……えーっと、感想で前に書いた内容と明らかに内容が違くなってます。
どの感想、とは言いませんが、多分内容見たら分かります。
というかどうしてこうなったんだろう……。
先に謝っておきます。ファンの方、すみません。
では、スタートです。
……どうしてこうなったんだろうなー。
割と他人事のようにそう思ってから、私は目の前の景色を見てため息をついた。いや、結局は熱視覚なんだけどね。赤とかオレンジとか黄色とか、サーモグラフィーにしか見えないけどね。
目の前でおろおろとさっきから洞窟の中をぐるぐる回っている“人”……ミキさん。いつもは落ち着いているミキさんだけど、今日ばかりはそうもいかないみたい。
「あわわ、どうしようどうしよう……」
『落ち着け、ミキ。あと何言ってんのか分からねえから』
『そ、そうだった。ごめんね』
擬人化したミキさんはあまりの慌てっぷりに声帯まで間違える始末。
普段と違う様子のミキさんに動揺しつつも宥めるティーおじさんを少しかっこいいと思ったのは秘密だ。だって、言ったら絶対調子に乗るからこのモンスター。
何故こんなにもミキさんが慌てているのか。それは今の状況を見ると案外簡単に出てくるんだけど……。
『でも不思議なこともあるものだねー』
『まさか戻らないなんて、な』
『うぅ……』
そう、実はミキさん、元のモンスターの姿に戻ることが出来ないのだ。
ミキさんが擬人化したのは昨日で、その時は私も一緒に擬人化したんだけど……。私がモンスターに戻ってからも、何故かミキさんがモンスターの姿に戻ることは無かった。
前は人間だったしいいんじゃない?と励ましても『今はモンスターのほうがお気に入りなんだ』と涙目で言われてしまった。涙目反則。私が男で、ちゃんと見えたらノックアウトだよ。
とにかく、今まで起こったことのない緊急事態に集まったのは私とお母さんとティーおじさんだった。後のモンスターは知らない。また一騒動起こしてるんじゃないかな?
『……ねえ、ティガ。もう方法は一つしかないんじゃないかな』
『はあ? 方法って……。おい、まさか』
『もっ、戻る方法があるの!?』
『そうがっつくなよ。それに、俺らが知ってるのは方法を知っている“可能性がある”モンスターだ』
『本当に知ってるかは定かじゃないんだよー』
お母さんたちの話曰く、そのモンスターはとてつもなく長生きでお母さんたちが生まれる前からこの凍土に君臨するモンスターらしい。人間が私たちモンスターを大雑把に分けるとすれば、当て嵌まるカテゴリは“古龍種”。……え、マジ?
というか凍土に古龍種なんていたかな……。いや、ここは3rdの世界観から言わせてもらうと、いない! 3rdに出てきた古龍種は隠しを除くとアマツマガツチとジエン・モーランだけだ。
これはお母さんたちも聞いただけらしいんだけど『大昔に引っ越してきた』らしい。そんな簡単に引越しとかできるのか……。
ちなみにその古龍さんは人間による発見を防ぐため、他のモンスターの迷惑にならないため凍土の奥の方に自分で洞窟を作って暮らしているらしい。洞窟って、見つけるものじゃなくて作るものなんだ、初めて知った。
古龍、と聞くと随分怖いイメージがあるけど案外そんなことはなくて、むしろみんなに親しまれているらしい。時々お母さんたちも遊びに行ってるんだって。
その古龍さんはみんなから親しみを持ってこう呼ばれている。
――ミラちゃん、と。
……どうしよう、読めてしまった。
確かにここのモンスターたちの名前は何の種族なのかすっごく分かりやすいけどさあ……。でもここで分かっちゃったら『何の古龍なんだろう? ドキドキする!』みたいな件がさっぱりできないんだけど。
というかちゃん付けって……。それはさすがに親しみを持ち過ぎじゃないかな? 仮にも古龍様様だよ?
『そ、その、ミラちゃん? に会えば僕は戻れるの!?』
『恐らく、だがな。ミラちゃんは何考えてんのか分かんねえし』
『私も分かんないんだよねー、ミラちゃんの考え事ー』
『いや、お前は何も考えてないだけだろ……』
ミラちゃんって呼ばれるからにはやっぱりサイズが一回り小さいとかなのかな、と考えていたらいつの間にか話が進んでいた。あれ、私置いてかれてる?
お母さんとティーおじさんの話を聞いて『良かった……』と安堵の息を漏らすミキさん。まだ“可能性がある”ってだけだから安心はできないんだけどね。
『ところで、なんでモンスター姿のほうが良いんですか? 私には不便にしか見えないんですが』
『えっ? ……だ、だって、ティガと同じ姿だし』
『み、ミキ……』
『……ぬん?』
あれー、もしかしてこれって両想いってやつー? まったく面白くないね、年齢=彼氏いない歴の私としては!
