またお待たせしてしまって申し訳ありません。
今回は……、言わなくてもわかりますよね。
なんかカッコイイ題名の付け方、みたいな本売ってないんですかねー。
では、スタートです。
『寒くないけど、さっむー、とか言ってみたり』
どうも、サヤです。
昔は寒がり暑がりだったのでちょっと言ってみたかったんです。なんだかその分暑がりが倍増しているような気がするんだよね。おお、嫌だ。
ところで、私が前世で聞いた噂話があるんです。
あのですね……。『独り言を言ったら禿げる』って噂知ってます? いや、知ってるとは思うんだけどね。田舎でぼんやりしていた私も知ってるわけですし、都会の人は噂とか情報速いし。
ここで私は思った。「あれ、私こっちに来てからいっつも独り言してんじゃね?」と。
……これって、禿げるのかなあ。いや、禿げてほしくないよ。髪は女の命綱ってどこかで聞いた覚えがあるよ。女の人の坊主って洒落にならない。でも尼さん綺麗だよねー。
『あれ、私髪無いんじゃない?』
よくよく考えたら私は今ギィギなわけだから髪とか関係ないんじゃないかな。いや、逆に髪ではないそれ相応のものがなくなるとか?
それ相応……。髪のところにあるのは、皮……。え、皮が無くなるの? それって普通に死んだ時のような気がするんだけど。
つまり独り言を言ってると寿命が縮まって皮を剥がれるということになるのか。嫌だわー。
『……さて、軽く一分と言う短い時間で現実逃避をしてみたわけですが』
え、なんで今この状況で現実逃避をしているか分からないって? うん、そうだろうね。私だってなんでこんなことになったかいまいちよく分かってないわけだし。
というか私はもともとなんか起こったらほとんどの確率で現実逃避しているしね。ギィギに生まれ変わってから私は一体何回現実逃避をしたんだろうか。……数えはじめたら頭痛くなってきた。
まあ、あれだね。まず最初に必要なのは今の状況説明だよね。それがないと何しているかさっぱりわからないわけだから。
えーっと、今の場所はどっか。森の中の、どっか。……はいそこ、話が見え始めたからって飽きないように!
時間、昼ぐらいだと思う。出かける前にお母さんから血を貰ったからお腹は空いていない。まああと二時間ぐらいたったらお腹減り始めてくる。大食いとか言うんじゃないよー。
周りにいる生物、いやモンスター。なーんにもいない。私以外いません。熱視覚に移ってないから間違いないと思う。
『はっはっは。……どうしてこんなことになっちゃったんだろう……』
いや理由など分かりきっている。私が馬鹿だった。それだけで全ては解決する。
そう、今回の件の始まりは確か三十分ぐらい前に遡る――
――――――――――
ちゅうちゅう、とお母さんの足辺りに齧り付いて血液を吸う。いやー、大分太ってきましたねー。この養分で早く成長してくれないかなー。お腹に溜まってほしくない。
ぼんやりしながら考えるのはこの前私とリオに起こった擬人化騒動。今でも目が熱視覚だったことは恨んでます。ふざけんな。
まあともかく、この前ティーおじさんから場所は聞きだしたので今日は暇だしせっかくだから言ってみるのもいいと思う。
……うん、単純に人間になってみたいだけ。慣らしておけば人と触れ合える機会もあるかもしれないでしょ? 前世人間の私は人間とも仲良くしたいんです。ずっと敵対関係ってのは少し私には辛い。
『と言うわけで出かけてきます』
『あれ? 私にはその前が見えなかったよ?』
齧り付くのを止めてそう宣言したらお母さんに不思議そうな顔をされました。
あ、そっか。今までのは私の心の中での思考だからお母さんには分からないのか。過程ぶっ飛ばされて結果だけ聞いた気分だね。数学とかの宿題ならそれでいいと私は思ってるけども。
『ちょっと擬人化してきます』
『分かったー。って、ん? あれ、なんか……え?』
まだ混乱している様子のお母さんを置いて私は洞窟を出ました。
今日からはハンターも周囲のモンスターも気にしません。なんとしてもあの身体をいつでも使えるように慣らしておかなきゃいけないんだから。
きっと今日一日で終わることではないと思うけど、だからこそ今日行かなくちゃ。「明日から頑張る」は私には無理な相談なんですよ。
『さて、森に着いたー』
