何故か毒怪竜になった件について   作:キョロ

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モンハン小説、今年最後の投稿です。
いやー、一個前の投稿できて本当によかったです。


季節行事企画番外編 「良いお年を」

 どうも、サヤです。今年も早いことで、なんともう年末だそうです。

 ここでの日々は常に騒がしいからね、一年なんてあっという間に過ぎちゃうよ。十年くらいで、ようやく一年に感じるんじゃないかな? ……ううん、きっとそれもあっという間だね。

 

『というか、一年の節目とか、分かるんです?』

 

『ああ、分かるぞ。ボルアが“かれんだー”なるものを持ってきてくれてな』

 

 ジョーおじさんに疑問を尋ねると案外すんなり答えが返ってきた。

 なるほど、確かに人里に行くのに(多少の常識的な意味で)一番向いているのはボルアさんかもしれない。ボルアさんは人里では“凍土近くに住む凍土の観測者”という設定になっているらしい。尤も、観測するのはモンスターではなく環境のほうなのでモンスター討伐の依頼を出すことはないそうだ。前職業ハンター、というのは最初は使ってなかったらしいんだけど、名バレしたみたい。

 そんなボルアさんは時折ここで少しの資材を取って人里に行って、物品を購入している。ミラさんのサロ〇パスや、さっきジョーおじさんが言っていたカレンダーなんかが主な例だ。たまーにお酒なんかも買ってきたりするらしいからちょっと面白い。

 

『道理で日付の概念を知っていると思いましたよ』

 

『ボルアが来る前までは知らなかったことだ、ありがたい』

 

『ただいまー!』

 

『あ、お帰りなさい、お母さん』

 

 現在の場所はいつもの洞窟。でもこれからミラちゃんのところにお邪魔するんだ。今年の大晦日・お正月はミラさんの洞窟で過ごすんだって! お母さんはそのためにみんなのところに行ってその旨を伝えてきたんだよね。

 ……まあ、今年はティガレックス二体がいないんだけど。あの二体はまだ帰って来ません。いつまで旅行に出かけているつもりなんだろう。それとも二体はカレンダーを持っていないから日付を忘れてしまっているのかな? 忘れているんだろうなあ。

 

『皆には伝えたか』

 

『うん! 騒がしくなると思うよ!』

 

『騒がしいのはいつも通りだろう。少しだけ、賑やかし要員がいないだけだ』

 

『ちょっと寂しいねー』

 

『馬鹿言え。たまにはああいうのがいないほうが良いんだ』

 

 そんなことを言いながらもジョーおじさんの声はどことなく寂しそうだ。ツンデレめ。

 お母さんはそのことを感じ取ったのか感じ取っていないのか、『早く行こうよー』と催促をする。うん、これは絶対気付いていないね。お母さんだから仕方ない。

 そういうわけで、私たちは早速ミラさんの洞窟に行くことにしました。

 

 

――――――――――

 

 

 やってきました、ミラさんの馬鹿でかい洞窟。

 ミラさんの身体のサイズに合わせて自ら作ったという洞窟は私たち普通のサイズのモンスターが入れるほど大きい。まだまだ子供サイズの私やリオ、元々小さいメラルーAさんたちにとっては十分すぎるほど大きく見える。

 そんな中で宴会だよ! 笑い声が反響しまくって頭が痛いです。切実にこの中にティーおじさんがいなくて良かったと思うのは私だけでしょうか?

 ボルアさんが仕入れてきたお酒、そしてお肉。これだけで大人のモンスターは騒がしくなっちゃうんだから不思議だよね。お酒の力ってすごいなあ。

 あ、ちなみにミラさんは今日は擬人化しています。ミラさん曰く『妾も騒ぎたい! でも騒いだら危ない! そうじゃ擬人化すればいいんじゃ!』とのこと。謎のハイテンションはボルアさんに言わせれば、こんなに騒げるのは滅多にないから浮かれている、らしい。

 

『ボルアー! 酒ー! お酒じゃ!』

 

『この酔っ払い!! 俺は召使じゃないんだよ!?』

 

