テイルズオブベルセリア 世にも珍しい樹の聖隷   作:メガネ愛好者

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どうも、メガネ愛好者です

文章量を少なめに、投稿ペースを上げる作戦
果たして上手くいくのだろうか……

それでは


二話 こうして少女は巻き込まれる

 

 

 ”樹の聖隷”

 

 一言で言えば樹属性の聖隷という事になるのだろうが、それは通常あり得ない事なのだ

 理由としては、世界には基本的に五つの属性しかないとされているからだ

 無、火、水、風、地の五つを元にそれらを複合して違う属性を生み出す事はあれど、その中にさえ樹属性などありはしなかった

 

 「だから俺って結構レアなんよ? レアキャラなんよ?」

 

 「そーかそーか。儂でさえ知らなかった故その通りなんじゃろなー」

 

 「その通りなんですよー。……そんな希少な存在だからこそ周囲に目立たず問題も起こさず静かに活動してるわけなんですぜ? だから——」

 

 

 

 

 

 「うるさい! とっとと歩け()()()()!」

 

 「——密航とかみみっちい事する訳無いじゃないですかヤダー。冤罪ですよ? 対魔士様方」

 

 「儂だって密航なんてしておらんぞよー。……まあ不法入国はしておるがのう」

 

 「余計な事言わないでもらえますかねぇ!? てかそれも俺に当てはまらねーし!」

 

 「うるさいと言っているだろう!」

 

 「なんで俺の時ばっかりっ!?」

 

 現在、樹の聖隷ことルィーンと自称大魔法使いマギルゥは……聖寮の対魔士に密航の罪で連行されていた

 

 何故対魔士に捕まっているのかと言うと、簡単に言えば職質されたからだ

 この国の住民は服を着重ねて厚着しているのにもかかわらず、この二人は防寒の類を一切していない。それ以前に服装が明らかに住民のそれとは違うのだ。警備をしている対魔士の目に留まっても不思議な事ではない

 その結果、対魔士達は怪しげな装いの二人を問い詰め、後から判明したマギルゥの密航の件で拘束される事になってしまったのだった。そこに居合わせルィーンも、マギルゥと楽し気に話していたところを仲間と見なされ捕縛される事になったのはとばっちりであろう

 まあ見た目十代前半のルィーンが心水を飲んでいたところを目撃した対魔士が未成年の飲酒により捕縛した……と言う理由もありそうだが

 そんなルィーンの俺口調なのにソプラノボイスという何とも言えない反論の言葉が、この寒空の下に空しく響き渡るのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして連行されること数分、二人はヘラヴィーサの聖堂に来ていた

 因みに聖堂に入ろうとした時、聖堂内から片目を包帯で巻いた美少年対魔士が出てきたので、ルィーンは「私、無実です。助けて」といった想いを込めて熱い視線を送るのだが、それに気づかなかった美少年対魔士はサラリと受けもしないて流したのであった

 その後すぐにマギルゥから「お主の一人称は”俺”じゃろ?」と言われたのにイラッとしたルィーンが舌打ちしてしまった事で、ルィーンを捕らえている対魔士から「態度が悪い」と叱られる羽目になったのを追記しておこう

 そして二人は聖堂内に足を踏み入れ、正面奥にいる綺麗な女性と対峙するのであった

 その女性なんだが……

 

 (……ねえ、なんかあの人怒ってね? 絶対機嫌悪いよな?)