それにミキさん、いつからティーおじさんを呼び捨てにするようになったんですか。前は『ティガさん』だったよね? 私の聞き間違いじゃないよね?
というか桃色空間にしないでよ。私には耐えられないよ!! なにこれ嫌がらせ?
『とにかくっ、そこに行って、さっさと戻してもらいましょう!』
『じゃ、じゃあ、サヤちゃん一緒に行ってくれない?』
『…………ハイ?』
――――――――――
本当に、どうしてこうなったんでしょうね。
私はミキさんに抱きかかえられながらぼんやりとそう思いました。
ティーおじさんかお母さんがついて行けばいいのに、と意見したら『だって、この姿だとティガたちは大きいから危ないし……』とのこと。私も普段その危険性があるだけあって言い返せなかった。
もしかして、狙って言ってたりするの? ……ありうるっ。
『うぅ、雷がゴロゴロいってて怖いよ……』
『仕方ないですよ。そういうモンスターですし』
『そうなの?』
『古龍種は災害級ですからね』
『……不安になってきた』
私だって不安だよ。お母さんたちはあんなに『大丈夫大丈夫』って言ってたけど、本当に話が通用するのか分からないし。常識を持ったジョーおじさんがいなかったから、真相は分からないしね。
はあ、と二人揃ってため息を吐いた時、ピタリとミキさんが立ち止まった。あれ、どうしたんだろう。
『着いたよ、サヤちゃん』
『えぇー、ここですか……?』
『そうじゃないかな、洞窟の穴が異様に大きいし』
なんかもう、既に私が知っている洞窟じゃないんだけど……。まあ、その古龍さんが入るには十分な大きさだろうけどね。ジョーおじさんも軽くすっぽり入りそう。
ミキさんはしばらく洞窟の中を見ていたけれど、前方を見据えてまた歩き出した。
『なんじゃ、小童共。妾はここにおるぞ』
『『……っ!?』』
急に、凛とした女性の声。声は背後からだった。
慌ててミキさんが振り返ることにより、私もようやくそのモンスターの温度を感知することが出来た。というか、私は熱に敏感なはずなのに視界に入るまで気付かないなんてどういうこと……。
『ははっ、いいリアクションじゃ。なるほど、ギギィの子と……ティガレックス亜種か?』
『あ、はい。こんにちは。……えーっと』
『ふむ、自己紹介が遅れたな。妾はミラボレアス亜種、気軽にミラちゃんとでも呼んでくれ』
やっぱりあなたでしたか、ミラルーツさん。というか、その名前はあなた発祥なんですね。でもやっぱり恐れ多くてミラちゃんなんて呼べないよ……。
威厳と言うか、オーラが全身が溢れてらっしゃるもんね。生きている年が違うだけに少し気圧される。
くぅ、初めて見るけど古龍ってやっぱりかっこいいな! 果たして性別があるかどうかは別として、なんだか女性みたいな朗らかな雰囲気がある。聞こえた声も高かったし。
『それで何か用があるのであろう? 態々ここまで来たのじゃからな』
『あっ……、そう、そうなんです!』
『実はミキさんが戻れなくなってしまいまして』
『……人間の姿から、というわけじゃな?』
『はい……』
ミラさんの言葉を聞いてミキさんは力なく頷いた。
……あれっ? そういえばさっき、なんでミラさんはミキさんがティガレックス亜種だって分かったんだろう。会ったことも無いはずなのに。……古龍種だから?
疑問に思ってこてりと首を傾げる私を置いて話は進んでいく。私って来た意味あるの?
『ふむ、それはおぬし自身の問題じゃろ』
『は……?』
『最近いろいろと悩んでいるんじゃろ? 恐らくその表れじゃろうなあ』
『うーん、特にあるつもりはないんだけどな』
『じゃ、知らん』
『えぇっ!?』
あっさり投げ出したよこの古龍種! そんなんでいいわけ!?
