コポコポコポ・・・
アイテムに奪われて、自分が奪い返して、第三位にまた奪われた”とある荷物”を第三位からまた
奪還する事を命じられた絶対数値はコーヒーを入れていた。
とっとと第三位から荷物を奪還しろよ。と、ここに誰か居たらそう言っていただろう。
しかし今第三位は常盤台に居る。つまり今荷物を奪還しに行く事は、レベル4がうじゃうじゃしている常盤台の女子寮に特攻する事と同義。そして絶対数値は自殺志願者ではなく、自分の命を優先順位の第一位に入れている人間だった。
(そろそろ常盤台も放課後に入る頃か?・・・・・)
コポコポコポ・・・・
相変わらずコーヒーメーカーは、せっせと仕事をしている。
ところで、絶対数値がこの数秒後に来る奇襲で殺される事を防げたのは、彼が、殺しのプロだったからだろう。
ピシッ・・ と言う音がした瞬間に絶対数値の目が大きく開かれる。と、同時に足で地面を蹴る力
を能力によって何倍にもする。
バキッと凄まじい音がして、絹旗最愛が部屋の壁を突き破るのと絶対数値が猛スピードでそれを避けるのとは、絶対数値の方が速かった。
絶対数値が先ほどまで居た地面がいびつなクレーターと化していた。
「ひさしぶり、で合ってるよなァ。人の家の壁をぶっ壊してまで盛大な挨拶をありがとよ。
また負けに来たのかァ? さ・い・あ・い・ちゃァん?」
「超軽々しく名前を呼ばないでもらえますか?超気持ち悪いんで。あんまりウザいと超その顔面
を超愉快な形に超変形させてあげますよ?」
「残念ながら、まだ死にたくないんでね。あと、どォしてくれンだよォ。この愉快な
オブジェになっちまったコーヒーメーカァー。一応お気に入りだったンだぜエ?」
「それは、超残念でしたねエ。お代は超てめエの命でイイですかァ!!」
常人の動体視力を超えた速さと怪力が生み出す強烈な攻撃。当たれば死ぬだろう。
だが、絶対数値は常人でもなければ無能力者でもない。
「舐めてンのか?」
絶対数値によって、絹旗最愛の速度は強制的に0にされる。空中で止まっていまい、身動きの取れない絹旗最愛に待っていたのは絶対数値でその威力を何倍にもしたキックだった。
「ッ!! ガッ く・・」
(こいつ・・・なんも策がねえのか?奇襲が失敗した時点でこいつの負けは決まってる。
てっきり逃げると思ったが・・・)
「くッ・・」
ダメージを食らっても尚、絹旗最愛は立ち上がった。ここから、絶対数値は二つの仮説を立てた。
(一つはコイツの目的が俺に勝つ事じゃねえって事、二つ目は・・・・・・・)
「戦闘中に考え事とは超余裕じゃ無いですか。」
「コイツが精神能力者に操られている。だな」
絶対数値が近くの柱に衝撃波を放つ。窒素装甲が驚いた顔をしているのが見えた。どうやら当たり
の様だ。
ガンッッと言う音と共に人が倒れた、倒れた人間は死んだ・・・心理定規の身代わりをして。
「あら、もうバレちゃった?まあでも能力は見れたし、もういいわ」
「人の家に死体と穴の空いた壁と大量の瓦礫を、プレゼントしてくれた事について何か言う事は?」
「えーーと、ごめんなさい?」
「弁償します、だろ。 ほら」
「・・・・・・・・・・・・何よ、その手は。」
「弁償だよ。弁償。俺はどこぞのウ二頭の様に暴食シスターを食わせてやる様な気前の良さは、持ち合わせていないもんでな。」
「今は手持ちが無いの。欲望が抑えられなくなったら呼んで、ホテルの場所と一緒にね。」
「おい。」
「ふふっ冗談よ、冗談。あと、今回はあなたの能力を見たかっただけ。あなたなら、怒らないでくれるわよね?」
「ぶん殴ってもいい?」
「あら、レディーの顔に傷を付けるっていうの?」
絶対数値は心の中で溜息をついた。こういうタイプはどうも苦手だ。
「分かった。面倒臭いから、帰ってくれ。----あと、窒素装甲はどうするんだ?」
「帰すわよ。能力を解いてね。」
その言葉を聞いて確信した。この女はまだ完全には、裏の人間に成りきれていない所がある。
人間的には良いのだろうが、裏の人間としては、ただの弱点だ。
「その性格は、直した方がいいぞ。じゃないと、いつか死ぬ。」
「もしかして、心配してくれてるのかしら?だったら、ありがとう。でも、自覚はあるわ。」
ーーー時間は、5時を回ろうかとしていた。いい加減、第三位も学校が終わった頃だろう。問題なのは、どうやったら荷物だけ持って帰れるか。
「じゃあな」
「ええ、じゃあね」
「あと、次は弁償代忘れんなよ。」
「だから、体で払うt「じゃあな。」
ーーーーガシャンッ と音がして、ドアが閉まった。寒い、と心理定規は思ったが、それは壁に空いた穴のせいだった。
「まったく、ちょっとは本気にしてくれても良いのに。」
誰にも聞こえないぐらいの声で、そう心理定規は言った。
・・・・・ヒロインは心理定規じゃないんですが、そんな感じになっちゃいました。そもそもヒロインが決まって無いので、心理定規もアリかな?