 

 (何やら堪忍袋の緒がプッツンしておるようじゃ。余程機嫌を損ねるような事があったんじゃろうな~)

 

 小声で話す二人は、後ろで腕を拘束している対魔士達に「喋るな」と頭を小突かれながら、正面の女性が明らかに機嫌が悪いことを心中察していたのだった

 なにせその女性の瞳が全てを凍てつくさんとばかりに冷たい瞳をしているのだ。何があったのかは知らないが、無言なのが余計に怖い

 正直なところ、今お近付きになるのは少々遠慮したい二人である。しかしながら対魔士に腕を拘束されて歩いている為、無駄な抵抗など出来やしない。二人とも非力なのだ

 

 「テレサ様。密航者を捕らえました」

 

 そしてある程度近づいたところで対魔士達は正面にいる女性……言葉通りなら”テレサ”という名の対魔士に報告するのであった

 流石にこのままでは罪が確定してしまう。密航などしていないルィーンは弁明しようと口を開けるのであった

 

 「異議あり! 俺は密航なんてしてねーから!」

 

 「黙れ、聖堂内では静かにしろ」

 

 「あ、はい……」

 

 ある意味正論を言われた為につい口を閉ざしてしまうルィーンだった

 それを見たからなのか、目の前のテレサが足早に近寄ってくる

 これは怒らせてしまったパターンか? と、内心不安を抱いてしまったルィーンが今度は静かに弁明しようと口を開けようとした瞬間——隣の魔女が変わりに弁明し始めたのだった

 

 「濡れ衣じゃよ~! 儂は許可をとらずに乗っただけじゃのに~」

 

 (あかん。そりゃあかんよマギルゥ……)

 

 濡れ衣と言っておきながら自分の非を認めているマギルゥに焦りを浮かべるルィーン

 このまま事が進めば自分も巻き込まれて同罪にされる……その理不尽なとばっちりを受けかねない状況にルィーンは表に焦りを出さぬ様、打開策を思案するのであった

 そもそも現在進行形で機嫌が悪そうな相手を煽るようなことを言わないでほしい……そう思ってしまったのも無理はないだろう

 

 そして、そんな返答を聞いたテレサはと言うと――

 

 

  ——パァンッ——

 

 

 ——マギルゥの頬を振り抜くようにして叩いたのであった

 ルィーンはそれを見て「やはり怒ってたんだな」と自身が叩かれなかったことに安堵しつつ、マギルゥに対して「ザマァ」とほくそ笑んでいたのであった。マギルゥの罪を同じく被せられたとはいえ、結構腹黒いぞこの少女

 マギルゥは頬を叩かれた事で顔を歪ませている中、ちらりと見たルィーンの素っ気無い顔に「こやつ、内心ほくそ笑んでるな?」と推察する。大当たりである

 

 「貴方、監獄島から脱獄した女業魔の仲間ですね? ……あの者はどこです」

 

 そんな二人の内心など全く知り得ないテレサは、マギルゥに対してそう問い詰め始めたのだった

 女業魔……それは確か、酒場でマギルゥと話し合っていた黒髪の女性のことだろう

 聖寮は既にあの女性の事を手配しているのであろうか? そう疑問に思いつつ、ルィーンは大人しく会話を聞くことにしたのであった

 そして頬を叩かれたマギルゥは、テレサから顔を逸らしたままの状態で話し始めるのであった

 

 「……ふん、このマギルゥ様に拷問は無意味じゃぞ」

 

 相手に呆れたような表情で告げるマギルゥに、少し違和感を抱くルィーンであった

 何せルィーンから見たマギルゥの人物像は……相手がどうなっても気にしないような奴だからだ

 実際にマギルゥは、酒場でいろいろと女業魔——”ベルベット”の事を初対面のルィーンに面白おかしく話しているのだ。そんな口が軽いマギルゥが拷問されても無駄と言っている……何をされても連れは売らないってことなのだろうか?

 実は仲間想いの奴だったのか? と、ルィーンはマギルゥという人間を見改め——

 

 

 

 

 

 「——なんでもぺラリと喋るからの~♪」

 

 「やっぱり喋るんかーい!」

 

 ——ようとはしたが、結局変わる事は無かった

 この魔女、即座に自身の身を擁護しに行きやがった……そんな、予想通りではあったが実際にその展開を拝むことになるとは思わなかったルィーンは、ついマギルゥにツッコミを入れてしまうのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——ヘラヴィーサ近辺・フィガル雪原——

 

 

 