ティーおじさんに教わった道順通りに進んでようやく森に到着。それほど遠くなかった気がするね。ここまでならいつでも来れる距離だ。遊び場にしたら……迷うから来ない。
――あの森は小せえからいくらお前でも迷わねえよ――
道を聞いた時にティーおじさんから言われた言葉です。
確かにティーおじさんから見たら小さな森なんだと思う。ただそれはティーおじさんから見た、という話であって私から見たら視点は一気に変わる。とても広大なんだろうな。
『私は迷子にはならない私は迷子にはならない私は……』と永遠に、不気味に繰り返しながら私は森の中へと歩みを進めていきました。
――結果、
『……アレー?』
今に至る。
――――――――――
説明は十分だったでしょうか? 私的にはなかなかいい感じの説明が出来たと思ってるんですが。
じゃあ分からない人のために一言で説明するよ。最初からやれとか言わないでね、文字数稼……ゲホンゲホン。なんでもありません、気にしないでください。
パンパカパーン、迷子になりましたー。
……なんで私はこんなにトラブルが多いんだろうね? 前は擬人化して、その前は拉致されて、その前はギィギに生まれ変わって。もうギィギに生まれた時点で私は呪われたりしているのだろうか。
思いため息を吐いた後、辺りを見回す。さっきも言ったように周りにモンスターと思われる熱はない。それは言わば私に手を差し伸べてくる者が周囲にいないことを現す。
あ、これは終わったわ。なんとなくそう思いましたね。
『ツイていないとかじゃなく、単純に馬鹿だ……』
きちんと道は聞いたんだよ? 『森に入ってから前に五十六歩、右に三十一歩、左に七十四歩で着く』って。試しても泉、ないんですよ。
……って当たり前だろおおおおおお!! それって絶対ティーおじさんの歩数じゃないか! 私は短足だからそこまで一歩が長くないんだよ! 短足で悪かったねっ!
というかなんで私その時に気付かなかった。なんで真剣に聞いてた。なんで『分かった!』とか元気に返事したんだ。
もう昔の
『うーん、さすがに拉致の時と比べ物にならないくらいマズイよね』
あの拉致事件は途中からメラルーさんたちの態度が変わったから私は無事だったんだ。
だけど今回は訳が違うんだよ。周りに植物以外の生命がいないってことが一番の問題点なんだよ。
一応野宿とかはできる。まあ普段の生活がほぼ野宿みたいなもののわけだし。洞窟での寝泊り……。
周りに生命がいない=食事ができないというところが駄目なんだ。そもそも他の生命が来たとして私が血を吸えるほど弱者であるかどうかも気になるところ。
……あれ、これって本格的に詰んでるんじゃ。
『い、いや! お母さんが助けに……あのモンスター、地理駄目だった……』
すぐに考え直す。私が長時間帰ってこなかったらお母さんのことだからジョーおじさんに助けを求めるんじゃないか、と。あ、でもジョーおじさんはここ知らないや。
知っているのはあの時泉に行った私とリオとティーおじさんの三モンスターだけ。しかも確かお母さんが朝に『今日はティーが集中砲火されるんだってー』って言ってたから多分今日中にここに来るのはきついだろう。
かなり本格的に死亡フラグが建てられるのが脳裏で想像できるんだけど。
『は、ははっ。どうしようか、これ』
とりあえず戻る道は分からないわけだし、今は目的であった泉を探しに行ったほうが良い。泉に行って擬人化すれば視点も歩幅もいい感じになるから帰宅が早くなるはず。
まあ、まずはティーおじさんの説明をどうやって私なりに訳すかなんだけどね。どこかが二百歩超える気がするよ……。
既に痛み出してきた頭を一度雪に埋めて冷やしてから、私は進むのでした。
――――――――――
はい、あれからなんだかんだで日が暮れましたー。
え、早すぎるって? 間の描写欲しいって? ……木から落ちてきた雪に殺されそうになったり、溝に落ちて動けなくなったり、足が攣ったりしました。散々だよ、まったく。
『というわけで結局辿りつけてませーん。はははは……、うぅっ』
あんなに歩き回ったのに泉に未だに着いていません。お前今まで何やってたんだって話だよね、本当。どうしようか、これ以上はお腹が死ぬ。
……あ、今お腹から切ない音が聞こえてきた。ご飯……。
『どうしようどうしようどうしよう! 帰れないよ、ガチで』
おかしいな、せめて夕方くらいには泉に着ける予定だったのに。
