何故か毒怪竜になった件について   作:キョロ

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拉致話はこの話で終了ですよ!
さてさて、一体誰が来るのでしょう……?

では、スタートです。


08、おじさんがヒーローになった件について

『……うーん……』

 

 なんだか、頭がくらくらする。あとすっごく頭が痛くて、吐き気がヤバイ。

 こっ、これが世に言う二日酔いと言うものか!

 想像以上のものなんですね、二日酔い……。うえっぷ。

 

 なんだかくらくらと揺れている頭を地面につけることで落ち着けて、とりあえず周りの状況を確認することにした。

 最近、状況確認するのが癖になっています。思えばこの世界に来た初めの時も状況確認(と言う名の現実逃避)をしていたような気がする。

 

『えーっと……?』

 

 まず、メラルーたち。なんかさっきの宴会の前よりもにゃあにゃあ騒いでる。どうした、猫。

 さっきまで傍にいてくれたメラルーAさんは既にどれだか分からない。だってメラルーたちが動き回りすぎなんだもの。

 というか本当にどうしたよ。皆騒ぎすぎにも程があるだろ。

 

『な、なにがどうなって……』

 

『あーっ、起きたんですかニャ!』

 

 くらくらとしている頭にストレートに馬鹿でかい声が入ってきた。やめろー、頭の回路が死ぬー。

 二日酔いをしたことを伝えるとメラルーAさんは素直に『すみませんでしたニャ……』と謝ってくれた。

 耳の垂れ具合が堪らなかった。くそう、なんで熱でしか見れないんだ……!

 

『と、ところで何がどうしたんですか? ハンターでも来ました?』

 

『ハンターなら(たか)って物奪ってますニャ』

 

『……さいですか』

 

 それって、ある意味でフルボッコと解釈していいの?

 でも猫好きには堪らないんじゃないかな、それ。にゃあにゃあ言ってハンターに飛び掛かっていくんだよ。いろんな意味で天国だわ。

 でも、後でハンター涙目になるんだろうなあ……。持ち物すっからかんになるわけだし。

 

『で、結局のところどうしたんですか』

 

『い、いいいいイビルジョーが攻めてきたんですニャァ!』

 

『……イビルジョー?』

 

 はて、イビルジョーとはあのジョーおじさんのことだろうか?

 イビルジョーが一つの地域に二体もいて堪るかってのもあるから、きっとジョーおじさんで間違いないんだろうなあ。

 でもなんでジョーおじさんがここで暴れる必要があるんだろう。

 メラルーたちを食べたって腹の足しにもならない気がするんだけどな。

 ……さり気なくメラルーを獲物にしちゃってますね、私。

 

『なんか言ってますか?』

 

『ニャ~……。どこだー、みたいなことは言ってましたがニャ……』

 

『どう見ても私絡みですね』

 

『あまりにも気持ちよく寝てたので起こせませんでしたニャ』

 

 おおう、なんていいモンスター発言をするんだ、メラルーAさん!

 でも結構周りのメラルー慌てまくってるんですけど。さすがに起こしたほうがよかったんじゃないかな……?

 すると、ドッスンドッスンと地面が大きな音を立てて揺れ始めた。それも徐々に大きくなってくる。音の主が近付いてきているようだ。

 

『どこだっ!? どこにいるんだギィギ!!』

 

 ……うん? なんだ、いつもよりも焦ってますね。

 まあ突然友達の子供が消えたら嫌でも焦りますよね、そうですよね……。ごめんなさい。

 にしてもあの私に対して失礼なクール低音が焦ってる……。ぷくくっ。いいものいただきました、ありがとうございます!

 

『ここでーs』

 

『どこだーーー!?』

 

 コラアアアアア!! せっかく人が位置を教えてあげようと思って声を出したのに、何遮ってんですか! 聞けよ!

 いくら珍しいものを見せてもらったからってこれ以上はいらないよ! 迷惑以外の何物でもない……。

 

 ……って、アレ? ちょっ、思ったんだけどこれってマズくない?

 ジョーおじさん見失ってる→声届いてない→私の位置知らない→このまま前進→私がプチッ。

 

『いやああああ! 止まってっ、ジョーおじさん止まってええええ!!』

 

 なんで助けに来てくれた人のせいで死ななきゃいけないんですか!?

 勇者がお姫様救いに来たのに広域魔法でお姫様巻き込んじゃったようなもんですよ! 例え話でお姫様とかあれだけどさ!

