合言葉は卑劣だ 作:奈良くるみ
今日は、リアス・グレモリーを含めたオカルト研究部員が俺の家にやってきた。その理由はオカルト研究部室が改装中だから、暫くの間は俺の部屋で部活動をさせてくれとのことだ。
まぁ、別に構わんさ。ここは俺の家でもあるが元を辿れば親父とお袋の家だからな。二人が承諾するならば俺は何も言わん。
俺が真顔でそう言うとリアス・グレモリーから満面の笑みで礼を言われた。
で、俺の両親から許可を貰ったリアス・グレモリー一行は俺の自室でお袋が持ってきた俺のアルバム写真を見ながら寛いでいるというわけだ。
…いや、部活動は!?
「…イッセーの写真、年齢を問わず、全部腕組みしているわね。でも、全部アリだわ!ハアハア!」
何がアリなんだ。やめてくれ、リアス・グレモリー。その恋する乙女のような表情は俺(の胃)に効く。
というか、息を荒げるな。
ショタコンとかマジで笑えんぞ。
「あらあら。この写真なんて全裸で腕組みしていますわ。ち○こ丸出しですわね」
なんてことを当然のように口にしているんだこの女は。
それとリアス・グレモリー、いちいち反応するな。
「…イッセー先輩、無愛想なところは昔とあまり変わっていませんね」
貴様にだけは無愛想と言われたくはないな。
「そうなのよ〜。イッセーって、何故か昔から大人みたいだったのよね〜」
もうやめてくれ、お袋。冷蔵庫の中にあったお袋のプリンを勝手に食べたことは謝るから勘弁してくれ。
内心で苦悶の声を上げていながらも、俺はそれを一切表情には出さないようにしながらお袋やリアス・グレモリー達の持っていたアルバムを回収していく。
「ちょ、ちょっとだけ待ってイッセー!あと少しでコピーし終わるから!」
魔方陣でアルバムを覆って何をしているかと思えば…ふざけるな!さっさとそのアルバムをこちらに渡せ!それと、コピーと言ったか?それも消せ!今すぐ消せ!さもなくば貴様を消す!
数分後、しょんぼりリアス・グレモリーが出来上がった。
知らん。勝手に俺のアルバムの写真をコピーしようとした貴様が悪いのだ。
さて、今度は姫島朱乃が持っているアルバムを…ん?
「あらあら。うふふ…じゅるり」
俺のアルバム写真を見て恍惚とした顔で舌舐めずりをしていた。
…見ていない。姫島朱乃が写真に写る幼い頃の俺を見て、肉食獣のような目をしていたところなんて見ていないぞ。
さて、先に塔城小猫の持つ俺のアルバム写真を回収するか。
「塔城小猫、大人しくそれを渡せ」
「…どうぞ」
やけに素直に渡してきたな。この女、何か企んでいるのか?
手渡してきたアルバム写真を確認するが、とくに変わったところはない。
なんだ俺の深読みか、とそう結論を出そうとしたその時、塔城小猫が無表情のまま僅かに威圧感をチラつかせながら訊ねてくる。
「…イッセー先輩のアルバムの中にあった写真の一枚に、イッセー先輩が黒猫を胸に抱いている写真がありました。あれはもしかして…黒歌お姉様ですか?」
俺は両腕を組み、憮然とした態度で彼女の問いに答えた。
「知らんな。黒歌?誰だそれは?今、初めて貴様の口から聞いた名だ」
俺がそう答えると、こちらの反応でも伺っているのか塔城小猫は俺の顔をしばらく見つめ、
「…そうですか」
と、一言呟いて俺から視線を外すと、お袋がリビングから持ってきた菓子を一心不乱に頬張り出した。
ふぅ…なんとか誤魔化せたようだな。あと少しでも、俺の表情筋が軟弱だったら確実にバレていたところだ。
塔城小猫…侮れん奴だな。
そういえば一人忘れているような…あっ。
其奴はアルバムの一つのなかにある一枚の写真を食い入るように見つめている。
その目は恐ろしく冷めていながらも激しい怒りを滲ませていた。
そんな目をしている奴ーーー木場祐斗が、出来の悪い作り笑いを浮かべながら俺に話しかけてくる。
「ねえ、イッセーくん。この写真は何処で撮ったものなのかな?」
「…昔、友達と撮ったものだ。今は家の事情とやらで遠くへ行ってしまったがな」
「そっか。ちなみにこの写真に写っている剣は?」
「知らん。俺の隣で写っているこいつの家に行ったときに置いてあった」
「そうなんだ…イッセーくん」
「…なんだ?」
「これは聖剣だよ」
その言葉を聞いてシリアスな空気を醸し出しているのにも関わらず心の中で思わず『そんなこと言われなくても原作を読んでいるから全部知っている』と呟いてしまった。