意外とお母さんは社交力ありますよ!
食物連鎖は一体どこへ消え失せたのか……。
それは作者にもわかりません(笑)
では、スタートです。
『お母さん、どこ行くの?』
今日は何しようかなー、とぼんやりしていたら私の周囲で高温がゴソゴソと動いていた。
それがお母さんだと分かった私は何をしているのかが気になり、すぐに問いかける。
ぴたりとお母さんの動きが止まり、沈黙が少しの間続いた後お母さんは私の質問に答えてくれた。
『ちょっとお友達のところに顔を出しに行こうかなーって』
その答えを聞いて私は硬直した。
確かこの前ティガレックスと仲が良さそうな発言してたけど、もしかしてそれなんだろうか。大型モンスターのイメージって「俺は誰ともつるまないぜ!」なんだけど。わー、なんか全然想像がつかないや。
……でも、個人的に少し見てみたいな、その光景。無論温度ですが!
温度だけでも大体わかるんじゃないかな、大きさとかさ。
『私もついていっていい?』
そう言ってから気付く。馬鹿なことを言ったかもしれない、と。
友達に会うのに子供がついていったら迷惑だよね! 私だって親が同行してくるのは嫌だ。
うーん、もうちょっと配慮が必要だったな。やってしまったよ。
完全にネガティブが発動してどんよりしている私を他所にお母さんは、
『別にいいよー』
と軽すぎる答えを返してくれたのだった。
え、いいの?
――――――――――
と、言うのが五分くらい前の出来事なわけだ。
現在お母さんのお友達との待ち合わせ場所にいつも通りお母さんの背に齧り付いて移動中です。本当に来てよかったのだろうか……。
『
『もう少しだからねー』
まあさっきの出来事が五分前って事なので、私は五分前から顎でくっついてるわけです。もちろん途中休憩があるはずもなく。
かなり顎が鍛えられております。現在進行形で。結構ヤバイ。
うわー、ちょっとぼんやりしてきた……。あれだ、マラソンやってぼーっとしてるけど足だけ自然に動いてる感じだ。
必死に耐えていると私の温度センサーが反応した。
むむっ、何かいるな! お母さんと同じくらいの温度……、いやそれよりも少し高いかもしれない。もしやあれが友達ですか。反応がでかいんですが。
ちょっと緊張してきた! 今更になって汗が出てる! いや、モンスターに汗とかあるのかよく分からないけど。
『お待たせー』
『遅い。何してたんだ』
『食事』
『後でしろよ。どうせシャーベットなんだろ?』
『生の方が美味しいんだもん……』
『あー、もうお前は……』
『そこまでにしときゃいーだろー? 本っ当お前面倒だよなー』
『黙れ』
……えーっと、いきなり会話が始まってますが、私完全に蚊帳の外ですね。
やっぱり今回のお母さんのお出かけにはついてきちゃいけなかったのかもしれないな……。いい教訓になった。お留守番が一番!
どうしようかと思っていると多分二体分の視線がこっちに向いているのを感じた。目がない分色々と感覚が研ぎ澄まされてます。
って、そうじゃなくて! なんで私の方見てるわけさ。お友達同士仲良く会話してください! 絶対に私お邪魔虫なので!
『……これは?』
こらそこのクール低音! 勝手にモンスターを“これ”扱いするんじゃないよ! 生き物だよ! 物じゃないんだよ!
お母さんはのほほんとしながら説明する。マイペースだな。
『私の子供ー。可愛いでしょ?』
『俺にはみんな同じに見えるぜ? なあ、ジョウ?』
『変な名前で呼ぶな。最初の意見には同意するが……、大分太ってるな』
またお前か失礼なあああああ! 太ってるとか言うんじゃないよ! 私最近それが結構気になってるんだからね!
ところでなんで低音さんはジョウって呼ばれてるんだろう。反応的に本名じゃないみたいだけど。というかモンスターに本名ってあるものなの?
『おおっと、自己紹介忘れてた! 俺はティガレックスのー……、そうだなー、ティーでいいぜ!』
『なんでそこだけ取った……。俺はイビルジョーだ。呼び方は何でもいい』
わー、ティガレックスとイビルジョーだー。すごーい。
じゃ・な・く・て!!
うっそおおおおおおおお!? ええ!? なんでギギネブラとティガレックスとイビルジョーが仲良いの!? どこに行ったよ、生態系と食物連鎖!!