 そんな中で一番最初にやらかしたのは、やっぱりこのモンスターたちでした。普段から寂しがり屋なミラさんはお酒の影響もあって更に悪化しているみたい。すぐに我儘を言いはじめてぐずっている様子はただの子供だ。ボルアさんはそんなミラさんに付き合うために同じように擬人化しているわけだけど、ミラさんに思いきり抱き着かれて参っているようだった。

 ミラさんの身体はダイナマイトバディだからね! 私の目が熱視覚じゃなかったらちょっと目のやり場に困ると思う。とりあえず今のボルアさんは小説にありがちな一部の女性にモテモテな主人公に見えます。やったねボルアさん、春が来たよ!

 

「サヤちゃん助けて! 俺居た堪れないよ!」

 

「人語で助けを求めてくるとは、切羽詰ってますねー」

 

「うわあい、他人事!! いや本当助けてよ!!」

 

「妾を捨てて他の女に乗り換える気か!?」

 

「何それ!? そんな関係になった覚えないよ!」

 

「そうやって妾にしたことを忘れる気かーーー!?」

 

「人語じゃなかったらエラい騒ぎになるとこだったよこれ……」

 

 げんなりとしているボルアさんは開始早々疲れている。私だってまさか始まってから直ぐにミラさんがこんなことになるとは思っていなかったよ。

 元々ここでやろうと提案したのはこの二体だからね。いきなりホストが収拾がつかなくなるなんて前代未聞なんじゃないだろうか。まあこの凍土のモンスターたちらしいと言えばらしいけどね。騒ぎが無い凍土なんて私の住んでる凍土じゃないよ!

 

「ご、ごめん。俺、ミラちゃんを奥に寝かしつけてくる……」

 

「行ってらっしゃい。そのままお楽しみいただいてもいいですよ」

 

「しないから!! しないからね!!」

 

「ボールーアー」

 

「っとにかーく! 誤解を生むようなこと言わないでよ!!」

 

 それだけ言い残すと、ボルアさんはミラさんを引っぺがしてからお姫様抱っこし、奥に消えていった。ミラさんが寝付くのはもっと後になるだろうから戻ってくるのは遅くなるだろうな。

 あんなにからかっておいてなんだけど、私はミラさんとボルアさんの間に異性的好意があるとは思っていません。だって二体は普通に同棲してるからね。もしそういう好意があるのならとっくにそういう関係になっていてもおかしくないと思うんだ。だからあんまり考えてないんです。

 

『途中分からない言葉使ってたけどぉ、ミラちゃんたちどうしたのぉ?』

 

『ミラさんが酔ってしまったのでボルアさんが寝かしに行きました』

 

『あらぁ、お楽しみに行ったのぉ? みんながいるのにぃ?』

 

『……私と違って、素で言ってますよね、ウルさん』

 

『勿論よぉ!』

 

 ウルさんがすっげえウキウキしてる。ジョーおじさんへの恋心で暴走しがちなウルさんは他のモンスターとの恋路にも興味津々らしい。一般的な女の子の興味だね。恋バナにも興味があるんだろうけど、残念ながらこの凍土にはその話題で盛り上がれる雌は他にいそうにない。

 私が引いていると、バシッと誰かウルさんの頭を叩いた。痛そうに頭を押さえて悶えるウルさんの背後にはベリィさんがいます。

 

『何すんのよぉ!!』

 

『もう少し落ち着きなさいな。年末だっていうのに変わらないわねえ』

 

『これが私よぉ、私を止めることは誰にもできはしないのよぉ!!』

 

『待て待て待て!! なんで俺の方にくるんだ!?』

 

『私の全部を受け止めてぇ!』

 

『受け止めきれるか! お前の突進は痛いんだ!!』

 

 私たちから少し離れた所でちびちびとお酒を飲んでいたジョーおじさんに突進を仕掛けるウルさん。さすがに今日ぐらいは何事も起こらないだろうと踏んでいたらしいジョーおじさんは慌てた様子でウルさんの突進を避け、そのまま洞窟から出て行ってしまった。お、おぉ……ここまで揺るぎないって相当だよ。