私って前世で方向音痴だったっけ? あんまり知らないところには行かなかったから覚えてないなあ。
高校は電車通学で、いよいよ都会の世界を知る! って感じのところでポックリだったもんだからそういう機会はなかったんだよね、残念なことに。
悲しんでくれた人とか、いるかな……。
『うーん、泉はそろそろ着いてもおかしくないと思うんだけど』
かなり歩き回ったわけだし、さっきのティーおじさんの歩数も私なりの歩数に計算してみたからもうじき着かないとおかしいんだよね。着かなかったら私の計算が間違ってることになる。
ちなみに数学は大嫌いでした。それよりもっと苦手だったのが英語です。中学の範囲すらあやふやです。高校は内申で捻じ込みました。授業態度ー。
まあ私の前世はどうでもいいんだよ。今の状況にそれが活かされるとは到底思えないから。英語とかいつ使うんだよ。
『わー……、月が綺麗すぎて泣きそうー』
上を見上げれば私を照らしてくれる月が。満月ですね、判断できるようになりましたよ。
あまりにもいつもと同じように光る月に泣きそうになりました。私がいなくたって日常はいつも通りの時間を刻んで過ぎていく。それはきっと前世も一緒のこと。
……あー、こういうのは私に似合わないね! やめやめ。
これ以上いんみりムード続けてたら私の頭が悲しさパワーで爆発します。ボッカーンがいいですか? ドッカーンがいいですか? お好きな方をどうぞ! 違う種類でもいいですよー。
『ぶほお!?』
乙女にあるまじき奇声を上げてしまいましたよ。……いや、乙女はさっきの爆発発言はしないよね。
じゃあ幼女にあるまじき……、誰が幼女だよっ!! まだ受け入れる気はないよ。
とりあえず今起こったこと。月を見ながら歩いていたら何かに嵌まりました。そしてそのまま沈んでいきます。
……は? 沈む?
『ぼばばばばばば!!』
沈むー! 水が口入るー! 死ぬー! ひー。
とりあえず散々パニックになりならがも、私はそこからなんとか脱出しました。うえ……、死ぬかと思った。
私は一体なんの水に落ちたのかと、確認するために振り向いて唖然としました。
ちょっ、あんなに探し回った泉が目の前にあるんだけど!? さっき私は泉に落ちて溺れ死にそうになってたわけか……。まるでこの前のリオだよ。
あっ、ということは私は水をさっき溺れてる間に飲んじゃった訳だから。
「……やっぱり」
私の身体は完全にあの幼女の姿に変わっていました。結局この姿は固定なのかよ!
嫌だな嫌だなと思いつつもとりあえず今回の目的はあくまで“帰ること”なのでそのまま私は歩き出しました。うー、この格好嫌だからさっさと帰って半日経つの待とう。
さくさくと踏みしめるごとに鳴る雪の音。この音好きだー。ギィギの姿だと絶対鳴らないんだよね。私は歩くんじゃなくて引き摺ってるから。
「とにかく、早く帰らないと」
バタバタ、とは雪が積もったここでは鳴らないけどもそんな感じに近い足取りで私は走った。絶対心配させちゃってるよね。またお母さん、ティーおじさんのせいにしているかもだし。
雪に足を取られないように気を付けないと……。そう思っていた私は早々に転んだ。
「あてぇっ!? ……いたた」
雪のおかげで頭を打ち付けることは無かった。雪さんありがとうございます! もう感謝感謝ですよ。でも踏むのは許してね!
転ぶ直前に何かを踏んづけたような気がして、私は辺りを見回してその何かを探してみる。
熱視覚で辺りを見回したり、手で探し回ったりしてそれをようやく見つけた。踏んづけたときに雪に少し埋まってしまったようで雪がかぶっていた。
「……ビン?」
弓とかスラッシュアックスとかで使うようなビンがそこにはあった。なるほど、思い切り踏んづけたから私は滑って転んだわけか。
というか誰だよ、こんなところにビンを落としていったの。……あれ、ここって人が来れるようなところなの?
まあそのまま捨てておくのももったいないし、何かに使えるかもしれないからこのビンは持って帰ろうかな。落としてくれた人、ありがとうねー。
「さて、帰らないと」
右手にビンを持って、私は熱視覚を使って前方と足元に注意しながら再び駆け出した。
そろそろテスト期間が近付いてきたので更に更新速度が遅くなるかもしれません。
更新されたら「こいつテスト勉強サボってる(笑)」と思っていただいて結構ですので。
笑い飛ばしちゃってください。