私とミキさんの唖然とした様子に気付いたのか、ミラさんはぷぅと頬を膨らませた。
『だって知らぬもん! それくらしか心当たりはないのじゃ! ないものはないのじゃ!』
『み、ミラさん?』
『みんな妾に頼ってきても困るのじゃ! 妾だって知らぬものもあって当然じゃ!』
『……』
『でも、そういう時しかみんなに会えぬし……。寂しいのじゃ……』
『な、なんかイメージと違う……』
『なんじゃ、妾のイメージって! 勝手に決めつけられても困るのじゃ!』
なにこのモンスター。また一癖あるのがきたなあ……。
古龍種ってなんかこう、威厳があるというか、キリッとしているイメージだったんだけど。目の前にいるミラさんはまた随分とそれをぶち壊してくれたなあ。
いや、可愛いんだけどね? 今もその巨体を丸めていじいじと地面を鼻先でいじくっている。頭の中でそれをしっかりと映像化してみたら悶えそうになった。
『ないのか、悩みは。本当にないのか!?』
『あー、その、あることにはあるんだけど……』
『ほれ見ろ! というか、何故最初に特にないなど言うのじゃ!』
『言うことでもないかなあ、と』
『むぅ……、ちなみに内容は?』
『その、好きなモンスターができて……』
『それはあれか、“りあじゅう”とかいう奴じゃな』
『は?』
『そういう者には“ばくはつしろー”と言えばいいのじゃろ?』
誰からそんなこと聞いたんですか、ミラさん。意味は分かっていなさそうだけども。
『最近よく来る小童から聞いたのじゃ』本当に誰だよ、吹き込んだ奴。
話は大分逸れたけど、どうやらミキさんはモンスターの姿に戻ることが出来るようだ。
『なら話は簡単じゃ。その悩みを解消すればいい』
『と、いうことは……』
『うむ。つまりそいつに告白すれば元に戻るであろう』
『うえええ!? む、無理だよそんなこと!』
『さしずめ、相手はあのティガであろう?』
『な、ななな何で分かるのー!?』
『妾を舐めるでないわ。……ま、すべてギギィの情報じゃがな』
いつの間に情報流してるの、お母さん。
……あ、だからさっきもミキさんが人間姿なのにティガレックス亜種だって分かったんだ。納得している私に『特にサヤの様子は詳しく聞いておるぞ』とミラさん。は、恥ずかしいな。
一方、私たちと違ってミキさんは洞窟の時とはまた違う慌てっぷりを見せていた。温度が急激に上がってるんだけど。きっと顔は真っ赤なんだろうなー。
『さて、妾もそれを見届けに行こうかの』
『えぇっ!?』
『なんじゃ、早く戻りたいのであろう?』
『多分そういうことじゃなくて、なんでついてくるのかということだと思いますよ』
『妾も見たいからに決まっておろう。何か文句でもあるのか?』
『いや、ないけど、でも……』
『ならば行こうではないか』
ワクワクと気持ちを弾ませているミラさんに対して告白を見られることとなったミキさんの温度がさらに上がる。うん、普通告白とかって二人きりでするものだよね。
それにミラさんが来るならお母さんとかも見るだろうし……。なんだかミキさんが可哀想になってきた。まあ私も見るんだけどねっ!
そわそわと落ち着かないミキさんは『あっ!』と良いことを思いついたように突然声を上げた。何を思いついたんだろうか。
『そ、そういえばさっき『こういうときじゃないと会えない』って言ってたよね!?』
『ふむ、言ったな』
『それって周りに影響が出るからとか……』
『ああ、そのことなら心配は無用じゃ』
『え?』
ミラさんから高熱が発せられる。私の視界は真っ赤に塗りつぶされた。
あ、熱い! 離れている私でも熱いって感じる。多分、閃光でも放っているんだと思う。なんでだか知らないけど。
ようやく視界の余計な部分から赤が消えて行ったとき、そこにいたのは大きなミラルーツではなく、人だった。……ま、まさか。
『ふふん、妾は泉の効果が無くとも擬人化できるのじゃ!』
『な、なんて便利な……』
『ただーしっ! 使うと一週間筋肉痛で動けなくなるぞ!』
『地味に嫌な副作用ですね』
そんなこともあるので、滅多なことがない限り使わないらしい。私たちのところに来るにはその姿にならないといけないらしいんだけど……。私とお母さんとは別の意味で引き籠りなモンスターだなあ。
すると、じいっとミキさんの目がミラさんに注がれていることに気付く。妙に落ち着きがないミキさんは自分の身体を見下ろしてはミラさんを見ているようだ。……つまり、体型ですか?
『胸、大きいんだね……』
『なかなかのナイスバデーであろう?』
『大きいし括れてるし。女性から見れば最高の体型だよ』
『妾も自慢の身体じゃ』
な、なんだと!? つまりミラさんは女の完全体ってことですか!? なにそれ羨ましい。私は前世はぺったんこだったからなあ……。って何を独白してるの私は。
『しかしまあ、これは激しく動くには揺れて邪魔じゃがな』というミラさんは私の気持ちなんて分からないでしょうね!
ちょっと恨めし気にミラさんを見ていると、既について行く気満々のミラさんを見てミキさんはため息を吐いた。
『……分かったよ。もう、勝手にしてよ……』
『うむ、勝手について行くぞ』
結局折れたのはミキさんだった。ところで大分フランクになってるよね、ミキさん。
『それでは参るぞ!』と元気よく歩き出したミラさんの後を私たちは追うのでした。
どうなるのかな、これ……。
〇ミラボレアス亜種
大昔から凍土にいる古龍種。ミラ、ミラちゃん、ミラさんと呼ばれる。
いついかなる時でも擬人化することが出来る。その代償として一週間全身筋肉痛になる。
引き籠っているせいでさびしがり屋になった。色々と詳しい。