 その様子を黙って見守る私たち。ベリィさんはため息を吐いて見送った。

 

『あ、あははー……』

 

『全く、いつも通りすぎて困っちゃうわね』

 

『ベリィさんは追わなくていいんですか?』

 

『いいのよ。ちょっと今眠いしね……』

 

『もしかして、酔ってますか』

 

『そうみたいね。どうもあの水は苦手なの』

 

 そう言って頭を床につけてリラックスした体勢を取るベリィさんはすっかり寝る気満々だ。この洞窟は広いし、いざとなったらボルアさんに何とかしてもらおう。全部丸投げ、万歳! いつもツッコミに回っていると疲れちゃうから、たまには全部誰かに任せたくなるんです。

 うつらうつらと段々と眠りに誘われているベリィさんを微笑ましい視線で見ていると、リオがとてとてと近寄ってきてぺしぺしとベリィさんの顔を叩きました。ちょっ、えぇっ!? 待って待って、リオが可愛く見えるんだけど私は何かの病気にかかっちゃったのかな!?

 ボーっとしているベリィさんはそんなリオに顔を近づけてすり寄っている。可愛すぎます!! なんなのこの親子の光景!! もっとください!!

 

『ここで寝ないで。家で寝てくれよ』

 

『……今日だけ』

 

『そう言われても……』

 

『お願い、リオ』

 

『……絶対今日だけ、だよ』

 

 ぶすっと不機嫌そうにしているリオはそのままもぞもぞとベリィさんの側で丸くなった。どうやらリオ自身もここで寝るようだ。それを見たベリィさんはリオを包むように寝る体勢を変えて、そのまま目を閉じて寝息をたてはじめた。

 リオはまだ寝る気になれないのか、もぞもぞと動いてひょこっと顔をこちらに出した。

 

『よ、サヤ。お前はもっと楽しみなよ』

 

『リオはもうお開きみたいだね』

 

『構わないさ。俺はもうご飯も食べたし。母さん置いて帰れないし』

 

『安定のマザコンだなあ』

 

『ふんっ、なんとでも言えばいいさ。俺が母さんを好きなのは変わらないよ』

 

 それで将来好きなモンスターできなかったら、ベリィさん泣いちゃうよ。幸せはモンスターそれぞれだからそれを直接口にすることはしないけどね。だけども私は断言しますよ、リオはイケメンになるに違いないです。あ、容姿は見れないしモンスター的基準のイケメンとか知らないけど、性格的イケメンになると思う。意地悪だけど優しいとこあるし。密かに認めているところです。

 

『それにしても、始まったばっかりなのにもう終わりそうだな』

 

『長時間のぐーたらより乱闘が好きなんだよ、きっと』

 

『それもモンスターの本能かもな。仕方ないさ』

 

『確かに静かなお母さんたちは想像できないよね……』

 

『みんな、濃いからな……』

 

 自然と遠い目になったのは、自分たちもその仲間だということを思いだしたからかもしれない。私たちも、ひょっとしたら濃い面子に入るのかなあ。私は決して普通のモンスターだと思いたいところだ。

 ふわあ、とリオの口から欠伸が出る。どうやらリオも意識しないうちにベリィさんの眠気が移っていたらしい。ちょっぴりびっくりしたようだったけど、ふと雰囲気を和らげた。

 

『……うん、俺もそろそろ寝るよ』

 

『お休みー。寝てる間に落書きしといてあげるね』

 

『言ってろ』

 

 クスクスとリオは笑うとまたもぞもぞと身動きをしてベリィさんの身体で見えなくなった。まだ寝息は聞こえそうにないけど、そのうち眠りにつくんじゃないかな。

 あと残っているのは……お母さんとメラルーAさんくらいかな。今回の騒ぎの一端を担っているメラルーさんたちは後片付けに追われているみたい。残ってしまった骨やお酒を飲むときに使った器を回収したりしている。すごく忙しないけど文句を言っている様子は見られないから、進んでやっているのかも。働き者だなあ。

 

『お酒、もっといかがですかニャ?』

 

