テイルズオブベルセリア 世にも珍しい樹の聖隷 作:メガネ愛好者
今回から定期的に本SSを書いていくつもりです
ベルセリアは個人的にとても楽しめたので気にいっています
とりあえず始まりはベルベット達の船が座礁し、ヘラヴィーサに来たところです
それでは
とある海のとある島
その島の奥深くには、時間の経過によって風化したことで酷く廃れ果ててしまった神殿跡が残っていた
長い年月により崩れ落ちた神殿の壁や柱、天井は雨風の影響により大地に埋もれ、最早元の原形を知ることは不可能であろう……
そんな神殿跡の片隅に、神殿の一部であったと思わしき石板が何らかの影響で大地から露出し、再び日の目に晒されていた
一部はまだ大地に埋もれている為、掘り起こさなければその全貌を知ることは出来ないだろう。しかし、露わになっている部分だけでもそれがどんなの石板なのかを大まかに把握する事が出来る
何せ、その石板には知る人ぞ知る紋章が刻まれているのだから……
その紋章は——聖主の紋章だった
石板にはいくつかの紋章が刻まれており、その一つ一つがそれぞれの聖主の証であった
下段左、火の聖主”ムスヒ”の紋章
下段中、水の聖主"アメノチ"の紋章
下段右、風の聖主”ハヤヒノ”の紋章
上段中、地の聖主”ウマシア”の紋章
これら地水火風の四柱は、人々から”四聖主”と呼ばれる神々であり、現代の人々の信仰の対象とされている
そして、それらとは別に上段右にも紋章が刻まれている。——四聖主とは異なる聖主の紋章が
その紋章の主を知る者からは”第五の聖主”と呼ばれ、他には”鎮めの聖主”、または”忌み名の聖主”という別称が存在していた
その名を――聖主”カノヌシ”と呼ぶ
——そして
その紋章を知る者はほとんどいない
かの者を知る存在、かの者の文献、それらの全ては
その中にも例外はある。かの者を知る者は確かにいはすれど……これだけは確実だ
全ての人間は、”原初の聖主”の存在を知り得ない
何故葬り去られたのか? その聖主はどういった存在なのか? 今やそれら全ては闇の中
しかしながら、過去に存在していた事は事実である。今がどうであれ、昔は全ての人間が――それこそ四聖主以上の信仰を得ていたのだから……
だからこそ、この石板は貴重な文化遺産であろう
今やそのほとんどが失われた中で、こうして大地の下で守られていた歴史の証明なのだから
いずれはこの石板を掘り起こす者が現れよう
その時まで、この石板は静かに大地の中で待ち続けることだろう
かの聖主の存在を知る、一人の聖隷を……
”原初の聖主”、または”大樹の聖主”と呼ばれていた今は亡き聖主
その名は——
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——ノースガンド領・ヘラヴィーサ——
北の大地に位置するその街は、今日も変わらず白く冷たい雪が空から深々と降り注いでいた
大地には雪が降り積もり、歩く事にサクッサクッと耳心地の良い音が鳴り響く
この街の住人にとってはそれが当然の事なのだろう、誰もその音を気にすることなく各々が自身の目的の為に歩みを進めている
「——この街に来るのもいつ以来だったっけか? 少なくとも、ここまで寒くは無かった気がすんだけどなぁ」
そんな雪が降り続ける中、周囲の人間と比べて幾らか浮いた身なりの少女が一人歩いていた
その少女の身なりを一言で言うならば……”科学者”であろう
髪は肩程で切り揃えており、色は毛先が黒みがかった深緑色
見た目相応の幼さを残した顔には黒縁の眼鏡を着用している
身長は約150cm程であり、彼女が羽織る白衣が大人サイズの為に丈や袖が身に合っていない
それでも少女が纏う雰囲気は、其処等の子供とは比べ物にならない程に大人びていた
今にも引きずりそうな白衣を風に靡かせながら歩く少女の雰囲気は、背伸びをした子供と言いきるにはいささか無理があった
しかし、その少女の服装からして、この北国の住人でない事は明らかだ。何せ防寒対策の一つもしていないのだから
それでも寒さに堪えた様子を見せないのは何故だろうか? そう疑問は残ろう
そんな寒さをそこまで気にせずに歩みを進める彼女には目的がある。その目的を成すのに一番適した場所、様々な情報が飛び交っている酒場へと少女は向かっていたのだった
「さみぃ……早く心水飲んで温まりたいぜ。うん、それがいいそれがいい」
……一つ言っておくと、少女の目的はあくまで情報収集であって、決して飲酒しに来たわけではない事をここに記しておこう
「おい知ってるか? さっき聞いた話なんだが、商船組合のダイルって航海士が
「……ん?」
少女が酒場へと足早に歩を進めていると、不意に街の人の言葉が耳に入った
少し横目に見てみれば、中年の男性二人が気だるげに言葉を投げ交わし合っている
その内容が少し気になった少女は歩幅を緩めて速度を落としつつ、その男性二人の会話を盗み聞きすることにしたのだった
「マジかよ!? それってつまり、この街で
「あぁそうだ。今はその航海士だけみたいだが……その内また発症する奴が現れるかもしれねぇな……」
(業魔病、ねぇ……)
通り過ぎる間に聞いた内容は、今を時めかす……いや、問題視される案件だった
”業魔病”……ようは人間が業魔と言う化け物に変化する病だ。——いや、これは最早呪いだろうか?
