魔法少女リリカルなのは〜vividと初代な夜天の王〜   作:かぴばらさん32号R

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まさかの三分割になってしまった


覇王の悲願 中編

冥府の炎王イクスヴェリア。

 その存在は初代夜天の王が生きていた古代ベルカ初期の時代より以前から確認されている。

 暴虐の限りを尽くした悪逆非道の王といわれ、その存在は当時の人間だけでなく、後世の人間からも恐れられている。

 ではなぜ、後世の人間が過去の人物の存在を憂慮しているのか。答えは実に単純だ。

 

 冥王イクスヴェリアは千年間の歴史のあらゆる時代に現れ、かつ、一つとしてその死を確認できる資料が発見されていないのである。

 

 

 

「――――と、イクスヴェリアに関する資料といったらこのくらいです」

 

 ホロウィンドウにいくつかの電子媒体の資料を表示し、コロナはくるりと振り返る。

 

「そ、そそっ、それってつまり、不老不死っ!?」

 

 ぷるぷる震えるミウラさん可愛いなぁ、とコロナは思った。

 

「つまり私がその資料を作る一端を担うことになるわけですね」

 

 そのぶんぶん素振りしてるバッドはどこから持ってきたんだろう、というか凶器持ち出す気満々なんだ、とコロナは思った。

 

「クラウスもオリヴィエとの闘いに大剣持ち出してましたし多少はね?」

 

 心を読まないでください、とも思った。

 

「ねぇねぇ、ゆーりくん。イクスヴェリアさんって強いのかな?」

 

「どうだろう・・・・・・、戦闘能力の高さが生存力に直結する面はあるけど、私みたいに周りを強力な味方で固めて真価を発揮するタイプの強さだったら本人はそこまで強くないかもね。あ、でも聖王が血眼で探してたくらいだし弱いはずは・・・・・・」

 

 相変わらず意味深な発言してくれるなぁ今度ユーノさんと一緒に問い詰めてやろう、とコロナは思った。

 

「しかし困りましたね・・・・・・、ユーリさんの言うとおり、倒すのはいいですが、肝心の本人の居場所を探さなければ意味がありません」

 

 アインハルトはバットを肩に担ぎ、顎に手をあてる。いくらやる気満々でも、相手がいなければ、ただの一人プロレスである。

 

《私にお任せください》

 

 各々がごろごろしたり、ジュースを飲みながら悩んでいたところ、打開の兆しを見せたのは、なんと夜天の書だった。ぶとうジュースを飲み干し、げっぷのような電子音をさせた後、パラパラとページをめくり、データ検索・探索魔法の魔法を発動させる。

 全員の注目が集まる中、一分ほどたったところで夜天の書は淡々と検索結果を述べる。

 

《検索・簡易探索完了。対象の魔力・生命反応を第34管理世界アルへイムに確認》

 

 まさかの探知成功に小さな歓声が上がる。

 

「さすやて」

 

「あんな少ない情報から見つけちゃったんですか!?」

 

「・・・・・・す、すごい」

 

 アインハルト、ミウラ、コロナはやや興奮気味に夜天の書を褒める。それに対して夜天の書もくるくる回りながら照れている。

 

「私の知らないうちに夜天の書がどんどん高性能になっていくんだけど」

 

《高性能なのは否定しませんマイスター。ですが、私はコロナ様が表示した以外にも冥王イクスヴェリアに関する情報を持っていました。それをもってすれば発見は比較的容易でした》

 

「夜天の書さんはどんなことしってたの?」

 

 興味津々な様子で問うヴィヴィオに、夜天の書は、とっておきだと言わんばかりの電子音で答える。

 

《――――アッシュオレンジの髪をした合法ロリだということです》

 

 ミウラとコロナは、えぇ、と困惑の声を漏らす。

 

「なるほど、合法ロリなら探知できてもおかしくありませんね」

 

「確かに合法ロリならいけるな」

 

「ごうほうろり・・・・・・?」

 

 そしてアインハルトと初代は何故か納得する。ある意味、格が違う二人である。

 

《今からでも探しに行けますが、いかがなさいますか?》

 

「行きましょう。ヴィヴィオさんのお母様の故郷には『善は急げ』という言葉があるそうですし、今がそのときです」

 

 バリアジャケットを展開し、ただのバットを釘バットへと変貌させ、アインハルトは息巻く。

 ユーリも同調するように甲胄をまとい、シルバリオクロイツで素振りを始めるが、

 

 

「その話、少しお待ちになってください」

 

 

 深く、落ち着きのある声。一同が振り向くと、そこには、ミッド語で『こしあん』と書かれたシャツを着た女性が立っていた。サファイアの瞳がダークブラウンの髪によく映え、どこか高町なのはに似た風貌をしている。

 

「アカ、おはよう。もうお昼すぎちゃってるよ」

 

「すみません初代。昨日、遅くまでレベリングの作業が終らず、寝坊してしまいました」

 

 アカこと、シュテル・ザ・デストラクターはぺこりと頭を下げ、ユーリに謝罪する。

 

「ユーリさん、その方は・・・・・・?」

 

 初等科メンバーの中で最も初代や八神家との付き合いが長いにも関わらず、自身が今まで一度も見たことのない人物の登場に、ミウラは少し緊張気味に尋ねる。

 初代が何か言おうとする前に、シュテルは、シャツの裾をつまみ、丁寧に頭を下げる。

 

