何故か毒怪竜になった件について   作:キョロ

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どうも、一週間ぶりですね。
今回は題名そのままその通りのお話です。

では、スタートです。


14、戯れるだけで死にかける件について

『どこだー? サヤー?』

 

 どうも、サヤです。最近お腹が重たいです。血液のせいだね!

 実は私は今、結構ガクブル状態。ガクブルのまま木の裏に隠れている訳です。簡単に言うと森にある木の一つ一つに隠れているのが私の今の状況。

 ティーおじさんの声が聞こえてまたビクリと体を震わせる。あわわ、意外と近い!

 

『見つけた。ったく、探したんだぞ?』

 

『ひいいいいいいいい!!?』

 

『……そんなに驚かなくてもいいじゃねえか』

 

 いきなり聞こえてきた声に驚いて思い切り悲鳴を上げたらティーおじさんが傷ついたような声を出しました。だって“いきなり”はかなり怖いんだよ! 理解して。

 どう逃げようかと考えている私を他所にティーおじさんは私をはむ、と咥えました。私は母親に運んでもらう子供のライオンかっ! せめて背中に乗っけてよ。牙怖い。

 本当はここで暴れてもいいんだけど牙が刺さったら嫌だから大人しくするよ。牙で脅されたの初めて。

 

『いじめ……。いじめだよ……』

 

『どうした、泣きそうな声出して』

 

『これから見る地獄を思うと走馬灯が見えるんです』

 

 走馬灯の件については前に触れたことがあるから割愛しますよ。面倒。

 涙は出ないから声だけでシクシク言うよ。なんだか無性に悲しいな。ティーおじさんが細心の注意を払って私を運んでくれているけどそれすら悲しく見えてきます。なんでだろう。

 森を抜けた先にあるいつも私が出かける範囲内の殺風景な氷の広場。そこに私達の他にお母さん、ウルさん、リオがいました。あれ、約二体いないみたいだけど。

 

『リオー。他の二体はー?』

 

『その状態はスルーしていいのか?』

 

『うん、スルーでお願い。悲しくなる』

 

『……母さんがジョウさんを追っていった』

 

 ああ、なんかもうその一言だけで話が見えるようになっちゃったよ。ちょっと遠い目になってジョーおじさんに向かって合掌。どこにいるかは分からないけど、お元気で……!

 でもそしたらここにウルさんがいる理由が分からないんだけど。聞いてみたら『ジャンケンに負けた』そう。公平だけども……、ジャンケンできるんだ。

 なるほどなあ、だからさっきからウルさんが不機嫌そうに辺りをうろうろ歩いている訳か。うん、ちょっと怖いから止めてほしいな。

 

『と言うわけで遊ぼうぜ!』

 

『子供よりもはしゃいでる大人ってどういうことですか』

 

『最近サヤが俺に酷いのは気のせいか?』

 

『気のせいじゃないです』

 

 ティーおじさんがショックを受けていたけど気にしないよ。さっきの持ち運びのお返しだ。精々消えない心の傷を負えばいいんですよ。ふーんだ。

 凹んでいるティーおじさんを放っといて何の遊びをするか考える。私とリオだけならいいんだけど、大きな子供が三体いるからね。悩むよ。

 

『私はサヤと遊ぶー!』

 

『駄目よぉ、ギギィ。サヤはあたしと遊ぶのぉ』

 

『むー! いくらウルでも駄目ったら駄目ー!』

 

 なにしてんだ、そこの雌たちは。てか私の取り合いするんじゃないよ! 私みたいな屑を取り合ったって得なんてありませんよ。あ、私のテンションが落ちた。

 ぎゃいぎゃい騒ぐ二体を置いておいてリオと何をするかの話し合いを開始する。下手したら私たちが死にかねない。リオは飛んだら逃げられるけど私には無理だし。

 

『無難に鬼ごっこしようぜ!』

 

『『殺す気か!?』』

 

 ティーおじさんが出した意見を即座にリオと却下する。そんなことしたら間違いなく私たちが踏み潰されて死にます。本当の鬼ごっこできるよ、って誰がするか!!

 でもかくれんぼはさっきこの遊びを拒否するために逃げたせいでもうやっちゃったしな。それにものすごく怖かった。捕食者から逃げる獲物の気分だった。もう味わいたくない。

 現に目の前にいる三体は現役の捕食者な訳だし。かくれんぼがトラウマになるなんて体験はここでしかできないんだろうね。やらないけど。

 

『じゃあ何するんだよー』

 

『決まってるでしょう。ねえ、リオ』

 

『ああ、決まっている』

 

『な、なんだ?』

 

 私とリオの意見は見事に一致しているみたいです。こんなこと初めてだね。……うん、確か初めてだったはず。初めてだよね?