十年前の”開門の日”以来、業魔や業魔病は世界に蔓延し始めた。攻撃の通じない業魔を前にして、人々は災厄の時代が訪れたと口を揃えて言葉を漏らしたという
人の心を失い、文字通りの化け物となるその病にかかった者は二度と人の姿には戻れない。発症する原因もわかってない今、全ての人間は業魔病を恐れている
なら発症者を殺せばいい? それは無理だ。何せ業魔病にかかり、業魔となった化け物は……普通の人間には決して倒せないのだから
業魔には普通の武器が通じない。原理は不明だが、何の力も持たない人間には傷一つつける事すらできない特殊な生命体なのだ
だからこそ——
(業魔の相手が出来る人間なんて対魔士ぐらいだろうな……)
今の時代、対魔士の存在は必要不可欠なのだ
唯一業魔に決定打を与えられる存在、それが”聖隷”という存在を携えた対魔士と言う者達だ
三年前に起きた”降臨の日”により世界に現れた聖隷の存在によって、人間は業魔を打ち倒す力を手に入れた
そんな聖隷の力を行使し、業魔を討ち滅ぼす者達のことを人は対魔士と呼んでいた
「……」
この街に業魔病が出た……そんな話を聞いてもなお、少女は特に気にする様子も無くその場を通り過ぎ、黙々と酒場へと足を進めるのだった……
——ヘラヴィーサ・酒場——
「ふむぅ……心温まる小話を求めて数分、これと言って愉快痛快な話題が見つからないのう……」
酒場の一席に腰を下ろすピエロ風の……いや、当人は自身の事を魔女と称しているのだから、ここは彼女の顔を立てる為にも魔女風と言っておこう
彼女の名は”マギルゥ”、自称天才魔法使いの……脱獄犯だ
「……何やら今、儂を陥れるような事を述べた奴を感じたのじゃが……」
少々勘が鋭い彼女だが、事実だから仕方が無い
少し前まで酒場に来ていた連れの脱獄犯二人を見送った後、マギルゥは温かいスープをスプーンに掬って飲みながらのんびりしていた
スープを口に含みつつ両手を頭の後ろで組みながら背もたれに身を預けているその姿は見るからに暇そうだ
因みにだが、数刻前まで犯罪者を収容していた島——”監獄島”から脱獄してきた身だ。……金などありはしない。ようは無銭飲食をしている訳だ
そんなマギルゥに——
「——ちょいとそこのピエロちゃん、お話いいかい?」
先程の白衣の少女が話をかけるのだった
その手にはボトルとグラスが器用にも片手で握られている。そのボトルの中には透き通った朱色の液体……心水だ
少女の見た目から未成年だと判断されてもおかしくはない筈なのだが……
そんな少女がマギルゥの座る対面に一声かけて席に着くと、マギルゥはそのことを気にした素振りも見せずに先程の言葉に異議を唱えた
「なんじゃいなんじゃいピエロとは。儂はこの通り魔女ではあるが、ピエロなどとちんけな道化とは異なる者なんじゃがのー?」
「……え? それで魔女なん? パッと見ピエロの方がしっくりくるんだけど?」
「ガーン! お主にはこの求め抜かれた末に到達した魔女の威厳を感じぬのか!?」
「もう少しダークな見た目じゃないと魔女感は感じないっすねー。マントとか箒とか持ってみたらどうなん?」
「それら二つは儂のポリシーに反するので却下」
「寧ろその魔女要素抜きでよく魔女感出す気になったもんだよ」
「いやいやそれほどでも~」
数回言葉を交えた結果、思っていたよりもすんなりと会話が弾んだことで意気投合する二人であった
マギルゥとしても暇潰しに話し相手が欲しかったところだったのもあり、別に断る理由も無かった為話し相手になったと言ったところだろう
それから二度三度言葉を交わし合う二人はお互いの理解を深めていくのであった
そして、幾らか気を許したところで少女は……本題に入る