「皆様、初めまして。私は初代夜天の王に仕え、夜天の魔道書のフルドライブモードたる紫天の書プログラムで射砲撃・誘導操作の補助を担い、管制人格の一柱を勤めさせていただいています。初代から授かった名はアカ、ディアーチェから授かった名はシュテル・ザ・デストラクタ―です。どちらでも好きな方でお呼びください」

 

 懇切丁寧な自己紹介と一礼に、ユーリを除いた初等科メンバーも非礼のないよう一礼を返す。

 

「それで、さっきのちょっと待ったって、何?」

 

 ユーリが先ほどのシュテルの言葉の意味について聞くと、シュテルは夜天の書からジュースを受け取り、一口飲んでから、

 

「私は、アインスから、初代が変なことをして危険な目にあわないように見ていてくれとの任務を承っています。冥王を探し出すなんて明らかに危険なフラグがビンビン立っている冒険にあなたを易々と行かせるわけにはいけません」

 

「むぅっ、それはこの初代夜天の王が力不足だって言いたいの?自慢じゃないけど魔法においては誰にも遅れをとるつもりはないよ」

 

「SSランクの魔道師を力不足とは言いません・・・・・・ですが、あなたの全力は融合騎と我ら紫天の書プログラムがあってこそです。融合騎であるアインスがいない今、防御面・・・・・・特に毒に関して大きく不安が残ります」

 

「同じ手段で二度も殺されるほど私は魔法に関してまぬけじゃないさ」

 

「どのみちまだ魔力も完全に戻っていない状態では許可できません」

 

 二人の周囲に薄らと黒く輝く魔力と燃え盛る炎のように真っ赤な魔力が漂いだす。互いに主張を譲ることはなく、歴戦の騎士とその従者の魔力がぶつかり合う。

 いつものおちゃらけた初代とは違う尋常ではない雰囲気に、一同が息をのむ。そういえばこの人SSランクだった、とついでに思い出す。

 一触即発か――――その場にいた誰もが脳裏によぎった。

 

 だが、

 

「――――本音は?」

 

 初代の静かな問いにシュテルは、

 

「私も行きたいなっ☆」

 

 きゃぴっ、と音が聞こえてきそうな振り付けとともに、ユーリの脇腹をつつく。

 

「しょーがないなぁっ☆」

 

 ウィンクをしながら、初代も同じようにシュテルの脇腹をつついた。互いの魔力は霧散し、殺伐とした空気は既にそこには無かった。初等科メンバーも心配損というやつである。

 結局、初等科メンバー+シュテルによるイクスヴェリア探検隊がここに結成されることになった。

 えいえいおー、と初代、アインハルト、ヴィヴィオ、シュテルは気合い十分だったが、コロナとミウラはいまいちパッとしない表情だった。何か問題点を見つけてしまった、という顔だ。

 どうしたものかと、やる気メンバーが視線を向けると、ミウラが恐る恐るといった声色で、

 

「えーっと、管理世界間の移動には次元航行艦とか、次元渡航申請

とかの手続きがいると思うんですけど・・・・・・」

 

 管理局の管理下における次元世界では、勝手に次元渡航や次元転移を発動することに制限がかかっている。特に管理世界の要ともいえるミッドチルダでは次元渡航の規制は厳しく、首都クラナガンでは、次元渡航申請は最低三日前、転移反応は二十四時間体制での監視が置かれている。昨日今日で別の次元世界に渡ろうというのは無理な話なのである。

 そう、本来は無理なのであるが、

 

《私にお任せください》

 

 やってのけるのが夜天の魔道書である。

 

「次元渡航申請書の偽造とかダメですからね・・・・・・?」

 

《失礼な。私はそのようなことはいたしませんよ》

 

「学院の学生書を偽造してた前科があるのに何を言ってるんですかこのデバイス」

 

《私のログには何も残っていません》

 

 コロナのいかにも夜天の書がやらかしそうなことだという指摘を、魔力で怒っているような顔文字を描き、否定する。そう、今の夜天の魔道書は、かつての闇の書時代とは違い、清く正しく、世のため人のために尽くす、本来の使い方をされているのだ。コロナの言うような事実は確認されていないし、今後されることもない。たぶん。

 まるで人間のようなごまかしをする夜天の書にため息をつき、なら、とコロナは続ける。

 

「なら、どうするつもりなんです?次元渡航申請書がなければ次元航行船にも乗れませんし・・・・・・」

 

《跳びます》

 

 即答だった。

 

「・・・・・はい?」

 

《訳あって、彼らの転移反応・魔力探知をくぐり抜けて別の次元世界に跳ぶのは得意なんです》

 

 人はそれを密入国と呼ぶ。

 

「ちょっと待ってくださいそれはさすがに洒落にならな――――」

 

《吸引》

 

 コロナたちの足元に魔法陣が浮かび上がり、一秒にも満たない間に、魔法が発動し、全員、夜天の書に取り込まれる。

 

《では参りましょう――――転移》

 

 そして、夜天の書は、転移反応を残さず、静かにミッドチルダを跳んだ。

 




Q:この中編て必要だったの?
A:正直いらないかもしれない

話をコンパクトにまとめられないという圧倒的実力不足。これからの課題の一つになりそうです
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