 街の外の近く、街の門の死角となる岩場にて二人の男女が思考を巡らせていた

 見た目二十代前後の女性と男性に見えはすれど、彼女達は既に人間ではない

 彼女達は業魔。監獄島から船を奪って脱獄し、ここノースガンド領の浜辺に漂着した脱獄者達だ

 

 

 

 元々、彼女達は座礁した船の修理の為にヘラヴィーサへと訪れていたのだ

 ヘラヴィーサには港があり、それを取り締まる商船組合なるものが存在する。そこでなら船大工が見つかるだろうと彼女達は考えたのだ

 

 しかし、商船組合は見つかれど事は上手いように進まなかった

 

 どうやら商船組合にいた航海士のダイルと言う者が貴重な”炎石”の密輸をしていたそうで、そのせいで組合は業務停止命令を聖寮に下されたようなのだ。故に今、商船組合は船の修理さえもする事を禁じられているという

 どうやらそれはダイルが捕まり処罰されるまで続くそうで、ダイルが捕まらない以上、商船組合は何も出来ずにいるのだ

 

 だが、業務再開まで彼女——ベルベットは待っているつもりはない

 ベルベットは組合からダイルの情報を聞き出し、聖寮に勘付かれないよう隠密に行動する事にした。……ようはダイルを”喰らい”に行くことにしたのだ

 彼女の左腕は少々特殊で、左腕から業魔を文字通り”喰らう”事が出来るのだ

 喰らった業魔を自身の糧にし力を増幅させる……そう言った特殊で強力な業魔こそ彼女、”ベルベット・クラウ”なのである

 

 そしてベルベットは、「借りた恩は返す」と言う理由で自身に同行する右の顔周辺が業魔化した人型の業魔、”ロクロウ・ランゲツ”とダイル捜索に向かい、聞きこみの末に遭遇する事となるのだった

 ダイルの故郷である”ビアズレイ”と言う村の北に位置する”ハドロウ沼窟”と言う洞窟の奥にてダイルを見つけたベルベット達。——だったのだが、ベルベット達はダイルを殺なかった

 

 どうやらダイルに掛けられた容疑はダイルだけのものではなく、商船組合全体で行われていたそうだ

 組合の密輸が聖寮に暴露された時、組合はダイルが業魔化したのをいい事に全ての罪をダイルの押し付けたのだ

 それに怒りを抱いたダイルは追っ手を殺しつつ街から逃走、組合に復讐する為に機会を伺っていたそうだ

 しかしその復讐を成す方法も、街中で一思いに暴れようと言う無謀な特攻だった。ダイル自身は「どうせ殺されるなら一思いに暴れて散ってやる」といった考えで、既に生きる事を諦めているのだろう

 

 

 そんなダイルを……ベルベットは利用することにした

 

 

 ベルベットはトカゲの業魔と化したダイルの体の一部——尻尾を文字通り切り離し、それを持って組合にダイルが死んでいる事の証明として見せ渡すことに

 ダイルの尻尾を見せれば、聖寮はダイルが死んだと思うだろう。そして聖寮が警戒を解いた隙を見て攻め込めば、無謀に特攻するよりも多くの被害を——商船組合への復讐を成せるだろうとベルベットはダイルに提案する。ようはダイルの復讐の手助けをすると言っているのだ

 

 別にベルベットはダイルの復讐を手助けしたいと思った訳ではない。ただ自身の目的の為に利用できるものは利用しようというだけなのだ

 ダイルの死亡が確認できれば組合は業務を再開する事が出来るだろう。その見返りに座礁した船の修理を依頼する事が出来る

 今すぐには出来ないと言われようが、組合の密輸の件を聖寮に密告するとでも言えば多少の無理も聞くだろう……つまり、これも己が為の行動なのだ

 

 

 

 ダイルと別れた後、ベルベットの策は順調に進んだ

 商船組合は案の定渋ったので脅し、船の修理へと向かわせることに成功する

 

 後は船が直り次第すぐに出発するだけ……となる筈だった

 

