声帯が動くか練習してたの』
『声帯? 普通に声出てるじゃないか』
『人間の声の練習してたんだよ』
どうも、サヤです。
ただいま上空です。私もリオも人間状態のせいで飛べないのでティーおじさんに運んでもらっているところだよ。
ティーおじさんもリオも、なんで私たちが人間化したのかが分かってない。まあ私も分かってないんだけど、今はどうでもいいと思う。
『みんなに悪戯しに行きましょう!』
さっき私が二人に提案したこと。それはこの人間状態のまま他のモンスターに会いに行って驚かせよう! という提案。
まあそのことを提案したら逆に二人に驚かれましたがね。うん、リアクションありがとう。
で、話は少し変わってなんで私が声出し練習をしていたか。
私達の会話は本当は獣の咆哮みたいなもんです。ギャアギャア、とかそのモンスター特有の鳴き声でやってます。
それがただ単に私の頭の中で日本語に変換されているだけなんだよね。だから洞窟内には普通にモンスターたちの鳴き声が響いてます。
今回身体つきが人間のものになったから普通の人間の言葉喋れるかなー、って思って声出しをしていた。それがさっきの状況だよ。
変な声しか出なかったけどね。後で慣らさないと。
『さて、そろそろ着くぞー』
『いよいよだな』
『楽しみー!』
『……サヤって、いい性格してるよね』
『え、何? 褒めてるの?』
『貶しているんだ』
『何で!?』
分かったこと。人間状態になってもリオはリオでした。
折角ショタになったんだからもうちょっと容姿同様の可愛い性格になればいいのに。可愛くない。
でも今のところのどこに私が貶される理由があったんだろ。さっぱり分からないよ。リオのS疑惑が浮上しただけだよ。
『急降下するからしっかり掴まっとけよぉ!!』
『なんでティーおじさんもテンション高いわけさ』
『リオは根暗すぎんだよ』
『大きなお世話だよ!!』
いつの間にかこの二人はすっかりコンビです。モンスターのお笑い番組とかってないかな。絶対優勝すると思うんだ。
でも優勝した後リオは涙目なんだろうな。リオのツッコミは貶された時ぐらいしか発動しないからね。
『到着!』
大きな音を響かせてティーおじさんがド派手に地面に着地する。あちっ、舌噛んだ。痛い。
脳が揺れてるなー、と感じながらティーおじさんから降りる。なんかもうティーおじさんが便利な乗り物にしか見れなくなってきてるよ。
どうやら私の家である洞窟の前に降りたようです。影が大好きな私の影センサーが反応していますよ! ……ぐすん。
『おかえりー!』
ティーおじさんの着地音に反応したようで、大きな音を響かせながらお母さんが洞窟から出てきました。どうやら用事は済んだようです。
が、私とリオを見るなりピタリと静止しました。あんた銅像かってくらい静止しました。
『いやああああああああああ!!』
そして大絶叫した後洞窟の中へと走っていってしまいました。
ナイスリアクションなのはいいんだけど、ちょっと娘としては悲しかった。
いや、だって親から全力で拒否られたわけですから。ヤバイ、目から水が出そうだ。
『……大丈夫か』
『大丈夫だ、恐らく問題ない』
『それは大丈夫って言うのか?』
ティーおじさんが心配そうに私に視線を向けてきます。お気遣いありがとうございます。正直今身投げしたい気分です。
しばらくして今度は別の方が洞窟から出てきました。
『あいつの気分の変化は何なんだ……』
愚痴ってます。どう見ても私のお母さんを宥めていたようです。なんかすみません。私が元凶です。
相変わらず愚痴っているモンスター……、ジョーおじさんは私とリオを見た後やはり静止しました。なんで態々一度止まるんですか。
しかしすぐに動き出し、身体中から殺気を醸し出してきました。……え、殺気? 冗談だよね?
『人間風情が……! 今すぐその
『あなたどこのラスボスですか!?』
いきなり戦闘モードに入ってしまったようですうううう!?
ちょ、確かに人間ですけど! 人間ですけど何故にいきなり戦闘モードに入る必要があるんですか!?
