何故か毒怪竜になった件について   作:キョロ

27 / 40
19、リア充が誕生した件について

 ただいまミラさんと一緒に洞窟に戻っています。私はミラさんの頭の上で必死にバランスを取っています。

 あ、ミキさんはミラさんが一発殴って気絶させて運んでいる。私は止めたんだけどね? ミラさんが『煩いから向こうにつくまで寝かせておいてもいいじゃろ』って聞かなくて。それは寝かせるって言わない。

 というか、ミキさんとミラさんって間違えそうで怖いよね。たったの一文字違いだから。

 ティガレックス亜種がミキさんでミラボレアス亜種がミラさん……。あ、どっちも亜種だ。新たな発見。

 

「ミラさんは私が何を言っているのか分かりますか?」

 

「うむ、分かるぞ。妾を舐めるでない」

 

「はー、さすが古龍って感じですね」

 

「そうじゃろうそうじゃろう。もっと褒めてくれ」

 

 なんか可愛いなあ……。

 えっへん、と胸を張るミラさんはとても微笑ましい。ただミキさんを荷物担ぎしているせいですごくシュールな光景になっているんだけどね。

 それにしても大分歩いているのにまだ着かないんだろうか。……なんというか、暇だよね。

 

「着いたぞ」

 

「あ、本当ですか」

 

『妾はたまにしか嘘をつかない』

 

『たまにつくんですね……』

 

 なんだか微妙な会話を繰り広げる。やりづらい。

 ミラさんの言った通り、私たちは洞窟の前まで戻ってきていた。あー、なんかミラさんの洞窟を見た後だと私の住んでる洞窟がすごく小さく感じる。あれが規格外って分かっていても、ね。

 洞窟の前で一瞬足を止めて中の様子を見ていたミラさんだったけど、すぐに歩き出して洞窟の中へ入って行った。

 中にいるのは……最初のメンバーか。お母さんとティーおじさんだった。

 

『お帰りー。……あれ、ミラちゃん?』

 

『なんでミラちゃんがここにいるんだ?』

 

『おう、ちょっと見物にな』

 

『『見物?』』

 

『ほれ、さっさと起きぬか』

 

『がほっ!』

 

 ミラさんがミキさんを起こすために鳩尾に肩を思い切り食い込ませた。ミラさん、鳩尾って人体の急所だってこと知っててやってます?

 ミキさんは咳をしながらも起きて、慌ててミラさんに降ろしてほしいと伝えた。うん、目が覚めたらいつのまにか荷物担ぎされてたってなんか怖いよね。拉致られたみたいで。

 あー、なんか前にメラルーさんたちに拉致られたのが懐かしいな。あの時は本当にびっくりしたね。

 

『え、あ、えぇっ!? なんでもう戻ってきてるの!?』

 

『妾を舐めるでない』

 

『その一言ですべてが片付くと思ったら大間違いだよ!?』

 

 今日はミキさんがよくツッコミをこなす日だなー。

 頑張ってください、私は今日はもう疲れたのでツッコミ役はバトンタッチです。

 腕をぶんぶん振り回しながらミラさんにツッコむミキさんを見て私たちは暖かい視線を送る。なんかこう、和むね。気持ちがほんわかしてくる。ミキさんパワーはすごいね。

 

『ほれほれ、さっさとせんか。時は金成なんじゃろ?』

 

『ミラさん、ちょっと違います』

 

 とても惜しいんだけどね。それも例の小童に教えてもらったんですか。何故間違った知識を教える。なんかちょっと人っぽいし。いっそのこと教えないでください。

 ミラさんに背中を押されてティーおじさんの前に出されたミキさんは顔を(熱視覚的な意味でも)真っ赤にして地面に視線を向けてもじもじとしている。対するティーおじさんは状況が全く分かっていないようではてなマークを頭の上に浮かべている。

 

『どうしたミキ? 体調でも悪いのか?』

 

『あ、いや、そうじゃなくて、その……』

 

『でも顔赤いぞ?』

 

『えーと、だから……』

 

 わあお、まったく話が進まない! 見事に話が進まないね!

