合言葉は卑劣だ 作:奈良くるみ
俺の目標は無事達成された。
目標その壱、聖女アーシア・アルジェントの救出ーーー傷ひとつ負わせることなく救出完了。今は俺の部屋のベッドの上で正座をしたまま、俺が選んで渡した漫画数冊を熟読しているはずだ。
目標その弐、教会の爆破ーーー完了。ついでのことだが、レイナーレには教会にいた堕天使の肉片の一部を回収してきてもらった。これで
追加目標、教会の爆破から逃れた神父の捕獲ーーー完了。今頃自宅近くの廃屋にて両手足を拘束された状態で眠っていることだろう。まぁ知っている事を全て吐かせた上で、口寄せ・穢土転生の生贄に使うとしよう。
ちなみに、俺が設定した目標以上の働きをしたレイナーレだが、彼女には眠りこけている神父の監視を任せている。意識を取り戻した瞬間、暴れられては困るからな。
それで俺はというと…
「ライザー!いい加減にして!私は貴方と結婚するつもりはないわ!今すぐ帰ってちょうだい!」
「…リアス、俺は家の看板を背負ってここまで来ているんだ。うだうだと文句を言うつもりならこの部屋にいる君の眷属全員を燃え散らすぞ?」
生前に得ていた原作知識を生かして、なんとか原作ルートを辿っているところだ。つまり、原作通り主人公のメインヒロインである紅髪の美少女、リアス・グレモリーの眷属ーーーとまではいかないが、眷属候補扱いでこの場に立ち会っている。
リアス・グレモリーの実力不足のせいで、悪魔への転生が失敗したからだ。今のところ俺の筋書き通りに事が進んでいるとはいえ、少々残念な気持ちになってしまった。
それよりもだ。先程からリアス・グレモリーとライザー・フェニックスとの会話に耳を傾けているのだが、正直頭が痛くなってくる。
やれやれ同じことをあーだこーだと…無駄話が過ぎるぞ、お前ら。
「…話にならんな」
「ん?貴様、今、何か言ったか?」
一向に話が進まないことに対して俺が思わず苛立ち交じりに本音を漏らしていると、どうやらそれが聞こえていたらしくホストのような格好をした金髪の男、ライザー・フェニックスがこちらを睨んできた。
それにしても初対面の相手に『貴様』か…どうやら俺は、人間だからと見下されているみたいだな。ライザー・フェニックスの周りにいる奴の眷属達も同様の目をしている。
さて、どうしたものか。
「…リアス・グレモリー、お前らの話が長すぎて疲れた。俺は家に帰らせてもらうぞ」
とりあえず、この場は余計な真似をしないでおこう。得るものはあったからな。
この部屋にいる者達の中でリアス・グレモリーの側に控えている銀髪のメイド、グレイフィア・ルキフグスを除いて俺が一番強い。
それが分かっただけでも十二分だ。
「じゃあな」
別れの挨拶だけ済ませると、俺は早々にオカルト研究部室から立ち去った。
連載する!いつまで続くかわからないけど俺氏がんばる!