子供ですよ、ハンターじゃないんですよ。そんなことしたら悪名広まりますよ、てか広めますよ、いいんですか。
『ストーップ! ストップ! 待てジョウ!』
『ええい、放せ! 即討伐してくれる!』
『だから討伐すんな! そいつらはサヤとリオだ!』
『戯言を! 貴様、人間に懐柔されたのか!?』
うーん、なんだか面倒くさい事態に発展してます。
いやまあジョーおじさんの言うことは至極最もなことなんだけどね。さすがに討伐は勘弁してほしいかな。まだ生きたいし。
そのまま面白いから観戦していると隣からくる突き刺さる視線。リオ、その「お前のせいだぞ」みたいな視線止めて。
『俺の話を聞け! こいつらはなあ――』
~説明中、少々お待ちください~
『はあ!?』
ティーおじさんの説明を聞いてジョーおじさんが最初に発したのは呆れたような声でした。
はい、ナイスリアクションありがとうございまーす。驚かせるのって、楽しいと思いませんか?
『いや、しかし……。だがあの声は……。でもだな……』
なんだか一人思考の世界へ旅立ってしまったジョーおじさんを放っておいて私たちは洞窟の中へ入って行きました。
え、ジョーおじさんに対する扱いが酷い? イエイエ、ソンナコトハ。
洞窟の奥まで行くとすっかり縮こまっているお母さんがいました。
『うぅっ、ティガが私の子供置いてきた……。ティガ大嫌い』
『なんでそこで俺のせいになってるんだ!?』
どうやら私のお母さんの中ではティーおじさんが私達をどこかに置いてきて、代わりに人間の子供を連れてきたことになっているみたいです。
……ちょっと待って。なんで代わりに人間の子供を連れてくる必要があるわけさ。普通いらないでしょ。
私が内心でツッコミを入れているとティーおじさんの声に気付いてか、お母さんが私達を見つける。
『うわあああああん! ティガなんか死んじゃえばいいんだああああ!』
『ちょ、ま、こえーよ! こっちくんなああああ!』
洞窟内で巻き起こるドタバタコメディ。
ティーおじさんは助かるのか! 次話へと続く!
『速攻で見捨てんじゃねえよ! 助けろよ!』
ちっ、駄目だったか。
とはいえさすがに可哀想な気がするので助けてあげますか。……方法が無いけど。
今この姿で何かできる事ってあるのかなあ。いや、ない。
『お母さん、落ち着いて!』
『……サヤ?』
あ、お母さんが止まってくれた。
でも私が声の出所って分かってないみたいであたりをしきりに見回してばかりだ。私は悲しいよ、お母さん。
とりあえずお母さんの目の前まで歩いていって、分からないなんてことがないようにしてからまた口を開く。
『ちょっと色々あって姿が変わってるだけだよ』
『その体温、その気配……。サヤ? 本当にサヤなの?』
『そうだよ、お母さん。忘れたなんて言わせないよ』
『……』
にっこり笑ってお母さんに言い返すと、プルプルと震えだすお母さん。
え、なんで震えてるの? もしかして効果が無かったとかじゃないよね。ニセモノって思われてるわけじゃないよね。
やっばい、なんかすごく不安になってきた。
『お母さん、どうしたn』
『サヤアアアアア!! びっくりしたよおおおお!!』
『ぎゃあああああ!? ちょ、潰れるから来ないで!』
『……今日もギギネブラ親子は陽気であった』
『ちょっと傍観してないで助けてよ、リオ!』
リオが完全に私を見放しました。酷い! 友達なのに!