 

『止まってよ! 本当に死んじゃうから!!』

 

 必死の懇願も虚しく、ジョーおじさんは止まる気配を見せない。

 熱源は私に向かってまっしぐら。メラルー達は避けてるみたいだけど、私には無理ですよ!

 このままだったら本当にプチッ、しちゃうよ。あばばばばば。

 

『いやああああ! 踏まれるうううう……』

 

 こ、これはさすがにもう駄目だ。熱源が近すぎる。

 ああ、今までの思い出が走馬灯のように次々と思い出されていくよ……。

 最初にお母さんと会って絶叫したあの時。死体の上に乗って絶叫したあの時。初めて空から地面を見て絶叫したあの時。お母さんの友達とあって絶叫したあの時。

 ……私、絶叫したことしか、覚えてないわけ? なんか他にいい思い出ないの? これはやっぱりない感じなの?

 ううっ、私の人生いいことないじゃないですかあ……。ないまま人生終わるなんて、まるで前世と一緒だよ……。

 

『ギィギ! よかった、ギィギなのか!』

 

 ああ、ジョーおじさんの声が聞こえるよ。私はもう天に召されるときなのかな……。

 って、今、ジョーおじさんなんて言いました?

 

『え? ……え? んあ?』

 

 辺りを見回してみても、もう地面は揺らいでないし音も聞こえていない。

 代わりにさっきまで私に向かって全力疾走していた熱源が私の近くで止まっている。

 ……今から考えれば、よくピンポイントに私だけ狙って走ってきましたね。実際、見えてたとかじゃないですよね? 恨みます。

 

『良かった……! みんな、お前を心配していたんだぞ!』

 

『ごっ、ごめんなさい!』

 

 思わず謝ってしまった。ジョーおじさんはイビルジョーのせいか威圧感半端ないです。熱で見えるだけ、まだマシですよ。

 私の言葉を聞いてジョーおじさんがほっと息を吐くのが聞こえてきた。

 次いで、ぐりぐりと頭を押される。多分、顎で押されてるんだと思う。加減されてるから痛くはないけど……。

 ……涎、垂らさないでくださいよ? 溶けますから。

 

『お前の母親も待っている。すぐに帰ろう』

 

『……お母さんは私を探してないんですか?』

 

『……アレは、何故かこの土地に住んでいるのに地形を覚えていないからな』

 

 『引き籠りですからね』とは言わなかった。喉まで出かかったけど堪えた。

 言っちゃったら、私も同じってことを認めることになりますからね。意外と迂闊に言えない言葉です。

 ジョーおじさんが私を前足で持ち(一瞬捕食されるかと思った)、私を放り投げて背中に乗せてくれた。器用ですね、意外と……。

 

『スピードを上げるから、齧り付いておくといい』

 

『ついでに血も貰っていいですか?』

 

『……この状況で、よく考えられるな。何も食べていなかったのか?』

 

『いえ、さっきまで結構酒飲んでましたニャ』

 

 ジョーおじさんがぎょっと息を呑む気配がした。ナイスリアクションですね。

 ともかく、ドスドスとジョーおじさんが足踏みを踏んで方向転換する。うおっ、結構揺れますね。

 

『ギィギが世話になったな』

 

『いえいえ、我らが至らなかったせいでご迷惑おかけしましたニャ』

 

『だが結果的には飯までも……』

 

『ほんのお詫びですニャ。気にしないでくださいニャ』

 

 めっ、メラルーAさん、本当にいいモンスターや!

 ありがとうございます。あなたのことは一生忘れません。……多分。

 記憶力はあまり自信がないです。前世の名前覚えてないし。

 『あ、盗って来てしまったメラルーはシメておきましたんでニャ』うん、だからきっとこれは聞き間違いで合っている。

 

『では、失礼する』

 

『今度遊びに来てくださいニャー』

 

『……考えておこう』

 

 あれ、ジョーおじさんなら遠慮しておくって言うと思ったんだけどな。まさかの考慮中ですか。

 私も今度は拉致って形じゃなくて、正式に遊びに来たいなあ。

 今の場所はわからないけど、ジョーおじさんに聞けば問題ないだろう。

 

 だから、私はジョーおじさんの背から口を離してバランスを取りながら大声をあげました。

 

『ありがとうございましたーーー!!』

 

 熱しか見えないから表情はわからないけど、確かにメラルーAさんが笑ってくれていたような気がした。




拉致話終了ー。

次話では新しいモンスターを出す予定だよ!
原種モンスターか、亜種モンスターか……。
さてさて、どれでしょう?
ちなみに結構私的には好きなモンスターです。
ファンも多いのでは?
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