 私達の答えを待ち望むようにごくりとティーおじさんが喉を鳴らす。お母さんとウルさんはまだ口喧嘩してる。いつまでする気だ、あの二体……。

 

『『解散』』

 

『あー、なるほどー。って納得するか!!』

 

 声を揃えて意見を言ったらティーおじさんにツッコまれました。なんでツッコむの? 私たちにとっては最善の選択だよ。私たちにとってこの遊びは“生”か“死”の問題なんだからね。いや、本当のことだから。これはネタじゃないよ。

 その旨を伝えたら案の定おかしな顔をされた……、と思ったら『すまん!』と必死で謝られた。あれ? いつもなら不満そうな顔で見られると思ったんだけどな。

 

『俺も幼少期に、親父に追い掛け回されてな』

 

『は?』

 

『何度命の危機に陥ったことか……。一度尻尾も再起不能にされかけた』

 

『『……』』

 

 私から言える言葉はただ一言。ご愁傷様です。

 ティーおじさんにまさかそれほど壮絶な過去があったとは。いや、そんなに大事ではないんだけどさ。なんだか親近感が湧いた瞬間だよ。

 昔の思い出に遠い目をしていたティーおじさんも加えて何で遊ぶかの会議を開く。お母さんとウルさんは役に立ちません。残念なことに。

 でも大体の遊びなんてできないよね。何の遊びだったらいいんだろう。

 

『達磨さんが転んだ、とか』

 

『どう見ても大人三体が有利だよ』

 

『色鬼、とか』

 

『私とお母さんは色見えないし色少ないし』

 

『ドッジボール、とか』

 

『ボールは?』

 

『……雪玉?』

 

『死ぬから却下。あと私とか投げられない』

 

 さっきから全く解決策が見えないんだけど。このままじゃこれだけで日が暮れちゃうよ。そんなことするなら洞窟で寝ていたほうが私的にはありがたい。

 それによくよく考えたら目がない私とか、破壊力満点のティーおじさんとか、個性が良すぎるモンスターが多くてほとんどの遊びが出来ないよね。

 誰かを嵌める遊びなら私は頭が働いたりするんだけどね。

 

『落とし穴とか、どう?』

 

『誰を嵌めるんだ?』

 

『ジョーおじさん』

 

『確実にトラウマを作る気だろ、お前』

 

『ええ、それ以外に何があるというんですか?』

 

『サヤって、本当良い性格してるよな』

 

 やった、初めてリオに褒められた。でもなんだか前に同じようなことを言われたような気がする。

 でも落とし穴はいいアイデアだと思ったんだけどな。ジョーおじさんが泣いてるところを見たいと思うのは私がSだからなんですかね? あのクールを壊したい。

 今どこら辺で追いかけられてるんだろうあ、と想像しながらも会議は続く。全ては生きるために!

 

『よし、俺はいい方法を思いついたぞ』

 

『悪い、もうティガさんに期待できない自分がいるよ』

 

『リオ……。まあ、無難にどっか出かけようってことでどうだ?』

 

『……うん、普通に考えたらそれしかなさそうですね』

 

『見直したよ、ティガさん』

 

『ありがとう』

 

 と言うわけで時間をこれ以上無駄にしないために早速お出かけすることにしました。もうあの二体は置いていくこと決定だよ。ウルさんはそもそも飛べないし。

 リオは自分で飛ぶようでバサバサと膜を動かして準備運動をしている。私はまだ飛べないからティーおじさんの背中に乗るしかない。なんだか屈辱的。

 そう思いながらも素直にティーおじさんの背に乗る私。空は風が気持ちいいんだよね。早く自分で跳べるようになりたいな。

 

『さて、振り落とされるなよ!』

 

『先生質問です!』

 

『ん? どうした、サヤ』

 

『血液をついでに採ってもいいですか!』

 

『……許す!』

 

『やった! ありがとうー』

 

 前にいつも運んでもらっているティーおじさんから『運んでいる最中に勝手に血液を吸うな!』と怒られたので今回からちゃんと許可を取るよ。別にいいじゃないか、お肉は駄目なんだから。

 ぱくりとティーおじさんの背に噛みついて準備完了! そして血液を採る。いつも隙あらば吸ってるから最近空腹を忘れてきている私がいるよ……。

 

『出発!』

 

『ティガさん、あまりはしゃがないようにね』

 

『おう!』

 

『……はあ』

 

 

 ちなみに余談だけども、私が血を吸い過ぎたせいでティーおじさんが墜落しそうになりました。

 まさか、そんなに吸ってるとは思わなくて……。でもスリルあって楽しかった。




どこかでまた別の人(あるいはモンスター)目線を書きたいなあ。
次話はそれができるような話にしようか、それとも全く関係なしに別視点にしようか……。
まあ色々考えてみるとします。
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