魔法少女リリカルなのは〜vividと初代な夜天の王〜   作:かぴばらさん32号R

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Q:どのくらい投稿間隔あいたでしょうか?

A:四ヶ月だね! でも死んでないよ! でもしんどいよ!


これ一年分とかできんのかよ作者....。


戦友はTS転生者になったようです

その35

 

「私、そろそろ本気を出そうと思うんだ」

 

 大家族の生活のためか、無駄に広く造られた白が基調のリビングルームで、初代夜天の王は、まるで戦場に立っているかのような表情で呟いた。

 初代の隣りで、ペタンと女の子座りをして低学年向けの熱血系マンガを読んでいたミウラは、あまりに唐突な本気宣言に呆気をとられ、ぱちぱちと数回、瞬きをする。

 

「....ユ、ユーリさん。もしかして熱があるんじゃないですか? ....ちょっと失礼します」

 

 心の底から憂慮するミウラの小さな手の平が、初代の額に押し当てられる。部屋の温度は二十八度とミッドチルダの環境に優しい設定で、暑くもなく寒くもなく、初代にはミウラの人肌通りでほんのり温かい手が丁度いい具合に感じた。

 

「別に健康状態に異常は無いよ。何気にみーさん酷いこと言うねぇ....。それじゃまるで私が真面目じゃないって言ってるようなものじゃないか」

 

「えっ? ......そ、そそそそんなことありませんよ!! ユーリさささんは、すっごく真面目ででで」

 

「デデデ大王」

 

「違いますっ! ....あれ? こんな流れが前にもあったうような......」

 

 軽い失言の誤解を解こうと、わたわた焦りながらも、使いまわされているネタに敏感なミウラは、自分のツッコミに違和感を覚える。

 謎の違和感に首を傾けるミウラを見て、初代はなにか考えが浮かんだのか、真剣な表情から深刻な表情へと顔つきを変え、ひっそりと口から言葉を漏らす。

 

「そうか、そんなこと思ってたんだ。 ....つまり、みーさんにとって私は人生を舐めてかかっているどうしようもない屑野郎ってことなんだね....」

 

「どうしてそういう解釈になるんですか!?」

 

「言わなくていい。言わなくていいよ、みーさん。実はみーさんは管理局の裏人間で、その幼い容姿と天然萌え属性を使って、復活した私––初代夜天の王を捕らえるために派遣された特殊部隊員。..........捕まえた後は得体の知れない液体の満ちたポッドに入れて、『ふふふ、ユーリさん。これで貴方は ワ タ シ ノ モ ノ』とか言って私の体をバラバラにしてパーツごとに保管するんだ....」

 

「ひぃぃっ!? ややややめてくださぃ! 想像しただけで体の節々が痛いですぅぅっ!」

 

 捨てられた子犬さながらにプルプル震えながら、瞼をギュッと閉じ、両耳を手で塞ぐミウラ。「ですです口調とか、ソラハネ乙」と脇腹をつついてちょっかいを出し、目の前の小動物をいじめる初代。なんとも微笑ましい、年相応の子供たちの絵だ。

 しばしミウラいじりを楽しんでいた初代だったが、話しが盛大に逸れていってることに気が付き、ミウラの脇腹から指を離し、咳払いを一つ。

 

「うぉっほん....。ねぇ、みーさん。今の私ってどんな感じがするか、正直に言ってみて?」

 

 恐怖に震える『チワワモード』を解除したミウラは、いつもから見れば比較的真剣そうな顔をする初代の顔を見て、少しばかり思考を巡らせる。

 容姿は普通。黒髪黒目でこれと言った特徴はない。性格も、ちょっと元気過ぎるが、年相応と言えば年相応。頭もそこそこに良い。特に数学は校内負け無しの成績。ただ、一般人と比べてちょっと魔力が多過ぎるだけ。

 よって導かれる答えは––––

 

「普通な感じ、です。とくに変わったところは....」

 

––––至って普通の、子供らしい答え。

 

「えぇー....。なんかこう、歴戦の騎士! とか、ラスボス臭とか、しない?」

 

「......しないです」

 

 初代夜天の王は、無慈悲な回答に驚きを禁じ得ない。

 仮にもかつてベルカ五本の指に入るほどの実力者とうたわれ、数多の戦場を駆け巡り、あらゆる障害を大魔法で粉砕してきた彼にとって、ミウラの言葉はさすがに驚かされた。

 他の騎士団長たちと比べると、かなり若年者だったとはいえ、最終決戦では『聖王』に実力を認められている。初代としては、騎士王の風格が出ているんじゃないかと期待していたが、そんなことはなかった。

 目を逸らしながら言っているあたり、言いにくいが本音であることが容易にわかる。

 

「......まじですかいな。たしかに、エレミアほど目付きは悪くないし、戦場でも後方からの火力投射がメインだったけど、だからってそりゃないぜよ、みーさん。ラスボスラスボス!」

 

「なんでラスボスにこだわりを....というか、前々から気になってたんですけど、戦場とか騎士団長っていったい––––」

 

「あーー! そういえばこの時間っていったら『インターミドル・チャンピオンシップ』の世界代表選の中継やってるよね! 魔法戦の参考までに見よっか!!」

 

 過去に触れられるのはまずい。別に知られてもいいと思っていた考えとは真逆に、脳は本能的にそう判断した。初代は半ば強引に話題を逸らために、近日、全管理世界湧かせているとあるスポーツ大会、『インターミドル・チャンピオンシップ』の中継をテレビに映す。

 