わ、私のお母さんはとんでもない人たちとお友達だったようです……。
そうだね、ティガレックスの前に出しても育てるどころか自己紹介だね。そりゃあいきなり放り出さないわ……。
『あ、う、ギィギです。よろし』
『うおおおおお!? ちゃんと喋れてんじゃん! こいつ頭いいな!』
『えへへー、もっと褒めてー』
『母親のお前を褒めてどうする。……しかし成長が速いようだな』
あ、もしかしてきちんと言葉を紡ぐことが出来るのはもう少し後になってから何ですか? うわあ、イレギュラー人生歩んでますね、私……。
とりあえず温度の範囲を見てみてもティーおじさんと、……ジョーおじさんはかなり大きいサイズです。私が小さいのもありますけど。
まあ、ジョーおじさんは普通サイズなのかもしれないけど。イビルジョーって基本でかいし。
『まあ早死にしないことを願うぜ!』
『既に俺とティガレックスとお前の母親ともう一体がいるせいで討伐隊がちょくちょく来るからな……。気を付けろよ』
『りょっ、了解しました……』
お二人が私にとって危険じゃなくても人間にとってはかなり危険なようです……。環境が既に危険とかもうヤダ。
とりあえず小さくて力が全くない今は成体になることが目標だな。移動範囲も増やさなきゃならないし。
……ん? もう一体? まだ誰かいるんでしょうか。
『ったく、それにしてもあいつおっせーな』
『……あいつ?』
ティーおじさんが面倒くさそうにそう言ったのに反応してしまいました。
それはさっきジョーおじさんが言っていた『もう一体』のことでしょうか。
頭に疑問符を浮かべていた私にジョーおじさんが答えてくれました。
『俺たちは小さい頃から仲がいいんだが、もう一人メンバーがいてな』
『誰かが討伐されそうになったらみんなで加勢しに行くんだよー』
討伐しにきたハンターはたまったもんじゃねえな!
普通の討伐クエストが現地で急に大連続狩猟クエストになるのか……。あれ、でも一気に来るから大連続とは言わない?
それでも普通に怖いよ。だからこのモンスターたち余裕なのか……。
『おっ、来た来た』
『あらぁ? あたしで最後なわけぇ?』
ティーおじさんがそういった時滑るような音が聞こえ、次いでどこぞのギャルだよとツッコみたくなる声が聞こえました。
声の高さ的に見ても口調的に見ても、性別は女と判断していいのでしょうかね?
でも、正直このモンスター……、怖いです。
『……ひっ』
『何この子! 小っちゃくて可愛い~! お持ち帰りしていい?』
『いい訳ないだろう』
そういえばこの妙に女らしいモンスター、何のモンスターだろう。
考えていると身体がいきなり地面から離れ、もふもふに体が埋まる。むっ、体毛ですね!
ここら辺で体毛があって、手もちゃんと動くモンスターと言えば……。
『ウルクスス?』
『目がないのによく分かったわねぇ! 食べていい?』
『いい訳ないでしょう!?』
『やぁだ、冗談に決まってるじゃないのぉ! 真に受けるところも可愛い~!』
『くっ、苦しいですから離してください!』
『イ・ヤ・だ~!』
『うわああああん!!』
駄目だぞ、このモンスター! 話が通じない!
前世ではあまり外に出なかったせいでこういう時の対処方法がさっぱりわからない……。
そもそも私は田舎っ子です。都会の人はよく分からない。
『おいおい困ってるじゃねえか。離してやれよ』
そんな私の反応を見兼ねてかティーおじさんが助け舟を出してくれました。
さすがティーおじさん! いいモンスターだね! 全く褒め言葉に聞こえないけど!
『あんたはお呼びじゃないのぉ』
『なんだよ、お呼びじゃないとかって!』
『……喧嘩してないで離してやったらどうだ。可哀想だ』
『はぁい』
『オイ待て、この差はなんだ!?』
『馬鹿に興味はないのぉ』
『馬鹿とはなんだ!』
……せっかく解放されたのに、これはなんなんだろうか。
とりあえず今思うのはあれだ。すごく帰りたい。
ぎゃあぎゃあと騒ぎ立てるティーおじさんとウルさん(私命名)。
そんな二人をちらりと見てから、私はジョーおじさんとお母さんと一緒に明々後日の方向に顔を向けるのでした。
ティーおじさんとウルさんの喧嘩はいつものことです。
先程見たらお気に入りと評価入ってました! ありがとうございます!
ううむ、0もありますね。世間は厳しい!
よろしかったらどこが駄目だったのかを教えていただけるとありがたいです。
改善のしようがないかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
〇ティガレックス
ギギィの友達。ティガ、ティーおじさんと呼ばれる。
気楽な性格ではあるが周りのことをよく見ていて友達思い。
よくウルと喧嘩する。
〇イビルジョー
ギギィの友達。ジョウ、ジョーおじさんと呼ばれる。
真面目な性格でSの気がある。冷静にギィギやティガを貶すことがある。
ウルに種族を越えて恋愛感情を持たれていて、唯一これが苦手。
〇ウルクスス
ギギィの友達。ウル、ウルさんと呼ばれる。
口調がどことなくオネエっぽいが雌です。
ジョウに首ったけで苦手意識を持たれていることに気付いていない。