それからお母さんにもちゃんと説明をし、なんとか納得してもらいました。この間、約二時間。いやあ、長かったね。
説明の途中でどうにか理解し終わったらしいジョーおじさんも洞窟の中に入ってきました。
『……不思議なこともあるものだな』
『世の中は不思議だらけなんですよ、ジョーおじさん』
『何故かお前にそう言われると嫌に説得力が出るな』
『ちょっとどういうことか説明してもらいたいですね』
『私の子供をいじめるな!』
『最近過保護が増してきたな!』
早くもジョーおじさんとお母さんが話の輪から外れました。速すぎにも程があるでしょう、あなたたち。
洞窟の外の方へ意識を向けてみると、そろそろ夜に近いみたいで気温が下がってました。あとで夕飯貰おう。
『ところで、これっていつになったら戻るんだ?』
『別に私はこのままでもいいと思ってるんだけどね』
『お前はな。俺は正直不便で仕方がないんだよ。飛べないし』
『若者よ、歩け』
『お前は婆さんか』
的確なツッコミいただきました。でもちょっと悲しいよ。今泣きそうだよ、いや嘘だけど。
ティーおじさんはと言うと色々と疲れたようで洞窟内に寝そべって話を聞いたりしている。要するに傍観してる。今はジョーおじさんとお母さんの口論聞いて笑ってます。止めに行くという考えはないのか。
『まあ確かにこのままだと食事は不便かな、って思うけど』
『あまり歯が尖ってないからお前は不便だろうな』
『まあ細けえことはいいんじゃねえか?』
『『ちょっと黙っててください』』
『お前ら……。そんなところでハモらせるんじゃねえよ……』
ティーおじさんも脱落しました。すみません、ちょっと煩かったのでついつい本音が……。
とりあえずリオとこうなってしまった原因を探ってみる。なにか心当たりがあるかと聞かれたので、素直に泉の水を飲んだことを伝えるとリオは頷いた。
『俺とサヤの共通点はそれくらいだから、それで正解かもな』
『ん? リオも泉の水を飲んだの?』
『……溺れてる最中に、少量』
『よく死ななかったね……』
『全くだよ』
二人揃ってため息を吐いた時、身体が疼くのを感じた。……決して卑猥な意味での疼くじゃないですよ? そんな期待しないでください。
疼きの後に、全身に回ってくる痛み。なになに、何が始まってるの? 私にはさっぱり理解できないんですけど。
『なん、だ? この感じ……?』
『痛い痛い痛い! 死ぬ!』
『死ね!』
『なんでこんな時までリオは貶してくるわけ!?』
どうやらリオにも私と同じようなことが起こっているみたいで、頻りに自分の体を探ってみている。
私も同じようにして異常がないか探ってみるけど、特に問題はなさそうだ。もしかして今更凍死の危険性が……!?
とりあえず痛みで立っているのが辛くなったので地面に座り込もうと身体を動かす――
『……あ』
――が、運悪くバランスを崩してしまい、私は思い切り後頭部を打ち付けたのだった。
――――――――――
『いたた……』
『リオ、大丈夫ー?』
くらくらとする頭をむくりと起こし、辺りを見回す。なんだかさっきよりも探知できる範囲が狭くなったような気がする。
ひりひりと後頭部辺りが痛むので手を持っていこうとして、私はさっきまでと体の勝手が違うことに気付く。
『あれ……?』
『怪我はなさそうだな』
『あー、良かった。怪我してたらまた俺のせいにされるかと……』
『大丈夫か、サヤ?』
『あ、うん。大丈夫だけど……』
熱視覚でリオの身体も確認してみるがやはり予想と同じ結果になっていた。
『私達、戻ってる?』
そう、何故か私とリオの身体は先程と同じモンスターの身体へと逆戻りしていた。もしかしたらさっきの痛みはそういう意味だったのかもしれない。
怪訝そうな私に気付いたのか、ジョーおじさんが説明してくれた。
『いきなり倒れてしばらくしたら戻っていたぞ』
『なるほど全く分からん』
なんだかデジャヴを感じているのは私だけですか?
まあ理由はよく分からないけど、とにかく元の姿に戻ったようです。もしかしたら時間制限とかがあるのかもしれないから、また今度原因を確かめてみよう。
発動条件は泉の水を飲むことだから、ティーおじさんに道順をちゃんと聞けば自分で行くこともたぶん可能だと思うし。
『さて、戻ったところで夕飯お願いします』
『いいよー、いつでもおいでー』
『俺は遅いから帰ります』
『気を付けてなー』
『俺とティガもお
私とお母さん以外の三モンスターが岐路に着き、私は夕飯のためにがぶりとお母さんに齧り付きました。
明日は何をしよう。そう考えながら私は血を貰うために思いきり吸い込むのでした。
書いておいてそれほどリアクションがなかったような(笑)
というか私、いつも前書きと後書きで喋りすぎですね。
ウザかったらごめんなさい。