 どうやら組合の船大工によると、船の竜骨——いわば人間の背骨に当たる位置の骨組みが折れているらしく、修理する事が出来ないとの事

 当初の目論見が外れたベルベット達は一先ずは船を手配する事を考え、一旦ヘラヴィーサへ戻ることにしたのだった……

 

 

 

 

 

 ——そして、帰り道にそれは起きた

 

 「聖寮から告知があった。何やら業魔を街に呼びこもうとした怪しげな魔女とガキの公開処刑を行うそうだ」

 

 帰り道で再び遭遇した組合の会長による情報により、ベルベット達は街に戻る事が出来なくなったのだ

 怪しげな魔女。おそらく……いや、間違い無くマギルゥの事だろう

 マギルゥを処刑すると告知でわざわざ広めているのだ。十中八九、罠であることは間違いない

 住人は巻き込まれない様に避難勧告を出されているだろうし、そこにわざわざ出向いたら自分が仲間ですと言っているようなもの。ベルベット達が門前の警備兵に気づかれずに街へ入ろうとした時に使った抜け道も、既に待ち伏せがいるに違いない

 

 これでは船を手配するどころか、街に入ることさえ出来やしない状況にベルベット達は今後の策を練り直すのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「——ところで、魔女はともかく”ガキ”って……誰の事だ?」

 

 「……さぁ」

 

 組合の会長の話に出てきたガキ……おそらくマギルゥと共に捕まったのだと思うが、一体誰の事なのか見当もつかないベルベットとロクロウなのであった

 

 




スキットEX1 公開処刑までの二人



 マギルゥ
「いやはや、面倒な事になってしまったのー」

 ルィーン
「いやなんでそんなのんびりしていられるんですかねぇ? この後俺達処刑されちゃうんですけども」

 マギルゥ
「細かい事は気にしな~いのが儂なんじゃよー♪」

 ルィーン
「つまり単細胞……と? 何だスライムか、ゴミめ」

 マギルゥ
「ちょい待ちー! 今時のスライムを舐めるでないぞ!? 例えスライム、されどスライム。日々を必死に生き抜いておる猛者達は星の数ほどおるんじゃぞ!?」

 ルィーン
「まさかそこまでスライムを擁護するとは思わなかったわ。何か思い入れでもあるのか?」

 マギルゥ
「そうじゃのー……あれは儂がまだ大魔法使い見習いとして――」

 ルィーン
「あ、別に詳しく話さなくていいから」

 マギルゥ
「寒い冷たい心が冷える返答ー!? もうちょっと食い釣られておくれよ!」

 ルィーン
「だってオチが寒そうだったし」

 マギルゥ
「失礼じゃなお主! 儂の爆笑お笑いトークがすべると申すか!?」

 ルィーン
「そこまでハードル上げて大丈夫か~? もしそこでマジすべりしたら赤っ恥だぜ?」

 マギルゥ
「芸人とは、恥を捨てて笑いを掴み取りにいくものじゃよ。その程度で怯むものかえ」

 ルィーン
「なら火傷しない事を祈っとくわ」

 マギルゥ
「何やらそこまで念押しされると、不安がそこはかとな~く湧いてくるんじゃが……」

 ルィーン
「とりあえず俺としては爆笑トークよりも心温まる小話の方がいいと思うんだよ。マギルゥだってそっちの方が今の気分的にいいんじゃね?」

 マギルゥ
「おお! 儂としたことがついうっかりしていたようじゃのー」

 ルィーン
「そんな訳で小話を一つ紹介しようじゃないか」

 マギルゥ
「楽しみじゃのー♪ せいぜいすべらない事を期待するぞえ」

 ルィーン
「おうとも。あれは俺が冷えた池で凍ったスライムを釣り上げた時の——」

 テレサ
「何を無駄話しているのです。自身の立場をわきまえなさい」

 ルィーン
「あ、はい……」

 ルィーン
(何で俺の時ばっかり注意されんだろ……)

 マギルゥ
(凍ったスライム……予想していた以上に続きが気になる話だったというのに……)

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