 ティーおじさんって案外鈍感系なのかな? あのティーおじさんが鈍感系とか言われても全然想像できない。まあ想像しなくても目の前にいるんだけど。

 いつもと違うミキさんの態度が分からずに首を傾げるティーおじさん。それを見てミキさんはさらに緊張していく。

 

『ほれほれ、早くせんか』

 

『煽らないでよ、ミラさん!』

 

『いいではないか。妾は見物に来たのじゃから』

 

『それじゃただの野次馬だよ!』

 

 顔を赤くしたままミラさんにツッコむミキさん。うん、さすがにちょっと煩いよね。

 というか告白を物陰からこっそり見るとかなら分かるけど、なんで私たちって本人たちの前で堂々と告白の様子を見守ろうとしているんだろう。せめて物陰、それ以外ならどこかに出かけるのがベストじゃないのかな。

 あと、なんだか今更な感じがするんだけど……、私っていつまでミラさんの頭の上に乗っていればいいんだろう。これって結構バランスとるの大変なんだよ?

 

『仕方ないのう。では妾たちは外で待っておるぞ』

 

『始めからそうしてよミラさんの馬鹿あ!』

 

『ははは、赤面してそう言われてもな。襲うぞ?』

 

『さらりと怖いこと言わないでよ!?』

 

 割とミラさんの発言がガチで怖かった。かなり声色が本気だったんだけど!?

 あとミラさんって性別結局どっちなんだろう。人間バージョンは女の人だから雌なのかなあ? でも古龍種って私のイメージ的に性別なしって感じがするんだよね。ギギネブラみたいに。

 まあそれは私の勝手な想像だから別にいいか。でも仮にミラさんが雌だとしたら、さっきの発言がいろいろと問題になってくるんだけど。

 

 さてミラさんの提案で私たちは外で待っていることになった。

 もちろんただ待ってるわけじゃないよ。外から覗き見だよ。ちなみに覗き見メンバーはさっき洞窟にいた私たちだからミラさんとお母さんと私です。

 中にいる二体は私たちがこっそりと見ていることに気付いていないみたいだけどね。ティーおじさんは馬鹿だし、普段なら気付くはずのミキさんはパニックに陥っているから気付かない。

 ティーおじさんは気配とか気付かなさそうだよね。それを考えたら今まで生き残ってるのがすごく不思議になってくるんだけど。他力本願ですか?

 

『え、えっとね、ティガ、あの、その……ね?』

 

『よし、話の内容が全く見えないことだけ分かった』

 

 じれったいな、ミキさん。一思いに告白しちゃえばいいのに。告白なんてしたことないお前が言うなよって? うん、その通りだね!

 こうやって傍から見てるとすごいイライラしてくるんだよね。なら最初から見るなよって話なんだけどさ、やっぱり見守りたい気持ちもあるわけで。お節介っていうんだろうね、これ。

 

『うぅー……。すっ、好きです! お、お友達からでもいいのでお付き合いを』

 

『いや、今が友達だし』

 

『じゃっ、じゃあ恋人になってください!』

 

 ストレートォ!? あんなに言い淀んでたのにかなりストレートに言った!

 どうしてそういう言葉は普通に言えたんですか、ミキさん。大胆っていうか……すごいね。

 隣でミラさんが『最近の若者は大胆じゃなー』と感心するように呟いた。

 

『……というか。えっ? 俺でいいのか?』

 

『う、うん』

 

『そっか! 両想いだったのか!』

 

『りょ、両想……!?』

 

 ボフン、と音がしてミキさんの姿が見えなくなった。ん? 煙みたいなのに包まれてる?