 インターミドル・チャンピオンシップ––––ディメンジョン・スポーツ・アクティビティ・アソシエイション、通称『DSAA』と呼ばれるスポーツ競技運営団体が開催する公式魔法戦競技会。全管理世界の十歳から十九歳までの魔導師が、己の技と力でぶつかり合う、今最も熱いスポーツ競技だ。

 大会で上位に入賞すれば、管理局や聖王教会、他の大手企業がスポンサーを務めるチームからの勧誘で引っ張りだこになる。それを目的としてか、この大会の出場者の半数は十六歳以上と、年齢層が高い。

 とはいえ、十歳から出場する選手も少なからずいる。書類上は十歳の初代としては現代の魔法戦に是非参加してみたかったが、全力でアインスに引き止められた。

 曰く、『(相手が)怪我をしたら危ない』。

 

 CMを見ながら「私も参加したかったなぁ」、「参加する気だったんですか」と、DSAAに参加したかったことをミウラに語る。どうやら初代的には大魔法でバッタバッタと薙ぎ払う無双展開を期待していたらしい。自分の魔法について目を輝かせて説明している。

 

「やっぱり、この初代夜天の王の代名詞とも言える、『デアボリック・エミッション』は外せないんだよ!! 相手の特殊防御をものともしない大出力の空間攻撃魔法!! 空間魔力連鎖で攻撃範囲を広げたり、魔力粒子加速理論を応用した展開速度。しかも超エキサイティングでさぁ––––」

 

「そそ、そうですねー(....どうしよう。なに言ってるのかまったくわかんない......)」

 

 専門用語だらけの初代の言葉に引きつった笑みを浮かべながら適当に相槌を打つ。魔法の知識に関しては他の追随を許さないだけあって、知識の疎いミウラを無自覚で大混乱に陥れている。

 すると、突如二人の会話を遮るかのように、テレビのスピーカーから耳をつんざく大歓声が上がった。

 あまりの急な大音量に何事かと、会話を中断して二人はテレビの画面に目をやる。

 尋常ではない盛り上がりを見せる会場。画面に映るリングを囲うように観客席がずらりと並ぶドーム型の魔法戦技場は、今にも熱気が飛んできそうなほどに白熱した空気に包まれていた。

 

『さあ!およそ一ヶ月間にもわたって開催されたDASSも今日で最終日!! 数々のドラマを生み出した世界代表戦。その荒波を退け、世界王者となる資格を持った二人が! 今!! ここで!!! 最後の闘いを繰り広げます!!!!』

 

 スポーツ実況で名が売れている実況者の暑苦しい叫び....もとい、実況で会場のボルテージは最高潮。

 爆音で空間攻撃されていると言っても過言ではないリングに、観客を選手の魔法から守る透明な魔力フィールドが生成された。

 外部からの音声をほぼ完全に遮断したリング。その両端にある選手入場用の扉が、ほぼ同時に解き放たれる。

 右側の入り口、赤コーナーからは、一目見ただけで『ベルカ』を彷彿とさせる重厚な甲冑を纏い、明らかに体格に合っていない巨大な大剣を担いだ女性が入場する。猛獣のごとく鋭く、獲物を射殺すような眼光に、会場はまるで、今まで何もなかったかのように、一瞬で静まり返った。

 

「....ゆゆゆユーリさん。ここっ、この人なんだか怖いですよぉ......」

 

「ど、同意見だよみーさん。女性でここまで鋭い目つきってのも珍しいよ。シグナムだってもっと優しそうだ....」

 

 初代とミウラが入場してきた選手の覇気に震えている間に、赤コーナーの選手紹介が終わり、左側の入り口からもう一人の少女が颯爽と入場した。会場を包む覇気、殺気などをまるで無視し、何事も無かったかのように。

 真っ先に目に入ったのはどこまでも黒い、深い闇の色をした髪のツインテール。同色のバリアジャケットは所々にベルカの独特な意匠が凝らされ、観客たちの目を引く。いや、目を引くべきは、ベルカ独特な意匠ではない––その"装甲の薄さ"だ。

 大胆に太ももまで見えるミニスカート、頼りなさそうな薄さのノースリーブのロングコート。おまけに腹部を素のまま堂々とさらけ出し、構造の関係か、女性なら着用すべき上半身の下着を着ていない。

 少女はリング中央まで歩き、規定の位置で静止した。静かな闘志を燃やすサファイアの瞳は、じっと対戦相手を見つめている。

 

 その堂々たる姿にミウラはテレビ越しながらも、一人の少女の『黒』に引き込まれる。

 自分の感じるこの感覚を、友人とともに共有したい。ふいにそう思い、横を振り向く。

 

「ユーリさん! こ、この人なんか、すっごく! .......ユーリさ....ん?」

 

 違う。ミウラは直感で感じた。

 初代が少女を見る目は、自分と同じものではない。『驚愕』––––一言で表される表情が、今の"初代夜天の王"からは出ていた。

 初代夜天の王は驚愕した。テレビに映し出されれいる少女。それはあまりにも、かつての戦友に似ていた。

 そして初代は....

 

「––––––エレミア....?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

––––––TS転生!? エレミアがTS転生だとぉっ!? しかも下乳スタイルとは....どういうことだエレミアッ!! まるで意味がわからんぞ! 」

 

 とんでもない勘違いをやらかしていく。

 

 

 

 




 ちなみに本当に初代夜天の王が知る『エレミア』が転生したわけじゃないです。ちゃんと例の女の子です。

 意見、感想など、今更ながらもらえると嬉しいでふ。

次回→おまけ回とか作ってみようかしら
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