『うー、もういいー。飲み過ぎたー』

 

『ニャニャー。サヤさんと同じくお酒に弱い見たいですニャ』

 

『お母さん……大丈夫です?』

 

『大丈夫ですニャ。もう寝そうですニャ』

 

『それ飲みすぎですよね』

 

 ベリィさんに続いてお母さんもお酒でダウンしているみたい。モンスターたちはお酒に対しての耐性がないのかな? これが人間側に知れたらお酒入り生肉、なんて新しい罠が誕生するんじゃないかな。……まあ、あんなあからさまなお肉の設置じゃ、引っ掛からないだろうけどさ。

 

『サヤぁ、お肉持ってきてー』

 

『早く寝てくださいこの酔っ払い』

 

『酷い!! サヤが酷いー! 私もう生きていけないよぅ!』

 

『ああああ、面倒くさい!!』

 

 ぐっ、今更ながらボルアさんの気持ちを理解出来たよ……。ごめんなさい、ボルアさん、もう馬鹿にしたりしませんから酔っ払いに対する効果的な方法を教えてください。

 前世の両親はお酒を飲むこともあったけど、(たしな)む程度だったしね。こんなに寄ったことなんてないからそういう時の対処法を私は知らないんだよ。せめて居酒屋の娘ー、とかだったらお店の手伝いみたいな感じでそういうことも学ぶことが出来たんだろうけど。

 参ったな、と頭を抱えているとボルアさんが奥から疲れ果てた様子で戻ってきた。

 

『うわ……。いつからこの洞窟は居酒屋になったんだ……』

 

『ぼ、ボルアさーん! ヘルプ! お母さんが酔っちゃった!』

 

『え? ……頭に拳骨食らわせたら? 寝るよ』

 

『荒療治!? いやいやまずいですってそれは』

 

『どうせお酒も入ってるんだし、忘れちゃうよ。ていっ』

 

『ぎゃふん!』

 

『言ってる傍から殴った!?』

 

 ボルアさんは慣れた様子でバシッと容赦なくお母さんの頭を殴った。ちなみに両方。……ボルアさんもお母さんの頭がどっちなのか分かっていないのかもしれない。

 それでもボルアさんが言った通り効果はあったようでそのままお母さんは静かになった。そっち的な意味での静かじゃないよね? と思わずボルアさんを疑ってお母さんの息を確認したけど、ちゃんと寝息を確認できたから良しとする。え、息がなかったら? 全力でボルアさんの命を刈り取りに行こうと思いましたが何か。

 

『生存者は俺とサヤちゃんとメラルーかあ』

 

『その言い方やめてください誰も死んでませんから』

 

『お酒に殺されましたニャ』

 

『便乗しないでくださいってば、縁起でもない』

 

 そういうことは冗談でも言っちゃいけないと思います! もっと穏便に行こうよ、折角の年末なんだからさあ。ふう、とため息をつくと『ごめんごめん』とボルアさんが苦笑いを返す。絶対反省してない。

 

『疲れちゃったなー』

 

『ボルアさんもお酒飲むんですか?』

 

『これでもかなりいける方なんだよ。……あ、これ辛口だ』

 

『こっちのお酒もいかがですかニャ?』

 

『その血酒はちょっと遠慮するよ……』

 

 クスクスと笑いながらメラルーAさんの提案を断るボルアさん。メラルーAさんもそれが分かっていながら勧めたようで、同じく笑いながら『失礼しましたニャー』と言って血酒を持って、他のメラルーさんたちと同じく荷造りを始めた。せっせと働く姿を見て、蟻を思い出した。

 そのままボルアさんは自身が買ってきたお酒を次々と煽っていき、ほとんどを飲みつくしてしまった。ボルアさんはお酒に強い……というわけでもないのか、ぼんやりと身体を揺らしている。僅かに体温の上昇も認められた。どうやら酔っているようだ。

 

『うーん、疲れたあー!』

 

『ボルアさん、ボルアさん。寝たほうが良いですよ』

 

『……ん、そーする』

 