 煙が晴れたとき、そこにいたのは正真正銘モンスター姿のミキさんだった。

 おー、元の姿に戻れた。本当にこれが正解だったのか……。ちょっと疑ってましたすみません。

 

『やった! 元の姿に戻れた!』

 

『よかったな、ミキ』

 

『ミキたちは若いんじゃなー。見てるこっちがどきどきするわ』

 

『っミラさんたち!? ……も、もしかして見てた?』

 

『うむ、バッチリ』

 

『最初から最後までー!』

 

 からかうようにミラさんが言い、楽しそうにお母さんが言い放った。ミキさんはそれを聞くとものすごいスピードで洞窟から走り去っていった。はえー。

 ミラさんとお母さんの『若いというのはいいのー』『そうだねー』という全く反省していない会話を聞いて私は苦笑した。というかお母さんはまだ若いと思うんだけど。

 そして、ここでようやくティーおじさんがまだ洞窟にいることを思いだした。ティーおじさんは状況についていけていないのか、首を傾げながら私たちとミキさんが走り去った洞窟の出口を交互に見ていた。

 私はミラさんに降ろしてもらってティーおじさんに近付いた。

 

『あんまり驚いてないんですね?』

 

『ん? ああ、なんか覗き見されんのは予想できてたしな』

 

『そうじゃなくて、ミキさんの告白ですよ』

 

『そっちか。いや、嬉しさの方が勝ってそういうリアクションができなかったというか……』

 

『なんだか今日のティーおじさんって気持ち悪いですね』

 

『はあ?』

 

 デレデレしているティーおじさんがなんか怖い。いや、ティガレックスって厳ついからさ。そんな厳ついティガレックスがデレデレしているところを思い浮かべても何も共感できないというか。……ティガレックスファンの人だったらそれなりに萌える光景なのか? うーん。

 ……考えてみたら、リア充が目の前で誕生したんだよね。でもミキさんには爆発しろなんて言えないし、ティーおじさんが本当に爆発したら私は面白いからいいけどミキさんが悲しむし。あー、リア充爆発しろが封じられちゃったよ。

 っと、無駄な心の中のお喋りは一回やめるとして。

 

『ティーおじさん、ミキさんを追いかけなくていいんですか?』

 

『どういうことだ?』

 

『今追いかけたら二人っきりになれますよ。イチャラブできますよ』

 

『……お前がそういうことを言う時は碌なことがないってジョウで学んだんだが』

 

『気のせいです。別にミラさんやお母さんとまた覗き見に行こうとか考えてません』

 

『考えてんじゃねえか』

 

 ティーおじさんに苦笑された。……あれー? 前ならもうちょっと勢いを持って『考えてんじゃねえか!』ってツッコんだはずなんだけどな。彼女のことになるとってやつ? つまらないなー。

 ティーおじさんが弄れなくなったら、私はジョーおじさんを苦しめるために雌二体に情報を流すしか楽しみがなくなっちゃうなー。……え、趣味悪いって? だって娯楽がないんだもん。

 

『んー、そうだな……。じゃあ追いかけてみっか』

 

『行ってらっしゃーい』

 

 そのままティーおじさんはミキさんを追いかけてどこかへ飛んで行ってしまいました。

 あ、ちなみに今度は覗き見するつもりはありまえん。あれはただの脅しだったし、それに覗き見しに行ったところで本当にイチャラブしてたら私の心が耐えられないから。

 

『ギギィはどうしてサヤだけを気に掛けるんじゃ? 他にもいるだろうに』

 

『んー? なんかねー、可愛いから』

 

『……妾には全部同じ個体にしか思えんぞ』

 

『えー、違うよ!! ほら、よく見てよ、ミラちゃん』

 

『ふぁ!?』

 

 いきなりお母さんに持ち上げられた! ライオンの雌が移動するときに子供を咥えるみたいな要領で持ち上げられた! え、どうやったらそんな器用なことをその口で出来るの。

 持ち上げられた私はミラさんに差し出され、ミラさんは私をお母さんから受け取った。なんか赤やんみたいに抱かれているんだけど……。

 

『いや、何年も見てきたギィギの形と変わりないぞ?』

 

『じゃあミラちゃんの目は節穴なんだなー』

 

『相変わらずバッサリと酷いことを言うな!』

 

 まさかのミラさんが弄られキャラだったっていう事実。

 でもさすがに弄る気にはなれないな……。そういうことをできるのはお母さんだけだと思うよ。

 とりあえず暇になった私たちは適当に談笑していました。




そういえばキャラ紹介みたいな欄はあったほうがいいですか?
挿入投稿が出来るようになったので要望があったら作ろうと思うのですが……。
意見がありましたら感想やメッセージ、活動報告のほうにでもいいですのでお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。