「——ときに、魔女っ娘ちゃんや。先程たまたま視界に入ったんだけどさ? ……なんで
「……それはあやつ等の事かえ?」
その一言を境に、マギルゥに多少ではあるが変化が訪れる
その変化とは……愉悦の表情
まるで連れの二人を自身の遊び道具——いや、暇潰しの見世物とでも思っているかのような感情がその言葉に込められていた
——なるほど、そう言う……——
その言葉を聞いた少女はある程度推測する
彼女、マギルゥと先ほどの連れ二人——業魔達の関係は、正確には仲間ではないのだろう。おそらく同じ目的を持っているだけか、行動を共にするのが都合の良い関係と言ったところだろう……少女はそう解釈した
そして、同時に考える
——自身の目的を果たすのには丁度よさそうな連中だ、と——
「そうそう。見た目はほとんど人間だから周りは気づかないんだろうけど……まぁ、気配がなぁ」
「……ほう? 気配だけで業魔と察するか。もしやお主……
「……へぇ」
マギルゥに聖隷と言われた瞬間、一瞬だけ少女の表情に変化が起きた
その変化も多少目を見開いただけではあるのだが、それを見逃すマギルゥではない。少女の一瞬の変化を目にしたマギルゥは面白そうに顔を歪めた
そんなマギルゥの表情に気づいた少女だが、別に隠している訳でも無かったからそこまで焦る様子も無かったのだった
一旦眼鏡のブリッジをクイッと持ち上げ、少女は再び話を進める
「
「こう見えても儂は魔女じゃからのう。見る目はあるんじゃよ~」
「まあなんでもいいけどな。それよりも……結構面白そうだな、あの業魔達」
「そうなんじゃよー♪ 特にあの女業魔の方、ここだけの話なんじゃが……”聖寮”を相手取るらしいぞえ?」
「……!」
”聖寮”とは、人々を襲う業魔を滅する対魔士の組織だ
主に三つの階級があり、二等対魔士、一等対魔士、そして特等対魔士で分けられている
それら階級に分けた役割を全うし、世界の秩序を保とうする組織なのだ
そんな世界にとっての正義を、あの女業魔は打倒しようとしているのだ。驚くのも無理はない
しかし、その驚きは――
「……いいねぇ。ホントマジ、
——自身の掲げる目的の遂行に合う内容からくる歓喜によるものだった
その少女の反応に多少の疑問を抱いたマギルゥが問う
「丁度いい? 何じゃいお主、お主もまた聖寮を潰そうと考えておったのかえ」
「いやいや、聖寮を潰そうなんて大それた考えなんかもってねーさ。——ただ、俺の目標の一つが結果的に聖寮が崩壊するだけだし」
「お主はお主で物騒なことを考えておるようじゃのう。——一体何を考えておるんじゃ?」
流石のマギルゥも少女の言葉に耳を疑った
相も変わらない口調で話すが、内心はそれなりに驚いている。——まさかあの業魔と似たようなことを考えている愚か者がいようとは、と
一体どんな目的を持っているのか? マギルゥは単純にそれが気になったのだ
問い掛けられた少女は、一旦口を閉ざしてグラスに心水を注ぎ始める
ゆっくりと注ぎ足される朱色の雫を眺めつつ、注ぎ終わればグラスを持ち上げる
少女はグラスの中にある心水を口に含み、話して乾いた喉を潤してから……マギルゥの問いに答えるのだった
彼女が抱える目標の一つ。三つある中で一番可能性があるその目標を、少女は……名と共に告げるのだった
「俺の名は”ルィーン”。聖寮のクソッタレ共から聖隷の心を解放するのを目標にしている、身の程知らずの
口角を上げながら怪しく微笑むその姿は、内容がどうあれ決して正義の味方ではないだろう事は誰の目から見ても一目瞭然だった
……ただし、口調はともかくその見た目のせいで、あまり悪役らしさは出ていないのだが
オリキャラ紹介
名前:ルィーン
性別:女性
年齢:?歳
身長:148cm
武器:?
戦闘タイプ:?
種族:聖隷