 そうしてふにゃっと笑った次の瞬間にはボルアさんの身体は地面に横たわっていた。頭を打ったような気がするんだけど、果たして大丈夫だろうか……。ボルボロスって頑丈そうだから大丈夫だと信じようか。

 さて洞窟がほとんど一瞬で酔っ払いの避難所と化したわけだけど。……放っておこうか。明日二日酔いで体調悪くなればいいと思うよ。私知らない。

 そんなことを思いながらも私もなんだか眠くなってきた……。今の時間はどれくらいなんだろう。前世ならテレビでカウントダウンの番組を適当につけて見ていたんだけどな。あと、ゲームとか。時計がズレていて村でのカウントダウンの時間もズレたのが悔しかったのが何故か今でも鮮明に思い出せる。

 

『私も、寝ようかな……』

 

 お母さんの横で横たわり、目を閉じる(正しくは目なんてないから熱視覚を一時的に意識しなくする)と、自然と眠気が襲ってきた。どうやら私も疲れていたみたい。今年も今年で色々あったからねえ。

 おやすみなさい、今年。ありがとうございました。次におはようって言うのは、来年だね。そんなことを思って一人で小さく笑ってから、私は睡魔に身をゆだねた。

 

 

――――――――――

 

 

 ハンターとは、つまり過酷な職業な訳でして。

 ギルドに呼び出されてしまえばどんなに重要な行事でも関係ないわけで。

 どうも、スウです。緊急依頼(クエスト)が出されたので渓谷なうだぜ。年末なのに。大晦日なのに。くそが!! こういった時くらい休ませろ!!

 

「す、スウくん。ひしひしと帰りたいオーラ出すの止めよう……?」

 

「こーいう日くらいゆっくり家で過ごしたかったーーー!!」

 

「そうだな、俺も帰りたい」

 

「討伐対象がいないんじゃ、私だって帰りたいよー」

 

 今回の依頼(クエスト)がどうして緊急かと言うと、普段は渓谷では見られないティガレックスと、その亜種が同時で出現したからだった。どうやら二体は(つがい)であるらしく、爆発しろと言いたくなるくらい仲睦まじい様子で警告を堂々と歩いていたそうだ。爆発しろ!!

 目撃されたのが一日前。俺たちが出撃したのがそのすぐ後。つまり俺たちは昨日からこの渓谷で討伐対象の二体を捜索しているわけだが、その尻尾すら見ちゃいないのだ。

 つまり二体はなんらかの目的の途中でこの渓谷に立ち寄っただけであり、ここに巣を作ったりするわけではないという可能性が高い。もっと言ってしまえば、二体はもうこの渓谷にいないと考えたほうが良いのだ。つまり俺たちはなんでいつまでも此処にいるのか。全くの無駄骨と言う奴である。

 

「やっぱり帰りましょうよー、いないですって」

 

「……まあ、今回ばかりは僕も賛成かな。気配しないし」

 

「よしっ、じゃあ帰ろう!」

 

「帰ったらお節作れよ、スウ」

 

「へいへい……。ミキも手伝ってくれるか?」

 

「いいともー!」

 

「……どうしたの」

 

「言わなきゃいけない気がして」

 

 何があったのかは知らないけどミキが可愛いから許す。

 しかしここもちょっと寒いな……夜だからかもしれない。風が冷たいせいだな。

 来年も料理係として扱き使われるのだろうか、と思いながらも頼られているという事実もあるのであまり悪い気はしない。……なんだか矛盾しているな、と思って一人で隠れて笑ったけれど、三人にはいとも簡単にばれてしまったようだ。不思議そうな顔でこちらを見ている。

 

「どーしたの、スウ? 気持ち悪いよ」

 

「ニヨって感じの笑い方だったな」

 

「さ、さすがにそれは言い過ぎじゃないかな……」

 

「なんでもないですよ。……ま、とりあえず」

 

 深く息を吸い込んでから、俺は恐らく今年で最後になるだろう最高の笑顔を作った。

 

「来年もよろしくお願いします!」




それでは皆様、良いお年を。
来年もこんな小説ですが、どうかよろしくお願いいたします。
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